ケアハウス(軽費老人ホーム)の費用|費用の相場・内訳をわかりやすく解説
- 2024年10月07日 公開
- 2025年03月28日 更新

高齢の家族が高齢者施設への入居を検討する際、「どの施設を選べばよいのか」「施設ではどのくらいの費用がかかるのか」「年金だけで入居できる施設はあるか」などと悩む方は多いのではないでしょうか。
ケアハウス(軽費老人ホームとも。以下、ケアハウス)には、ほかの高齢者施設と比較して安価で入居できる特徴があります。ここではケアハウスの費用の内訳や費用を抑える方法についてご紹介します。
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目次
ケアハウスの費用相場
ケアハウスは、高齢者が安心して生活できるよう、食事や入浴などの日常生活の支援を提供する施設です。自立した生活を送る方向けの一般型と、 要介護状態の方に対応する介護型があります。
一般型では、初期費用は0万円から30万円程度、月額費用は7万円から13万円程度が相場です。初期費用、月額必要ともに変動幅は大きくありません。
しかし介護型は、入居金が多く発生するプランは月額が安く、入居金なしのプランだと月額が高くなるため、初期費用・月額どちらもかなり幅があります。
またケアハウスの費用は、入居する方の年金や貯蓄といった財産状況によって変動します。
種別 |
初期費用相場 |
月額費用相場 |
---|---|---|
一般型 |
0万円~30万円 |
7万円~13万円 |
介護型 |
0万円~1000万円 |
9万円~35万円 |
一般型と介護型の違い

ここでは、一般型と介護型の違いを見ていきましょう。
まずは入居条件の比較です。
一般型は自立した生活に不安のある60歳以上の方を対象としているのに対し、介護型の入居条件は65歳以上かつ要介護1以上の方です。
介護型であれば軽度の認知症の方も問題なく入居できますが、一般型の場合は介護度が上がると退去せざるを得ないケースもあります。
一般型と介護型では受けられるサービス内容が異なります。
特定施設の認定を受けた介護型では食事や入浴、清拭、更衣、体位変換、移動、服薬などの身体的介助に加え、入居者の自立支援と重度化防止のために、必要なときにだけ声をかけながら手を差し伸べる見守り的な介助もサービスとして受けられます。
そのため、手厚い介護サービスを受けられる介護型のほうが一般型よりも費用は高くなる傾向にあります。
しかし、一般型で外部の介護サービスを利用すると介護型よりも高くついてしまうケースもあるため注意が必要です。
ケアハウスの費用内訳

ここからは、ケアハウスではどのような費用がかかるのか、内訳を解説します。
前提として、ケアハウスの多くは入居時に入居一時金などの初期費用を支払う「入居一時金方式」と、居住費や生活費などを月々支払う「月払い方式」の両方を取り入れている点に注意が必要です。
以下、具体的に解説します。
入居一時金

ケアハウスへの入居に際し、まず初期費用として入居一時金を支払う必要があります。
入居一時金は「前払い金」のことで、「入居申込金」とも呼ばれます。
ケアハウスではほかの有料老人ホームなどと同様、入居一時金として入居時に一定期間分の利用料をまとめて支払うことで、専用居室や共有スペースの利用権が得られます。
入居一時金の償却について
入居一時金は入居している一定期間で分割され、家賃などとして償却されます。ケアハウスに限らず、多くの高齢者施設では入居時に入居一時金の10~30%がすぐに使われます。
ただし、入居時に使われる入居一時金の割合や償却期間、償却率、償却方法などは法律や国が定めた明確な基準がないことから、施設によって大きく異なります。償却期間や償却率などは施設ごとのルールに則って行われ、数年以内に全額償却される場合もあれば、10年以上の長期にわたって償却する施設もあります。
一度入居を決めたケアハウスであっても、何らかの理由で「合わない」と感じ退去することがあるかもしれません。そのため、初期費用などについては入居前に一度施設に確認しましょう。
月額費用

ケアハウスの月額費用には、居住費、生活費、サービス提供費が含まれます。 それぞれの内容は以下のとおりです。
生活費
ケアハウスでの生活においては、毎月の生活費が必要です。生活費は、主に食費と光熱水費で成り立っています。
食費は月額4〜6万円程度です。ただし食事の回数、内容、食材の種類などによって金額は変動する可能性があります。
光熱費は月額1〜2万円程度が目安です。こちらも居室の広さ、設備、エアコンの使用頻度などによって金額が変動します。
居住費
毎月の居住費(居室の賃料)は、居室の広さ、設備、そして地域によって異なります。
相場としては月額3〜8万円程度とばらつきがあります。ケアハウスの運営方針や建物の築年数によっても異なり、新しい施設ほど高くなる傾向にあります。また、都市部にあるケアハウスは、地方にあるケアハウスよりも高額です。
ケアハウスの居室には、個室と二人部屋があります。個室は一人暮らしの方やプライバシーを重視する方に向いており、二人部屋は夫婦や友人同士での入居に適しています。
通常、ベッド、エアコン、トイレ、洗面台などが備え付けられています。場所によっては、冷蔵庫やテレビなどの家電製品が設置されているケースもみられます。
サービス提供費
サービス提供費とは、ケアハウスで提供される日常生活の支援や相談などの費用が該当します。
入浴や排泄の介助、健康管理、相談など、さまざまなサービスが含まれます。 サービス内容や利用者の状況によって費用が変動するでしょう。
介護職員の配置人数が多く、サービスの提供時間は長くなり、サービスの種類も多くなる場合に、サービス提供費は高くなる傾向があります。
サービス加算
ケアハウスでは、基本的なサービスに加えて、利用者の状態に応じて、追加で利用できるサービス(加算)があります。
加算名称 |
どんな加算? |
---|---|
個別機能訓練加算 |
個別計画に基づき、利用者の身体・生活機能向上 |
医療機関連携加算 |
医療機関との情報共有や連携体制の強化を行った |
夜間看護体制加算 |
夜間の看護職員配置や緊急時対応体制を施したと |
看取り介護加算 |
入所者の看取り体制構築や家族支援を行った場合 |
個別機能訓練加算は、一人ひとりの身体の状態や生活スタイルに合わせて訓練を行った場合に追加されるものです。医療機関連携加算は、病院などと連携し、情報共有を行った場合に加算されます。
夜間看護体制加算は、夜間も看護師がおり、緊急時にすぐ対応できる場合に追加されます。看取り介護加算は、最期まで安心して過ごせるよう、本人や家族を支える体制が整っている場合に加算されるものです。
これらの加算は、利用者に合った、より手厚いサービスを提供するためにあります。
介護保険サービス費の自己負担額
ケアハウスに入居すると、介護保険サービスを利用できます。
介護保険サービスとは、訪問介護や通所介護、訪問入浴介護など、高齢者の生活を支援するためのサービスです。これらのサービスを利用する場合、費用の1〜3割を入居者自身が負担します。
自己負担額は、利用するサービスの種類や回数、要介護度、そして収入によって異なります。
要介護度が高い方や、多くのサービスを利用する方は、自己負担額が高くなる傾向があります。 同様に収入が多い方も負担割合が上がるため自己負担額は増加します。
費用の詳細については、ケアハウスや各自治体に問い合わせると良いでしょう。
ケアハウスはなぜ安い?
ケアハウスの費用が他の高齢者施設と比べて安い理由について、詳しく見ていきましょう。
理由1:施設が自治体から助成を受けている
ケアハウスは、社会福祉法人や地方公共団体が運営しており、自治体から助成をうけているため、費用が安く抑えられています。
助成金は、運営費や設備の維持費などにあてられます。 そのため、入居者は、比較的安い費用でケアハウスを利用することが可能です。
自治体からの助成は、ケアハウスの運営に欠かせないものです。 助成金がなければ、ケアハウスの費用はもっと高くなってしまうでしょう。
理由2:所得に応じ、費用が減額される
ケアハウスの費用は、入居者の所得に応じて減額される場合があります。
低所得の高齢者の方でもケアハウスを利用できるよう配慮されています。減額される費用は、施設や入居者の所得によって異なりますが、一般的に月額数千円から数万円です。
減額される費用は、サービス提供費、生活費、居住費の3つに分けられます。
所得に応じた減額は、低所得の高齢者にとって大きなメリットとなります。
例えば年金収入が少ない方は、ケアハウスの費用が減額される可能性があります。生活保護を受けている方は、ケアハウスの費用が全額免除される場合があります。
理由3:地域により、居室面積や人員配置が調整されている(都市型軽費老人ホーム)
都市型軽費老人ホームは、都市部における低所得高齢者の入居ニーズに対応するために創設されたケアハウスです。
居室面積や人員配置基準など、都市部の実情に合わせて要件が緩和されているため、費用が安く抑えられています。
例えば、東京都大田区では、都市型軽費老人ホームの居室面積は、1人あたり7.43平方メートル以上とされています。 これは一般的なケアハウスの居室面積よりも狭いものです(1)。
参照:大田区「都市型軽費老人ホームの整備に関するご案内」
また、人員配置基準も、一般的なケアハウスよりも緩和されています。
このように、都市型軽費老人ホームは、都市部の実情に合わせて要件が緩和されているため、費用が安く抑えられています。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の概要

まずはケアハウスの運営目的やサービス内容、一般型と介護型の違い、都市型軽費老人ホームの概要について解説します。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の運営目的
ケアハウスは高齢者施設の1つで、1963年に創設されました。
運営目的は老人福祉法(第20条6項)によると、「無料又は低額な料金で老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を提供すること」と規定されています。
ケアハウスへ入居するには、原則として自立した生活が送れることが前提です。
そのうえで、家族が遠方で支援を受けられない、身体機能が低下してきた、収入が低いなどのさまざまな理由によって日常生活に不安を感じる高齢者が支援を受けながら生活できます。
通常、有料老人ホームの運営には医療法人や社会福祉法人、民間企業など多くの法人、施設が携わっています。
それに対してケアハウスは地方自治体や社会福祉法人のような公的な組織が運営しており、さらに国や県、市区町村から補助金が出るため、他の老人施設と比較すると安価で入居できるのです。
ケアハウス(軽費老人ホーム)のサービス内容

ケアハウスは「一般型」と「介護型」に分けられ、どちらも比較的低めの料金で生活支援サービスを受けられます。
ケアハウスで主に受けられるサービスは食事の提供や生活支援、介護サービスですが、入居対象が異なる一般型と介護型とではサービス内容に違いがある点を押さえておきましょう。
一般型では、食事や掃除、洗濯などの生活支援などが受けられます。夜間もスタッフが常駐しているため、緊急時の対応を受けることも可能です。
また、入居施設としての位置づけであり、介護が必要な場合は訪問介護やデイサービスのような外部サービスを利用し入居生活を続けられます。施設によっては、訪問介護やデイサービスのような事業所を併設しているところもあります。
介護型は介護保険の「特定施設入居者生活介護」を受けられる施設となっているため、一般型で受けられるサービスに加え、入浴・排せつなどの介護サービスやスタッフによる機能訓練などを受けられます。
看護職員が常駐していますが、施設によって配置は異なるため、看護師が一人しかいないケースもあります。 そうした施設に入居した場合、不在時は経管栄養や痰の吸引といった医療ケアには対応できなかったり、経管栄養のボトルや吸引機などの物品を設置していないケースがあるため、注意が必要です。
ケアハウス(軽費老人ホーム)入居時の補助金や助成金

ケアハウスは低所得の高齢者でも利用しやすいのが特徴です。施設自体が自治体の助成を受けているため、その結果、入居者の費用負担軽減につながっています。
以下、具体的な補助金や助成金についてご紹介します。
高額介護サービス費
ケアハウスを利用する場合は、高額介護サービス費による補助を受けられます。
高額介護サービス費とは、公的介護サービスの利用時に支払った1カ月分の自己負担額が定められた上限額を超えた場合、その超過分を払い戻してもらえる制度です。
介護保険によって自己負担額は1割(所得によって2割または3割)に抑えられますが、それでも介護度などの影響により自己負担額がかさむことがあります。
しかし、この高額介護サービス費の制度により上限額以上の負担については払い戻しを受けられるため、入居者の負担が軽減されます。より詳細な自己負担の限度額については以下の表を参照してください。
区分 |
負担の上限(月額) |
---|---|
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 |
140,100円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~ |
93,000円(世帯) |
市区町村税課税~課税所得380万円 |
44,400円(世帯) |
世帯の全員が市区町村税を |
24,600円(世帯) |
世帯の全員が市区町村税を課税されておらず、 |
24,600円(世帯) |
生活保護受給 |
15,000円(個人) |
支給対象とならないのは、施設における居住費や食費、理美容代などの日常生活に要する実費です。
上限額を超えた金額の負担が発生すると、居住している自治体から高額介護サービス費の支給申請書が送られてくるため、その書類に従って手続きをするようにしましょう。
収入に応じた費用の減免措置

ケアハウスの費用には、本人もしくは扶養義務のある家族の世帯年収など収入に応じた減額措置が適用されます。軽減される費用は介護度や収入、居住している地域によって異なります。
ケアハウスは低所得者でも入居できるように制度が整えられているため、入居者の負担軽減が可能です。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の費用負担の軽減方法

高齢者施設のなかでは比較的安価で入居できるケアハウスですが、それでもさらに費用を抑えたいと考える方もいるでしょう。
ここでは、ケアハウスの費用を軽減するための方法を4つご紹介します。
都市型軽費老人ホームを選択する
地方と比較すると、都市部は日々の生活費が高くなる傾向にあります。そのため都市部在住の高齢者にとって、都市型軽費老人ホームの選択は費用軽減に効果的といえます。
規制緩和に伴い、都市型軽費老人ホームの数は今後もさらに増えていくと推測されています。高齢者施設の入居費用を抑えたい場合は、都市型軽費老人ホームも候補の1つとして検討するとよいでしょう。
また2010年以降に新設されたこともあり。比較的新しい建物で生活を送れる点もメリットの1つです。
立地や設備、サービスなどどこかで折り合いをつける

費用を抑えるためには、立地や設備、サービスなどどこかで折り合いをつけることも必要です。駅から近い、交通の便がよい、周辺にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの買い物環境が充実しているなど、立地条件がよかったり、設備が充実していたりする施設はどうしても費用がかさみます。
また、多くのサービスを提供している施設であれば、さまざまな加算の対象となるため、費用がかかります。
入居にあたっては譲れない条件や妥協できる点などをしっかりと検討し、どこかで折り合いをつけることで費用軽減につながります。
条件が合えば公的施設(特養など)を検討する
特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設への入居も、費用軽減には有効です。
しかし、特別養護老人ホームへ入居するには「65歳以上で要介護3以上」などの条件を満たさなくてはなりません。また、希望者が多く、相当の待機期間があることを覚悟しなければならないでしょう。
できる限り多くの施設を比較検討する

ケアハウスを利用する際にかかる費用は施設によって大きく異なるため、できる限り多くの施設を比較検討することも大切です。
施設によっては数万円近くも差が出てくることもあるでしょう。入居を希望する方の条件と可能な限り合う施設を複数箇所リストアップし、費用面やサービス内容などを比較検討しながら施設を決めることをおすすめします。
ケアハウス(軽費老人ホーム)は生活保護でも入居できる?
条件によっては生活保護を受給していてもケアハウスの利用は可能です。
しかし、すべての生活保護受給者がケアハウスに入居できるわけではありません。居住費は生活保護による住宅扶助の範囲内であるか、食費は生活扶助で支払える金額であるのかを確認しておく必要があります。
一度入居を検討しているケアハウスに確認してみましょう。
ケアハウス(軽費老人ホーム)は年金のみでも入居できる?

条件によっては年金のみでケアハウスに入居できるでしょう。
厚生労働省が発表した令和3年度の年金額は、標準的なモデル夫婦(夫がボーナスを含む平均標準報酬額が43.9万円で40年間就業。妻はすべての期間専業主婦)で国民年金受給額は1人月65,075円、厚生年金受給額は夫婦で月220,496円です。
ケアハウスの月額の相場は9~13万円であり、年金の受給額を考慮すると年金だけでもケアハウスに入居することは可能であるといえます。
しかし、入居一時金が支払えない場合やそのほかの生活費が増える場合などは年金だけでの入居は難しくなります。施設によって月額が異なってくるため、より費用が抑えられるケアハウスへの入居を検討しましょう。
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