グループホームの予算とは?助成制度も併せてご紹介します!
- 2024年10月07日 公開

グループホームは、アットホームな環境下で認知症に特化したケアを受けられる介護施設です。今回は、グループホームの入居にかかる費用を解説するとともに、入居のための予算を増やす方法や利用できる助成制度についてご紹介します。
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目次
グループホームでの予算はどれくらい?
グループホームの利用に必要な費用は、大きく分けて初期費用と毎月の利用料金の2種類です。
初期費用は契約時点で支払うことが多く、数百万円程度のまとまった金額になることもあります。
一方、毎月の利用料金は15万円前後が相場です。家賃や食費、介護サービス費を含めた金額と考えると妥当かもしれませんが、年金ではまかないきれない場合もあるため入居前に予算の計画を立てておくと安心でしょう。
ここからは「初期費用」「毎月の利用料金」について、さらに詳しい内容や注意点を解説していきます。
グループホームの初期費用は?

入居前に支払う初期費用としては「入居一時金」または「保証金」という名称が一般的です。同じようなタイミングで支払う費用ですが、名称によって何か違いはあるのでしょうか。まずは入居一時金と保証金について解説します。
入居一時金
入居一時金は「入居予定の施設に住むための費用」で、入居後に必要となる居住費・介護サービス費の一部などが含まれています。
入居一時金の相場は3~6カ月分の賃料ですが、中には0円としているグループホームもあります。一度に多額の支払いが困難な場合は、こうしたプランのある施設を探すことをおすすめします。
ただし入居一時金は毎月の利用料金の一部を前払いしているようなものなので、先に支払うと月額が下がる可能性があります。契約時に初期費用の選択肢がある場合は、月額への影響も確認しておきましょう。
なお、施設は入居が予測される期間に応じて支払われた入居一時金から毎年一定の額を使用(償却)します。そのため、期間内に退去した場合は未償却の金額が返却されます。
また初期費用として、入居金、入居申込金、施設協力金、終身利用権、入居保証金などの支払いを求める施設もあります。
保証金

保証金は、「修繕などの必要が生じた場合に使用される費用」です。具体的には、居室の破損や居住費の滞納などがあった場合に、保証金から必要な額が使用されます。
保証金のうち使用されなかった金額は、基本的に退去時に返金されます。返金の有無や保証金が使用される事例などについては、契約前にしっかり確認しておくことをおすすめします。
保証金は数カ月分の家賃相当の金額であることが多く、数万円~30万円が相場です。ただし法的な決まりはなく、入居一時金と同じく施設によって大きな差が出る場合もあるため注意が必要です。
グループホームの月額費

次に、グループホームの生活にかかる月々の費用について解説していきます。毎月の利用料金は、大きく「日常生活費」「介護サービス費」「サービス加算」の3つに分けられます。それぞれの内容を詳しく見てみましょう。
日常生活費
日常生活費は、衣・食・住を整えるために必要な費用です。家賃・管理費・水道料・光熱費のほか、食費や雑費(衣類や散髪にかかるお金、オムツの代金など)が含まれます。
それぞれの相場は家賃が7万円、管理費が1万8,000円、食費が3万8,000円、水道料・光熱費が1万8,000円程度です。ただし、家賃や管理費などはグループホームのある地域や立地、居室の面積などにより差が出ることがあります。
雑費は必要物品の購入時や買い物代行(施設の有料サービス)利用時に発生するので月によって増減がありますが、1万円程度が相場です。
介護サービス費
グループホームでは、施設のスタッフから必要な介護を受けます。
介護サービス費は介護保険法で点数が決められているため、施設ごとに大きな差はないといってよいでしょう。ただし、地域調整が入るため都道府県ごとに多少の金額の差があります。
一方、介護度が上がれば負担する金額も増えます。利用者の自己負担額は原則1割ですが、所得によっては2~3割となることもあります。
また、1つの事業所内にあるユニット数が異なる場合も自己負担額に差が出ます。詳しい金額については、下記を参照してください。
介護度 |
自己負担額 |
自己負担額 |
---|---|---|
要支援2 |
2万2,800円 |
2万2,440円 |
要介護1 |
2万2,920円 |
2万2,560円 |
要介護2 |
2万4,000円 |
2万3,610円 |
要介護3 |
2万4,690円 |
2万4,330円 |
要介護4 |
2万5,200円 |
2万4,810円 |
要介護5 |
2万5,740円 |
2万5,320円 |
※自己負担割合1割とした場合
サービス加算
高齢者施設では、所定の要件を満たせば「サービス加算」の算定が認められています。入居者にとって金銭的な負担は増えますが、加算はサービス充実度の目安ともいえるので悪い面ばかりではありません。
グループホームで算定されることが多い加算について、算定要件や内容、負担金額などを確認していきましょう。
初期加算

軽度の認知症であっても、環境の変化に伴い入居直後は気持ちが落ち着かなかったり、せん妄が現れたりする可能性が高まります。また、新しい入居者に対しては支援計画の策定なども必要となるでしょう。
こうした入居者のケアに対して入居から30日間に限り「初期加算」の算定が認められています。初期加算は1日あたり30単位なので、1割負担の入居者の自己負担額は1カ月あたり900円です。
なお、2018年の介護保険法改正により、1カ月を超える入院後の再入居に際しても「入居時と同じく環境に慣れるための時間を要する」との考えから初期加算を算定できるようになりました。
認知症専門ケア加算

認知症ケアに特化したグループホームでは、質の高い認知症ケアを行える知識・技術を持った職員が介護サービスを提供した場合に「認知症専門ケア加算」を算定できます。詳しい算定要件は下記の通りです。
- 職員のうち一定数が国や自治体が定めた専門研修(認知症ケアに関する指定研修や専門性の高い看護師教育)を修了
- 定期的に修了者が知識・技術を他職員へ伝達する場を設ける
- 日常生活自立度ランクⅢ以上の割合が入居者の半数以上
- 対象者20人につき研修修了者を1人以上配置する
- 介護・看護ごとに研修計画を作成し実施または予定をしている
認知症専門ケア加算は1日につき3~4単位なので、自己負担割合1割の人の1カ月あたりの負担額は90~120円です。
夜間支援体制加算

スタッフ数が手薄になりがちな夜間に基準以上の介護職員を配置した場合に算定できるのが「夜間支援体制加算」です。
通常、夜中の介護職員は1ユニットに1人以上と定められています。これに加えて、1ユニットの施設では2人、2ユニットの施設では3人の介護職員を追加で配置することで夜間支援体制加算を算定できます。
この加算は1ユニットの施設で1日あたり50単位、2ユニットの施設では1日25単位のため、1割負担の場合の自己負担額はそれぞれ1カ月1,500円または750円です。
医療連携体制加算

グループホームには看護師の配置義務がありません。そのため、医療的な対応に関しては看護師を配置するか、外部の病院・診療所などと連携を取る必要があります。
こうした環境の中で、看護師(施設従業員・外部の医療機関または訪問看護ステーション)と24時間の連絡体制を整えているグループホームでは医療連携体制加算(Ⅰ)を1日あたり39単位算定できます。
また、施設に常勤換算で1名以上の看護職員を配置している場合は、その内容に応じて1日あたり49単位の「医療連携体制加算(Ⅱ)」または1日あたり59単位の「医療連携体制加算(Ⅲ)」いずれかが算定可能です。
この点数を月の負担額に換算すると、自己負担割合1割の場合は医療連携体制加算(Ⅰ)で1,170円、(Ⅱ)で1,470円、(Ⅲ)で1,770円程度です。
看取り介護加算

グループホームでは、多くの身体介護が必要となったり医療依存度が上がったりといった場合に退去を求められることもあります。しかし、介護体制を整えた施設で最期を迎える「看取り」を行う施設も増加傾向にあります。
そこで医師の診断や本人・家族の同意のもと、医師や看護師、介護職員らが連携してケアを行った場合に「看取り介護加算」が算定できることになりました。
看取り介護加算(Ⅰ)は死亡日の30~4日前は1日114単位、死亡2日前~前日は1日680単位、死亡当日は1,280単位、看取り介護加算(Ⅱ)は死亡日の30~4日前は1日144単位、死亡日2日前から前日は1日780単位、死亡日当日は1580単位が算定されます。
グループホームの予算を組む上で押さえておくべきポイントとは?

ここまでは、グループホームで実際にかかる金額について解説してきました。次に、実際その費用を滞りなく支払うために重要な「予算の組み方のポイント」を考えていきましょう。
親の資産を把握する
施設での生活に必要な費用は、本人の所得や資産を軸に計画することをおすすめします。
そのためには、まず本人の資産を家族が把握する必要があります。その上で、家族や本人の希望などをすり合わせながら、経済的な支援をするかどうかも含めて予算計画を立てていきましょう。
余裕のある予算を立てる

施設へ入るための資金計画を考えるとき、どうしても今の身体状況をもとにして概算を考えてしまう人も多いでしょう。しかし介護度や医療依存度が上がれば、それだけ月々にかかる金額も増えていきます。
また、急に入院することになるなど入居費とは別の支払いが生じる可能性もあります。こうした事態も想定し、余裕を持った資金計画を立てておくと安心です。
退去条件を確認する
グループホームの介護・医療体制には施設ごとに大きな差があります。そのため、施設内で対応できる介護度・医療依存度を超えたケアが必要になると退去を求められる場合もあるでしょう。
退去すれば、当然ながら次の施設を探さなければなりません。新しい施設に入居するにはある程度の期間や金額が必要なので、どのような状況になったら退去を求められるのか事前に確認することをおすすめします。
また、グループホーム入居時に「これが終の棲家だから初期費用は何とか工面しよう」と考えず「別の施設に再び初期費用を支払うこともあり得る」と考えておくとよいかもしれません。
グループホームに入居するための予算を増やす方法は?

余裕のある資金計画を立てるためには、元となる予算を増やすことが大切です。ここからは、グループホームへ入居するための予算を増やす方法について解説します。
持ち家を活用する
入居者がもともと一人暮らしだった場合や、夫婦で一緒に施設へ入居する場合は、住まいとして使わなくなる持ち家を活用することで入居費用を捻出できます。
持ち家の活用方法には、主に「売却する」「持ち家を担保に融資を受ける」「賃す」の3種類があります。ただし、それぞれデメリットがあるため注意が必要です。
たとえば、売却を検討したとしても売れなければ意味がありません。また、持ち家を担保としてお金を借りる不動産担保ローンを利用する際、借りられるお金は物件評価額の6~8割ほどです。しかし返済できなくなれば家を失ってしまいかねないケースもあるため注意が必要です。
一方、持ち家を貸す際も借り手が見つからなければ収入は得られません。固定資産税や維持管理費も支払い続ける必要があります。ただしこの場合は、「マイホーム借り上げ制度」を利用すればリスクを解消することが可能です。
マイホーム借り上げ制度を利用すると、一般社団法人移住・住み替え支援機構(JTI)が持ち家を借り上げて賃料を支払ってくれます。たとえ借り手が見つからなくても家賃が保証される点は大きなメリットではないでしょうか。
利用にあたっては貸主負担で火災保険に加入することやJTIが定めた耐震強度を備えていることなどの条件を満たす必要がありますが、50歳以上で居住用の住宅を所有している方であれば比較的利用しやすい制度といえます。
家具や家電、装飾品を売却する
家具や家電、装飾品などは持ち込むことができないものもあります。施設への入居にあたり、不要な品々を売却して費用を捻出するのも1つの方法でしょう。
グループホームで予算を抑えるための助成制度は?

ここまでグループホームの入居に必要な予算を増やす方法を解説してきましたが、各自治体の助成制度を利用すれば費用負担を軽減できます。しかし助成制度は申請しなければ適用されません。利用できるかどうかをしっかりと確認し、申請を忘れずに行いましょう。
ここでは、グループホームで予算を抑えるための助成制度について解説します。
高額介護サービス費
介護保険は、介護サービスにかかる費用のうち7~9割は公費でまかなわれ、サービス利用者は定められた自己負担割合に応じて1~3割の金額を負担するしくみです。
この自己負担額には、所得ごとに1カ月あたりの限度額が定められています。そのため、1カ月に支払った自己負担分が一定額を超えた場合は、超過分の払い戻しを受けることが可能です。
対象者 |
世帯あたりの負担限度額 |
---|---|
課税所得690万円以上 |
14万0,100円 |
課税所得380万円~690万円未満 |
9万3,000円 |
住民税課税~課税所得380万円未満 |
4万4,400円 |
住民税非課税世帯 |
2万4,600円 |
生活保護受給者 |
1万5,000円 |
所得区分と自己負担限度額については上の表をご参照ください。この表を見ると、平均的な高齢者の負担限度額は月々4万4,400円。また、住民税非課税世帯の高齢者の負担限度額は月々2万4,600円です。 「課税所得380万円未満かつ介護保険自己負担割合2割の場合」「住民税非課税世帯かつ介護サービス費が2万4,600円に達した場合」のいずれかに当てはまれば制度の対象となる可能性があるため、確認してみましょう。
自治体の助成制度
各自治体では一定の条件を設けた上で入居費用の減額を行っている場合があります。
こうした助成制度は低所得者の自己負担額の軽減が目的で、「所得が一定以下の高齢者が申請し、施設に公費が補填されることで本人が支払う生活費が減額される」という形での給付が主です。入居者に直接支給されるわけではない点には注意が必要です。
助成制度の有無や申請条件の詳細などは自治体によって差があるため、制度の利用を考えている場合は自治体の窓口または地域包括支援センターに問い合わせましょう。
年金生活者でもグループホームに入居できるのか?

2022年現在、国民年金のみを受給する場合の平均年金額(月額)は男女ともに5万円前後とされています。一方、厚生年金の平均年金額(月額)は男性が15万円、女性が10万円前後です。
厚生年金の平均年金額を上回る場合は、グループホームの月々の利用料金を年金でまかなえる可能性はあります。しかし、多くの人は年金のみでの入居は困難であり、年金以外の資産や貯蓄を利用する必要があるでしょう。
そうした資産や貯蓄がなく、また年金額も多くない方がグループホームに入る方法はないのでしょうか。選択肢の1つとして考えられるのは、生活保護を受給する方法です。
生活保護の受給には抵抗がある人も多く、また条件もやさしくはありませんが、年金を受給していても申請が通るケースはあります。まずは、地域の福祉事務所に条件や申請方法などを相談してみましょう。
ただし、生活保護の受給により施設の選択肢が狭まる可能性がある点には注意が必要です。介護度などの入居条件を満たしていても、生活保護受給者は受け入れていないグループホームもあるためです。
その場合は生活保護のケースワーカーや担当のケアマネジャーから情報提供を受けながら、生活保護の受け入れ実績があるグループホームなどを探していくとよいでしょう。
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