老人ホームで行われるレクリエーションとは?種類や内容について紹介
- 2024年10月04日 公開

老人ホームでは、どのようなレクリエーションが行われているかご存じですか?レクリエーションを行うことで、入居者は様々な効果を得ることができます。ここでは老人ホームで行われるレクリエーションについて、種類や内容についてご紹介します。
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目次
老人ホームで行われるレクリエーションの種類とは?
老人ホームで行われるレクリエーションには、大きく分けると4種類のものがあります。 ここでは、それぞれの内容についてご紹介します。
脳を使うレクリエーション
脳を使ったレクリエーションを行うと脳が活性化され、認知症を予防したり、進行を遅らせたりする効果があります。
老人ホームの生活では、脳を使うことが少なくなっている為、問題を解く等の考える力を使ったレクリエーションはとても大切です。 身体を大きく使った動きがないため、身体機能が低下した方でも周りに気を遣わず、気軽に参加することが出来ます。
身体機能が低下した方や、体を動かす事にハンデのある方なども周りに気を遣わず、気軽に参加することが出来ます。
耳の遠い方には紙に書いた問題を解いてもらう方式をとったり、目の見えにくい方には口頭で問題を出したりするなどのサポートが行われます。
身体を動かすレクリエーション
身体を動かすレクリエーションには、身体機能の維持・向上を図る効果があります。 老人ホームで生活している入居者は、高齢化や運動機会の減少によって身体機能が低下することが課題の一つです。
そして、身体機能の低下が進み、自分の身体が思うように動かなくなることで、意欲の低下、そこからさらに身体を動かす機会が減り、精神的に落ち込んだりといった負の連鎖を引き起こすことがあるのです。
身体を動かすレクリエーションを行うことによって、一人での運動は気が進まない方でも、意欲的に楽しんで身体を動かすことが出来ます。
ある程度自分の力で身体を動かせる方が対象ですが、人によっては身体に麻痺があったり、関節の可動域が狭くなっていたりする場合もあるため、一人ひとりの状態に合わせて無理のないよう、スタッフがサポートを行います。
指先を動かすレクリエーション
指先を動かす細かな作業等のレクリエーションは、脳を使うレクリエーションと同様、脳の活性化に効果があります。 また文字を書いたり、作品を作ったりする作業をすることで、思い思いの物を作ることが出来、表現する楽しさを感じられます。
完成した作品は壁に張ったり、自分の居室に持ち帰って作品集として保管したりすることで、老人ホームで過ごした思い出にもなります。
握力が弱くなっていたり、目が見えにくくなっていたりする場合は、スタッフが出来ること、出来ないことを見極めて、楽しんで作業ができるよう手伝いをします。
リラックスするためのレクリエーション
老人ホームで暮らしていると、家族に会えない、思うように身体が動かせない、他の入居者の目が気になる、等と何かしらのストレスを抱えていることが多いです。
リラックスするためのレクリエーションでは、そのようなストレスを解消する効果があります。 日々の不安や寂しさから解放されることで、高齢によって失われてしまった自尊心を取り戻すことが出来、老人性うつや落ち込み等の予防にも期待できます。
このレクリエーションは、自立の方から寝たきりの方、認知症の方まで、すべての方が参加することが可能です。 老人ホームで安心して過ごせるように、入居者の気分や体調、体力に合わせてスタッフが時間や回数を調整します。
老人ホームで行われるレクリエーションの内容

ここでは前述した、脳を使うレクリエーション、身体を動かすレクリエーション、指先を動かすレクリエーション、リラックスするためのレクリエーションの4種類について、内容と対応可能な施設種別をご紹介します。
脳を使うレクリエーション
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なぞなぞ
スタッフが入居者の前に立ち、なぞなぞを出して分かった方から早当てをします。 わいわいとみんなで盛り上がるゲームに参加するのをためらう方でも、知的なゲームであれば、積極的に楽しむことが出来ます。 答えを考える力や瞬発力を鍛える効果もあります。 -
ゲーム
ペアになって将棋やオセロ、トランプなどの対戦を行います。 昔遊んだゲームを行うことで、懐かしい経験を思い出すことが出来ます。トーナメント方式等で勝ち抜き戦を行うと、本気度が増し大変盛り上がります。
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クロスワードパズル
紙に書いてあるクロスワードパズルをそれぞれ自分のペースで解いていきます。 勝ち負けがないため、羞恥心を植え付けてしまう恐れが少なく、また人数や場所を選ばない為、他者とのコミュニケーションが得意でない方も行うことが出来ます。
このようなレクリエーションはサービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム等で、認知症の軽い方が多い施設で行われています。
身体を動かすレクリエーション
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ラジオ体操
テレビやスタッフの動きを見ながら、大きく身体を動かします。 ラジオ体操であれば知っている方も多いため、自然と身体を動かすことが出来ます。
さらに座ったままでも行えるため、車いすを使用している方やふらつきのある方でも安全です。
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風船バレー
風船をバレーボールに見立て、ビニールテープや仕切りの反対側にいる相手チームに、ポンポンと風船を送り返すゲームです。
風船なので当たっても痛くなく、怪我の可能性は低いです。 両手だけでなく、両足、頭、胸など身体のどこを使ってもOKです。 自分の方へ飛んでくる風船を見て、自然と身体が動いてしまいます。
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合唱会
昔流行った有名な歌謡曲や童謡などを歌詞カードに書いて配り、みんなで合唱します。 昔歌った歌を思い出して脳を活性化させたり、大きな声で発声することによって心肺機能を向上させたりと、様々なメリットがあります。
これらのレクリエーションは、車椅子の方や認知機能の衰えている方なども参加しやすく、比較的介護度の高い方が在籍している有料老人ホームや介護付き有料老人ホームのような施設でも行われています。
指先を動かすレクリエーション
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ちぎり絵
和紙や折り紙をちぎり、季節に合った作品を作ることで指先の運動になります。 入居者の身体機能によっては、紙をちぎってもらい、それを他の方に貼ってもらうなどして一人ひとりにあった工程を考え、役割分担を行うことで責任感を持ち、皆で完成させることで連帯感や達成感を得られます。
また、芸術に自身のない方には、あらかじめ下書きを作成しておき、塗り絵のように色紙を重ねていくなどの工夫もされます。
ちぎり絵は季節感を味わうことが出来、さらに指先を使った細かい作業をすることで脳の活性化にも役立ちます。
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習字
筆を使って半紙に様々な文字を書いていきます。集中力を養う事でリハビリ効果が得られ、認知症予防にも効果的で学習療法の一つとしても用いられます。
集中して、それぞれ自分の好きな言葉を書いたり、今年の目標を考えて発表することで自分自身と向き合う機会になります。
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塗り絵
塗り絵は、本やプリントに描かれている絵に色を塗ります。 選ぶ絵柄や、選ぶ色、使用する道具でそれぞれの個性が出る為、スタッフや他の入居者と話すきっかけにも繋がります。
これらのレクリエーションは、スタッフがサポートすることによって、様々な方が行えるため、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅等、施設種別を問わず多くの施設で行われています。
また、老人保健施設などではリハビリの一環としても行われています。
リラックスするためのレクリエーション
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日光浴
日光浴には様々な効果があり、15分から30分程度行うことで、セロトニンの分泌によるストレスの軽減や、ビタミンD の生成による免疫力の向上などの効果が得られます。
散歩に出て身体を動かしながらでも、カーテン越しにのんびりと日光を浴びるだけでも効果があるため、誰でも簡単に行うことが出来ます。
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アニマルセラピー
動物介在活動ともいわれており、犬や猫などの動物と触れ合うことで癒しの効果が期待できるといわれています。
老人ホームでペットとして飼っていることもありますが、大半は専門の団体等が出張で老人ホームに赴き、サービスを行うことが多くあります。
動物は基本的なしつけがされているため、怪我等の心配が少なく安全に触れ合うことが出来ます。 動物好きの方や、自宅でペットを飼っていた方は大変喜ばれます。
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入浴
入浴することは身体がポカポカと温まり、高いリラックス効果が得られます。 入浴する事で副交感神経を優位な状態にし、疲労回復やリラックス効果を得られます。
入浴剤やバラなどの生花、アロマオイルを入れることで香りを楽しむことが出来、落ち着いた空間を作り出すことが出来ます。 また、クラシックやオルゴールの音色などを流しても、リラックスが期待できます。
柚子や菖蒲等を使った季節風呂もあり、季節感を演出することも出来ます。 これらのレクリエーションは、身体機能や認知症などを問わず行うことが出来るため、施設種別関係なく、どの施設でも行われています。
老人ホームのレクリエーション開催頻度・時間

レクリエーションの内容や施設によって開催の頻度や時間は異なります。 ここでは開催頻度と時間についてご説明します。
老人ホームのレクリエーションの頻度
施設によって異なるものの、体操やストレッチなどの簡単に身体を動かすレクリエーションは基本的に毎日行われています。
反対に、クラブ活動での制作をしたり、専門家を招いて行うレクリエーションに関しては、週に1〜2回程度行う施設が多いです。
老人ホームのレクリエーションの時間
レクリエーションは内容によって、また施設ごとに開催時間が異なります。そのため、この章では一例をご紹介します。
とある施設では身体を動かすレクリエーションは午前中に行い、手や頭を使うレクリエーションは午後から行うことが多いです。 身体を動かすレクリエーションを午前中に行うことで1日の始まりを意識し、また適度な疲労感や刺激を感じることが出来ます。さらに、運動をすることで血行が良くなり、食欲増進にもつながります。
そして、午後は手や頭を使ったレクリエーションを行うことで、夜の就寝に向けて気分を落ち着かせてゆったりと過ごすといったサイクルがあります。
適度な疲労感とゆったり感を取り入れることで、良い睡眠が得られ、健康的な生活サイクルを送ることが可能になります。
老人ホームのレクリエーションは誰が行うの?

ここでは、老人ホームで誰がレクリエーションを行うのかについてご説明します。
基本的に特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護付き有料老人ホーム等の自施設で介護サービスを提供している老人ホームでは、その施設のスタッフが行います。
一方、サービス付き高齢者住宅、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム等の介護サービスを提供していない老人ホームでは、レクリエーションを行っていないこともあります。
そのため、併設のデイサービスや、外部のデイサービス等を利用し、利用する施設の職員がレクリエーションを行うことが多いです。
また華道、茶道、音楽セラピー、アニマルセラピー等、専門的な技術が必要なレクリエーションに関しては、専門家や師範等を外部講師として施設に呼ぶこともあります。
最近のレクリエーションの傾向をご紹介します!
近年では、既存のもの以外に様々なレクリエーションが生まれています。
例えば、AIを導入したレクリエーションでは、センサーカメラに映っている画像から人間の骨格を認識し、骨格の動きをモニター画面で確認しながら、その画面の中にいるような感覚で運動を行う機械が開発されています。
またレクリエーションの機能を搭載した介護ロボットでは、ロボットの言動に合わせてダンスや体操、歌を歌うことが出来ます。
さらに2010年代にはレクリエーション介護士という資格が出来、レクリエーションに特化したスキルを身に付けた介護職員が増えています。
入居者とのコミュニケーション能力やレクリエーション知識、その実行スキルを身につけている為、入居者それぞれに合わせたレクリエーションを実施することが出来ます。
施設を探す際にレクリエーションを重視するのであれば、このようなレクリエーションの取り組みについて確認してみてもいいかもしれません。
定期的なレクリエーションにはこんな効果も!

レクリエーションを行うことで、様々な効果が期待でき、健康的な老後の生活を送ることが出来ます。 ここでは、その理由についてご説明します。
脳機能を促進することで老後の生活を健やかに過ごせる
認知症を発症すると、理解力の低下、記憶障害、見当識障害、失語、失行、失認、幻覚、物取られ妄想、抑うつ、意欲低下さらには徘徊、興奮などの行動がみられることがあります。
レクリエーションなどで脳を使ったり、刺激が与えられることで認知症の予防もしくは進行を遅らせることが可能です。 脳機能を促進することで、認知症を防ぎ、心の健康を保つことが出来ます。
身体機能の回復を図ることで日常生活を不自由なく過ごせる
身体機能が低下すると、転倒しやすくなったり、車いすの生活になったりと身体が思い通りに動かせなくなり、食事や排泄、入浴など身の回りのことが出来なくなっていきます。 その分不自由を感じることが増え、落ち込みやストレスに繋がる可能性があります。
レクリエーションを行うことで、身体機能の維持や向上を図り、健康な身体を保つことが期待できます。
周りとコミュニケーションを取ることでいつまでも若々しく過ごすことができる
レクリエーションを行うことで、自然と他の入居者やスタッフと会話が生まれ、孤独感を解消することが出来ます。
昔の経験を思い出し、楽しかったこと、苦労したこと等、他者と思い出話に花が咲き、自宅や家族から離れて暮らす老人ホームの入居者にとって、新たな生活の場を作り出すきっかけにもなります。
コミュニケーションが活性化されることで笑顔も増え、身だしなみに気を付けたり、他者への思いやりを保ち、若々しく過ごすことが出来ます。
日々の生活にメリハリをつけつつ楽しむことで、生きがいとしてとらえることも出来る
老人ホームでの生活は、外に出たり、人と会ったりする機会が減り、単調な生活に陥りやすくなります。 そこでレクリエーションを行うことで頭や身体を使ったり、反対にリラックスをすることで日々の生活にメリハリが出ます。
また空調の効いた老人ホームでは外の気温や風の匂い等も感じにくくなりますが、季節に合わせたレクリエーションも行われるため、春、夏、秋、冬、と四季の移り変わりを実感することが可能です。
レクリエーションの際に入居者が活躍できる役割があれば、得意なことや経験を活かすことが出来、自信や生きがいにつながります。 そして楽しみが増えることで生活が充実し「QOL=生活の質」の向上につながり、老人ホームでの生活をより充実させることが可能になります。
老人ホームで行われるレクリエーションには、このように様々な効果があります。 しかし、このようなレクリエーションは決して強制されるものではなく、入居者それぞれの希望や状態、その日の体調、気分を考慮して行われるものです。
入居者が安心してレクリエーションに参加できるよう、内容や方法が工夫されています。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。