グループホームのメリットとデメリットをご紹介します!
- 2024年10月07日 公開

数ある高齢者施設の中で、グループホームは認知症高齢者に特化した介護施設です。この記事では、グループホームの目的や入居条件をはじめとして、メリットとデメリット、グループホームに向いているのはどのような人なのかを解説します。
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グループホームとは?
グループホームは認知症高齢者が共同生活を送る地域密着型の介護施設で、介護保険の制度では「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれます。
ここでは、グループホームの運営目的とサービス内容、入居条件などを解説します。
グループホームの運営目的とサービス内容

グループホームでは、施設内で5〜9人の利用者が1つの生活単位(ユニット)に分かれて共同生活を送ります。1つの施設で設置できるユニットの数は2021年度改正から3つ以下までと決められており、ユニットごとに共有のリビングを中心に居室や浴室、キッチンなどが配置されています。
入居者は掃除や洗濯、調理などを自分ができることは自分で行い、できないところは介助を受けながら日常生活を送ります。少人数の家庭的な環境の中で、できることを分担して共同生活を送ることは、認知症の症状の緩和や進行を遅らせる効果があるといわれています。認知症になったら何もできなくなるというわけではありません。
残されている能力をしっかりと発揮できるサポートを行い、認知症の進行を予防することがグループホームの大きな役割といえます。
さらに、入居者だけをサポートするのではなく、これまでの認知症ケアで培った経験や強みを生かして、地域住民を対象とした認知症カフェや認知症サポーター養成講座の開催など、情報発信や在宅介護を支える活動も行っています。
グループホームの入居条件

グループホームは認知症高齢者を対象とした施設のため、入居するには医師から認知症の診断を受ける必要があります。入居できる年齢は原則65歳以上で、要支援2、あるいは要介護1以上の方が対象です。
ただし65歳未満でも、介護認定を受けていて「初老期認知症」や「若年性アルツハイマー型認知症」と診断された方は入居できる可能性もあります。
また、地域密着型の施設であることから、入居希望者が施設と同じ地域に住民票を持っていることも条件の1つです。
グループホームの費用

グループホームの入居に必要な費用は、おもに「初期費用」と「月額費用」の2つです。それぞれの内訳について解説します。
初期費用
初期費用として、入居時に「保証金」もしくは「入居一時金」を支払う必要があります。国が定めた基準がないため施設によって金額に差はありますが、おおよその目安は0〜20万円です。
月額費用
月額費用の内訳は、「日常生活費」「介護サービス費」「サービス加算」です。
「日常生活費」は、居住費・食費・水道光熱費・雑費(オムツ代、理美容代、レクリエーション費など)です。介護保険適用外のため全額自己負担(実費)で、月額10〜20万円が一般的な金額です。
「介護サービス費」は、入浴介助や排せつ介助などの介護サービス利用時に発生する費用のことです。介護保険が適用されるため、所得に応じて1~3割の自己負担が発生します。
「サービス加算」は、施設がサービス体制をとくに強化した場合に加算して請求されます。
サービス加算には専門的なサービスの提供や介護スタッフ数の増員など多数の項目があり、その詳細は施設によって異なります。
グループホームのメリットとは?

ここでは、グループホームに入居するとどのようなメリットがあるのかについて解説します。
認知症のケアに関して専門的な知識や経験がある介護職員がいる
認知症の方に対して、叱ったり否定したりするといった間違った接し方をすると、症状が悪化してしまいます。自分を否定され、受け入れてもらえないことはとても辛いことであり、それは認知症の方でも同じです。
グループホームでは、認知症の専門的な知識と介護経験のある職員が常駐し、認知症の方に寄り添ったケアを行っています。
入居者の状態を把握した適切なケアは、興奮や不眠、異食などの症状を緩和し、脳の萎縮などの進行を遅らせる可能性があります。
有料老人ホームより安い費用で利用できる
民間施設である有料老人ホームは、高級ホテルのような豪華な施設もあるなど施設の設備やサービスの充実度などにより初期費用の金額が0〜数億円と大きな開きがあります。
その点、グループホームの初期費用は0〜20万円が相場のため、安い費用で利用できることがわかります。
入居者の人数が少なく、コミュニケーションが取りやすい
認知症の方には、環境や人の変化に対応しづらいという特徴があります。入居者数が多い施設では入居者やスタッフの入れ替わりが多いため混乱を起こし、認知症の悪化につながる可能性があります。
それに対して少人数制のグループホームは人の入れ替わりが少ないため、顔なじみの関係となってコミュニケーションが取りやすく、落ち着いた環境で日常生活を過ごせます。
長年住んでいる地域で生活を続けられる
前述のように、入居できるのは施設と同じ地域の住民票を持つ方のみという条件があるため、利用者は施設へ入居したあとも同じ地域に長く住み続けられます。住み慣れた地域を離れる必要がないため、環境の変化が苦手な認知症の方にとって大きなメリットといえます。
他の入居者も同じ地域の住民で共通の話題なども多く、コミュニケーションが図りやすいことや、自宅から近く長年の友人や知人も施設へ訪問しやすいところも安心できるポイントです。
安心して介護を受けられる施設
グループホームは、市区町村から指定を受けて開設された地域密着型の介護施設です。法律で定められた人員体制や設備基準、運営基準など多くの基準をクリアしており、良質なサービスを提供していることが特徴です。安心して介護を受けられる点はグループホームに入居するうえで大きなメリットといえます。
地域とのつながりを感じることができる
施設の行事に地域住民が参加したり、入居者が地域の行事に参加したりと、地域と積極的に交流を図る施設も多くあります。
地域と交流を深めて身近に感じることは、入居者自身も地域住民の1人であるという安心感をもたらし、施設での生活がより豊かなものになるでしょう。
グループホームのデメリットとは?

グループホームにはメリットだけではなく、デメリットもあります。グループホームへの入居にあたり、デメリット面もしっかりと確認しておきましょう。
特別養護老人ホームより費用が高い
特別養護老人ホームは公的施設のため、入居時に初期費用を支払う必要はありません。利用者が負担するのは月額費用のみです。
居住費や食費などは利用者の収入額や課税額によって決定されるため、比較的安い費用で利用できる仕組みとなっています。
一方、グループホームは入居する際の初期費用が設定されていることに加えて、低所得の方の負担を軽減する仕組みがありません。そのため、特別養護老人ホームと比較すると費用が高くなる傾向にあります。
ただし、自治体によって低所得の方を対象とした家賃の助成制度が利用できる場合や、介護保険サービスの自己負担限度額を超えると超過分が払い戻される「高額介護サービス費」の制度が利用できることは押さえておきましょう。
定員が少ないため、入居までの待機期間が長くなる場合がある
グループホームは入居定員が少なく、すでに満床の施設が多いため申し込みをしてもすぐに入居はできません。誰かが退去しなければ空きが出ないため、待機期間が長くなり、入居できるまでに数年かかる場合もあります。
時を置かずに施設へ入居したいと考えている方は複数の施設を検討し、その中から自身の条件に合った施設を選んで申し込みするとよいでしょう。
医療依存度や介護度が高くなると退去をすすめられる場合がある
グループホームには医療・看護スタッフの配置義務がなく、充分な医療体制が整っていないことから、インスリンの注射や痰の吸引、胃ろうの管理などの医療ケアを受けることが難しい場合があります。そのため日常的に医療ケアが必要となったり、身体機能が低下して介護度が高くなったりすると退去をすすめられることがあります。
また、病気や怪我で入院した人が退院後の病状によって施設に戻れない場合や、看取り期になると別の施設や医療機関へ移らなくてはならないケースもあります。
施設選びの際には、医療・看護スタッフの配置数や、対応してもらえる医療ケアの内容を確認しておきましょう。
入居者同士の相性が合わない時は調整が難しい
グループホームでは少人数の同じメンバーで多くの時間を共有します。しかし、メンバー間で反りが合わないことがあっても、簡単には生活環境を変えられないデメリットがあります。
入居者数が何十人という大きな施設であれば生活するフロアを移すなどの対応が可能ですが、ユニットでの生活では環境を変えることが難しいのです。
ただし、居室は個室か準個室のため、1人で過ごしたい時には自分の部屋でプライベートな空間を確保して静かな時間を送れます。
グループホームに向いている人は?

ここまで、グループホームのメリットとデメリットを解説してきました。それでは、グループホームにはいったいどのような人が向いているのでしょうか。ここでは、グループホームに向いている人をご紹介します。
ある程度自立している人
グループホームは、介護を受けながらもある程度は自立して共同生活を送れる方を対象としている施設です。寝たきりだったり、看取りケアが必要であったりした場合は、介護度の重い方を受け入れている介護施設を選ぶとよいでしょう。
身体状態が安定している人
グループホームには医療・看護スタッフの配置義務がないため、身体状態が安定していて日常的な医療ケアを必要としない人が向いています。
医療依存度の高い方は、医療ケアが充実している施設を選ぶことをおすすめします。
共同生活を送れる人
グループホームは少人数での共同生活となるため、認知症の症状が落ち着いていて、穏やかに過ごせる方が向いています。
暴力行為や妄想、シャドーイングといった認知症の症状がある方は入居を断られる場合や、入居しても退去を求められる場合があります。このような症状のある方は、まずは病院を受診し、症状を改善させる治療を受けてから入居することをおすすめします。
費用が予算内の人
入居時の初期費用と月額費用の金額を事前にしっかりと確認し、予算内に収まる施設を選ぶことが大切です。また、施設部品の破損など思いもよらない金額が発生して支払いができなくなった際の対応法なども家族でよく話し合っておくとよいでしょう。
入居後、万が一月額費用の滞納が続いた際には退去を求められる場合があります。
自治体によってグループホーム入居者を対象とした助成制度があることも押さえておきましょう。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。