老健の入居条件について知りたい!詳しい費用や入居難易度など知りたい情報を公開!
- 2024年10月04日 公開

老健(介護老人保健施設)は、入居しやすく費用が安いことを理由に、近年人気が高い傾向にあります。
実際に入居しやすいのか、どんな施設なのか気になりますよね。
そこで、入居条件や入居の流れ、月額費用、退去の条件などについてご紹介します。
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老健(介護老人保健施設)とは?
老健(介護老人保健施設)は、要介護者が在宅復帰を目指す施設です。
できるだけ日常生活を自立した状態で過ごせるように、医師や理学療法士、作業療法士、看護師などが中心となって、リハビリや医療ケアを目的とした医療ケアを提供します。
特に医師は24時間の常駐義務があります。
医療ケアだけでなく、食事や排せつ、入浴といった介護支援を受けることができ、介護職員も配置されています。
在宅復帰が条件ですので、期限付きの入居で、定期的に入居の判定が行われます。
また、老健は社会福祉法人や医療法人が主体の公的な施設です。
どちらも非営利目的ですが、その仕組みに違いがあります。
医療法人、社会福祉法人ともに、必要な際は病院を受診できますが、緊急時にすぐに受診可能なのは併設病院がある施設です。
さらに、老健の月額費用に関しては「介護保険施設」という公的な施設のため、民間施設よりも割安です。入居一時金といった初期費用も必要ありません。
老健でかかる費用は「介護サービス費」「生活費」を月額負担します。
目安は約8~15万円ほどです。
「介護サービス費」は介護度が高くなるほど増額し、そのほかにも職員の配置やサービスなどに応じて介護保険適用の「サービス加算」という追加料金がかかります。
もちろん、自己負担額は収入に応じて変動があり、1割・2割・3割のいずれかになります。
「生活費」は食費や居住費などです。
特に居住費は、居室のタイプによって異なり、多床室、従来型個室、ユニット型個室の順に高くなります。
ただし、食費と居住費は医療費控除の対象になる場合は、全額負担の必要はありません。
老健のデメリットとしては民間の有料老人ホームのようなイベントやレクリエーションなどのサービスが充分でないという点が挙げられます。
有料老人ホームとの比較を表にまとめました。
|
老健(介護老人保健施設) |
有料老人ホーム |
---|---|---|
介護度 |
要介護1以上 |
自立・要支援・要介護 |
入居期間 |
短期間 |
終身利用可能 |
入居金 |
不要 |
0円~数千万円 |
月額 |
約7~15万円 |
約15~35万円 |
娯楽 |
きわめて少ない |
充実 |
居室のタイプ |
多床室 |
個室 |
年金や貯蓄だけで月額の費用を賄わなければならない場合、有料老人ホームも入居は可能ですが、老健の方が安価であることが分かります。
老健(介護老人保健施設)の入居条件を解説

老健の入居判定会議は、施設長をはじめとして、各専門職のそれぞれの見地から総合的に判断して結果を決めます。
入院中の病院から渡される診療情報提供書や看護サマリー、家族、家族と面談した施設ケアマネージャーの話などから情報を精査します。
老健における入居の可否を判断するには、以下の内容を確認しています。
要介護度
65歳以上で要介護1以上の認定を受けている必要があり、必須条件です。
要介護1は日常生活において、部分的に介助が必要な状態です。
食事や排せつといった基本的な生活動作は行えますが、運動機能や認知機能に低下がみられ、生活の一部に介護が必要です。
(実際は在宅で様々な介護サービスを利用しながら独居可能な方もいるくらいの状態です。 )
しかし、要介護1以上が条件なので、実際にはもっと介護度の高い方も入居の対象となります。
介護度が高いことを理由に入居を断られることはないでしょう。
介護の必要性
入居後、柔軟に対応するために老健では「どの程度の介護を要するのか」詳細に聞き取りを行います。
自立を促しながら、排せつや食事、入浴といった身の回りの生活援助を行っており、必要に応じて職員が手助けします。
認知症の方も、穏やかに日常生活を営むことができ、職員で対応できる症状であれば受け入れ可能と判断されます。
ただし、暴力行為や暴言、自傷行為など他の入居者や施設運営上のトラブルになりかねない状態である場合、入居できない場合もあります。
また、そうした症状を隠して入居しても発覚後に他施設への転院などの対応を求められる事もあります。
万一暴力行為や暴言等がある介護者の場合でも、包み隠さず話し、受け入れてくれる施設を根気よく探すのがベストです。
介護者の状況
老健はあくまで短期入居で、リハビリによる回復の見込みがあり、在宅復帰が可能と判断された、要介護1以上の方のための施設です。
老健で医療ケアを受けた場合、費用は施設側の負担となるため、内服薬の多い方や高額な薬が継続的に必要な方は入居を断られるケースがあります。
介護者は病状が落ち着いており入院治療の必要がないこと、感染症に罹患していない状態であることが必要です。
しかし、仮に病状が落ち着いていても人工呼吸器装着や透析など、場合によっては入居は難しいと判断されてしまうことがあります。
待機期間
入居まで3~6カ月程度かかるとされていますが、介護施設の中では比較的早く入居が可能になるケースが多いです。
他の介護施設の場合、数年単位で待つこともあります。
一方、老健は基本的に3~6カ月を目安に在宅復帰を目的とする施設なので、回転率が速いのです。
資産・収入
仮に生活保護受給中でも入居可能な施設は存在します。
ただし、世帯収入に応じて、入居後の月額料金が異なってきます。
介護保険負担割合証が発行され、そこには介護サービスを利用する際の負担割合が書かれています。
おおよその人は1割ですが、現役並みに収入のある一部の人は2割か3割となります。
また老健では、所得の少ない人に対して減免制度があり、所得の低い人や生活保護受給者に対して、居住費や食費を減免することができます。
「特定入所者サービス費」と呼ばれます。
負担限度額は以下のように区分されます。
- 第1段階:生活保護受給世帯か、世帯全員が住民税非課税で老齢福祉年金を受給
- 第2段階:世帯全員が住民税非課税で、課税年金収入額と合計所得年金額が80万円以下
- 第3段階:世帯全員が住民税非課税で、第2段階以外
- 第4段階:世帯全員が住民税課税
ただし、第1~第3段階の場合、預貯金が単身者で1,000万円以下、夫婦で2,000万円以下であることが条件です。
市区町村窓口で申請することができます。
また、医療費控除も対象となり、年間10万を超える場合に申請できます。
介護サービス費、食費、居住費も医療費に含まれ、過去5年にさかのぼって請求可能です。
老健(介護老人保健施設)の入居難易度は?

老健の入居難易度は同じ公的な高齢者施設である特養と比較しても、高くありません。
首都圏では施設数が多いのでさらに入居しやすい傾向にあるようです。
老健は公的施設ですので、月額負担が少なく、要介護度など条件が当てはまる方には人気の高い施設といえるでしょう。
ただし、入居しやすいのは短期入居で回転率が高いことが理由です。
終身で入居できる施設ではないことに注意しなければなりません。
そのため、老健退去後は、他の施設に移るのか、自宅に帰るのかなど、あらかじめ家族内で話し合って決めておく必要があります。
一方で、特養(特別養護老人ホーム)も老健と同様に公的施設なので、月額料金に大きな違いがなく、人気の高い施設です。
特養はいったん入居できれば、長期入居が可能で、看取りにも対応しています。
しかし、終身施設のため、空きが出るまで数年待たなければならないケースが多くあります。
中には「早急に特養に入居したいが、県内の特養ではなかなか空きが出ない」ということで、県外の特養に入居申し込みをし、空きを待つ方もいます。
加えて、特養は要介護3以上が入居条件ですので、要介護3になるまで待たなければ入居申し込みができません。
また、空きの出ていてスムーズに入居できる特養は費用が高い個室が多く、民間施設同様に約15万円前後かかるということがあります。
年金で賄えない金額なので、金銭的事情から断念してしまう家族が少なくありません。
さらに、特養は老健と違い医療的ケアを受けにくいというデメリットがあります。
特養は医師が24時間常駐しておらず、看護師も日中のみ勤務というパターンが大半です。
夜間に介護職員の行えない、経管栄養やインスリン注射など医療ケアを要する場合、入居を見送られてしまうことも少なくありません。
つまり、特養と比較すると、老健は入居しやすい施設といえるでしょう。
終身での入居はできませんが、今後の生活について考える猶予ができます。
老健(介護老人保健施設)の入居までの流れ

老健の入居までの流れは以下の通りです。
介護認定を受ける
老健の入居条件は要介護認定を受けていることなので、まずは市区町村の窓口で要介護認定の申請をする必要があります。
申請後は、調査員が訪問し、日常生活の様子などについてヒアリングがあります。
このヒアリングの内容によって介護度は決まり「介護保険認定証」を取得します。
申請から取得まで1カ月程度が目安です。
また、地域包括支援センターにも連絡し、ケアマネージャーに介護プランの作成を依頼します。
ケアマネージャーは介護者と介護施設をつなぐパイプ的な役割を果たしているので、地域の老健についての情報をもっているので、聞いてみると良いでしょう。
もちろん、自分たちで条件に合った老健を探すことも可能です。
施設の基本的情報やおおよその様子はパンフレットから知ることもできますが、実際の様子について目で見て確認しましょう。
施設見学
施設側に見学したい旨を電話で伝えればアポイントメントをとれます。
施設見学で、清潔感、部屋や他の入居者の様子、スタッフの対応などを知ることができます。
入所申し込み
希望の施設が見つかったら、申し込みの書類をそろえる必要があります。
不明点や疑問点があれば、担当ケアマネージャーに相談するとスムーズです。
面談
施設の担当ケアマネージャーより、現在の病状や日常生活の状況などについてヒアリングがあります。
入所審査
老健内で判定会議が行われ、入居の可否を決定します。
受け入れに問題がないと判断された場合、入居することができます。
入所
入所時の送迎はないので、自力で施設まで行く必要があります。
あらかじめ介護タクシーの手配を済ませておくとよいでしょう。
老健(介護老人保健施設)の退去について

老健は3カ月に1度、施設側から入居判定が行われます。
通常、老健は在宅復帰を目指す施設なので、3~6カ月程度の短期入居が目安となっているからです。
リハビリの結果、在宅復帰が可能な状態と判断されれば退去となります。
様々な事情により、老健を退居後すぐに家庭で受け入れる環境が整っていないことがあります。
共働き世帯で仕事の調整ができなかったり、小さな子どもがいるなど事情はそれぞれです。
また、特養は他の施設に比べて安価な終身施設のため、数年単位で待たされることも少なくありません。
老健には入居期間を過ぎた後もそうした事情を考慮し、延長して受け入れてくれる施設もあります。
不安に感じることがあれば、ケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。
また、1週間以上の入院治療が必要になった場合、介護保険と医療保険の併用ができないため、退去の対象になります。
退院後、再入居させてほしい旨をあらかじめ相談しておくと、施設によっては再入居に応じてくれることがあるようです。
ただし、施設の運営の妨害や、他の入居者に対して著しい迷惑行為がある場合などは強制退去になる場合もあります。
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