高齢者でも融資を受けられる、リバースモーゲージとは?その仕組みや利用条件などをご紹介します!
- 2024年10月07日 公開

老後の資金源として注目されている「リバースモーゲージ」。高齢者でも融資が受けやすいローンとして知られていますが、どのような仕組みになっているのでしょうか。
今回は、リバースモーゲージの仕組みやメリット・デメリット、契約の流れなどを解説します。
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リバースモーゲージとは?
たんに「モーゲージ」といえば、不動産を担保にした住宅ローンを指します。
それでは、リバースモーゲージは一般的な住宅ローンと何が違うのでしょうか。
たとえば住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、購入した建物・土地を担保として金融機関などからお金を借ります。その後は元金に利息を加えた額を定期的に返済しなければなりません。
万が一、途中でお金を借りた債務者が亡くなったり、重い障害を負ったりしたことで返済ができなくなった場合は、団体信用生命保険を利用して残っていたローンを完済するのが一般的な方法です。
しかし、経済的な理由など返済が滞っても団体信用生命保険が適用されないケースもあります。こうした場合は担保となっていた建物や土地が差し押さえられ、強制的に売却されたお金が返済に充てられます。
リバースモーゲージの場合も自宅を担保にする点は同じですが、大きく異なるのが「担保の売却が前提である」ということです。具体的には、債務者の死亡時に自宅を処分することで元金の返済に充てる仕組みです。
つまり、元金に関しては死亡後にまとめて返済するため、月々の返済は主に利息分の金額のみとなります。
通常の住宅ローンよりも生前の負担が少ないため、すでに退職した高齢者でも利用しやすい制度といえるでしょう。
リバースモーゲージの利用条件は?

ここまでは、リバースモーゲージの概要と住宅ローンの違いについて簡単に解説してきました。
便利な制度に思えますが、利用するためにはどのような条件を満たしている必要があるのでしょうか。
年齢に関する条件
リバースモーゲージに申し込める年齢は、一般的に55~80歳です。
ただし、リバースモーゲージは金融機関のほか社会福祉協議会などさまざまな団体が取り扱っており、商品にも複数の種類があります。
取り扱う団体や商品により対象となる年齢は変わるため、希望する商品の候補がある場合は金融機関や団体に対象となる年齢を確認することをおすすめします。
不動産に関する条件
リバースモーゲージでは最終的に自宅を処分することで元金を返済するという特性上、担保となる自宅の資産価値が重要です。
たとえば、経年による資産価値の下落率が高い建物は担保として認められないこともあります。
このような点から、担保となる不動産の条件として「一戸建て」を指定している商品が多い傾向にあります。
一方、一部ではありますがマンションを指定している商品もあるため、希望の商品があれば不動産の条件も確認してみましょう。
その他の条件
リバースモーゲージを利用すると、債務者の資産である自宅を最終的には売却することになります。
そのため、多くの金融機関では推定相続人全員の承諾を得ることがリバースモーゲージの契約条件のひとつとされています。
リバースモーゲージのメリットとデメリットは?

「もうローンは難しい」と考えていた年齢層であっても、リバースモーゲージを利用できる可能性があることが分かってきました。
それでは、実際に利用を検討した場合にはどのような利点や注意点があるのでしょうか。
リバースモーゲージのメリット
老後の資金を確保できる
老後は収入が減少傾向になる一方で、医療・介護費用や施設入居費などまとまった金額が必要になる可能性もあります。
こうした場合にリバースモーゲージを利用することで、資金面の不安解消が期待できるでしょう。
自宅に住みながら融資を受けられる
リバースモーゲージの担保にした自宅は、それまでと変わりなく住み続けられます。
そのため、住み慣れた地域での生活を続けながら必要な融資を受けられる点もメリットです。
高齢者でも融資を受けられる
金融機関のローン商品は、基本的に返済が完了するまで債務者は心身ともに返済能力を有する状態であることが前提です。
そのため、健康的なリスクが比較的高い高齢者は、申し込み条件の対象外とされることも多いでしょう。
しかし、リバースモーゲージでは元金は債務者の死亡後に返済される仕組みなので、高齢者でも融資を受けられる可能性が高いローンとなっています。
リバースモーゲージのデメリット
用途が制限されてしまう
資金面での不安解消に役立つリバースモーゲージですが、融資金の適正使用の観点から、提供している金融機関によっては使い道に制限がある場合が多い点に注意が必要です。
認められている使途には、生活資金や医療・介護、介護に伴うリフォーム費用などが挙げられます。
もし、これらに当てはまらない用途を検討している場合は、事前に使用条件を確認することをおすすめします。
売却する場合より入手できる金額が少なくなる可能性がある
リバースモーゲージでは、債務者の死亡時に担保である不動産を売却し元金の返済に充てます。
契約から売却までの期間が長ければ長いほど、経年劣化などによって不動産の価値が下がる可能性も高いでしょう。 そのため、契約時点で経年劣化なども見越して融資額が少なめに決定されがちです。
その場合、契約時点で自宅を売却して得られる金額よりも、自宅を担保に融資を受けられる金額が少ない可能性があります。
契約者が長生きした場合融資を受けられなくなる可能性がある
リバースモーゲージでは、不動産売却額を予測したうえで、その金額に収まるよう融資枠を設定します。
しかし、これはあくまでも平均寿命などから予測する数値であり、実際には想定よりも債務者が長生きする場合もあるでしょう。
こうしたケースでは、予測よりも担保となっている不動産の価値が下がる一方で、融資を受ける期間は長くなります。その結果、生きている間に融資枠を使い切ってしまうリスクが生じます。
金利の上昇により返済額が増える場合がある
ローンでは基本的に融資を受けた金額(元金)と利息の返済が必要です。その利息には「固定金利」と「変動金利」があります。前者は契約時に定められた期間は適用される金利が変わらないというものです。
しかし、リバースモーゲージは変動金利型の場合が多く、契約時には「これくらいなら返済は可能」と判断したとしても、社会情勢などにより途中で金利が上がる可能性もあります。
リバースモーゲージの利用を検討するときにやるべきことは?

実際にリバースモーゲージを利用しようと考えたとき、契約よりも先にやっておくとよいことがいくつかあります。
ここでは、前もってやっておくべきことと、その理由について解説します。
相続人と話し合う
前述のように、基本的にリバースモーゲージを利用する際は推定相続人全員の同意が必要です。そのため、前もって利用を検討したい旨を家族と話し合いましょう。
その際は、メリットだけでなく、デメリットについてもしっかり伝えることが重要です。
最終的には担保とする自宅を処分することになるため、相続財産が減ることについてはしっかりと説明し、賛同するかどうかを確認する必要があります。
現在の資産状況を確認する
リバースモーゲージは、一般的なローンより返済額が少ない商品です。とはいえ、毎月多くの金額を借りていれば、すぐに限度額に達してしまう可能性は高いでしょう。
もちろん契約時に審査はありますが、事前に現在の資産状況を把握したうえで「使用を考えている用途には実際どれくらいお金がかかるか」などを試算し、計画的に借り入れを行うことをおすすめします。
固定金利型の商品を検討する
リバースモーゲージでは月々の返済は主に金利分の金額となるため、変動金利型の商品の場合は金利の変化による影響を大きく受けることになってしまいます。
ただし、一部の金融機関では固定金利型・変動金利型のいずれかを選択できます。
こうした場合は「固定金利型」を選択することで、金利上昇による返済額増加のリスクを減らせるでしょう。
複数の金融機関で見積もりを取る
リバースモーゲージで担保となる不動産の評価額は、金融機関により差があります。また、それに伴って借り入れの限度額も変わってくるでしょう。
そのため、リバースモーゲージの利用を検討する際は複数の金融機関で見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりを比較したうえで、融資の目的や自分の資産状況に合った商品を選ぶことで無理のない借り入れができると考えられます。
自宅を売却した場合の金額を確認する
リバースモーゲージの借り入れ可能額は、基本的に自宅をいますぐ売却する場合の額より少額です。
リバースモーゲージを利用した場合にどれくらいの資金が得られるかの目安として、自宅の売却額を確認しておくとよいでしょう。
リバースモーゲージの利用方法は?

最後に、リバースモーゲージの利用手続きについて一般的な流れを簡単にご紹介します。
申請先の金融機関によって手続き方法や順序が異なる可能性があるため、実際に手続きをする場合は申請先のホームページを確認したり、直接問い合わせをしたりしましょう。
お問い合わせ
手続きの一歩目は、申請を検討している金融機関への問い合わせです。
ここでは、希望する商品の利用条件や実際に借り入れを行う場合のシステムについて説明を受け、疑問があれば解決しておきましょう。
事前審査・カウンセリング
事前審査では、現在所有している自宅がリバースモーゲージの利用条件を満たしているか否か簡易的な審査が行われます。
また、カウンセリングを通して商品の内容が自分に合っているか確認する場でもあります。
正式審査
ここまでの段階をクリアすると、事前審査よりも詳細な正式審査が行われます。審査を受けるためには本人や自宅に関する資料を作成する必要があるため、事前に必要事項などをしっかり確認してください。
審査は申請先の金融機関や住宅金融支援機構などによって行われ、おおよそ2~3週間後に結果が通知される場合が多いようです。
契約・融資
正式審査を通過すると、いよいよ契約手続きとなります。申請先の金融機関の案内に従い手続きを進めましょう。
手続きが完了したら、融資を受けられます。
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