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介護付き有料老人ホームの費用相場・費用内訳を解説!費用軽減の方法も紹介

  • 2024年10月04日 公開
  • 2025年03月11日 更新

介護付き有料老人ホームへの入居を検討する際、費用は重要なポイントです。

入居時に必要な初期費用や毎月の費用には大きな差があり、施設の設備や人員、サービス内容によって大きく異なります。

この記事では、費用相場や内訳をわかりやすく解説し、施設選びに役立つ情報を提供します。

介護付き有料老人ホームの費用相場

介護付き有料老人ホームの費用には初期費用(入居一時金)と月額費用があり、一般的な費用相場は以下の通りです。

  • 初期費用:0〜数百万円
  • 月額費用:15〜30万円

初期費用である入居一時金は、施設が設定しているか否かで変わります。入居一時金を300万円に設定する施設もあれば、0円で入居可能な施設もあります。
一方で、入居一時金は家賃の前払いという側面もあるため、入居時0円の施設ではその分、月額費用が高くなる傾向があります。入居一時金の有無で月額費用に差が生まれることを理解しておきましょう。

また、費用の相場に幅があるのは施設の立地や築年数、設備の充実度などに違いがあるためです。
マンションなどの不動産も駅近、都市圏、新築などの好条件が揃っているほど、家賃や共益費は高くなるもの。それと同様に、施設も条件がよいほど費用がかかります。

介護付き老人ホームは基本的に介護を必要とする人が入居します。
前述のように介護度が上がるほど支給限度額も上がるため、介護度が高い人ほど介護費用が増加し、月額費用も増えます。介護費用が入居者によって異なることも、費用に幅が生まれる理由です。

以下、要介護1、自己負担額1割の方をモデルとして費用相場の1例をご紹介します。

  • 初期費用(入居一時金):900万円
  • 月額費用:
    居住費15万円(家賃:5万円+管理費10万円)
    食費6万円、その他費用2万円
    介護費用(自己負担金)2万円
  • 月額費用合計:25万円

上記のモデルを参考に、介護度や預貯金、年金額など自分の状況と照らし合わせてみましょう。

介護付き有料老人ホームの費用の内訳

介護付き有料老人ホームは日常的に介護を必要とする方を対象とした高齢者施設です。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅と比較して、介護付き有料老人ホームでは、より手厚い介護を受けられることが特徴です。
そのため、施設の利用にかかる費用にも様々な項目があり、施設によって金額も大きく異なります。

介護付き有料老人ホームの費用の内訳について、詳しく解説します。

入居一時金

入居一時金とは、入居時に発生する初期費用に含まれる費用です。
詳しく解説します。

入居一時金とは?

入居一時金とは、施設に住むための費用を前払いする形で支払う初期費用です。
介護付き有料老人ホームでは入居時に一括で支払うケースが多く、入居者としては入居後の月額費用をまとめて支払うことで、月額の費用を少なくするメリットがあります。
施設側としても、施設の運営を安定させるためのまとまった資金として活用する効果があります。

施設によっては入居一時金がない「月額払いのみ」のプランを選択できる場合もあります。
このプランを選ぶことで、初期費用を抑えて入居することが可能です。
ただし、月額費用が高くなる傾向があるため、経済状況などを含め、事前に十分な検討が必要です。

入居一時金は返ってくる?

基本的に、入居一時金は施設側が設定した償却期間に応じて償却されていきます。
入居一時金としてまとめて支払った前払い分は、毎月の費用に割り当てられます。

入居期間に未償却分がある場合、一般的には退去時に返還されます。
ただし、返還条件や金額は契約内容によって異なるため、契約書をよく確認し、不明点は事前に施設側に確認することが大切です。
償却については後の項目で解説します。

月額費用

月額費用の内訳には以下の項目があります。

賃料・管理費・食費

賃料・管理費・食費は毎月必ず発生する費用で、料金改定などが無い限り、金額は変動しないでしょう。

  • 賃料
    賃貸住宅などの家賃にあたり、施設に住むために必要な費用です。賃料の相場は5万〜30万円と様々。
    首都圏や駅近の立地、広い部屋など好条件であるほど高額になることが多いでしょう。
  • 管理費
    施設を管理・運営するために必要な費用です。
    共有スペースの維持費や修繕費、水道光熱費などが該当します。
    費用の相場は、3万〜20万円ほどで、設備が充実した施設ほど、管理費が高額になることが多いでしょう。
  • 食費
    文字通り施設で提供される食事にかかる費用です。
    1食あたり400〜800円で設定する場合や、4万〜10万円など毎月定額で設定する施設もあります。

介護サービス費

施設で受ける介護サービスに対する費用です。食事や排泄などの身体介護、掃除や洗濯などの生活援助、リハビリなどがその対象となります。

基本的に介護保険が適用されますが、要介護度や所得に応じて自己負担金が異なります。
介護保険では利用するサービスによって単位数が設けられており、1単位10円で利用料が決まります。介護度が高いほど「支給限度額」の上限も上がるため、費用も大きくなる傾向にあります。

上乗せ介護費

施設によっては「上乗せ介護費」が必要なケースもあります。上乗せ介護費とは、ようは人件費のことです。

通常の基準よりも介護職員を多く配置している施設では手厚い介護サービスを受けることができますが、その分、人件費がかかります。
このように介護体制を強化している施設の場合は、毎月の利用料にプラスする形で「上乗せ介護費」を請求することが認められています。

サービス加算

施設ごとに異なる費用として、サービス加算があります。
介護報酬には本体報酬と加算があり、加算は施設の職員体制や取り組みによって異なります。
人員が充実し、より質の高いサービスを提供する施設は、加算額も大きくなります。
加算によって月額費用が大きく変わりますので、どのような加算を算定しているか確認することが重要です。

その他の費用

入居一時金や月額費用のほかに、以下の費用が必要になることがあります。

  • 日用品費(紙おむつ代、歯ブラシ、ティッシュペーパーなど)
  • 理美容代(ヘアカット代など)
  • 医療費(往診の診療費や薬代など)
  • レクリエーション活動費(イベント参加費や材料代など)
  • 嗜好品代

これらの費用は、施設によって異なり、毎月の費用に上乗せされる形で請求されます。
特に医療費は、診療内容や処方される薬の種類などによって月々の費用に大いに影響します。事前にどの程度の出費が見込まれるかを施設と相談して確認しておくと安心です。

これらの費用を合算すると、月額費用に数万円程度が加算されるケースもあります。
入居者の生活スタイルや必要なサービス内容によって費用は大きく異なります。
費用総額を把握するために、入居後も毎月の費用明細を確認することが重要です。

介護保険の自己負担金

介護付き有料老人ホームは要介護1以上の高齢者を対象とする施設が多く、入居者は介護保険を利用してサービスを受けることができます。そのため、施設利用にかかる費用面の説明の前に、介護保険の自己負担金について理解しておきましょう。

介護保険は要支援・要介護等の認定を受けることで、サービス利用が可能です。その際、介護度によって給付限度額が異なり、所得によって自己負担金が変わります。

介護保険の負担金は自己負担割合で決まります。
通常は介護サービス料金の1割を利用者が負担します。例えば、訪問入浴介護という入浴支援サービスで要介護、かつ「全身浴」の場合は1回1万2,560円の料金が発生しますが、自己負担割合1割の方が支払うのは1,256円です。
ただし、自己負担割合は利用者の所得や世帯年収により、1〜3割の幅で変わります。所得が現役並にある利用者の場合は、2割または3割になるため注意しましょう。

また、介護度によって支給限度額が設定されています。介護度が上がると給付限度額も上がりますが、限度額以上のサービス利用は全額自己負担となります。

介護度別の支給限度額と自己負担金については、以下の表を参考にしてください。

支給限度額

(1単位=10円で計算)

自己負担金

1割負担

2割負担

3割負担

要支援1

5万320円

5,032円

1万64円

1万5,096円

要支援2

10万5,310円

1万531円

2万1,062円

3万1,593円

要介護1

16万7,650円

1万6,765円

3万3,530円

5万295円

要介護2

19万7,050円

1万9,705円

3万9,410円

5万9,115円

要介護3

27万480円

2万7,048円

5万4,096円

8万1,144円

要介護4

30万9,380円

3万938円

6万1,876円

9万2,814円

要介護5

36万2,170円

3万6,217円

7万2,434円

10万8,651円

参照:厚生労働省「サービスにかかる利用料」

入居金の償却とは?

入居金の償却とは、施設に支払った入居一時金を一定の期間にわたって費用として少しずつ消化していく仕組みのことです。

償却方法には大きく分けて「初期償却がある場合」と「初期償却がない場合」の2種類があります。
それぞれの仕組みと計算例を見ていきましょう。

初期償却がある場合の償却方法

初期償却がある場合、支払った入居一時金の一部が入居時にまとめて償却され、残りの金額が償却期間に応じて月々消化されていきます。
この方式では、契約時に初期償却分が引かれるため、退去時に返還される金額が少なくなる場合があります。

計算例

  • 入居一時金:500万円
  • 初期償却率:20%(100万円)
  • 償却期間:5年(60カ月)

初期償却分
入居時に一括で100万円が償却されます。

月々の償却額
残りの400万円を償却期間の60カ月で割るため、月々の償却額は400万円 ÷ 60カ月 = 6万6,667円。

退去時の返還額
入居後2年(24カ月)で退去した場合:

  • 償却された金額 = 初期償却分100万円 + (月々償却額66,667円 × 24カ月) = 260万円
  • 返還額 = 入居一時金500万円 − 償却額260万円 = 240万円

このように、初期償却がある場合、退去時の返還金が少なくなる点に注意が必要です。

初期償却が無い場合の償却方法

初期償却がない場合、入居一時金全額を償却期間で均等に分割し、月々消化していきます。
この方式では、退去時に返還される金額が初期償却がある場合より多くなる可能性があります。

計算例

  • 入居一時金:500万円
  • 初期償却率:0%(初期償却なし)
  • 償却期間:5年(60カ月)

月々の償却額
500万円 ÷ 60カ月 = 83,333円。

退去時の返還額
入居後2年(24カ月)で退去した場合:

  • 償却された金額 = 月々償却額8万3,333円 × 24カ月 = 200万円
  • 返還額 = 入居一時金500万円 − 償却額200万円 = 300万円

初期償却がないため、短期で退去する場合に返還金が多くなりやすいです。
ただし、償却期間(例:60ヵ月)を越えて退去した場合には返還額はないため、初期償却の有無による差はありません。

初期償却の有無について、表にまとめました。

項目

月々の償却額

短期間で退去
した時の返還金

初期償却
あり

初期償却分を除いた残りの
金額を償却期間で分割

少ない

初期償却
なし

入居一時金全額を償却期間
で分割

多い

どちらの償却方法にもメリットとデメリットがあります。
入居を検討する際には、契約条件や予算、入居期間の見込みを考慮しながら判断することが大切です。

介護付き有料老人ホームの支払い方式

介護付き有料老人ホームの入居金の支払い方法には「全額前払い方式」「一部前払い方式」「月払い方式」の3種類があります。
支払い方式によって、入居時に必要な資金や入居後の支払い費用が異なります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。

全額前払い方式

「全額前払い方式」は、入居時に入居一時金全額を一括で支払う方法です。
家賃相当分を、想定される平均的な居住期間(例:5年や6年など)で計算し、前払いします。

この方式では入居後の毎月の支払い額が抑えられるため、長期入居を前提とした場合に総額での負担を軽減できることがメリットです。

メリット

デメリット

  1. 月々の支払いが軽減
    入居後の毎月の生活費を抑えることができます。
  2. 計画的な資金管理が可能
    入居時に大部分を支払うため、退職金や預貯金を活用して、将来の支払いの不安を軽減できます。
  1. 初期費用が高額
    数百万円単位の資金が必要になるため、まとまった資産がない場合は選びにくい方法です。
  2. 短期間の退去で不利になることも
    償却の仕組み次第で、早期退去時に返還額が少なくなる場合があります。

一部前払い方式

「一部前払い方式」は、入居金の一部を前払いし、残りを毎月の支払いに充てる方法です。
「全額前払い方式」と比べると、入居時の負担を軽減しつつ、月々の費用もある程度抑えられるバランスの良い支払い方法です。

メリット

デメリット

  1. 初期費用を軽減
    全額前払い方式ほど高額な初期費用を用意する必要がありません。
  2. 月々の負担も軽減可能
    月払い方式と比べ、月額費用が少なくなるため、入居後の支払いが安定します。
  1. 前払い額と月額費用のバランスが必要
    支払額が分散される分、全額前払い方式と比較して長期的な総費用が高くなる場合があります。
  2. 契約内容が複雑になる可能性も
    前払い額や償却条件を理解しにくく、混乱することがあります。

月払い方式

「月払い方式」は、入居時に入居一時金を支払わず、毎月の利用料を支払う方式です。
短期間の利用を予定している場合や、初期費用を抑えたい方に適しています。
ただし、前払いの費用が無い分、月々の支払いが高額になるため、長期間の入居時には割高になる場合があります。

メリット

デメリット

  1. 初期費用が不要
    入居一時金がかからないため、まとまった資金がなくても入居が可能です。
  2. 短期間の利用が想定される場合に最適
    年齢や疾患状況から長期間の入所にならない場合には適しています。
  1. 月々の支払いが割高
    他の方式に比べて、月額費用が高く設定される場合が多いです。
  2. 長期入居で総額が増加
    長期利用では、総支払い額が全額前払い方式よりも高くなる可能性があります。

どの支払い方式を選択するのが良い?

3つの支払い方法、どの方法が適しているかは、経済状況や入居時の年齢や疾患などの状況によっても異なります。
以下の表で、それぞれの支払い方式が向いている人の特徴をまとめました。
現在の状況に合わせて選択する際の参考にしてください。

支払い方式

向いている人

全額前払い方式

長期入居を考えており、
まとまった資産に余裕がある人

一部前払い方式

初期費用を抑えたいが、
月々の負担も軽減したいと考える人

月払い方式

長期間の利用が想定しにくい人。
初期費用を準備するのが難しい人

クーリング・オフ制度は適用できる?

介護付き有料老人ホームの契約においても、クーリング・オフ制度が適用されるケースがあります。
90日以内であれば、契約内容に基づき無条件で契約を解除できる場合があります。
クーリング・オフ制度は、多額の入居一時金が発生する施設で入居者を保護する目的で設けられています。

クーリング・オフの対象となる費用

  • 対象費用:入居一時金などの初期費用はクーリング・オフの対象です。
    ただし、入居期間中に利用した家賃、共益費、食費、介護サービス費などは日割り計算で差し引かれるため、全額が返金されるわけではありません。
  • 対象外の費用:月額料金や日々のオプションサービス利用料など、入居後に発生する費用はクーリング・オフの対象にはなりません。

クーリング・オフを利用する際は、契約書に記載されたクーリング・オフの条件、対象費用、返還手続きの詳細を確認し、90日以内に申し出を行う必要があります。
また、事前に返金額の計算方法や返還手続きについて確認しておくと不安を軽減できます。

介護付き有料老人ホーム入居時の補助金や助成金

ここからは、介護付き有料老人ホームへ入居する際に知っておきたい補助金や助成金の制度について解説します。

施設の入居や生活にかかる費用は高額になる場合があります。
また、終身利用を目的とする入居者も多く、入居期間が長いほど金銭的な負担が大きくなるでしょう。

以下の制度を利用すれば、費用負担を少しでも抑えることが可能です。制度自体を知らなければ損をすることもあるため、必ずチェックしておきましょう。

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは1カ月に支払った自己負担額が上限額を超えた場合、超過分の金額が介護保険から払い戻される制度です。
ただし自動的に払い戻されるわけではなく、利用には市区町村への申請が必要となります。

高額介護サービス費の対象者は所得によって区分され、自己負担上限額が変わります。一般的な所得の世帯(課税所得380万円)では4万4,000円が自己負担の上限です。
対象者と自己負担上限額は以下の表をご覧ください。

対象者

自己負担上限額

生活保護を受給している方等

1万5,000円(世帯)

世帯全員が市区町村民税を課税されておらず、
前年合計所得金額+公的年金収入額80万円以下

2万4,600円(世帯)

1万5,000円(個人)

世帯全員が市区町村民税非課税

2万4,600円(世帯)

市区町村民税課税〜課税所得
380万円(年収約770万円)未満

4万4,400円(世帯)

課税所得380万円(年収約770万円)
〜課税所得690万円(年収約1,160万円)未満

9万3,000円(世帯)

課税所得690万円(年収約1,160万円)以上

14万100円(世帯)

例えば、一般的な所得の方が自己負担の上限額の4万4000円を超えて費用がかかった場合、申請により実際に支払った差額分が返還されます。申請をしない限り払い戻しはないため、自分が対象になるかどうか必ず確認しましょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の自己負担額の合計が基準額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。例えば、介護付き有料老人ホームで受ける介護サービスに加え、病院の診療代などの医療費を多く支払っている人は対象になる場合があります。
ただし、入院をしても食費や差額ベッド代などの医療保険適用外の費用は対象になりません。

基準額の設定は以下の表の通り、年齢や年収で細かく決められています。

所得区分

被用者保険または国民健康保険
+介護保険加入で70歳以上の方がいる世帯

被用者保険または国民健康保険
+介護保険加入で70歳未満の方がいる世帯

市区町村民税非課税世帯で世帯各収入から
必要経費・控除を差し引いたときに
所得が0円になる方
または老齢福祉年金受給者

19万円

34万円

市区町村民税非課税世帯で上記以外の方

31万円

年収156万円以上370万円未満

56万円

60万円

年収370万円以上770万円未満

67万円

67万円

年収770万円以上1,160万円未満

141万円

141万円

年収1,160万円以上

212万円

212万円

高額介護サービス費と同様、この制度の利用にも市区町村への申請が必要です。

介護付き有料老人ホームでの医療費控除

医療費控除とは、1年間に支払った医療費の合計が基準となる金額を超えたときに、所得税の還付または納付額の減額を受けられる制度です。所得税を抑えられる制度であるため、「所得税を納付している方」が対象となります。
介護付き有料老人ホームの費用には、医療費控除の対象になる費用と対象にならない費用があります。以下をご確認ください。

【医療費控除の対象になる費用】

  • 医療機関の診察費
  • 薬代
  • 医療機関等へ通院するための公共交通機関の交通費
  • 介護サービス費の一部(特定の条件を満たす場合)

【医療費控除の対象にならない費用】

  • 介護サービス費
  • 賃料
  • 食費
  • 管理費
  • 水道光熱費
  • 理美容代
  • 日用品の購入費

在宅の要介護者が訪問看護や訪問リハビリ、介護老人保健施設(老健)に入居して介護サービスを受ける場合は医療費控除の対象となります。

一方、介護付き有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」という種類の介護サービスに分類され、基本的には医療費控除の対象外です。
しかし、例外として看護師や介護福祉士等によって実施される喀痰(かくたん)吸引などは、介護サービス費の10分の1が医療費控除の対象となります。

介護付き有料老人ホームの費用を抑える方法

介護付き有料老人ホームの費用は高額になるケースがあるため、支払っていけるか不安に思う方も多いでしょう。そこで介護付き有料老人ホームの費用負担を軽減する方法をご紹介します。
対策としては「施設の立地や設備など、希望条件との折り合いをつける」「公的施設を検討する」「補助金や助成制度を利用する」などがあります。また、多くの施設を比較・検討することも大事です。

以下、詳しく解説しますので参考にしてください。

立地や設備、サービスなどどこかで折り合いをつける

都市部や駅近など立地条件のよい施設ほど費用は高額になるケースがほとんどです。
また、ホテルのようなエントランス、高級感のある内装、自然が感じられる広い庭園など見た目のよい施設ほど費用がかかります。最新の福祉機器を揃えていたり、多くの職員を配置していたりする施設ほど充実したサービスを受けられます。

しかし、設備やサービスが整った施設ほど費用が高額になることもあるため、折り合いをつけることも大事です。
「立地は都市部でなくてもよい」「最新の設備が整っていなくてもよい」など妥協点を整理しておくとよいでしょう。

補助金や助成金制度を利用する

補助金や助成金制度を利用することで費用を軽減させる方法もあります。前述した高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算療養費制度の対象となる方は利用をおすすめします。制度の利用には市区町村への申請が必要なため、必ず確認しましょう。

また、自治体独自に補助金や助成金制度を設けている場合もあります。
ただし、対象には所得区分が設定されていることが多く、介護付き有料老人ホームでの介護サービスは対象外の場合もあるため、役所の介護福祉課などの窓口に個別に相談しましょう。

出来る限り多くの施設を比較・検討する

出来る限り多くの施設を比較・検討することも費用軽減につながります。
例えば、テレビやエアコンなど家電を購入する際、複数の店舗を回ったり、インターネットで最安値を調べたりする方もいることでしょう。

施設選びにおいても、複数の施設を比較・検討することが大切です。多くの施設を比較することで、費用負担の少ない施設が見つかる可能性は高くなるでしょう。

介護付き有料老人ホームは年金のみでも入居できる?

介護付き有料老人ホームは費用が高額になることがあり、年金のみで入居するのは難しい場合が多いでしょう。
厚生労働省発表の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和2年の老齢年金の平均月額は厚生年金で14万6,145円、国民年金では5万6,358円となっています。

会社員などの第2号被保険者で25年以上の加入期間がある方は、厚生年金と国民年金の合算で月に20万円程度支給されます。
年金額が月20万円であれば介護付き有料老人ホームの月額費用をまかなうことも可能ですが、初期費用の数百万円の支払いは難しくなります。

費用を抑えた老人ホームを探したい方はこちら

介護付き有料老人ホームは生活保護でも入居できる?

介護付き有料老人ホームは生活保護受給者でも入居可能です。
公益社団法人「全国有料老人ホーム協会」の調査では、介護付き有料老人ホームの1割程度が生活保護受給者用の料金体系を設定しています。
ただし住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅より、生活保護受給者の受け入れは少ないのが現状です。

そのため、介護付き有料老人ホーム以外の施設も検討するとよいでしょう。
初期費用0円で月額10〜30万円が相場のサービス付き高齢者向け住宅や、月額8〜13万円が相場の特養などでは年金のみでも入居可能な施設もあるでしょう。
複数の選択肢のなかから、自分の経済的状況と照らし合わせて選ぶことがポイントです。

介護付き有料老人ホームを費用の安さだけで選ぶのは注意!

介護付き有料老人ホームを選ぶ際は、できる限り費用を抑えたいと誰もが思うことでしょう。費用の安さは入居者の経済的負担を軽減させる上で大事ですが、安さだけで選ぶのは注意が必要です。
以下、費用が安いことを理由に施設を選んだ結果、後悔する事態となった事例をご紹介します。

Aさんはできるだけ年金で月額費用がまかなえるように、費用の安い郊外の有料老人ホームに入居しました。充実した介護サービスを受けられると期待していましたが、職員不足により入浴は週2回のみ。限られた時間で多くの入居者を入浴させるため洗い方が雑でした。トイレ動作の介助を依頼してもしばらく待たさせることもしばしば。
さらに、息子家族が暮らす都心部から離れた立地を選んだため、面会の頻度が少なく寂しさが募ります。
このように介護サービスや日々の暮らしに不満があり、転居を考えるようになりました。 

転居の希望があっても次の施設が決まらなければ難しく、仕方なく施設での生活を続けざるを得ません。安さを重視した結果、思わぬ事態を招いてしまうこともあるのです。

施設の費用は、建物の設備、立地条件などのハード面と、職員の配置体制などのソフト面から算出されます。費用が安い施設では設備や職員体制が整っていないことがあり、介護サービスや施設での生活に満足できないケースがあります。

費用以外の条件も重視しつつ、老人ホームを探したい方はこちら

【比較】介護付き有料老人ホームと他の老人ホームの費用相場

介護付き有料老人ホームを含め、施設の費用は入居一時金と月額費用で分けられます。費用の目安を比較するために一般的な相場をまとめています。

種別

費用相場

特徴

入居時費用

月額費用

民間
施設

介護付き
有料老人ホーム

0円~数千万円

20~50万円

  • 手厚い介護サービスが受けられる
  • 入居一時金や月額費用に幅がある

住宅型
有料老人ホーム

0円~数千万円

10~50万円

  • 外部サービスを利用して介護を受ける形式
  • 自由度が高い

サービス付き
高齢者向け住宅

0円~30万円

10~30万円

  • 高齢者専用の賃貸住宅
  • 軽度介護者や自立した生活を希望する方向け

グループホーム

0円~30万円

10~20万円

  • 認知症対応型
  • 少人数の家庭的な環境で共同生活を行う

公的
施設

特別養護
老人ホーム

0円

5~15万円

  • 公的施設で低価格
  • 要介護3以上が条件で、入居待ちが発生しやすい

介護老人保健施設

0円

5~15万円

  • リハビリを重視し、自宅復帰を目指す施設
  • 長期入居は難しい

ケアハウス

0~30万円

5~20万円

  • 自立や軽度の介護が必要な高齢者向け
  • 生活費や軽度の介護サービスを提供

介護医療院
(介護療養型
医療施設)

0円

5~20万円

  • 医療と介護が一体化した施設
  • 医療ケアが必要な重度介護者向け

上記の表は一般的な目安であり、地域性や施設の設備、サービス内容によって大きく異なります。
施設を選ぶ際は、これらの費用に加えて、提供されるサービス内容や地域、または入居する本人の状況や希望に合わせて総合的に検討することが重要です。

民間施設と公的施設の違い

介護付き有料老人ホームのような民間施設と、特別養護老人ホームなどの公的施設の違いについて具体的に解説します。

種別

運営

特徴

民間施設

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • グループホーム

民間企業や法人が運営

  • 設備やサービスが充実していることが多い
  • 差別化された多様な施設がある
  • 入居一時金や月額費用が高額な場合がある
  • 比較的自由度が高く、選択肢が広い
  • 介護認定がなくても入居できる施設がある

公的施設

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • ケアハウス

地方自治体、社会福祉法人、医療法人が運営

  • 費用が抑えられている
  • 要介護認定が条件となる施設が多い
  • 入居待機者が多く、利用開始までに時間がかかる場合が多い

民間施設は、自由度や選択肢が多く、サービスが充実している一方で費用が高くなる傾向があります。
公的施設は、費用を抑えた選択肢として魅力的ですが、利用までに時間がかかるケースがあるため計画的な検討が必要です。
違いを十分に理解し、適切な施設を選ぶことが必要です。

老人ホーム入居の際は、無理のない資金計画を

老人ホームに入居する際は、多額の費用が必要です。無理のない資金計画を立てるために、重要なポイントは必ず押さえましょう。

まず、入居資金は本人の貯蓄や資産を充てるのが基本です。
入居一時金や月額費用に加え、日用品費や医療費、理美容代などの生活費も必要になるため、予想される出費を総合的に把握しましょう。

資金計画を立てる際には、まず必要な費用を洗い出し、収入や貯蓄と比較して計算します。
また、介護費用のシミュレーションをしっかり行い、想定外の支出が発生しないよう備えることが大切です。
施設ごとの費用差を比較し、自分に合ったプランを選びましょう。
施設が示している入居一時金や月額費用以外に必要な医療費や日用品費や理美容代なども含めて計算するといいでしょう。

また、将来的に施設利用料が不足しそうな場合は、不動産の売却や補助金の活用なども検討しましょう。
家族間で十分に話し合い、長期的な視点で計画を立てることが重要です。

入居後の生活を安心して過ごせるよう、現状を見据えた現実的な資金計画を作りましょう。

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満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
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