遠距離介護のメリットとデメリットは?デメリットの対処法や遠距離介護を諦めた方がいい場合などもご紹介します!
- 2024年10月07日 公開

遠距離介護とは、離れた場所に住む子どもが介護サービスや生活環境を調整し、親の自宅での生活を支援することです。
この記事では、遠距離介護ならではの苦労や利用できるサービス、そしてどのような場合に遠距離介護を諦めたほうがよいのかについて紹介します。
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目次
遠距離介護のメリットとデメリットは?
離れた場所に住む介護が必要な親の生活を支援することを「遠距離介護」といいます。遠距離介護のメリットとデメリットについて詳しく見てみましょう。
遠距離介護のメリット
お互いの生活を維持できる
介護のためにどちらかが引っ越しをすると、親の生活をサポートしやすくなるため介護生活はうまくいきやすいでしょう。
しかし、どちらかが生活環境を大きく変える必要があり、ストレスにつながりかねません。
たとえば親が引っ越しをすると、生活スタイルが変化して庭の手入れや散歩などの習慣を維持することが難しくなります。
友人と離れたり、近所づきあいがなくなったりすることから、引きこもりがちになる方も少なくありません。
また、子どもが引っ越す場合には、転職や孫の転校が必要になるでしょう。
遠距離介護を選択することによって、親は住み慣れた家で過ごすことが可能になり、介護をする家族の仕事や家庭への影響が最小限に抑えられます。お互いの生活を維持できる点が、遠距離介護のメリットです。
介護者の負担を減らせる
要介護状態の親が近隣に住んでいると、日用品の買い物や家事など、何かと頼まれごとをされるケースは珍しくありません。
また、通院介助は家族が任されることが多く、親の通院日に合わせて近くに住む家族が有給休暇や休みの日を利用して通院介助をする必要があります。
中には、仕事を終えてから親の家に立ち寄り、おむつ交換などの介護をする方もいます。
遠距離介護では、仕事を終えた後のプライベートな時間に手伝いを求められることは少なく、近距離介護よりも介護者の負担を減らせるでしょう。
日常生活の援助のサービスも受けられる
訪問介護サービスは「身体介護」と「生活援助」に分かれます。
身体介護は、直接身体に触れてケアを行う食事介助やおむつ交換などのサービスです。
生活援助は、掃除や買い物、洗濯などの家事を指します。家事ができる家族と同居している場合には、生活援助は利用できません。
遠距離介護の方は、介護保険制度の負担割合金額で生活援助を利用し、ホームヘルパーに日常生活をサポートしてもらえます。
特別養護老人ホームに入所しやすくなる
特別養護老人ホームは、要介護3以上の方を対象にした入居施設です。費用が割安なため人気が高く、申し込みから実際に入居できるまでの待機期間が長いことで知られています。
特別養護老人ホームに入居する審査の優先順位は、同居よりも単身のほうが高くなります。
そのため、遠距離介護を行うことで特別養護老人ホームへの入居待ちの期間が短縮しやすくなるでしょう。
遠距離介護のデメリット
同居介護より介護費用が高くなる
近隣に子どもが住んでいると、ちょっとした買い物やゴミ出しなどのサポートができます。遠距離介護では、このような生活支援をすべてホームヘルパーに依頼する必要があります。
また、遠距離介護では定期的な外来受診のたびに帰省することが難しいため、介護タクシーや受診同行といったサービスを利用する機会も増えるでしょう。
そのため、同居介護よりも介護費用が高くなることが一般的です。
介護以外の費用がかかる
遠距離介護では月々の介護サービス利用料のほかにも、帰省するための交通費や通信費がかかります。
また、緊急時に夜間でも訪問してくれる訪問介護・訪問看護や、カメラやセンサーなどで安否確認を行う見守りサービスなどを利用する場合、介護料金が割高になるでしょう。
そのほか、転倒しにくい環境で生活できるよう、段差の解消や手すりの設置などのバリアフリー化が必要な場合には専門業者やケアマネジャーなどに住宅改修を依頼するため費用が高めになったり、一度現場を見るために帰省する必要があったりするため、費用が増額することもあります。
緊急時に迅速に対応できない
介護が必要な方が自宅で生活していると、突然体調を崩したり、転んで骨折してしまったりすることがあります。そのようなとき、遠距離介護では迅速に対応できません。
実際、遠距離介護では「家族に連絡がつかないまま救急車で運ばれてしまった」「近所の人から救急車で運ばれたようだと連絡を受けて駆けつけたが、どの病院に搬送されたのかがわからない」というケースもあります。
そのような事態を防ぐためにも、緊急時には子どもに連絡してほしい旨を記載した連絡先を親の健康保険証や介護保険証のケースのケアマネジャーに家族に連絡をしてほしい旨を伝え、緊急連絡先を渡しておくことが必要です。
遠距離介護にかかる費用を抑える方法は?

前述のように、遠距離介護では家族の介護が難しいため、介護費用が高くつきやすい傾向にあります。
しかし、遠距離介護の費用を抑えたいからといって、訪問介護や見守りサービスなどの利用を控えることはおすすめできません。
ここでは、遠距離介護にかかる費用を抑えるためにできる交通費や通信費、リフォーム費用の軽減方法についてご紹介します。
交通費を抑える方法
遠距離介護の一番の悩みとして、帰省費用の高さを挙げる方は少なくありません。しかし、さまざまな割引制度を利用することで、交通費を抑えられます。
たとえば、介護の帰省のために大手航空会社などの飛行機に乗る場合は「介護帰省割引」を利用できます。
鉄道会社には介護帰省を対象とした割引制度はありませんが、JRや多くの私鉄ではシニア割引や会員登録による割引の利用が可能です。
また、飛行機や鉄道よりも割安な高速バスを使うのもひとつの方法です。
通信費を抑える方法
スマートフォンを通じてのビデオ通話は、操作が簡単で高齢の方も利用しやすいメリットがありますが、通信料が高くなってしまいがちです。
親の家にインターネット回線を導入してビデオ通話ができる環境を整えたほうが、長期的に見て通信費を抑えられるでしょう。
インターネット回線の契約は手間がかかるように感じるかもしれませんが、通信手段を整備しておくことで、いつでも顔の見えるコミュニケーションが取れるうえに、緊急時にも速やかに連絡が取りやすくなります。
バリアフリー化にかかるリフォーム費用を抑える方法
住み慣れた自宅に少し手を入れるだけで移動が楽になる場合があります。
「ベッドからトイレまでの間に手すりがほしい」「段差につまずきそうなので、バリアフリーにしたい」など、安全で快適な生活を送るうえでリフォームが必要になる場合もあるでしょう。
介護のための住宅改修は要支援、要介護問わずに生涯20万円の支給限度基準額が介護保険で定められています。
状態が急に悪くなって要介護状態区分が3段階以上上昇したり転居した場合には再度20万円まで支給限度基準額が設定されるので、ケアマネジャーに相談しましょう。
その後、さらに自治体の助成がないかの確認も行う必要があります。
ほかにも福祉用具のレンタルは、工事を行うよりも安価で速やかに設置できる点がメリットです。
いきなりリフォーム工事をするのではなく、まずは福祉用具を利用しながら、じっくりと住宅改修を検討する方もいます。
まずは担当のケアマネジャーに福祉用具のレンタルで対応可能か、住宅を改修する場合には自治体の助成制度が利用できそうかについて確認してみましょう。
遠距離介護で緊急時に素早く対応するために必要な見守りサービスとは?

代表的な見守りサービスとして、以下の4種類があります。
- ガスや電気の利用状況、トイレの水洗回数から安否確認を行う「センサー型」
- 郵便局や電気・水道会社などの専任スタッフが自宅へ赴き、安否確認を行う「訪問型」
- 固定電話や携帯電話にシステムを通して連絡し、その応答によって安否確認を行う「自動電話・メール型」
- セキュリティ会社のカメラを自宅に設置し、緊急時の呼び出し対応や24時間の監視を行う「カメラ型」
「センサー型」は、テレビや電気をつけっぱなしで倒れている場合などには、正確な安否確認が困難です。
「訪問型」は毎日の安否確認が難しく、「自動電話・メール型」は電話やメールに応答できる方でなければ導入できないなど、それぞれデメリットがあります。
生活スタイルにあった見守りサービスを選ぶことが重要です。
緊急時にすぐ対応が取れるようにしたい方には、「カメラ型」の見守りサービスをおすすめします。
ただし「生活をカメラで見張られている」と親がストレスを感じてしまう場合もあるため、カメラ型を導入する際には事前に親と話し合い、了承を得る必要があるでしょう。
遠距離介護を選択しない方がいい場合は?

要介護度が高く、自立した生活を送ることが難しい場合
介護度が高い方は、食事や排せつなど、日常生活のあらゆる活動に介護が必要です。
そのため、ホームヘルパーを利用する頻度が増えて、介護にかかる費用が施設に入居する場合と同等か、それ以上になる可能性があります。
また、ホームヘルパーのサービスに頼りすぎている方は、家族でできることは家族で行ったり、ヘルパーに日頃の様子を電話などで聞いておくなどをおすすめします。
遠距離介護は、ある程度自立して生活できている状態が前提であり、介護度が高い方は同居介護や介護施設への入居が適しているといえるでしょう。
医療依存度が高い場合
経管栄養や痰の吸引などの一部の医療行為は、研修を受けた介護職員であれば実施を認められています。しかし、ホームヘルパーは原則医療行為への対応はできません。
インスリンの注射や経管栄養の投与などが必要な医療依存度の高い方が、自宅での生活を続けるのは難しいのが現状です。
その場合は必要な医療行為に対応可能な施設への入居を検討したほうが、体調管理の面でも安心できるでしょう。
介護施設を探すときに活用すべき制度とは?

入居する介護施設を探す際には、まずは親の希望をしっかりと確認することが重要です。
遠距離介護で話し合う時間を確保することは難しいかもしれませんが、介護休暇や休業制度を利用して、じっくりとコミュニケーションを図りましょう。
介護休暇は、家族の介護が必要な方が事業主に申し出ることによって年間5日まで取得できる制度です。
なお、育児・介護休業法施行規則が2021年に改正され、介護休暇は時間単位での取得が可能となりました。
一方、休業制度はある程度まとまった期間の休暇を想定している制度です。
施設に入居する前には「どのような生活を望んでいるのか」についてゆっくりと時間をかけて話し合ったり、年金や資産を確認して施設の種類を検討したりする必要があります。
どの程度の期間が必要かを検討し、介護休暇と休業制度のどちらを利用するか検討してみてください。
介護施設を探すときに利用すべき相談窓口とは?

インターネットで介護施設について情報収集をしていると「自分の親に合った施設がわからない」「実際の費用を比較しながら検討したい」など、さまざまな疑問や悩みが出てくることでしょう。
そのような際は、ぜひ安心介護紹介センターをご利用ください。
安心介護紹介センターでは、介護の専門知識を備えたオペレーターが介護施設を探している方の希望に応じた施設探しをサポートします。
オンラインでの相談にも対応しているため、介護で忙しい方も隙間時間に気軽に相談できます。
また、全国の介護施設の情報を紹介しているため、遠距離介護の方にとって地域を限定しない施設探しが実現しやすくなるでしょう。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。