ケアハウスとは一体どんな施設なの?特徴や費用、サービスを徹底解説
- 2024年10月07日 公開

高齢となった家族の高齢者施設への入居を検討する際、「どの施設を選べばよいのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。
ここでは、1963(昭和38)年に創設された高齢者施設の1つであるケアハウス(軽費老人ホーム)の特徴や費用、サービス内容について解説します。
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ケアハウス(軽費老人ホーム)とは?

ケアハウスは、家族からの支援を受けられない、身体機能が低下してきた、収入が低いなどのさまざまな理由により、日常生活に不安を感じる60歳以上の高齢者が支援を受けながら生活できる施設です。
ケアハウスのサービス内容や設備、入居条件について詳しく見ていきましょう。
ケアハウス(軽費老人ホーム)のサービス内容

ケアハウスは老人福祉法で定められた施設の1つです。食事の提供や生活支援、介護サービスをほかの高齢者施設よりも安価で受けられる点が特徴です。
一口にケアハウスといっても、一般型(自立型)と介護型(特定型)に分類されます。
一般型では、食事や掃除、洗濯などの生活支援を受けられます。
一方、介護型は介護保険の「特定施設入居者生活介護」を受けられる施設で、食事や掃除、洗濯などの生活支援に加え、入浴や排せつなどの介護サービスを受けられます。
介護型のなかには、介護度が上がっても居住し続けられる施設もあります。要介護3程度になると、他者からの介護を受けなければ日常生活を送れなくなるため、一般型のケアハウスでは退去を求められるケースが多くなるでしょう。
しかし、介護型の施設では介護保険を利用しながら生活できます。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の設備

ケアハウスの設備基準は以下のとおりです。
- 介護居室:1人用の居室の床面積は21.6㎡以上(居室内に設けるべき洗面所や便所、収納設備および簡易な調理設備をのぞき14.85㎡以上)、2人用の居室とする場合は31.9㎡以上。居室は地下に設けてはならないこと、緊急連絡のためのブザーまたはこれに代わる設備を設けていること。
- 一時介護室:一時的な介護を行うために適当な広さがあること。
- 浴室:身体の不自由な入居者でも入浴できるようにしたものであること。
- 施設全体:入居者が車いすで円滑に利用できる空間と構造であること。施設内に一斉放送できる設備を設置すること。2階以上の居室がある場合はエレベーターを設けること。
居室以外の項目に関しては明確な基準が定められておらず、指定を行っている都道府県や市町村に任されている部分が大きいのが現状です。
また、設備の内容は施設によってさまざまなため、現在の生活自立度や入居希望者の要望などを考慮したうえで検討するとよいでしょう。たとえば、施設内に機械浴の設備があっても利用せずに済む場合は、そうした設備のない施設のほうが費用を抑えられます。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の入居条件

ケアハウスの入居条件は、一般型と介護型で異なります。
一般型の場合は、健康面でとくに問題がなくても自立した生活を送るには不安を感じている方が対象です。
具体的には60歳以上で、自立した方から軽度の要介護認定を受けている方まで幅広く受け入れています。夫婦での居住を希望する場合はどちらかが60歳以上であれば入居が認められます。
一般型への入居を希望するのは活動的な高齢者が多いため、近くにショッピングセンターやレジャー施設があり、交通機関が発達している場所に建つ施設はとくに人気で、入居難易度は高い傾向にあります。
一方、介護型は65歳以上でかつ要介護1以上の方を対象としています。超高齢社会を迎えている日本にあって介護を必要とする方からの需要が高まっているため、やはりこちらも入居難易度は高めです。
一般型、介護型のいずれもほかの高齢者施設と比較して入居難易度は高くなりますが、立地条件や施設の設備などにより異なります。
近年はケアハウスのほかにも安価で利用できる介護施設が増え、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)のように健康な高齢者が入居できる物件も急増しています。
そのため、ケアハウスを増やさなければならない緊急性がなくなり、ケアハウスは緩やかな増加傾向にあります。
この状況がケアハウスへの入居難易度を高くしている要因の1つといえるでしょう。
住居型有料老人ホームは、ケアハウスと同様に入居の条件を「60歳以上の日常生活が比較的自立している方」としており、生活支援サービスを主に提供しています。介護サービスを要する場合は外部の事業者と契約しなければなりません。
ケアハウスは公的な施設が運営し入居者の収入に応じて費用が変わってきますが、在宅型有料老人ホームは民間の施設が運営し、かかる費用は一定となります。
都市型軽費老人ホームとは?

都市型軽費老人ホームは都市部に新設されたケアハウスのことです。従来のケアハウスよりもさまざまな基準が緩和されたことで施設運営がしやすくなったため、施設数が増加しています。
東京や大阪などの都市部では地方と比較し、居住費用や生活費用が高くなる傾向にあります。
そのため、とくに低所得者は都市部での生活が難しいでしょう。
都市型軽費老人ホームは、都市部で生活する低所得者の高齢者を入居対象者と想定しており、居住面積を小さく設定することで月額費用を抑え、生活保護受給金額内で生活できるようにするなどの対策が取られています。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の費用相場

ケアハウスはほかの介護施設と比較して安価で利用できる点が特徴ですが、実際にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。 ここでは、費用の支払い方法や一般的な相場についてご紹介します。
費用の支払方法
ケアハウスの入居に必要な費用は、月額費用と初期費用です。
月額費用はその名のとおり毎月必要な費用で、内訳は事務費などのサービス提供費、食費、水道・光熱費、賃料などです。
この費用は一般型と介護型共通です。
これらの費用以外にも、日常生活で必要な雑費や医療費などについてはそれぞれ適宜必要です。
初期費用は、保証金や入居一時金のことです。
保証金は賃貸住宅を借りる際に必要な敷金のような役割であり、退去時のクリーニング費用や修繕費用、家賃の滞納分に充填され、残金は退去時に返還されます。
また、ケアハウスはほかの有料老人ホームなどと同様に利用権方式と呼ばれる契約方式を採用しているところが大半です。
利用権方式とは、入居一時金として入居時にある程度まとまったお金を支払うことで専用居室や共有スペースを終身で利用できるものです。
入居一時金は、各施設によって償却期間や償却率、償却方法が定められており、一定の期間内に退去した場合にはその施設のルールに則り返還されます。
ただし、この償却期間などには国が定めた明確な基準がないことから施設によって大きく異なり、3年以内に全額償却される場合もあれば、10年以上の長期にわたって償却する施設もあります。気になる方は事前に施設に確認するとよいでしょう。
ケアハウスの費用相場

ケアハウスの費用相場についてご紹介します。
一般型では、初期費用で0〜数十万円、月額費用として介護サービス費(受ける分のみ発生)とそのほかの生活費(居住費や食費、雑費など)がかかります。
介護型では、初期費用は数十万〜数百万円、月額費用として介護サービス費(受ける分のみ発生)とそのほかの生活費(居住費や食費、雑費など)がかかります。
一般型で介護サービスを利用する場合は、自宅で暮らす要介護者と同様に、外部の訪問看護や訪問介護、デイサービスなどのサービスを利用することになり、介護型では施設の職員から直接介護サービスを受けられます。
ケアハウスの初期費用の金額は全国平均で37.4万円、月額費用の相場は6~20万円。施設職員による介護サービスを受けられる介護型の方がやや高い傾向がみられますが、平均金額で考えるとほかの高齢者施設より相場は安くなっているといえるでしょう。
ケアハウス(軽費老人ホーム)のメリットデメリット

経済的な状況などから生活困難な高齢者が利用でき、介護などのサービスを受けられ、費用が安く済むケアハウスにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ケアハウス(軽費老人ホーム)のメリット
ケアハウスのメリットとして挙げられるのは、「費用が安い」「介護認定がない状態でも入居可能」「外出制限などはなく、自由な生活を送れる」「日常生活の家事などを代行してもらえる」の4点です。
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
費用が安い
ケアハウスの入居対象者は、経済状況などの理由から生活が困難な低所得者です。そのため、ほかの施設と比較すると費用が安くなっています。
要介護者も安価で介護サービスを受けられるため、入居者の金銭的負担も軽減されるでしょう。
費用を抑えたい方におすすめの高齢者施設といえます。
介護認定がない状態でも入居が可能(※一般型)
介護型では要介護1以上の方を対象としていますが、一般型は介護認定がない状態でも入居できます。
外出制限などはなく、自由な生活を送れる(※一般型)
一般型は介護認定を受けていない方も生活しており、外出の制限などはなく自由な生活を送れます。
ケアハウスには基本的には個室が設けられているため、ほかの入居者やスタッフの目を気にすることなく生活でき、プライバシーが保護されている一方で、共有スペースもあることから、ほかの入居者との交流も可能です。
高齢者に配慮したバリアフリー対応の施設であることが多いため、「少し歩くのがきつくなってきた」などと感じている方も安心して利用できます。
日常生活の家事などを代行してもらえる
一般型、介護型に限らず、食事の提供や洗濯、掃除、そのほかの家事を代行してもらうサービスを受けられます。
高齢者向けに考えられた栄養バランスのとれた食事を1日3食提供してくれるため、自炊の必要はありません。
ケアハウスでは緊急通報装置やセンサーが設置されているだけではなく、職員が24時間施設内に常駐していて夜間の緊急時にも対応してもらえるため、安心して生活できます。
ケアハウス(軽費老人ホーム)のデメリット

ここまでケアハウスのメリットについてご紹介しましたが、「認知症の悪化や介護度が上がった場合など、退去を求められる」「人気が高く、長期間の入居待ちも有り得る」「初期費用が高いケースもある」というデメリットも存在します。
ここでは3つのデメリットをご紹介します。
認知症の悪化や介護度が上がった場合など、退去を求められる(※一般型)
一般型はあくまでも日常生活を自立して行える方を対象としています。そのため、認知症が悪化した場合や介護度が上がった場合などは退去しなければならないケースもあります。
その際は施設を再度探さなくてはなりません。また、新たな生活の場に1から慣れなければならない点も高齢者にとっては大きなストレスとなることでしょう。
人気が高く、長期間の入居待ちも有り得る
ケアハウスは月額費用が安く抑えられているため、非常に人気のある高齢者施設です。
とくに一般型の場合は外出制限などもないことから、近くにショッピングセンターがあったり、交通機関が利用しやすい立地にある施設は人気が高く、長期間の入居待ちもあり得ます。
短くても1カ月、長いケースでは1年以上の長期間にわたって待機することも少なくはないでしょう。
入居が必要になった場合は複数のケアハウスに申し込みをしたうえで、待機するのをおすすめします。
初期費用が高いケースもある
これまでケアハウスの費用は安く抑えられるとご紹介してきましたが、施設によっては初期費用が高いケースもあります。
入居が必要となった場合は複数の施設で検討し、初期費用について考慮する必要があります。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の入居までの流れ

ケアハウスに入居するまでの一般的な流れについてご紹介します。
一般的な流れは以下のとおりです。
- 施設への問い合わせ・見学
- 入居申し込み
- 書類提出
- 審査
- 入居の決定
- 契約
- 入居
希望するケアハウスを見つけたら、施設に問い合わせを行い、見学日を設定します。 これまで担当ケアマネージャーがいる場合は、ケアマネージャーへ確認してみましょう。 費用や職員の対応などの情報を持っている方も中にはいらっしゃいます。
施設の見学は入居者の希望により実施されるため、不要と考える方はする必要はありません。
しかし、施設の雰囲気や設備、職員の対応、入居者の様子などホームページや紙面上では分からない点を実感できます。
また、実際の生活をイメージできるため、一度見学することをおすすめします。
候補先となる施設が見つかったら、入居を申し込みます。
住民票や健康診断書、所得証明書、身分証明書など必要書類を用意したうえで、入居申請書に必要事項を書き込み提出します。
必要書類は施設によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
その後、入居希望者の生活状況や心身状況などの聞き取り調査が行われ、入居の可否が決定します。
入居が決定したら、施設と契約書を交わします。そして入居の準備を行い、施設への引っ越しなどが完了すれば、ケアハウスでの新しい生活がはじまります。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。