健康型有料老人ホームとは?特徴や費用など気になる情報を紹介
- 2024年10月04日 公開

健康型有料老人ホームは、自立した日常生活を送ることができる元気な高齢者のための施設です。シニアライフを生き生きと楽しみたい人に適した健康型有料老人ホームの特徴やメリット・デメリット、費用面などについて徹底解説します。
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健康型有料老人ホームとは?
有料老人ホームとは、高齢者が快適に暮らせるように配慮された施設のことです。
「介護付き」や「住宅型」「健康型」などの種類があり、「食事」「介護(入浴、排泄など)」「洗濯・掃除等の家事」「健康管理」のうち1つ以上を提供します。
介護付き有料老人ホームは、要支援・要介護認定を受けた高齢者が入居し介護を受けることができる施設です。
住宅型有料老人ホームは、「生活支援」や「見守り」などのサービスを受けることができる施設です。
介護が必要になった場合には、外部の介護サービスを利用しながら生活を続けられる場合もあります。
そして健康型有料老人ホームは、介護の必要がない高齢者を対象としている施設です。元気な高齢者のための施設で、介護施設とは異なります。
災害時の備えのためや、1人暮らしにちょっとした不安を抱えている方、家事をすることが億劫(おっくう)になった方などが余生を過ごす場所として注目されています。
健康型有料老人ホームの特徴
健康型有料老人ホームには入居者が健康な状態を保つことができるように支援する設備が充実しており、シニアライフを楽しむことができます。
しかしあくまでも自立した高齢者を対象としているため、要介護状態になったら退去する必要がある点には注意が必要です。
健康型有料老人ホームのサービス内容
健康型有料老人ホームでは、主に「食事」などの援助と「緊急時の対応」といったサービスが提供されます。
そのほか、オプションのような形で掃除や洗濯などの家事援助、見守り、そしてサークル活動など必要なサービスを選ぶことができるため、充実した生活を送れる環境が整っています。
健康型有料老人ホームの職員体制
人員配置基準は以下の通りです。
職名 |
人員数 |
---|---|
施設長 |
1名 |
生活相談員 |
必要数 |
介護職員 |
必要数 |
看護職員 |
必要数 |
機能訓練指導員 |
必要数 |
健康型有料老人ホームの入居条件
- おおむね60歳以上
- 介護を必要としない自立した人
- 認知症を患っていない人
- 費用の支払いができる収入や資産がある人
入居条件は施設によって異なるため、入居前に確認することをおすすめします。
健康型有料老人ホームのメリット・デメリット

健康型有料老人ホームには充実したシニアライフを送ることができるなどさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
どのようなメリット、デメリットがあるのか、入居前に確認しておきましょう。
メリット
今は元気で介護が必要ないとしても、高齢者の1人暮らしは孤独を感じやすいものです。
また、加齢に伴い生じる身体の衰えや体調の変化など生活に不安を感じる要素が若い頃よりも増えていきます。
そのような不安も施設に入居することで解消できるかもしれません。
設備・サービス面の充実
日常生活を楽しむための設備やイベントが充実している点は何よりものメリットです。
中にはフィットネスジムや図書館、シアタールーム、テニスコート、プール、温泉など豪華な設備を整えている施設もあるようです。
シニアライフを満喫できるような趣味活動を後押しするサービスが充実していることも特徴の1つで、自分の人生を楽しむために時間を使うことができます。
また、自宅での生活において意外と大変な日々の食事の支度などについてもサービスが提供されるため、生活に余裕が生まれます。
外部サービスの利用により介護度に応じたサービスを組み合わせられる
健康型有料老人ホームは、基本的には元気な高齢者を対象としています。
しかし施設によっては、介護度の軽い人などは外部サービスの利用を許可される場合もあります。
自分に必要な介護サービスを選択することができるほか、複数の外部サービスを組み合わせて利用することもできるため、より安心した毎日を過ごせることでしょう。
離れて暮らす家族へ安心を提供できる
高齢者世帯や1人暮らしの高齢者の家族にとって安否を確認できることは大きな安心につながります。
年齢を重ねると身体の機能は低下し、介護が必要な状態とまではいかなくても普段の生活の中で大変なことやできなくなることが出てきます。突然の病気や事故にも注意が必要となるでしょう。
その点、施設という環境は、スタッフの目が行き届いているため安心です。
必要であれば入居者の状態を家族に連絡してくれますので、離れて暮らす家族にとっては安心材料となるでしょう。
デメリット
ここまで健康型有料老人ホームのメリットを見てきましたが、一方でデメリットがあることも事実です。
入居後にこんなはずではなかったと後悔しないためにも、デメリットについてしっかり把握しておくとよいでしょう。
施設数が少ない
厚生労働省が毎年行っている社会福祉施設等調査によると、有料老人ホームは全国に約15,000あります。
2015年のデータでは、介護付き有料老人ホームが約4割、住宅型有料老人ホームが約6割とほぼすべてを占め、健康型有料老人ホームはわずか16件にとどまっています。
そのため、身近な地域に「健康型」の施設がない可能性があります。
介護度・支援度が上がってしまうことで退去の可能性あり
健康型有料老人ホームの入居対象者は元気な高齢者です。したがって施設による介護サービスは提供されていません。
もし介護度が高くなって介護量が増えた場合、退去を考える必要が出てきます。
介護サービスの組み合わせによっては割高になることも
一部の施設では要介護者の入居が可能な場合もありますが、施設による介護サービスの提供がないため、外部サービスを利用して介護を受けることになります。
介護度が高いほど介護サービスを利用する量が増えるため、施設利用料に加えて介護サービス利用料が発生し、その分、高額になる可能性があります。
費用が高い
施設に支払う費用は、ほかの有料老人ホームと比べて割高になる場合が多いといわれています。
建物のグレードが高い、設備が充実している施設ほど費用は高くなる傾向にあります。
健康型有料老人ホームの費用

健康型有料老人ホームの入居にかかる費用は、初期費用と月額利用料です。
初期費用は入居一時金や入居金とも呼ばれ、その金額は施設によって大きく異なります。
月額費用は、管理費、食費、そのほかに必要な費用のことです。施設によって金額設定は異なり、安いところでは10万円台、高いところでは数十万円かかります。
料金が高額な施設ほど設備やサービスが充実しています。
設備やサービスは施設によってまったく異なり、レストラン、フィットネスジム、シアタールーム、温泉、カラオケルーム、テニスコート、図書室など、設備が驚くほど充実している施設もあれば、簡単な運動のための器具を備えている程度の施設もあります。
居室や食堂、リビングの造りも料金が高い施設ほどハイグレードとなっています。
また、有料老人ホームは、家賃の前払金などに相当する入居金を受け取ってもよいとされています。
入居金とは平均寿命を考慮した想定居住期間を設定し、「1カ月分の家賃の額」×「想定居住期間(月数)」+「想定居住期間を超えた場合に施設の備えとして受領する額」という計算式で算出されます。
想定居住期間とは、入居後にこれくらいの期間は住み続けるだろうと予想される期間のことです。
有料老人ホームの入居金は、家賃の前払金として支払うものです。
想定入居期間よりも短い期間で退去する場合は前払金の残りを返却してもらうことができます。
返金額は償却という形で計算され、想定居住期間が前払金の償却期間となります。
(有料老人ホームの入居金償却の例)
入居金:600万円
初期償却:20%
償却期間:5年
1年間の均等償却額 (600万円−120万円)÷5年=96万円
1カ月の均等償却額 96万円÷12カ月=8万円
入居金を徴収することで、月額利用料を低く抑えるという仕組みになっています。
長期の入居となった場合、初期費用を高く、月額利用料を低く設定した方がトータルでの支払額は安くなるようです。
健康型有料老人ホームとほかの老人ホームとの違い

健康型有料老人ホームのほかにも、さまざまな高齢者向けの施設があります。
それぞれの施設について詳しい内容がわからない、違いを知りたいと思っている方のために押さえておきたいポイントをご紹介します。
住宅型有料老人ホームとの違い
住宅型有料老人ホームは、おおむね60歳以上で、自立している高齢者や要支援または要介護度の低い方を対象とした施設です。
サービス内容は、食事の提供や掃除、洗濯などの家事援助と見守りなどの生活支援が中心。
介護サービスの提供はされないため、介護が必要な場合は外部の介護保険サービスを利用します。
入居には初期費用と月額利用料がかかりますが、施設により金額設定はさまざま。
初期費用がまったくかからない施設があれば、数百万円かかるところもあります。また、月額利用料は10〜30万円台が主流です。
介護保険サービスを利用した場合は利用した分の料金を別途支払う必要があります。
健康型有料老人ホームとは違い、介護が必要になっても居住し続けることは可能ですが、介護度が高くなると介護サービス利用料が上がります。
介護付き有料老人ホームとの違い
介護付き有料老人ホームは、介護を必要とする高齢者が常駐する介護スタッフによる身体介護や生活支援を受けながら生活する施設です。
入居条件は施設により異なりますが、介護度が軽い人から重い人、寝たきりの人、認知症を患っている人など幅広く受け入れが可能です。
入居費用は一時金と月額費用からなり、金額は施設によって異なります。
月額費用に含まれている介護サービス費は介護度別の定額制のため、介護度が高くなっても支払いの見通しが立てやすいといわれています。
介護サービスが前提となっている点に、健康型有料老人ホームとの大きな違いを見出すことができます。
サービス付き高齢者向け住宅との違い
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、60歳以上の高齢者または要介護認定を受けた40歳以上の人を対象としています。
バリアフリー構造で高齢者が安心して居住できる賃貸型の住宅です。
介護保険と連携し、日常生活に不安を抱く高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるようにという目的があります。
主なサービス内容は安否確認と生活相談ですが、ほとんどのサービス付き高齢者向け住宅で食事を提供しています。
介護が必要な場合は外部または施設内にある介護サービス事業所と契約し、介護保険サービスを受けます。
費用については、敷金、礼金等の初期費用と月額利用料がかかります。月額利用料の内訳は家賃、共益費、基本のサービス料、食費、水道光熱費などです。
介護保険サービス利用料は利用した分を負担します。費用相場は12〜20万円程と施設によって異なります。
一方、健康型有料老人ホームは自立した高齢者を対象としており、介護は必要ないが自宅での生活に不安を抱いている方のための施設です。
介護が必要になったらほとんどの場合は退去しなくてはなりません。介護が受けられるかどうかが、サービス付き高齢者向け住宅との大きな違いです。
シニア向け分譲マンションとの違い
シニア向け分譲マンションは、バリアフリーなど高齢者が生活しやすいように配慮された高齢者専用の居住施設です。
施設に入居する場合とは異なり、購入した分譲マンションは資産となるため、購入後は売却したり、賃貸として収益を上げたり、子どもに相続させたりすることも可能です。
金銭的に余裕のある富裕層を対象としている物件が多く、充実した生活支援サービスを必要に応じて選択することができます。
さらにレストラン、フィットネスジム、温泉などが敷地内に併設されている場合もあります。
中には敷地内に専用のクリニックが併設されているところもあるようです。
健康型有料老人ホームの入居までの流れ

健康型有料老人ホームへの入居を考えた際、どのような手順で何をすればよいのか、わからないことも多いと思います。
入居までの流れを時系列でご紹介します。
- 希望の条件を整理する
- 施設の情報を集める
- いくつかの施設から資料を取り寄せる
- 見学の予約をする・実際に見学する
- 入居申込をする
- 必要書類の準備
- 施設の担当者との面談
- 入居審査
- 体験入居
- 契約・入居
施設入居を考えたときは、まず自分の理想とする施設について思い浮かべ、希望する条件を整理しましょう。
費用やサービス内容、立地条件など優先順位をつけておくとよいかもしれません。
施設の情報を集める際は、地域包括支援センターや民間の老人ホーム紹介サービス、福祉事務所などに相談するのが一般的です。
気になる施設を見つけたら、電話などで連絡して資料を取り寄せます。
資料を比較・検討して希望の施設が見つかったら、見学の予約をします。
実際に現地へ行くことで、施設の雰囲気やスタッフの対応、ほかの入居者の様子など資料からはわからない情報を得ることができます。
見学後は、気に入った施設に入居申し込みをし、必要書類を用意します。
必要書類は主に健康診断書などですが、施設によって異なります。
施設担当者との面談では、利用者の健康状態や希望条件などをチェックします。
面談を受けると、入居が可能か施設内で審査が行われます。審査の内容は、健康状態、経済状況や身元保証人の有無などです。
審査後は、実際に施設での生活を体験するために数日間入居することができます。利用してから契約を検討することができるため、ぜひ活用しましょう。
体験入居で問題がなければ、施設と契約を交わして入居となります。契約をする前に家族や友人などに相談し、後悔しない施設選びをすることが大切です。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。