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介護離職後に生活費を確保できるのか?在宅介護での生活費や少ない費用で利用できる施設をご紹介します!

  • 2024年10月07日 公開

介護のために仕事を辞める「介護離職」を選択すれば時間的な余裕は増えますが、一方で経済的なリスクを抱えてしまう点に注意が必要です。今回は、在宅介護をした場合の生活費の例や介護離職のリスク、離職せずにサービスの検討・施設探しをする方法について解説します。

在宅介護する場合の生活費は?

まず、高齢者の一般的な生活費の内訳を確認していきます。下表の左列は、総務省統計局による「家計調査(2021年)」をもとに65歳以上の単身者の生活費をまとめたものです。

 

65歳以上の平均

要介護1

要介護5

要介護5かつ
喀痰吸引あり

介護サービス費

-

16,692

36,650

36,650

医療費

8,765

8,765

8,765

23,816

食費

40,695

40,695

40,695

40,695

日用品費

6,769

6,769

6,769

6,769

雑費

27,990

27,990

27,990

27,990

1カ月の生活費

84,219

100,911

120,869

135,920

1年間の生活費

1,010,628

1,210,932

1,450,428

1,631,040

※同居を前提に生活費の概要を紹介するため、住居関係費等は省いています。

 

旅行などの高額な娯楽費を除くと、健康な高齢者が1人で生活するためにかかる平均的な金額は8万4,000円ほど。年間では100万円前後です。それでは、介護や医療行為が必要になると金額はどのように変化するのでしょうか。

介護度による生活費の違い

介護度が高くなると、多くのサービスが必要となるのが一般的です。今回は、要介護1と要介護5の高齢者を例として介護度やサービス使用量によって月々と年間の生活費にどれほど差が出るか比べてみましょう。

いずれも介護保険の自己負担割合が1割で支給限度額までサービスを利用した場合、要介護1の高齢者は自己負担額が1万6,700円前後。一方、要介護5の場合は自己負担額が約3万6,000円と2倍以上になります。

もちろん自己負担額は介護度ではなくサービスの利用頻度に応じて変化するものですが、介護度が重いほどさまざまな援助が必要であり、支給限度額までサービスを利用している高齢者が多い傾向にあります。

先ほどの高齢者全体の平均値に介護サービスの自己負担分を加えると、要介護1の場合は月々の生活費が10万911円、年間で121万932円。要介護5の場合は月に12万869円、年間で145万428円です。

もちろん、実際はサービス費のほかにオムツ代などがかかる場合もあります。要介護者のいる家庭での平均的なオムツ代は1カ月で6,000円~1万円とされ、こちらも介護度が高いほど費用もかさむ傾向にあります。

さらに月々の費用に加えて、自宅での介護を始めるにあたり住宅の改修や介護ベッドを導入することもあるでしょう。こうした一時費用の平均は70万円とされ、大きな負担になることが予想されます。

喀痰吸引など医療行為が必要な場合

高齢者の中には、介護だけでなく医療的なケアを必要とする人もいます。たとえば、呼吸機能の低下や呼吸器疾患により自分で痰を出せない場合、医師が痰の吸引が必要と判断することもあるでしょう。

とくに寝たきりの人は医療行為が必要になる確率は高いと考えられます。そのため、必然的に先ほど紹介したような介護度の重い人ほど医療費がかかり、金銭的な負担も大きくなりがちです。

たとえば、喀痰吸引を自宅で行う場合にかかる用具と費用の例としては下記のようなものがあります。

  • 吸引機(本体)レンタル月額4,000円
  • カテーテル(50本入り)1箱3,500円
  • カテーテルの消毒液1カ月で約6,500円~1万3,000円

価格は一例ですが、これを合計すると月にかかる費用は1万4,000円~2万円程度。吸引が必要な高齢者が要介護5だった場合、介護・医療関係費を合わせた生活費は月に13万5,920円、年間では163万1,040円ほどになるということです。

介護離職後に生活費を確保できるのか?

ここまでは、在宅介護に必要な費用の例をいくつか挙げてきました。ところで、介護離職をした後も、この金額を払いながら自分の生活費を確保していくことはやはり難しいのでしょうか。

介護離職をすると主な収入源がなくなるため、最終的に介護期間が何年に及ぶか分からない中、生活費は貯蓄や要介護者本人の年金などを切り崩して支払うことになります。

要介護者と家族の貯蓄で介護費と生活費などをどうにかまかなえたとしても、貯蓄は自分の老後のためにも残しておかなければなりません。

また「自分の貯蓄は介護が落ち着いたら就職して貯めればよい」と考える人もいますが、介護離職が多いとされる40~50代の中途雇用率は20代のおよそ半分。再雇用は狭き門といえます。

このように経済基盤が不安定な状態で家族の介護を続けると、いざ介護サービスを使用したい、施設入居を考えたいというときに予算を抑えなければならず、本来必要なサービスを削らざるを得ない可能性もあります。

こうした経済的なリスクを避けるため、家族に介護が必要となっても焦って仕事を辞めることはおすすめできません。職場の休業制度などを使って時間を作り、その期間内で可能な限り介護の体制を整えましょう。

定期的な見守りや支援だけで安心して暮らせる場合は、在宅で介護サービスを導入するのもよいかもしれません。しかし、頻繁に見守りや介助が必要な場合は、施設入居も検討することをおすすめします。

少ない費用で利用できる介護施設は?

高齢者の入居施設にはいろいろな種別があり、施設形態や介護度によって費用も変わりますが、民間の施設の場合、月額は15万円~30万円程度です。「居宅介護よりお金がかかる」と感じるかもしれませんが、居住費も入れた価格と考えると割高とも言い切れません。

なによりも家族の労働時間や休息時間を確保できるため、入居のメリットは大きいといえます。しかし、やはり「入居するならなるべく費用は抑えたい」という人が多いでしょう。

そこで、ここでは介護度が高くても比較的少ない費用で利用できる施設を紹介します。

まず、介護度が要介護3以上の場合に費用面でおすすめしたいのは初期費用なし・月額7万~16万円の「特別養護老人ホーム(公的施設)」です。

特別養護老人ホームは、重い介護を必要とする人に低額でサービスを提供することが可能です。そのため入居の競争率は高く待機期間は比較的長い傾向にありますが、居宅介護よりも費用を抑えられる可能性があります。

「金銭的には少し余裕があるのでサービスを重視したい」「待機期間を短くしたい」場合は、サービス付き高齢者向け住宅や介護型有料老人ホームをおすすめします。

初期費用が0~数千万円と幅広く、月額が15万~40万円と特別養護老人ホームより高額ですが、 医療行為に力を入れているため、看護師を多数配置するなど施設ごとに人員配置やケアの充実度に特色があります。

そして、3種類の施設に共通する利点が「介護サービス費」です。自宅では介護サービスを使うほど費用がかさみますが、これらの施設は介護度ごとに月々の介護サービス費が定額となっています。

そのため「自宅で常に介護サービスを利用するのは難しい」と悩んでいる場合は、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、介護型有料老人ホームへの入居を視野に入れてはいかがでしょうか。

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介護離職をせずに介護施設を探すためには?

ここまで、介護離職の経済的なリスクと、比較的少ない予算で施設を利用するポイントを解説してきました。それでは、仕事を辞めずに施設を探すにはどうしたらよいのでしょうか。ここからは、活用できる制度や窓口について解説していきます。

介護離職の防止策を活用する

所定時間外の勤務時間の制限

原則、日雇いを除く労働者は事業主に申請を行うことで時間外労働を制限できます。一度所定時間外労働の制限を申請すると、1カ月~1年の間で労働者自身が希望する期間に適用可能です。

また、申請を行う回数に法的な制限は設けられていません。申請を行う際は、書面で制限開始希望日の1カ月前までに申請する必要があるので、申請は計画的に行いましょう。

ただし、事業主が「制限を受け入れることで業務に大きな支障が出る」と判断した場合は申請が却下されることも念頭に置いておく必要があります。

このような制度は、労働者の権利であるにもかかわらず周知されていないことも多いそうです。制度利用率が高くない職場環境では申請しにくいかもしれませんが、選択肢の1つとして知っておくとよいでしょう。

とくに「決められた勤務時間内に仕事が終われば介護の手続きなどの時間が取れる」という場合は、退職を考えるのでなく、まずは所定時間外の勤務制限を申請することをおすすめします。

なお、深夜業の場合は1回の申請で制限できる期間は1~6カ月です。また、労使協定を結んでいる企業では入社1年未満または週の労働日数が2日以下の労働者は申請できません。

介護休業・介護休暇制度

介護休業は、介護が必要な家族1人に対して通算93日まで休業できる制度です。一方、介護休暇では介護が必要な家族が1人の場合は年間5日、2人以上の場合は年間10日の休暇を取得できます。

介護休業の申請は「休業開始の2週間前までに書面で行う」と定められていますが、介護休暇は法律上「休暇取得前に事業主等にその旨を伝える」という決まりがあるのみで、希望を伝える際は口頭でもよいとされています。

介護休業を利用すれば比較的まとまった休みが取れるため、中には「親の体調が落ち着くまで休みを取って自分が介護する」という人もいるでしょう。ただし、その場合は注意しなければいけない点があります。

もちろん3カ月以内で介護が要らない状態まで回復するのが一番ですが、身体機能の低下などの理由で、休業の期限を迎えても引き続き介護が必要になるかもしれません。

こうした場合に復職が困難にならないためにも、長期休暇中は実際に介護を行うだけでなく介護認定の申請やサービスの検討などをしっかり進めていくとよいでしょう。

一方、介護休暇は時間・日単位で取ることができます。そのため、通院の付き添いのほか、平日の日中でなければ行えないケアマネジャーとの打ち合わせなどにも利用しやすい制度です。

介護休業の申請条件は日雇いを除く労働者であること。加えて任期が定められている雇用形態の場合は介護休暇を取得する日から93日後~6カ月の間も契約を継続する予定であることも条件となります。

労使協定を結んでいる事業所では、入社1年未満・労働時間が週に2日以下・申請後93日以内に雇用期間終了予定のいずれかに当てはまる人は申請できません。

介護休業給付

制度の中には、時間だけでなく給与の一部を保証するものもあります。直近の2年間に被用者期間が12カ月以上の労働者が上記の「介護休業」を取った場合、申請により「介護休業給付」を受けることができます。

休業中の賃金を保証するための制度ですが、介護休業給付が給付されるのは介護休業を取得し終え支給決定が済んだタイミング。休業中は給付されない点には注意が必要です。

介護休業給付の金額は賃金の67%とされ、介護を必要とする家族1人に対して原則1回給付されます。ただし、介護休業は最大3回に分けて取得できるため、給付もそれに準じて最大3回まで支給可能です。

事業主を通してハローワークへ申請するケースが多いですが、必要書類を揃えて費用者本人が申請することも可能です。申請方法の詳細や必要書類については、窓口となっているハローワークに確認してみましょう。

介護の相談窓口を利用する

ここまで紹介した制度を活用して時間ができたら、家族の介護をしながらどのような援助が必要なのか確認することをおすすめします。できることやできないことを把握すれば、その後の相談が進めやすくなるでしょう。

どのような点に困っているのかがはっきりとしてきたら、介護サービスの利用も検討しましょう。まだ介護認定を受けていない段階でも、居住地を管轄する地域包括支援センターが相談窓口になります。

また、介護認定を受ける予定であれば市役所等の高齢者福祉・介護保険の窓口でも申請方法などについて相談できます。すでに介護度を持っている場合には担当のケアマネジャーに相談してください。

そのうえで、担当者の助言も得ながら必要なサービスや予算内で入居できる施設について情報収集をしていくことをおすすめします。

安心介護紹介センター

上記の相談窓口は自治体ごとの制度面や担当地区ごとの相談窓口としては最適です。ただし、主な対応時間は平日の日中のみとしている場合も多く、相談するタイミングを作りにくいという場合もあるでしょう。

もし「休日に施設探しをしたい」「仕事中は電話もゆっくりできない」という場合は、ケアマネジャーや行政の窓口と合わせて、ぜひ施設探しのオンライン相談が可能な「安心介護紹介センター」もご活用ください。

安心介護紹介センターは、全国の介護施設を紹介する無料サービスです。予算や条件から施設検索ができるほか、介護現場での経験を持つスタッフが電子メールや電話を通じたオンライン相談も行っております。

広い地域の施設情報が揃っているため「自宅の周辺だけでは最適の施設が見つからなかった」場合も、少し検索範囲を広げて候補の施設を探すことができるはずです。

どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ

満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。

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