介護拒否や暴力行為が起こってしまった場合の対処法は?その原因や予防法、利用できる介護施設もご紹介します!
- 2024年10月07日 公開

認知症を患った親の介護拒否や暴力行為に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。予防・対処のためには、その背景にある不安・怒り・困惑などのさまざまな感情を知ることが重要です。
この記事では、介護拒否や暴力行為が起こる原因と予防・対処法をご紹介します。
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介護拒否や暴力行為の原因とは?
認知症の高齢者の介護をしていると、介護拒否や暴力行為に悩まされることがあります。「なぜこんなことに」と介護者が困り果ててしまうことも珍しくありません。
そのような悩みを解消するためには、その原因を知ることが大切です。ここでは、なぜ認知症患者が介護拒否や暴力行為をするのか、その理由を解説します。
介護拒否の原因
精一杯介護をしていても、おむつ交換や食事の拒否などの「介護拒否」という悩みが生まれることがあります。
そんな介護拒否の原因を3つご紹介します。まずは、介護拒否の原因を知るところからはじめましょう。
介護の意味を被介護者本人が分からないため
介護拒否の原因のひとつとして、介護の意味を被介護者本人が分からないことが挙げられます。
寝る・食べる・排せつなどは生きていくために必要なことですが、それらを自分自身でできなくなると要介護状態となります。
自分自身でできなくなる理由として挙げられるのが、年齢による体力の低下や認知症などの病気です。
認知症の場合、寝る・食べる・排せつという行為自体ができなくなるだけでなく、病気が進行するとその行動が必要であることも分からなくなってしまいます。
そのようになると、生きていくために必要な介護の意味が分からず拒否につながるのです。
体の状態が悪いため
体の状態が悪く、介護拒否につながることもあります。
認知症患者は、認知症以外の病気を抱えていることも珍しくありません。また、認知症が進行すると、食事がとれなくなったり、体を動かさなくなったりして体力が低下することもあります。
何らかのきっかけで体の調子が悪くなると、本人の意思ではなくても「食べる」などの行為がままならなくなってしまうのです。
自分の意思をうまく伝えられないため
認知症患者が自分の意思をうまく伝えられずに、介護拒否につながることもあります。
「あれをしたい」「これをしたい」という気持ちがあっても、言葉や態度でうまく伝えられずにもどかしさを感じているのです。
うまく伝えられないのは「やりたい」という希望だけではありません。「やりたくない」「嫌だ」という思いがあっても、それをうまく伝えられないことでイライラや焦燥感につながることもあります。
認知症患者の心の中では、介護者には見えにくい感情や混乱が渦巻いてることも珍しくありません。そして、意思をうまく伝えられないことによるさまざまな感情が介護拒否につながるのです。
高齢者の暴力行為の原因
介護拒否と並んで悩まされることがあるのが、被介護者による暴力行為です。
もともと暴力的ではなかった人も、介護者に手を出したり、暴言を吐いたりすることがあります。
そんな被介護者による暴力行為の原因を5つご紹介します。暴力行為は介護者にとって辛いものですが、原因を知っておくことで対処方法が見つかることもあるでしょう。
認知症により感情を抑えられないため
被介護者による暴力行為は、認知症により感情を抑えられないために起こることがあります。認知症にはさまざまな症状がありますが、その中には感情のコントロールも含まれます。
「認知症になって人が変わったみたい」という表現をすることがありますが、これは感情のコントロールがうまくいかないからです。
感情を抑えられないことによって、「怒り」がコントロールできずに暴力行為につながってしまいます。
現状を理解できず不安を感じてしまうため
認知症の高齢者は不安感から暴言・暴力を引き起こすこともあります。
認知症になると現状を理解する能力が低下し、自分がなぜこうなっているのか、どうすればよいのかといったことを理解しにくくなってしまいます。
とくにレビー小体型認知症の場合は、幻聴や幻覚症状が出ることも少なくありません。幻聴や幻覚は本人にとっては現実であり、それによって不安が引き起こされるのです。
それだけでなく、本人が現実だと思っていることを周囲の人から否定されることで、不安を増長させたり、混乱を生じたりします。そういった不安や混乱が、暴言・暴力といった形で現れるのです。
体の状態が悪くストレスを感じやすいため
体の状態が悪くストレスを感じやすくなることが、暴力行為につながることもあります。体調が悪くなると、自分が思うように体を動かせず、イライラやもどかしさを感じることも少なくありません。
そういったストレスを吐き出す場所がなく、介護者に暴言・暴力という形で当たってしまうのです。
否定されたり自尊心が傷つけられていると感じたりするため
自身の言動が否定されたり、自尊心を傷つけられたと感じたりすることが、認知症患者の暴力行為の原因になることもあります。
認知症の症状には、相手が誰であっても行動の一つひとつが自分への攻撃と思ってしまうことがあります。
そのような状態の時期には、介護者にそのつもりはなくても、自身を否定された、自尊心が傷つけられたと感じやすくなるのです。
薬の副作用
薬の副作用が暴力行為の原因になるケースもあります。認知症の治療薬の中には幻覚や徘徊のような副作用を引き起こすものがあり、それらが被介護者を暴力的にさせてしまうのです。
幻覚にもさまざまなものがありますが、「自分を襲おうとしている」「傷つけようとしている敵だ」と思うことも珍しくありません。
自分が攻撃されるという恐怖や不安に襲われ、暴言・暴力が出てきてしまうのです。
介護拒否や暴力行為が起こらないための予防法は?

被介護者が介護拒否や暴力行為を起こしてしまうのは、自分では感情をコントロールできなかったり、辛い思いを抱えていたりするためです。
しかし、介護者にとっても介護拒否や暴力行為は辛いものです。そんな介護拒否や暴力行為を起こさないための予防方法を見ていきましょう。
介護拒否の予防法
食事・排せつ・入浴など、さまざまな場面で介護拒否が起こることがあります。
「食べないと体力が落ちてしまう」「お風呂に入らないと清潔を保てない」と心配になりますが、どのように予防すればよいのでしょうか。
本人の気持ちを尊重して介護をする
介護拒否の予防方法として、本人の気持ちを尊重して介護をすることが挙げられます。たとえば、食事介助のときには食事のメニューを自分で決めてもらうなどです。
そのほか、着替えのときには自身で着替える服を選んでもらい、介助の最後に自分で身だしなみをチェックしてもらう方法も有効です。
安心して介護を受けてもらうためには、一方的に何かをするのではなく、被介護者自身に納得してもらうこと、そして本人の気持ちに寄り添うことが大切です。
具体的な声掛けをする
具体的な声掛けをすることで、介護拒否を予防できることがあります。
認知症の方は、「介護の意味が分からない」ことも少なくありません。「いまから何をするのか」「自分は何をされるのか」が分からずに不安を感じてしまうと、介護を拒否してしまいます。
それを防ぐため、介護を行う際には「いまからどこで何をするのか」「なぜそれをするのか」などを具体的に伝えて安心感を抱いてもらうことが大切です。
本人の希望に合ったケアプランを作成してもらう
介護拒否の予防のために、本人の希望に合ったケアプランを作成してもらうことをおすすめします。
介護が必要な状態になると、市区町村の介護保険課の窓口・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所を活用してケアマネジャーを探します。
そして、ケアマネジャーが利用者のさまざまな事情を考慮しながら本人に適したケアプランを作成し、ケアプランに沿って介護が行われます。
ケアプランを作成する際に介護サービスの希望や被介護者の心身状態が反映されることで、より本人に合った介護を受けられます。本人の意思を尊重することにもつながり、介護拒否の予防になるのです。
認知症による暴力行為の予防法
前頭側頭型認知症やレビー小体型認知症では、まったく予期できない場面で感情的になることがあるため、完全に暴力を予防することは難しいといわざるを得ません。
しかし、本人に不安や怒りを感じさせにくい状況にして、できる限り暴力が起こらない雰囲気・環境づくりをすることはできます。その方法を3つ見ていきましょう。
できることは任せる
本人にストレスや怒りを感じさせないために、できることは任せることをおすすめします。
自分でできると思っていることをすべて介助されると、自尊心が傷つけられたと感じたり、イライラしたりすることがあるからです。
日常生活において被介護者がどこまでできるのかを把握しておき、できないところを介助するようにしましょう。また、介助するときには相手の気持ちに寄り添って、一言声を掛けてから介助することが大切です。
体調が悪くないか確認する
体調不良の時は感情的になりやすく、そこからの暴力を予防するため、体調が悪くないか確認することも大切です。
体温の確認だけでなく、排便や排尿はスムーズにできているか、食事や睡眠はどうかなどを確認しましょう。
体調が悪い場合は、どこが悪いのか本人とコミュニケーションを取り、体調を把握したうえで介護することをおすすめします。
介護サービス・介護施設を活用する
介護サービス・介護施設を活用することで暴力行為の予防につながることもあります。
家族が介護をする場合には、適切な介護ができないために本人にストレスを感じさせてしまうことも少なくありません。
そういったストレスから暴力行為につながらないよう、介護のプロであるヘルパーや介護施設のスタッフに介護を依頼することをおすすめします。
介護拒否や暴力行為が起こったときの対処法

介護拒否や暴力行為の予防につとめたとしても、病気の進行や状態の変化によって介護拒否や暴力行為が引き起こされるケースがあります。
実際に介護拒否や暴力行為が起こると、介護者はどうすればよいか悩んでしまうでしょう。
ここでは、介護拒否や暴力行為が起こったときの対処法を3つご紹介します。
理由を把握しようとする
介護拒否や暴力行為が起こったら、本人によく話を聞いたり、状況をよく確認したりして不安や怒りの原因を把握することをおすすめします。
認知症によってうまくコミュニケーションが取れないこともあるため、環境の変化や周囲の人の様子なども把握しておく必要があります。
また、暴言・暴力が起こっている最中は本人も感情のコントロールができないことが多いでしょう。その場合は、本人・周囲の安全を確保し、怒りが落ち着いてから話を聞いてください。
タイミングを変えてみる
タイミングを変えてみることで、介護拒否や暴力行為に対処できることも少なくありません。
気分にムラがあったり体調が悪かったりすると、介護拒否や暴力行為を起こすことがあります。
その場でどうにかしようとすると、余計に興奮させてしまうことになりかねません。時間を置いて声を掛けると受け入れてくれることもあるため、タイミングを見計らって対応しましょう。
医師や薬剤師に相談する
幻覚や徘徊などの症状が出たり服薬を拒否したりする場合には、医師や薬剤師に相談してみましょう。
例えば、多くの薬を飲むことに拒否が見られる場合、一包化にしてもらうことで飲みやすくなり拒否がなくなるケースがあります。
また、同じ薬局を利用することでどのような薬を服用しているのか薬剤師が管理しやすくなるため、かかりつけの薬局を決めておくとよいでしょう。
お薬手帳を持っておくと、複数の医療機関を受診する必要があるときにも安心です。
また、認知症の症状が悪化した場合は薬の変更・調整をすることで改善する可能性があり、そのためには医師への相談が有効になってくる場合があるため、選択肢にいれてみても良いかもしれません。
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