後悔しないための老人ホームの選び方!12のポイントで納得のいく施設探し
- 2024年10月04日 公開
- 2025年03月11日 更新

老人ホームには様々な種類があります。自分や家族が老人ホームに入居する際、何を重要視すればいいのでしょうか。
ここでは、失敗しない老人ホームの選び方について12のポイントに分けてお伝えします。
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目次
老人ホームの選び方 12のポイント

ご自身やご家族に介護が必要となり、老人ホームへの入居を検討する際、どのようなポイントをもとに、老人ホームを選べばいいのか気になりますよね。
こちらでは、老人ホームを選ぶ際のポイントを以下の12点に分けて、一つずつ解説します。
- 老人ホームの種類
- 入居時費用・月額費用
- 入居条件
- 介護・医療・リハビリ体制
- スタッフや入居者の雰囲気
- 食事
- 立地・周辺環境
- 設備の充実度
- レクリエーションやイベント
- 認知症への対応
- 看取り・終身利用ができるか
- 緊急時の対応
老人ホームの種類
老人ホームの種類から希望の条件に合った施設を探すことは重要な選び方の一つと言えるでしょう。
老人ホームの種類は多く、施設ごとによって入居条件や特徴に違いがあります。
入居を検討している高齢者や家族にとって、どの老人ホームを選ぶべきか分かりにくいです。
そのため、以下の老人ホームの種類や特徴をもとに、希望の条件に合った老人ホームを探しましょう。
運営 |
老人ホームの種別 |
入居条件 |
特徴 |
---|---|---|---|
民間 |
介護付き有料老人ホーム |
要支援1以上 |
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住宅型有料老人ホーム |
自立以上 |
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サービス付き |
60歳以上 |
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グループホーム |
要支援2以上 |
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公的 |
特別養護老人ホーム |
要介護3以上 |
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介護老人保健施設 |
要介護1以上 |
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介護医療院 |
要介護1以上 |
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ケアハウス |
60歳以上 |
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養護老人ホーム |
60歳以上 |
|
入居時費用・月額費用
老人ホームを選ぶ際、入居時費用と月額費用をもとに選ぶことも重要です。
入居時費用とは、老人ホームに入居する際にあらかじめ支払う費用のことで、入居後の家賃・介護費などの一部を支払うことが多いです。
入居時費用は償却期間が設定されており、償却期間を過ぎる前に退去する場合、残りの償却期間に合わせた費用の返金が可能です。
また、老人ホームの月額費用は、主に以下の費用が発生します。
- 介護サービス費
- 居住費(光熱費など)
- 食費
- 日用品等の購入費
入居時費用と月額費用は老人ホームごとに違いがあり、現在の収入・貯蓄と照らし合わせて支払いできる範囲かどうか確認が必要です。
さらに、早期に退去する可能性も想定し、償却期間や償却金の有無と金額も確認しましょう。
入居条件
老人ホームを選ぶ際、入居条件も重要なポイントの一つです。
例えば、老人ホームの種類ごとに、以下のような入居条件の違いがあります。
- 特別養護老人ホーム:要介護3以上
- 介護老人保健施設:要介護1から要介護5
- 有料老人ホーム:自立から要介護5
また、持病により医療的ケアやリハビリを希望する場合、施設ごとに介護職員・看護師などの職員配置基準や体制に違いがあります。
特に医師は、配置が義務付けられている老人ホームの種類が少なく、多くの場合は外部の医療機関と提携しています。
そのため、医療的ケアやリハビリを希望する場合、以下の5つのポイントを確認することが必要です。
- 介護職員・看護師の体制
- 老人ホーム内で対応可能な医療行為
- 急変時の対応
- リハビリの有無
- 提携医療機関との連携方法
上記のポイントをもとに、現在の状態やニーズに適した老人ホームを探しましょう。
スタッフや入居者の雰囲気
老人ホームのスタッフや入居者の雰囲気も、老人ホームを選ぶ上で重要なポイントです。
入居者とスタッフの雰囲気を確認することにより、入居後も快適に過ごせるか見極めることができるからです。
特に重要なポイントは、以下のとおりです。
- 入居者の介護度・男女比
- 職員の態度・入居者とのコミュニケーションの様子
- レクリエーションやイベントの頻度・内容
- 入居者同士の交流の様子
- 老人ホーム全体が清潔であるか
他の入居者の介護度や男女比を確認すると、他の入居者と共同生活が可能かイメージしやすいです。
以下の職員の態度や入居者とのコミュニケーションの様子を確認することで、スタッフの質を見極めることができます。
- どのように接しているか
- 挨拶や声掛けできているか・
- 敬語を使い優しく対応しているか
- 大声で話をしていないか
また、レクリエーションやイベントの頻度や内容、入居者同士の交流の様子を確認することにより、アットホームな雰囲気の中で、生活できるか判断できるでしょう。
さらに、老人ホーム全体が清潔であるかどうかも、全体的な雰囲気を知る上で確認が必要です。
入居後も快適に生活できるように、見学などの方法で、入居者・スタッフを含めた施設全体の雰囲気を確認しましょう。
食事

老人ホームでの生活において、日々の食事は、入居者の健康・満足度に直結する重要な要素です。
そのため、以下の5つのポイントを確認しましょう。
- 普段の食事内容・イベント食の内容
- 味付け・アレルギーなど個別の対応の有無
- 入居者との意見交換の実施
- 療養食・介護食の対応の有無・料金
- ミールラウンドの実施
老人ホームの食事は、管理栄養士によって一から厨房で調理される方法と、外部業者がある程度調理したものをホーム内で仕上げて提供する方法があります。
味付けの変更・アレルギーへの対応など、柔軟に個別対応に応じることやイベント食の提供などが可能です。
また、療養食や介護食などの特別な食事を提供できる老人ホームもありますが、料金が高くなる場合もあるため、確認が必要です。
そして、老人ホームによっては、食事に関する意見交換会や食事の様子から口腔機能や嚥下機能を評価し、適切な食事摂取の支援方法を検討するミールラウンドが行われています。
このように、心身の状態や好みに合わせた食事への取り組みが行われているかも確認すべきポイントです。
立地・周辺環境
老人ホームの立地・周辺環境は、入居後の生活や家族との交流において、重要なポイントと言えるでしょう。
立地・周辺環境に関する確認すべきポイントは、以下のとおりです。
- 家族が通いやすいか
- 買い物や病院に行きやすいか
- 散歩ができる環境か
例えば、駅や主要道路に近い老人ホームを選ぶことにより、家族が公共交通機関やマイカーなどを使って気軽に訪問できます。
また、スーパーや病院が近くにあると、必要な時にすぐ買い物や病院受診に出かけることができます。
さらに、周辺の道路状況が整っており、公園や広場があるホームの場合は、散歩に出かけやすくなり、心身の健康維持にもつながるでしょう。
このように、周辺の立地・周辺環境が充実していることで、老人ホームで快適に過ごすことができるため、あらかじめ立地・周辺環境を確認しましょう。
設備の充実度

老人ホームで快適に生活するためには、設備の充実度も重要なポイントです。
具体的に確認すべきポイントは、以下のとおりです。
- 居室
- トイレ
- 入浴設備
- 趣味や娯楽のスペースの有無
居室は入居生活の中心となるため、プライバシーへの配慮やキッチン・洗面台などが完備されているか確認が必要です。
トイレは、手すり設置や車椅子の方でも利用できるスペースが確保されているか、引き戸や開き戸などドアの開閉はしやすいか、居室内や共用スペースに設置されているか、などを確認しましょう。
入浴設備は、一般的な浴槽だけではなく、車椅子や寝たきりの方でも利用できる特殊浴槽も完備しているかが重要なポイントです。
また、共用スペースだけではなく、カラオケ室や読書スペースなど、趣味や娯楽を楽しむための空間がある老人ホームもあります。
しかし、さまざまな設備が完備されているほど、その分費用が高くなる傾向があるため、費用面も考慮し、設備が整った老人ホームを選ぶことがおすすめです。
レクリエーションやイベント

老人ホームにおけるレクリエーションやイベントも、入居生活を充実させる重要な要素です。
老人ホームでは、以下のようなレクリエーションやイベントが行われています。
- お花見
- 夏祭り
- 運動会
- 誕生会
- カラオケ・手芸などの趣味活動
また、入居者の健康を目的に、運動効果のあるレクリエーションを行います。
レクリエーションやイベントを通じて、入居者・スタッフとの交流を深めることができ、充実した生活を送ることにつながります。
一方で、ひとりで過ごす方を好む人もいます。
そのため、レクリエーション・イベントの内容や頻度、参加状況(原則参加か任意か)も確認できると良いでしょう。
認知症への対応
現在、認知症でない方も、老人ホームにおける認知症への対応について確認しましょう。
老人ホームに入居する方の中には、認知症ではない方もいますが、将来的に認知症になるリスクがあります。
そのため、以下のポイントを確認しましょう。
- 認知症ケアの体制
- 認知症ケアの取り組み事例
- 老人ホーム内の環境
- 認知症に関する加算
例えば、グループホームでは少人数の共同生活を通じて、家庭的な環境で専門的なケアを受けることができます。
また、運動や音楽、園芸などの活動を通じて、気分転換や刺激につながるケアの取り組みや居室・トイレを認識しやすい設備が整っている施設も多いです。
老人ホームに入居する場合、認知症のリスクを考慮し、老人ホームにおける認知症の取り組みを確認しましょう。
看取り・終身利用ができるか

将来的に介護度が高い状態や看取りの状態になっても、最期まで老人ホームを利用できるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
介護度が高い状態や看取りの状態での終身利用が可能かどうかは、老人ホームを選ぶ際の重要なポイントと言えます。
特に、以下の3つを確認し、どのような対応を行うか確認が必要です。
- 看取り対応の有無と実績
- 対応可能な医療ケア
- 急変時の対応
- 家族へのサポート体制
近年、介護の重度化や看取りケアが注目されており、高い介護度や看取り状態の方を優先的に受け入れる老人ホームが多いです。
しかし、老人ホームの種類や体制によっては、介護度が高くなると退去せざるを得なくなる場合も少なくありません。
また、看取りの場合、具体的な対応や過去の実績、急変時の対応など老人ホームごとに違いがあります。
さらに、家族への精神的なサポートを目的に、家族とのコミュニケーションの機会や宿泊設備などを整えている老人ホームも増えています。
あらかじめ、介護度が高い状態や看取りの状態となった場合の終身利用や看取り対応について確認しましょう。
緊急時の対応
近年、さまざまな災害や事件が発生していることもあり、緊急時の対応も老人ホームを選ぶ際の指標の一つとされています。
緊急時の対応について確認する場合、以下の項目を確認することがおすすめです。
- 緊急時におけるマニュアルが整っている(古いものでない)か
- 定期的な訓練が行われているか
- 緊急時の対応手順が定まっているか
老人ホームでは、さまざまな災害・感染症まん延が発生した場合でも、入居者の安全を守り業務を継続できるよう業務継続計画(BCP)策定が義務付けられています。
急変時の対応手順や転倒などの事故が発生した場合に備えて、どのように対応するか手順をまとめたマニュアルも作成されています。
こうしたマニュアルに沿って、定期的な訓練や実際の対応を行っているため、緊急時の対応について心配する場合、上記の3つを確認しましょう。
その他
老人ホームを選ぶ際の12のポイント以外にも、以下の5つのポイントが指標となる場合もあります。
- その他の個別で付けるサービスの対応範囲
- 施設を運営する法人の経営状況
- 面会の自由度
- 持ち込める私物
- ペットと入居できるか
こちらも、一つずつ解説します。
その他の個別で付けるサービスの対応範囲
老人ホームによって、介護保険で適用されるサービス以外に、さまざまな生活支援サービスを利用できます。
主に、以下の5つのサービスを受けることが可能です。
- 食事の調理
- 洗濯
- 居室の掃除
- 外出時の送迎
- 買い物代行
また、外部のサービスになりますが、提携している訪問理美容などを利用できる場合もあります。
サービスの適用範囲・費用・回数は施設ごとに違いがあり、生活支援サービスを利用できる老人ホームは費用が高額になる傾向です。
生活支援サービスの有無が老人ホームを探すポイントとなる場合、必要性とコストを考慮し、導入について検討しましょう。
施設を運営する法人の経営状況
老人ホームを長期的に利用する場合、運営する法人の経営状況にも目を向けておきましょう。
具体的には、以下の3つを確認することがおすすめです。
- 老人ホームの評判
- 財務諸表
- 重要事項説明書
さまざまな企業が参入したことにより、老人ホームの総数は年々増えていますが、経営状況が悪化し、倒産する老人ホームも増えています。
経営状況が悪化している老人ホームに入居すると、突然の閉鎖により退去が必要になる可能性もあります。
その後新たな老人ホームに入居できたとしても、環境の変化による心身の不調につながるリスクがあります。
そのため、安心して長期的に生活できる老人ホームを探す際、可能であれば財務諸表や重要事項説明書などを確認し、経営状況にも目を向けましょう。
面会の自由度
家族や知人との面会の自由度も、老人ホームを選ぶポイントの一つと言えるでしょう。
老人ホームでの面会は、基本的に面会時間内であれば自由に面会できます。
しかし、感染症の流行期などの特別な状況となった場合、面会時間や人数に制限がかかる可能性があり、老人ホームごとによって違いがあります。
そのため、通常の面会方法とあわせて、特別な状況になった際の面会方法・自由度を確認しましょう。
持ち込める私物
安全性や管理面によって持ち込める私物の種類や量に制限があり、特に多額の現金や貴金属類は持ち込みが制限されることが多いです。
一方で、長年使い慣れた家具や家電、家族との思い出の写真などの慣れ親しんできた物に関しては、安心して入居後の生活を送ることにつながるため、認められる場合があります。
しかし、持ちこめる私物は老人ホームによって違いがあるため、入居後も自宅となるべく変わらない環境を作りたい方は、事前に相談が必要です。
ペットと入居できるか
ペットを飼っている方にとって、ペットとの入居が可能かどうかは重要なポイントとなるでしょう。
ペットとの生活は、心身の状態に良い影響を与える効果があるため、ペットと一緒に入居できる老人ホームも増えつつあります。
しかし、ペットの種類や大きさによって入居が断られる場合があるため、あらかじめ確認が必要です。
種別ごとの特徴でみる、施設の選び方
施設の種類ごとの特徴・メリット・デメリットなどを表にまとめました。
表のあとで詳しく解説していきます。
特徴 |
メリット |
デメリット |
こんな人におすすめ |
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---|---|---|---|---|
介護付き |
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住宅型 |
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サービス付き |
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グループホーム |
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特別養護 |
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介護老人 |
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介護医療院 |
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ケアハウス |
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養護老人ホーム |
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介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の指定を受けた民間の老人ホームです。
65歳以上の要支援から要介護認定を受けた高齢者を対象とし、入居者のプライバシーを守る目的で個室である場合が多いです。
介護職員・看護師などの職員が常駐し、24時間体制で食事・入浴・排泄などの介護や医療的ケアを受けることができます。
また、さまざまなレクリエーションや設備が充実しており、施設数も多いことから選択肢の幅が広がる点は魅力的です。
しかし、他の老人ホームとくらべると費用が高額であり、施設数の多さによって、選ぶ時間と手間がかかる点がデメリットです。
こんな人には介護付き有料老人ホームがおすすめ!
- 24時間体制の介護サービスを必要とする人
- プライバシーを重視し、個室での生活を望む人
- 趣味や楽しみを持ち、楽しい日々を過ごしたい人
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、自立から軽度の要介護高齢者が対象で、以下の4つの生活支援サービスが利用できます。
- 食事の提供
- 洗濯
- 清掃
- 見守り・緊急時対応
また、必要に応じて外部の介護サービスも組み合わせながら利用できるため、入居者の希望に合わせた柔軟な対応が可能となります。
さまざまなレクリエーションや設備が充実しており、サービスの利用次第では費用が安価に済む点がメリットです。
一方で、介護度が高くなった場合や高度な医療行為が必要になった場合は、退去を求められる可能性がある点がデメリットです。
こんな人には住宅型有料老人ホームがおすすめ!
- 介護の必要性は低いが、自宅での生活に不安がある人
- 老人ホームに入居しつつ、ある程度自由な生活を送りたい人
- 必要に応じて介護サービスを利用したい人
- 他者との交流やレクリエーションを楽しみたい
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー設備が整った高齢者向けの賃貸住宅です。
60歳以上の高齢者が対象で、安否確認や生活相談サービスが利用でき、外部の介護サービスを組み合わせながら施設で過ごすことが可能です。
賃貸方式の契約で入居一時金などの費用が発生しない点や個室での生活であるため、プライバシーを確保できる点がメリットです。
しかし、介護度が高くなると利用が難しい点や、介護サービスの利用次第では月々の費用が想定より高くなるリスクがある点がデメリットでもあります。
こんな人にはサービス付き高齢者向け住宅がおすすめ!
- ある程度自立しているが、自宅での生活に不安がある人
- 困った時に相談しながら自分らしく生活したい人
- バリアフリーが整った環境の中で安全に生活したい人
- 緊急時の対応や見守りサービスを求める高齢者
- 必要に応じて介護サービスを利用したい人
グループホーム
グループホームは、認知症の高齢者が共同生活を行うための老人ホームです。
要支援2以上の介護度があり、グループホームがある市区町村に住民票がある高齢者が対象です。
1ユニットは最大9人の入居者が、家庭的な環境の中で介護職員によるさまざまな介護を受けながら生活しています。
入居者との調理・掃除などの家事活動や地域との交流を含めたさまざまなレクリエーションなどの認知症ケアが行われている点がメリットです。
しかし、入居条件が限定的でハードルが高い点や看護師の配置が義務付けられていないため、医療体制が十分ではない点がデメリットです。
こんな人にはグループホームがおすすめ!
- 認知症の診断を受け、生活支援が必要な人
- 家庭的な雰囲気で、少人数の環境の中で生活したい人
- 残存能力を維持したい方認知症の人
- サポートを受けながら住み慣れた地域で暮らし続けたい人
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、常時介護が必要な高齢者向けの公的な老人ホームで、広域型・地域密着型などの種類があります。
要介護3以上の方を対象に、食事・入浴・排泄などの手厚い介護サービスや、さまざまな医療行為や看取りケアに対応しているため、終の住処として最期まで生活できます。
介護サービス費月々定額で、入居時の費用も発生しないことから、経済的な負担が少なく済む点はメリットと言えるでしょう。
しかし、要介護3の入居条件によって待機期間が長期化している点や居室のタイプによってプライバシーの確保が十分ではない点がデメリットです。
こんな人には特別養護老人ホームがおすすめ!
- 要介護3以上で24時間の介護が必要な人
- 介護度は高いが、なるべく費用を抑えて入居したい人
- 介護を受けながら最期まで入居したい人
介護老人保健施設
老人保健施設は、在宅復帰と在宅療養支援を目的とした老人ホームです。
要介護1以上で、入院での治療は終了したが、退院後も療養が必要な高齢者を対象に、医師の管理のもとで、必要な医療的ケアや集中的なリハビリを行い在宅復帰を目指します。
また、食事・排泄・入浴などの介護サービスを24時間体制で提供し、3ヶ月を基本に、在宅復帰が可能か定期的に判定を行います。
在宅復帰に向けた手厚い医療的ケアやリハビリを受けられる点や月額費用の負担が少ない点は大きなメリットです。
しかし、長期での入居が難しく、場合によっては内服薬の変更やプライバシーの確保が十分ではない点はデメリットと言えるでしょう。
こんな人には介護老人保健施設がおすすめ!
- 入院治療は終了したが、療養が必要な人
- 在宅復帰に向けて集中的なリハビリを希望する人
- 医療的ケアと介護サービスが必要な人
- 退院後すぐに在宅生活に戻ることに不安がある人
介護医療院
介護医療院は、医療的ケアが必要な要介護者の長期療養・生活支援を目的とした老人ホームです。
基本的に要介護1以上の高齢者を対象とし、24時間体制の医療的ケアや介護サービスを一体的に提供し、看取りケアにも対応しています。
医師や看護師などが常駐し、喀痰吸引・経管栄養などの医療的ケアやリハビリを受けながら長期療養ができる点は、医療ニーズが高い方にとって大きなメリットです。
しかし、入居が長くなると結果的に費用が高くなることやプライバシーの確保が難しい点はデメリットと言えるでしょう。
こんな人には介護医療院がおすすめ!
- 長期的な療養が必要な人
- 喀痰吸引・経管栄養などの医療的ケアが必要な人
- ターミナルケアを希望する人
- 持病などにより急変の可能性がある人
ケアハウス
ケアハウスは自宅での生活に不安を抱える高齢者向けの老人ホームです。
基本的に以下の2つの種類に分かれます。
- 一般型(自立型)
- 介護型
一般型は自宅での生活に不安がある60歳以上の高齢者を対象に、食事や生活支援を提供し、介護が必要になった場合は外部サービスを利用します。
介護型は要介護1以上の高齢者を対象に、24時間の介護や医療的ケアを受けることが可能です。
いずれも、低料金で利用できる点や個室が確保されプライバシーが守られるため、安心して生活できる点がメリットです。
しかし、施設数が少なく入居待ちが発生しやすい点や、一般型ではより手厚い介護が必要になると退去を求められる可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。
こんな人にはケアハウスがおすすめ!
- 60歳以上で自宅での生活に不安を感じている高齢者
- 家族からの支援を受けることが難しい方
- プライバシーを重視しながら老人ホームで生活したい人
- 経済的な理由により、費用負担が少ない老人ホームを希望する人
養護老人ホーム
養護老人ホームは、低所得などさまざまな理由で自宅での生活に不安を抱えた高齢者を対象とした老人ホームです。
他の老人ホームとは異なり、自治体が経済状況などを加味した上で入居を判定し、負担すべき費用を決定する仕組みとなっています。
基本的には、以下の4つのサポートを行います。
- 食事の提供
- 健康管理
- 社会復帰に向けた相談
- リハビリ
また、介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用することが可能です。
経済状況に合わせた費用負担であるため、少ない負担で利用できる点や、社会福祉士などの専門職からのサポートを受け、社会復帰を目指すことができる点がメリットです。
しかし、入居条件のハードルが高く、待機者が多い点や、重度の要介護状態になると退所を求められる可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。
こんな人には養護老人ホームがおすすめ!
- 65歳以上で経済的に困窮している高齢者
- 自宅での生活が困難だが、身体的には自立している方
- 将来的に社会復帰を目指している高齢者
老人ホームの選び方【サービスから選ぶ】

老人ホームには多種多様なサービスが充実している施設があり、サービス内容は施設を選ぶポイントになります。
レクリエーション、イベント、食事といった余暇時間を充実して過ごせるかどうか
生活の質を重視する場合、レクリエーションや食事の内容はとても大切です。 施設によっては、月に一回シェフを施設に招いてレストランを実施しているところもあり、このようなサービスは特に介護付き有料老人ホームや住宅型老人ホーム、サ高住など民間施設で多く行われています。
介護やリハビリの充実度について
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士等の機能訓練指導員によってリハビリの充実度が変わってきます。
施設によって配置されている職員の人数が異なる為、どれくらいの頻度でリハビリを受けたいのか、またどこまでの機能向上を目指しているのか、を考えた上で必要に応じて老人ホームを選ぶことが大切です。
また入居者1人に対してスタッフの人員配置が何名体制なのかといった点も重要です。 手厚いサポートを求めている人はこのような観点で施設を選ぶ必要があります。
良い老人ホームの見分け方

良い老人ホームの定義は人それぞれですが、以下の見分け方を参考に、良い老人ホームを探すこともおすすめです。
- 身体機能や入居目的に合った設備か
- 手すりが必要な場所に設置されているか
- 居室や廊下は車椅子でもスムーズに移動できる広さがあるか
- 居室内のお風呂や特殊浴槽が設置されているか
- トイレの広さを確保し、手すりなど安全面に配慮されているか
- 古くなった設備は修繕されているか
- 入居後の状態を見据えた介護体制か
- 介護職員が常駐しているか
- 介護職員は有資格者か
- 外部の介護サービスを利用できるか
- 医療体制が整っているか
- 看護師が常駐しているか
- 医療機関と連携しているか
- 訪問看護・訪問診療などの外部サービスを利用できるか
- 専門的なリハビリを受けることができるか
- リハビリの専門職が常駐しているか
- どのようなリハビリが行われているか
- 訪問看護・訪問リハビリなどの外部サービスを利用できるか
- 職員の態度に好感を持てるか
- 元気なあいさつができているか
- マナーを守りながら入居者や訪問者と関わっているか
- 施設長の人柄はどうか
- 明るい雰囲気か
- 入居者の表情に安心感はあるか
- 入居者と職員が良好な関わりができているか
- 老人ホームの中は賑やかで活気のある雰囲気か
安全に老人ホームで生活するためには、居室・トイレ・お風呂など日常的に利用する場所がバリアフリーに配慮した作りとなっているか確認が必要です。
また、リハビリを含めた医療体制や介護体制は老人ホームごとに違いがあり、日々入居者を支援する職員の質によって老人ホームの雰囲気が決まります。
そのため、候補となる老人ホームを見つけた際、必ず見学を行い、上記のポイントを参考に、最適な老人ホームであるか見分けましょう。
老人ホーム見学時のポイント

老人ホームを選ぶ上で見学にいくことが重要です。ここでは、見学時の注意点を紹介します。
人の多い昼間の時間帯に行う
昼間の時間帯は滞在しているスタッフの数が多いため、どんなスタッフが在籍しているのかを把握することが出来ます。またホーム長などの役職者と、実際に顔を合わせて話をすることも重要です。
施設までの道のりを歩き、訪問者の労力などを考える
バスや電車を利用して面会に行くことを想定した場合、バス停や駅からのアクセスを実際に確認することが大切になります。距離は短くても、坂道や交通量の多さ等で面会が難しいといった可能性もある為です。
スタッフの働く様子や入居者の表情などを確認する
入居者への言葉遣いは丁寧かどうか、座っている方に話しかける際は座って視線を合わせているか、入居者へ向ける表情は柔らかいか等、細かいところまでチェックしましょう。
普段の対応が無意識のうちに表れる為、スタッフが入居者を大切に考えているかどうかを把握することが出来ます。
献立の確認やレクリエーション・イベントの頻度を聞いてみる
生活の質を落とさないために、食事内容やレクリエーション・イベントは大きな判断材料となるでしょう。 他者とのコミュニケーションを図るきっかけにもなる為、孤独感の解消や認知症の予防に繋がります。
状態に合わせたケアを行ってくれるかどうか確認する
老人ホームでの食事には、飲み込みの状態によって常食、刻み食、ミキサー食、ソフト食等の様々な食事形態があります。
また治療食などと呼ばれている、糖質、塩分、カロリー制限等、疾病に応じた食事が用意されていますが、これらは施設によってどこまで用意できるか基準が異なります。
さらに身体機能の低下が心配な方は、リハビリをどの程度行ってもらえるのか等、個別に確認が必要です。
【5ステップ】老人ホーム探しの流れ

まずは老人ホームの選び方を5つのステップに分けてご紹介します。
ステップ1:老人ホームに何を求めるか考える
まず、老人ホームを探そうと思ったきっかけを考えましょう。
例えば、鍋を火にかけたまま忘れることがあった、夜中に徘徊がみられるようになった、排泄を失敗してしまうことが増えてきた等の行動がみられる場合、見守りや介護の必要があると考えられます。
そして、それが訪問介護や通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)等を利用しても解決しないのであれば、老人ホームの検討をお勧めします。
ステップ2:希望の条件を整理し、優先順位付けをする
施設入居に関して求める条件をまとめておくことが大切です。
ただし、自分が希望している全ての条件を満たす施設を見つけるのは容易ではない為、優先順位を付けて整理すると良いでしょう。
具体的には、まず以下の条件を一つずつ整理します。
- 入居後の医療体制
- 入居後の生活スタイル
- 入居にかかる費用
- 入居する時期
- 老人ホームの立地
全ての条件を整理した後、老人ホームの生活に求める希望を踏まえた上で、入居者本人・家族が話し合いながら優先順位をつけることが望ましいです。
このように、希望の条件を整理した上で優先順位をつけることにより、選択肢の幅が広がり、より効率的に老人ホームを探すことにつながります。
しかし、優先順位をつけたとしても、急に変わることもあるため、入居者本人・家族がしっかり話し合いつつ、場合によっては優先順位を変更するなど柔軟に進めましょう。
ステップ3:条件に合う老人ホームを探す
前述のとおり、まずは立地、費用、医療体制さらには食事内容やイベント等、希望する条件に合った施設を探します。さらに、入居の目的や、入居期間等、各施設によって入居できる条件は異なる為、まずは要介護度等の入居条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。
一時的に老人ホームを利用したいのか、終の住処としたいのか、現在の生活に不安があるのか、将来の為に老人ホームを探しておきたいのかなど、目的を明確にしておきます。
情報収集はインターネットがお勧めです。その場にいながら簡単に資料請求を行うことが出来、比較も容易です。
インターネットが苦手な場合は、自治体によっては老人ホームの一覧が用意されていたり、広報誌に情報を載せていたりする場合があります。
その他、担当のケアマネージャーがいれば情報をもらったり、近所の方に聞いてみたりするのも良いでしょう。 多くの情報を集めて、比べてみることが大切です。
ステップ4:老人ホームを実際に見学する
清掃は行き届いているかどうか、施設スタッフの対応はどうかによって、スタッフの知識やスキル、力量を確認することが可能です。
また、スタッフ間の協力体制が整っているかどうかを実際に目で確認することで、連絡漏れや人間関係を原因とする、重大なミスや事故を防ぐことが出来ます。
見学時には施設設備や入居者ばかりではなく、スタッフ同士の会話などにも目を向けてみましょう。
ステップ5:老人ホームの体験入居をする
老人ホームの体験入居とは、入居金などの初期費用を必要とせず、一定期間入居できるものです。 実際に入居してみることで、施設の雰囲気や他入居者との人間関係等、老人ホームに合うかどうかを本人が体感することが出来ます。
体験入居は多くの有料老人ホーム等で実施しており、見学ではわからなかった部分が具体的に把握出来る為、契約をする前にお試しで入居してみることは大きな意義があります。
老人ホーム選びでよくある失敗

老人ホームを始めは気に入って選んだとしても、入居してから失敗だったと間違いに気付くことがあります。 ここでは、よくある3つの失敗例についてご紹介します。
その場で気に入って即断
老人ホームを即断即決することは大変危険です。比較検討することで思っていたのと違ったというリスクを軽減することができます。
例えば、私物の持ち込みが出来る、長年の趣味を続けることが出来る、定期的に運動の機会が作れるなど普段の生活では出来て当たり前のことでも施設のルールで禁止されている場合もあります。
長年生活するかもしれない生活の場で、行動が制限されることは大きなストレスになり、認知症や身体能力の低下を招く結果にもつながります。
その為、施設において生き生きと生活が出来るように、費用面のみで選ぶのではなく、複数の施設を比較検討することが大変重要です。
家族と本人の話し合いが不十分
入居後も家族との交流を考慮するのであれば、上記で述べたようなアクセスなどのポイントを押さえておくことが大切でしょう。
また入居にあたっては保証人等を相談しながら進めていくことが大切ですが、独断専行で入居を進めてしまった結果、家族関係に亀裂が入ってしまうケースもあります。
ここからは実際にあったケースをご紹介します。
家族が入居対象となった父の思いを汲んで老人ホームを探していましたが、希望する老人ホームへの条件が多く、なかなか老人ホームを決められずに時間がたってしまったケースです。
父を自宅で介護をすることが困難になった家族は、本人の希望を無視して独断で老人ホームの入居手続きを進めてしまいます。入居当日、訳もわからず連れて来られた対象者は、事態を知って激怒。 施設内で物を壊したり、スタッフに当たるなど大暴れし、自分は捨てられたと思い込み、家族との仲は悪くなってしまいました。
「入居時費用0円」のみの情報で判断
入居時費用が0円という点だけで入居を決めてしまい、毎月のコストなどが負担に繋がり、最終的には退去してしまうケースもあります。
入居する期間が長くなる場合、契約時に入居一時金を支払い、月額費用を低く設定したほうが合計の支払金額が安くなる場合もあります。 「入居時費用0円」という情報のみで判断すると、結果的に支払総額が高額になり、住み続けることが出来ないこともあるのです。
また「入居時費用0円」であるとしても、施設ごとの月額費用の設定金額等によっては、払いきれない高額の費用を請求されることもあります。
施設に直接、入居一時金と月額費用がどれくらいなのかを確認し、無理のない範囲で老人ホームを選ぶことが大切です。
前述してきたように、老人ホームを選ぶ際は複数の施設を比較検討することが大変重要となります。 立地や費用、必要な介護医療サービス、希望する生活等の条件を整理し、見学や体験に行った上で、老人ホームを決定するようにしましょう。
重要事項説明書で比較検討するのも大切
老人ホームに入居する際、重要事項説明書という書類に目を通すことになります。契約上の大切なことを説明する義務があり、これを重要事項説明といい、その時に使用する書類が重要事項説明書です。
重要事項説明書には、老人ホームの事業概要や職員体制、サービス内容や利用料金などが記載されており、老人福祉法第29条に基づいて老人ホームから都道府県への提出が義務付けられています。
入手手段は、施設や自治体のホームページからダウンロードする方法があります。
ホームページ上にない場合には、施設に直接問い合わせをしてみてください。 施設の壁面等に掲示してあったり、入居相談や閲覧の要請をすれば提示してもらうことが出来ます。
実際の施設からの説明時には口頭で補足を行うこともある為、メモを取るなどして情報を出来るだけ残しておくことが大切です。
重要事項説明書は、事業主体概要や施設・事業所概要など、施設は違っても記載してある基本項目は同様の為、複数の老人ホーム選びで迷っている際は比較に大変役立ちます。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。