老人ホームの行事食の献立を紹介します!
- 2024年10月04日 公開

老人ホームで過ごすようになったら提供される食事がどのようなものかご存知ですか。食事は日常生活の中で楽しみの一つです。
その中でも、老人ホームには食事をもっと楽しくする取り組みとして「行事食」というものがあります。行事食とはどのようなものなのか、内容や目的についてご紹介します。
この記事の監修者
老人ホームで行事食を提供する目的について
食事は、毎日の生活の中で楽しみの一つでもあります。そして、食事はただ単に体に栄養を取り入れるだけのものではありません。
美味しさを「におい」「味」「見た目」「食感」「食べる音」など五感を使い感じ取ることで、「美味しい」「お腹いっぱい」というプラスの気持ちを感じることができます。
そんな食事に関して、老人ホームでは、毎日の食事とは一味違う特別な食事として「行事食」というものがあります。 こうした行事食を提供する理由は、いったい何なのでしょうか?詳しく解説していきます。
老人ホームにいながら季節感を味わえる
老人ホームで過ごすようになると介護度や健康状態によっても変わりますが、外に出ることが減り1日のうちの大半をホームの中で過ごすことが多くなります。
もちろん、スタッフと一緒に散歩をしたり、買い物や受診で外に出ることはありますが、ホームに入る前と比べると外に出る時間が減り、季節の移ろいを感じる機会が減少するのです。
そして、老人ホームの中は一年中快適な温度に設定されています。よって季節を肌で感じることも少なくなります。 それゆえ、老人ホームでは、食事に季節感を盛り込むことで、季節の変化を感じることができるように考えているのです。
入居者の生活を質の高いものとする
老人ホームの食事は、食の専門家がカロリーやバランス、食べやすさを考えて毎日の献立を考えています。
施設によっては栄養士が常駐しているところや、献立から調理まで業者に委託しているところもあります。
しかし、毎日同じように盛り付けられた食事にマンネリを感じてしまうこともあるかもしれません。
自宅ではおせち料理やちらし寿司、柏餅やそうめんなど、季節や行事によって食事を楽しんでいた方が、老人ホームに入ることによってその楽しみがなくなってしまったら、生活の質が低下してしまうことになりかねません。
そこで、老人ホームでは行事食を取り入れる事によって、単調な毎日に変化をもたらし、楽しみの幅を広げ、生活の質の向上を図っています。
入居者の食欲を増進させる
高齢になると、足腰など身体機能が低下してきます。足腰だけでなく、咀嚼や嚥下などの食べるために必要な機能も低下するので、食欲が落ちてしまうということがあります。
そのため、老人ホームでは、入居者の食欲の低下を防ぎ元気でいられるよう、毎日の食事を美味しく、楽しく食べてもらえるように工夫や試みをしています。
しかし、いくら美味しい食事を毎日提供されたとしても、代わり映えのしない食事では食欲が落ちることもあるかもしれません。 しっかりとカロリーや塩分などを計算された食事は、家庭で食べていた味とは違い、画一的に感じることが時にあります。マンネリと感じ、食欲がわかない時もあるでしょう。
そこで、老人ホームでは行事食を取り入れるのです。行事食はしっかりとカロリーや塩分などが計算がされ、栄養バランスの良い食事ながら見た目がよく、旬の食材を使い季節感を演出し楽しい雰囲気をアップさせることができます。
見た目にもきれいな食事をホームの仲間と楽しい会話をしながらいただけば、食欲増進効果も期待できるでしょう。
老人ホームの行事食の月ごとの献立について

「行事食」はその季節にあった食材を使い季節を感じることができるメニュー、季節ごとの年中行事に合わせた食材で作ったメニューなどの、特別な食事のことを指します。
主に、日本で古くから受け継がれてきた、伝統的な食事です。 1月から順番に主な行事食の例をご紹介します。
1月:年始の空気感じるお正月の定番料理
1月は行事食の多い月です。 お正月はなんといっても、年始のお雑煮から始まり、食材豊富なお節料理も提供されます。
次に、七草粥、鏡開きのぜんざい、小正月、もしくは二十日正月にあづき粥などを提供する老人ホームもあります。
2月:節分にちなみ、豆まきをしながら食べる巻物
2月の大きな行事は節分です。 職員が鬼に扮して「鬼は外、福は内」の掛け声とともに、入居者の皆さんが豆を巻く、というホームもあります。
そんな楽しみを感じながら、恵方巻きをいただくのが定番です。 初午(はつうま)には、稲荷寿司や初午団子が出されます。
3月:桃の節句、ひな祭りには白酒を少々
桃の節句の定番料理といえば、ちらし寿司とハマグリのお吸い物。楽しみの一つとして ひなあられや白酒が少々提供される場合もあるようです。 お彼岸には、ぼた餅を職員と一緒に作るイベントが催されるホームもあります。
4月:日本人の大好きなお花見にちなんだお弁当
桜の季節の大きなイベントはお花見です。季節の食材で作られたお花見弁当。外で食べる食事は格別の楽しみとなっています。 花祭りには、甘茶を飲むことで無病息災を願います。
5月:縁起の良い柏餅と災いを除けるちまき
子供の健やかな成長を願う端午の節句には、柏餅をいただきます。災いを除ける意味合いの、ちまきを提供するホームもあります。
6月:「夏越の祓」の和菓子とごはん
6月30日は夏越の祓(なごしのはらえ)と言われる、一年の折り返しに、年の前半の穢れを祓う行事があります。 この日は「水無月」と呼ばれるういろうの上にあずきを乗せた和菓子と雑穀とかき揚げの丼「夏越ごはん」が提供されるところがあります。
7月:七夕飾りを見ながら、そうめんで涼をとる
七夕飾りを見ながら、天の川に見立てたそうめんをいただきます。暑い季節に冷たいそうめんで食欲増進を図ります。
8月:お盆に欠かせない団子と土用の丑の日のうなぎ
土用の丑の日にはウナギを使ったメニューが提供され、夏を乗り切るためのスタミナをつけます。
9月:秋の気配感じる十五夜のお月見団子、お彼岸のおはぎ
ススキと月見団子をお供えして一年で一番美しいと言われる「中秋の名月」を鑑賞し、お団子をいただきます。秋の七草粥が提供されることも。 秋の彼岸には、おはぎを作る老人ホームもあります。
10月:ハロウィンにちなんでカボチャを使った料理
カボチャのポタージュやグラタンなどが提供されます。普段のカボチャは、和風の煮付けなどで提供されますが、行事食は普段とは違う趣でハロウィンとのコラボレーションを考えるホームがあります。
11月:七五三を祝っての千歳飴
江戸時代からの日本の伝統として受け継がれてきた七五三。千歳飴は「細く長くいつまでも健康で長生きしてほしい」という意味の縁起物です。 入居者の皆さんが、元気で長生きしてほしいという願いを込めて、千歳飴を配ります。
12月:キラキラ目にも楽しいクリスマスメニューと大晦日の年越しそばで一年の締めくくり
クリスマスには定番のチキンとケーキが提供されます。 そして、大晦日の夕食はなんといっても、年越しそばが欠かせません。栄養バランスを考えて、鴨肉や鶏肉がトッピングされているところもあります。
各老人ホームが実際に提供している行事食の例について
季節やイベントごとの行事食といっても、老人ホームによって見た目や味付けはさまざまです。食のスペシャリストである栄養士がそれぞれのホームに配置されていることもあり、趣向を凝らした献立を考えているのです。
特色のあるメニューを考えて、さらに楽しみを感じてもらおうと工夫しているホームもあります。
本物の竹を使った流しそうめんを提供している老人ホームがある
夏の風物詩である流しそうめんを取り入れているホームがあります。その中で、施設によっては竹を切り出し、流しそうめんのための準備をするそうです。
準備段階から入居者が参加でき、食べるまでの期待感も食欲増進のために一役買っています。
出前を取り入れている老人ホームがある
老人ホームに入居しても、時には出前を取りたいという希望があるそうです。土用の丑の日などに、美味しいと評判の鰻店から出前をとってくれるホームがあります。
そのほかにも、ひな祭りなどのちらし寿司を出前のお寿司に変更したり、入居者の要望に臨機応変に対応するところもあります。
まとめ
終の住処として老人ホームへの入居を考えられている方にとって、毎日の食事や行事食は、老人ホーム自体の満足度を左右する大切な要素の一つとなります。
そして、一口に行事食といっても、食のニーズが多様化している現代では、バラエティ豊かなメニューをそれぞれの老人ホームが考えて提供しています。
また咀嚼や嚥下能力の低下した利用者に対しても食べやすくする工夫もされています。 老人ホームを選ぶ際、選定の基準に「食事」を加え、特に各ホームが力を入れている「行事食」に注目してみてはいかがでしょうか。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。