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【徹底解説】介護付き有料老人ホームとは?特徴や費用、住宅型との違い、選び方まで

  • 2024年10月04日 公開
  • 2025年03月28日 更新

さまざまな種類がある高齢者施設のなかで「介護付き有料老人ホーム」とはどのような施設なのでしょうか。

この記事では、介護付き有料老人ホームの概要や費用などを解説します。

「住宅型との違い」や「選び方のポイント」もぜひ参考にしてください。

介護付き有料老人ホームとは

近年、介護施設が増えてきており、介護施設の種類も「特別養護老人ホーム」「サービス付き高齢者住宅」「有料老人ホーム」などさまざまです。

介護付き有料老人ホームとはどういう施設か、どんな人におすすめなのかを解説していきます。

介護付き有料老人ホームの定義

厚生労働省では老人福祉法第29条第1項において、有料老人ホームとは以下のように定義しています。

有料老人ホームとは、①老人を入居させ、②当該老人に対して「入浴、排せつ又は食事の介護」、「食事の提供」、「洗濯、掃除等の家事」又は「健康管理」の少なくとも一つのサービスを供与する施設』

有料老人ホームは「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類に分類されます。

介護付き有料老人ホームは食事の提供、洗濯、掃除、通院等の生活支援サービスや入浴、排せつ、食事の介助などの介護サービス、リハビリなどの機能訓練を受けられる施設です。

都道府県に届け出をして特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設が介護付き有料老人ホームであり、

特定施設入居者生活介護の指定を受けていない場合は、広告などで「介護付き」、「ケア付き」等の表示はできません。

ちなみに、住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホームには介護サービスはありません。

介護付き有料老人ホームの入居条件

施設で受けられるサービスやスタッフについてイメージできたところで、次は入居条件を確認していきます。

介護付き有料老人ホームでは、基本的に要介護1以上の高齢者が入居対象です。

そのため、要介護3以上を入居条件としている特別養護老人ホーム(特養)などと比べると入居難易度は低いといえるでしょう。

加えて、「混合タイプ」と呼ばれる介護付き有料老人ホームの場合は、要支援以下でも入居が認められます。

「夫婦で入居したいけれど、片方は介護が必要ない」という場合は、混合型を検討してはいかがでしょうか。

また「条件が緩いと待機者が多いのでは」と心配になるかもしれませんが、介護付き有料老人ホームの待機者は先ほど比較した特別養護老人ホームほど多くありません。

介護付き有料老人ホームはこんな人におすすめ

ほとんどの介護付き有料老人ホームでは、介護保険で要介護1以上に認定を受けた方を入居対象としています。

そのため、日常生活において、何らかの介護が必要な方やひとりで日常生活を送ることに不安を感じている方におすすめです。

介護付き有料老人ホームでは24時間職員が常駐し、介護サービスを受けることが可能です。

入居者に合った介護サービスを提供できるので、介護度が重度になったとしても継続的にサービスを受けることができます。

介護付き有料老人ホームの費用

施設を検討する際、入居後の生活と同様に気になるのが費用ではないでしょうか。

ここからは、介護付き有料老人ホームで介護にかかる費用や、よく耳にする「初期費用」「加算」について解説します。

費用の特徴:入居一時金がかかることが多い

立地条件や設備の充実度、サービスの手厚さなどにより、施設ごとに費用はまちまちです。

しかし、介護付き有料老人ホームは入居一時金を設定しているところが多く、まとまった費用が必要になる可能性が高いです。

入居一時金とは、想定する入居期間で発生する賃料をあらかじめ前払いする費用のことです。

入居一時金の相場は数十万〜数千万、月額の相場が約15万円〜約40万円と高額な傾向にあります。

介護付き有料老人ホームは、介護サービスや生活支援サービス、リハビリなどの機能訓練が受けられ、車イスの方でも入ることのできる食堂、トイレ、浴室などが整備されているため、人員配置や設備が充実しています。

そのため、運営にかかる費用は高く、入居者が支払う料金は総合的に高くなります。

中には入居一時金がないところもありますが、その場合は月々の料金が高くなる傾向にあるので、注意しましょう。

費用の特徴:介護サービスは定額制

もし住宅型の有料老人ホームやケアハウスなど「居宅扱い」となる施設に入居した場合は、必要な外部サービスを組み合わせて介護を受ける必要があります。

その場合、サービスの利用が増えるほど費用もかさみます。

一方、介護付き有料老人ホームでの介護サービスは「施設介護サービス」として一括で提供されます。

そのため、介護度ごとに定額であり、介助の回数や内容によって介護サービス費が増えることはありません。

費用の特徴:上乗せ介護費

介護保険が適用される月々の介護サービス費は定額ですが、それに加えて「上乗せ介護費」を請求する介護付き有料老人ホームもあります。

この上乗せ介護費とは、いったい何に対する費用なのでしょうか。

前述のように、介護付き有料老人ホームでは要介護の入居者3人につき介護・看護スタッフを1人配置する義務があります。

しかし、この基準を上回る人数の介護・看護スタッフを配置している施設も存在します。

スタッフが増えることによる介護サービスの手厚さに対して利用者が支払うコストが「上乗せ介護費」です。

上乗せ介護費は介護保険の適用対象外のため、利用者負担は10割です。また、金額は各施設に委ねられているため幅があります。

毎月かかる費用なので出費が気になるという方も多いですが、充実したサポートや安心のための費用と考えれば上乗せ介護費を算定している施設を選ぶメリットは大きいのではないでしょうか。

サービス加算が加味されていることもある

先ほども少し触れましたが、介護付き有料老人ホームで介護にかかる「介護サービス費」は介護度ごとに定められています。

しかし、介護保険の適用となっている金額が、その一定額を超える場合もあります。

その場合、充実したケアや連携を実施することで算定できる「サービス加算」が加味されているかもしれません。

サービス加算にはいくつかの種類があり、口腔ケアや機能訓練に力を入れていること、痰の吸引など質の高い介護を提供していることなどが算定要件となります。

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介護付き有料老人ホームのサービス内容

介護付き有料老人ホームは、入居者が24時間安心して生活ができるように、さまざまなサービスが提供されます。

排せつや入浴、食事などの介護を24時間受けられ、入居者の健康・嚥下状態に合う食事の提供、可能な限り自立した生活を送るためのリハビリテーション、掃除・洗濯など日常生活のフォロー、日々の生活に潤いを与えるレクリエーションやイベントも用意されています。

介護付き有料老人ホームには、看護師の配置が義務付けられており、入居者の健康管理において安心です。医師の指示があれば、一部の医療的処置も可能です。

介護付き有料老人ホームのサービス内容を項目ごとに解説していきます。

サービス内容①介護

介護スタッフの24時間配置は、介護付き有料老人ホームにとって「義務」です。そのため、時間にかかわらず必要な介護を受けられます。

施設で提供される主な介護サービスは、排せつ・入浴の介助です。排せつ介助はおむつ交換だけではなく、トイレへの誘導・見守り・介助など、本人の運動能力に合わせて行われます。

また、入浴に関しては介助が必要な場合も最低週2回以上の入浴か清拭かが義務付けられています。

自室にユニットバスがついている施設もありますが、安全管理の観点からそうした施設は全体の1割以下。共同浴室を使用する施設が多いでしょう。

サービス内容②食事

多くの介護付き有料老人ホームでは、入居者が食堂に集まって食事をします。集まることで職員にとっては見守りやすく、入居者同士で話をする機会にもなるでしょう。

食堂への移動や食事に手助けが必要な入居者には、介護・看護スタッフが声掛けや介助を行います。食事介助は、複数の入居者に対して1人の介護士がついて行うことが多いそうです。

調理については管理栄養士や調理師を配置している施設もあれば、施設内に厨房がなく外部委託している施設もあります。

いずれの場合も、食事の硬さや形態は可能な限り一人ひとりの状態に合わせて調整されます。

ただし、外部委託のほうが対応の柔軟性は低くなります。また、内部で調理を行っていても糖尿病食や腎臓病食などの「療養食」には対応していないこともあります。

入居前に個人の状態に合わせた食事への対応の可否を確認しておくと安心です。

サービス内容③リハビリテーション

可能な限り自立した生活を送るために大切なのがリハビリです。介護付き有料老人ホームは介護保険上の「特定施設」にあたるため、介護の一環として機能訓練を受けられます。

機能訓練の内容や頻度は、個々の施設ごとに異なります。主な目的は、身の回りのことを自分でできる力を維持することにあります。

具体的には、ベッドから起き上がる・歩いてトイレへ行くといった生活動作訓練のほか、集団で体操を行うなどの内容が多いようです。

サービス内容④日常生活の支援

介護付き有料老人ホームでは、食事のほか掃除・洗濯など日常生活に必要なサービスが提供されます。

これにより、身の回りのことは自分でできるけれど家事までは難しいという人も安心して生活できるでしょう。

また、施設内でのサービスだけでなく通院へのつき添い、買い物や行政手続きの代行なども可能です。

こうしたサービスがあることで、施設に入居しても外とのつながりを保てます。

サービス内容⑤レクリエーション

日常生活の支援だけでなく、余暇活動が比較的充実している点も介護付き有料老人ホームの特徴です。

スタッフが行うカラオケやゲームのほか、カルチャースクールの講師を招くなど幅広い活動を楽しめる施設も増えてきました。

このようなレクリエーションには、たんなる楽しみだけでなく活動性の向上や心のケアなどさまざまな効果が期待できます。

また、新しい入居者が環境になじむきっかけにもなるでしょう。

サービス内容⑥イベント

施設内は室温が一定に保たれ、窓から見える風景も限られています。そのため、外に出る機会が減ると季節の感覚が薄れてしまいがちです。

そうした環境でも季節の変化や楽しみを感じられるよう、時期に合ったイベントや日帰り旅行を企画している介護付き有料老人ホームもあります。

イベントの内容は、施設内で行う正月行事や夏祭りのほか、近隣でのお花見などさまざまです。

また、活動への参加が難しい入居者も楽しめるようにクリスマスケーキや桜餅など季節に合った間食を提供することもあります。

サービス内容⑦健康管理

ところで、介護を提供する施設での健康管理や医療行為の提供はどのように行われているのでしょうか。

介護付き有料老人ホームでは、常勤の看護師の配置が義務づけられています。そのため、介護のみを提供する施設と比べて医療的な知識にもとづいた薬剤・健康管理を受けられます。

もし床ずれの処置やインスリンの投与などの医療行為が必要な入居者がいれば、医師からの指示にもとづき施設の看護師が処置を行えるのも介護付き有料老人ホームのメリットです。

さらに、介護付き有料老人ホームにはあらかじめ協力医療機関を定めることも義務づけられています。そのため、定期的に往診や健康診断を受けることが可能です。

しかし、十分に健康管理を行っていても重篤なケガをしたり、体調不良が生じたりすることもあるでしょう。

そのような事態が起こって施設内で対応できない場合は、緊急性に応じて連携医療機関等への救急搬送や受診などの対応が取られます。

介護付き有料老人ホームの設備

入居者が生活する居室は原則個室で、介護を行える広さとプライバシーが確保されています。

夫婦で利用できるよう2人部屋を用意したり、家具は持ち込みとしていたりする施設もあります。

生活スペース全体がバリアフリー化されているため、車椅子でも安心して利用できます。

食堂(リビング)・機能訓練室などは共同利用のため、入居者同士の交流の場にもなっています。

また、浴室はシャワー用車いすなども十分に入れる広さが確保されています。手すりなどを設置し、身体機能が低下しても入浴しやすい配慮がなされている点も特徴です。

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介護付き有料老人ホームの人員配置

次に、介護付き有料老人ホームにおける人員配置を解説します。

法律により配置が義務づけられている職種と人数は、下記のとおりです。

職員の種類

配置義務付け

施設長

1人

生活相談員
機能訓練指導員
ケアマネジャー
(介護支援専門員)

常勤換算で各1人以上

介護・看護スタッフ

要介護者3人に対して常勤換算1人
要支援者10人に対し常勤換算1人

※看護スタッフは入居者が30人以下であれば常勤換算1人
 施設の定員がそれ以上の場合は、入居者が50人増えるごとに1人

管理栄養士・調理師

配置義務なし

まず、施設長が1人必要です。そのほか、生活相談員、機能訓練指導員、計画作成担当者は常勤換算で各1人以上配置しなければなりません。

さらに、介護・看護スタッフの人数は「要介護者3人に対して常勤換算1人、要支援者10人に対し常勤換算1人」が最低限必要です。

このうち、看護職員は入居者が30人以下であれば常勤換算1人、施設の定員がそれ以上の場合は、入居者が50人増えるごとに看護職員を1人増やすよう定められています。

そのほか、義務ではないものの管理栄養士や調理師などを配置している介護付き有料老人ホームもあります。

介護付き有料老人ホームのメリットデメリット

ここでは、ほかの施設と比較した介護付き有料老人ホームのメリットやデメリットを説明します。

メリット

デメリット

  • 介護サービスが充実している
  • 介護度が高くなっても入居し続けられる
  • 設備が充実している
  • 入居待ちが少なく、早い入居が叶いやすい
  • 介護度に応じて一定の費用負担がある
  • 費用が高額になりがち
  • 選択肢が幅広い分、施設選びに時間がかかる場合がある

介護付き有料老人ホームのメリット

介護サービスが充実している

介護付き有料老人ホームでは、上乗せ介護費やサービス加算などの算定が認められています。

そのため、充実したサービスを提供するための取り組みが施設の利益にも反映されやすいといえるでしょう。

こうした背景もあり、介護付き有料老人ホームは比較的介護サービスが充実している施設です。

「多少高額であっても介護力を重視して施設を選びたい」という人には、介護付き有料老人ホームをおすすめします。

介護度が高くなっても入居し続けられる

老人ホームのなかには「要介護状態になったら退去しなくてはならない」自立型の施設もあります。

しかし、介護付き有料老人ホームは基本的に終身利用が可能で、介護度が重くなっても住み続けられます。

また、医療依存度が上がることで入居継続が困難になるケースも少なくありません。

しかし、喀痰吸引や経管栄養といった医療行為を行うための体制を整えている介護付き有料老人ホームも増えています。

「元気なうちは色々な活動を楽しみたい」「寝たきりになったら充実した介護を受けたい」など同じ施設に住み続けながら幅広いサービスを受けられるのも、介護付き有料老人ホームの大きなメリットです。

設備が充実している

介護付き高齢者向け住宅では、入居者が持つ心身の機能や活動性を維持するという目的からも比較的余暇活動が充実しています。

そのため、レクリエーションなどに使用する最新の設備が整っているところもあります。

また、介護設備に力を入れている施設もあります。

機械浴などを導入している施設もあるため、「介護度が上がってもお風呂にしっかり入りたい」という人はそうした設備が整っているかも確認してみましょう。

入居待ちが少なく、早い入居が叶いやすい

費用面については後述しますが、介護付き有料老人ホームは比較的費用負担が大きい施設です。

これはデメリットといえますが、入居待ちの人数が少ないという面ではメリットにもなります。

入居を決めてから書類を揃えたり面談をしたりといった手続きが必要なので即入居はできませんが、入居希望を伝えてから最短で数週間、遅くとも2カ月前後で入居できるパターンが一般的です。

施設数が多いので、選択肢が幅広い

今後の高齢化に伴い、介護付き有料老人ホームの施設数は増加傾向にあります。

1つの町に、複数の施設を見かけるのもめずらしくありません。

施設ごとに料金、人員配置、設備、レクリエーションやイベントの内容に特徴があるので、選択肢は多く、入居者の健康や経済状態、価値観などを総合的に考えて選ぶことができます。

施設数が多いことで、料金とサービス内容を比較し、納得できる施設を選ぶことができるでしょう。

介護付き有料老人ホームのデメリット

介護度に応じて一定の費用負担がある

前述のように、介護サービス費は受けたサービスの量ではなく介護度に応じて決まっています。

そのため、頻繁に介護サービスを受ける場合は介護付き有料老人ホームに入居するメリットは大きいでしょう。

一方、あまり介護を必要としない人にとっては受けたサービスに対して費用が割高になりかねません。

もちろん「将来のために介護度が重くなっても安心な施設に」と考えるのも1つの正解です。

ただし、元気なうちは自宅で過ごすよりも費用負担が増える可能性は考慮しましょう。

比較的高額な費用負担

介護付き有料老人ホームの介護サービス費や食費は、高齢者施設のなかでも費用負担が少ない「特別養護老人ホーム」と大きな差はありません。

しかしなぜ、介護付き有料老人ホームの費用は比較的高額なのでしょうか。

理由の1つとして、利便性が高い立地に建っていたり、広い個室を確保したりしているために賃料自体が高額であることが挙げられます。

さらに、快適な生活環境が整っていて介護の質が高い施設ほど上乗せサービス費や教養娯楽費も高額です。

費用の高さをマイナスと感じる人も多いかもしれませんが、高額な賃料や上乗せ費用もサービス加算と同じく充実したケアを受けられる証拠といえるでしょう。

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選択肢が幅広い分、施設選びに時間がかかる場合がある

介護付き有料老人ホームは、施設数が多いため選択肢も多くなります。

施設により、料金、人員配置、設備、レクリエーションやイベントの内容に特徴があり、施設ごとのメリット・デメリットが存在します。

施設の選択肢が多ければ多いほど、迷ってしまい選択に時間がかかることもあるでしょう。

資料を取り寄せて内容を吟味し、施設に問い合わせをして、施設内見学をすることは、後悔しない施設選びには必須です。

1件の施設の情報収集をするのに、数週間かかることもあります。それが複数となると、その分だけ時間が必要になります。

施設選びに時間がかかるかもしれませんが、希望に合った施設を見つけやすくなります。

費用の負担を軽減する方法

介護付き有料老人ホームに入居すると、費用の負担が大きくなります。

しかし、以下の控除が適用になる場合は、所得税が軽減されますので、年末調整や確定申告をするようにしましょう。

扶養控除

納税をしている人が70歳以上の親を扶養している場合、老人扶養親族控除が適用となり、48万円が控除されます。

同居老親等の場合、控除額が58万円となりますが、介護付き有料老人ホームへ入居した場合、同居とは認められません。

障害者控除

納税している人本人、生計を同じくしている配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合、所得控除を受けることができます。

さらに所得税法で決められている障害者には「特別障害者」と「障害者」で区分されます。

区分により、所得控除が変わります。

障害者の認定を受けると27万円控除され、障害者控除の中でも重度と認定されると特別障害者控除を受けることができます。特別障害者の認定を受けると、40万円の控除が受けられます。

医療費控除

医療費控除とは、納税する人や生計を同じくする家族が、医療費を一定額以上支払った場合に、医療費控除を受けて、所得税を軽減する制度です。扶養している家族の医療費を合算できます。

その年の1月1日~12月31日までの支払った医療費の総額から保険金などで補てんされる金額を引き、10万円(または所得の合計額が200万円以下の場合、所得合計の5%)を引いた金額が医療費控除となります。

控除には、年末調整ではなく確定申告が必要です。

医療費控除の対象となるのは、診察・治療・処方薬のように治療するための費用、入院費用、通院時の交通費(タクシーは公共交通機関が使えないと医師が判断した場合)です。

確定申告をするときは、支払いが証明できるものが必要となるため、明細書や領収書を必ず

保管しておきましょう。

なお、介護付き有料老人ホームに入所した場合、介護サービス費は医療費控除の対象外となるので注意が必要です。

介護付き有料老人ホームで医療費控除が受けられるのは、以下の3点です。

  1. 医療保険(健康保険証を利用したもの)
    通院や訪問診療、訪問歯科などの治療で必要なものにあたります。
  2. 居宅療養管理指導

    医師、歯科医師等が、生活の質の向上を図るために、療養上の管理・指導を行います。

  3. 介護福祉士等の喀痰吸引等の対価(自己負担額の10%) 

介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームとの違い

有料老人ホームは「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2種類に分けられます。

同じ有料老人ホームですが、運営の目的やサービス内容、料金が大きく異なります。

介護付き有料老人ホームは、介護が必要な方が介護・生活支援・リハビリなどのサービスを24時間受けることができ、月々の費用は介護度により一定額です。

住宅型有料老人ホームは、食事の提供や清掃・洗濯などの生活支援サービスが主となり、介護サービスを受けるには、外部の事業所との契約が必要です。

以下で詳しく説明していきます。

介護付き有料老人ホーム

住宅型有料老人ホーム

運営の目的

生活の質や身体機能を可能な限り維持

自立生活をサポート

サービス内容

施設内で介護・生活支援・健康管理・リハビリを受けられる

施設内では生活支援サービスのみ
(他のサービスが必要な場合、外部委託が必要)

費用

介護にかかる費用は一定

介護にかかる費用は利用した分

運営の目的

介護付き有料老人ホームは、主に要介護1以上の高齢者を入居対象としています。

そこからも分かるとおり、運営目的は入居者にサービスを提供し、生活の質や身体機能を可能な限り維持する点にあります。

一方、住宅型有料老人ホームは日常生活が自立している高齢者でも入れる施設です。

運営の主な目的は、高齢者に住まいと生活サービスを提供し自立生活をサポートすることです。

サービス内容

介護付き・住宅型ともに、余暇活動が比較的充実している有料老人ホームです。

それでは、2つの施設の大きな違いはどこにあるのでしょうか。

介護付き有料老人ホームでは、入居者に必要な介護や機能訓練を「施設介護サービス」として提供しています。

それに加えて、外出のつき添い・買い物代行など介護保険適用外の「上乗せサービス」も提供可能です。

一方、住宅型有料老人ホーム内では介護サービスは提供されません。介護やリハビリが必要な場合は、自宅と同じく外部の事業所を利用します。

そのため、サービスを使うごとに費用はかかりますが、施設に配置された人員や職種に左右されずにサービス内容を選べるメリットがあります。

費用

介護付き・住宅型ともに、月々の平均居住費は15~35万円です。

施設の種類による差はありませんが、同じ種類の施設でも設備や人員の充実度によって月額費用に差が出ます。

大きく異なるのは、介護サービスにかかる金額です。

介護付き有料老人ホームでは、要介護1なら1カ月で16,140円、要介護5なら24,210円など、介護度によって月々の自己負担額が定められています。

一方、住宅型有料老人ホームでは、利用したサービス分だけ費用がかさみます。

たとえば要介護5の人が利用限度額までサービスを使用した場合、自己負担は1割であっても36,217円。それ以上のサービスを受ける場合は全額自己負担となります。

ここまでの内容をまとめると、「介護が必要になっても安心して住み続けたい」という人には介護付き、「必要とするサービスは少ないものの自宅での一人暮らしは不安」という方には住宅型の有料老人ホームがおすすめです。

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介護付き有料老人ホームの入居までの流れ

ここまで紹介したような条件を吟味して希望の施設を決めたあとは、どのような流れで入居の運びとなるのでしょうか。

施設探しから実際の入居までの流れを確認しておきましょう。

まず、介護付き有料老人ホームの入居には基本的に要介護認定が必要です。

まだ認定を受けていない場合は、市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談して要介護認定を受けましょう。

すでに認定を受けている場合は担当のケアマネージャーに施設入居を考えていることを伝えます。

分からないことはケアマネージャーにも相談しながら、入居条件や本人・家族の希望などを比較しましょう。

候補先となる施設を絞ったら、見学を経て入居申し込みを行います。

その後、実際の入居に必要な手続きを済ませていくため、入居申し込みを行った時点では居室は「仮押さえ」の状態です。

この入居申し込みの時点で居室の仮押さえ費用などが発生する施設もあります。

どのような費用がどのタイミングで発生するのか、その説明が明瞭になされているかなどは事前に確認しておくとトラブルになりにくいでしょう。

その後、必要な書類を提出し面談を行い、入居審査を受けるのが一般的です。この入居審査に通ると、契約を結びます。

入居一時金の支払いがある場合は指定された期日までに支払いを終え、必要な生活用品を持参して入居となります。

介護付き有料老人ホームの選び方

最後に、介護付き有料老人ホームを選ぶ際に確認しておきたい4つのポイントをご紹介します。

複数の条件の確認は大変な作業ですが、希望に近い施設を探すためにチェックしておきたい内容です。

毎月捻出できる費用はいくらか

介護付き有料老人ホームを選ぶときは、月々に支払える金額を明確にすることで希望に合った施設が探しやすくなります。

もし年金だけで賄えない場合は、貯蓄を使ったり家族が金額の一部を負担したりというパターンも考えてみましょう。

また、おおよそ何年くらい施設で過ごすか想像しておくことも重要です。

少し抵抗があるかもしれませんが、厚生労働省の統計で年齢ごとの「平均余命」が出ているのでこちらも参考にしてみるとよいかもしれません。

さらに、施設で生活する期間が長ければ、その間に物価や人件費の変動から入居費が上がる可能性もあります。

また、入院が必要になれば入居費と同時に入院費を支払うという状況も起きるでしょう。

さまざまな状況を想定したうえで、余裕を持った予算設定をおすすめします。

立地条件はどうか

介護付き有料老人ホームに入居しても、自宅と同じく家族が訪ねてきたり、必要な買い物をしたりすることができます。

また、気候が穏やかな時期はスタッフのつき添いのもとで近所に散歩に行くこともできるでしょう。

そのため、施設を選ぶ際は施設内の設備やサービスだけでなく立地条件の確認も重要です。

具体的には、駅や公園、行政手続きに便利な役所の近くなど、外部とのつながりを持ちやすい場所をおすすめします。

また、同じ建物でも部屋の方角によって窓から見える風景は大きく変わる場合があります。

本命候補の施設では、内覧が可能であれば窓からの風景にも目を向けてみてください。

介護内容は適しているか

介護付き有料老人ホームは、要介護1から入居が可能です。

しかし、同じ介護度でも必要な介護の内容や量は一人ひとり異なります。そのため、施設を選ぶ際は「どのような介護がどれくらい必要か」を整理してみましょう。

必要なサービスが想像できると、設備や人員配置に対する希望も明確になってきます。

そのうえで「24時間体制の介護は不要かもしれない」と感じたら、住宅型有料老人ホームなど別の種類の施設を選択するのも1つの方法です。

医療・リハビリ体制はどうか

介護付き有料老人ホームにおいて、看護師の配置は義務です。

しかし、最低で「常勤換算1名」と定められているため、看護師が24時間常駐しているとは限りません。

もし「看護師が24時間いてくれたら安心」と考えている場合は、夜間の体制にも注意してみましょう。

とくに、痰の吸引や経管栄養、インスリンの投与など「医療行為」が必要な人は、看護体制の確認が必要です。

こうした医療行為は、一定の条件を満たしていれば非医療従事者であっても家族であれば実施してもよいとされています。

しかし、一般の介護士は医療行為を行うことはできません。 そのため、最近は看護師を多く配置するなど医療行為の提供に重点を置いた有料老人ホームも増えてきました。

医療行為が必要な時間や頻度を確認し、それにしっかりと対応できる施設を探していきましょう。

介護付き有料老人ホーム選びについて不安が残るなら安心介護紹介センターへ

新しい住まいを決めるのと同じく、老人ホーム選びには本人の希望のほか介護や金銭などいろいろな条件が絡んできます。

しかし、人によって重視したい条件や抱えている不安はさまざまなので「いろいろ調べたけれど疑問は解消されなかった」と感じる人もいるかもしれません。

自分で調べたり家族と相談したりした結果、施設選びにつまずいたときはぜひ安心介護紹介センターにご連絡ください。経験豊富なオペレーターが状況や希望をうかがいながら、ぴったりの施設選びをサポートします。

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満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
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