親が認知症かも?認知症が原因で起こるお金のトラブルや入居できる介護施設をご紹介します!
- 2024年10月07日 公開

親が認知症になったとき、気をつけるべきことの1つにお金のトラブルがあります。この記事では、親が認知症になった際に起こり得るお金のトラブルについて解説するとともに、親の資産を管理する方法や介護の相談窓口、認知症でも入居できる介護施設をご紹介します。
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親が認知症になって起こるお金のトラブルとは?
認知症になると自分で金銭管理をすることが難しくなります。周囲が気づいたときには大きな金銭トラブルが発生しているケースもあるため注意が必要です。
ここでは、親が認知症になったときによく起こるお金のトラブルをご紹介します。
借金を抱えてしまう

認知症になると判断力が低下して計画的にお金を使えなくなったり、理解力の低下で難しい契約内容やお金の計算が難しくなってくる場合があります。
たとえば、年金支給日にすべてのお金を引き出して使い果たしてしまうケースや、欲求がコントロールできず、次々と欲しいものを買って浪費してしまうなど、正しい金銭管理ができなくなって多額の借金を抱えてしまうことがあります。
詐欺や悪質商法の被害に遭ってしまう
認知症の高齢者は、詐欺や悪質商法の被害に遭いやすい傾向にあります。認知症により善悪の判断をする能力が衰えるため、相手の言うことを信じ込んで簡単にだまされてしまうからです。
たとえば、不必要なリフォームの勧誘や訪問販売につられてお金を支払ってしまう場合や、オレオレ詐欺・料金請求詐欺などに言われるがままお金を渡してしまうことが挙げられます。
お金や通帳を紛失してしまう
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認知症になると、お金や通帳、キャッシュカードの紛失も頻繁に起こります。新しいことが覚えられなくなったり、注意力が低下したりするため、保管場所や保管したこと自体を忘れてしまうためです。
そして大切なものが見つからず、思い出すこともできない状況が「物盗られ妄想」を引き起こす場合があります。
物盗られ妄想は、認知症の周辺症状である「被害妄想」の1つで、自分の記憶障害を認めたくないときに「誰かが盗んだ」と強く思い込む症状のことです。
物盗られ妄想では家族や近所の人など身近な人が盗んだと疑われる場合が多いため、家族関係やご近所関係が悪化することもあります。
認知症になって起こるお金のトラブルを解消する方法は?

認知症になってしまった親がお金のトラブルに巻き込まれるのを防ぐためには、同居して親のお金を管理するのも1つの方法です。しかし日中働いている場合は常に見守ることができません。その場合はいったいどうしたらよいのでしょうか。
ここでは、同居以外に親の資産を守るための方法をご紹介します。
成年後見制度を利用する
成年後見制度とは、認知症など判断能力が低下した方に代わって代理人に指定された人が契約や手続きなどのサポートをする制度です。成年後見制度を利用すると公的な方法で本人を保護し、資産を守ることができます。
成年後見制度の利用対象者は?
成年後見制度の対象者は、精神上の障害により判断能力が不十分な方です。「精神上の障害」とは、認知症や知的障害、精神障害、高次脳機能障害などが想定されています。
そのため、障害が身体的なものだけで判断能力がある方は成年後見制度を利用できません。
成年後見制度の利用方法は?
成年後見制度を利用するには、必要な書類を準備し、本人の住所地にある家庭裁判所へ申し立てをする必要があります。申し立てが受理されると、家庭裁判所が調査・審理を行って成年後見人を選任します。
申し立てを行えるのは、本人または配偶者、子など本人の4親等以内の親族が一般的ですが、身寄りのない人は市区町村長による申し立てが可能です。
なお、自身で申し立てや手続きをすることに不安を感じる方は、弁護士や司法書士に相談するとよいでしょう。
後見人ができることは?
後見人にできる業務は「法律行為のみ」と範囲が決められています。詳しくは次の通りです。
- 不動産の管理、保存、処分
- 金融機関との取引
- 家計の管理(収入、支出の管理)
- 預貯金の管理契約
- 社会保険の手続き、管理
- 遺産相続に関する手続き、協議への参加
- 訴訟行為(離婚訴訟など)
- 介護保険の申請、介護サービスの利用契約締結
後見人ができないことは?
後見人は、次のような「法律行為以外の業務」に関することは行えません。
- 日用品の購入の取り消し
- 本人の居住場所の指定
- 家事や介護などの事実行為
- 婚姻届の提出や遺言書の作成など身分上の行為
- 手術など医療行為の同意
- 身元保証人や身元引受人など被後見人の保証人になること
日常生活自立支援事業を利用する

認知症や障害の程度が成年後見制度を利用するほどではないという方は、「日常生活自立支援事業」を利用するとよいでしょう。
社会福祉協議会が相談窓口となっており、利用契約を締結すると所属する支援員による日常的なお金の管理や福祉サービス利用のサポートなどを受けられます。
場合によっては現金や通帳、キャッシュカードなどを支援員へ預けるため、お金をだまし取られることや生活費を使い込むといった心配が軽減されるでしょう。
買い物同行・代行サービスを利用する
買い物のトラブルを解消したい場合には買い物の同行・代行サービスの利用がおすすめです。
訪問介護のヘルパーや地域のボランティアの方に買い物のつき添いや代行をしてもらうことで、衝動買いや現金を紛失するなどのトラブルを防止できるでしょう。
認知症の親の資産管理について相談できる窓口とは?

認知症の親の資産管理を相談したい場合は、以下のような窓口を利用できます。
ケアプランセンター
ケアプランセンターとは、ケアマネジャーが常駐している居宅介護支援事業所のことです。要介護1以上の認定を受けた人であれば、誰でも相談可能です。
ケアプランセンターのケアマネジャーは次のような業務を行っています。
ケアプランの作成
訪問介護などの介護サービスを利用するには、ケアマネジャーがケアプランを作成する必要があります。
相談業務
本人や家族と面談して困りごとの相談に乗ってくれます。在宅介護に限界を感じた際には、施設入居についての相談も可能です。
相談業務
心身状態や生活環境の確認のために、定期的に自宅を訪問してくれます。状態に変化があれば、介護サービスの追加や変更の相談が可能です。
要介護認定の申請代行
初めての要介護認定の申請代行はもちろんのこと、介護認定の更新申請や、状態が変わった際には区分変更申請の手続きを代行で行ってくれます。
介護事業者との連絡調整
介護サービスを利用する曜日や時間を変更したいときには、ケアマネジャーへ伝えると介護事業者へ連絡し日程調整を行ってくれます。
介護保険の給付管理
介護サービスの費用を請求するために給付管理を行い、「給付管理票」を国保連へ提出する業務を行っています。
モニタリング
ケアプランは定期的に見直しを行い、内容が現状に合っているかを確認します。ケアプランの内容を変更する場合には、サービス担当者会議を開催して介護事業者などの関係機関と情報のすり合わせを行います。
地域包括支援センター

地域包括支援センターも高齢者の相談に乗ってくれる施設です。要介護認定を受けていない方でも、対象地域に住んでいる高齢者、またはその関係者の方であれば誰でも無料で利用できます。
地域包括支援センターでは、次の4つの業務が行われています。
介護予防ケアプランの作成
要支援と認定された高齢者の介護予防ケアプランを作成し、介護予防サービスを利用する調整をしてくれます。
相談業務
地域包括支援センターは高齢者の医療・介護・福祉に関する総合相談窓口です。住み慣れた地域で高齢者が安全に暮らしていけるよう、適切なサービスの紹介や支援が行われています。
権利擁護
高齢者の権利を守るための業務も行われています。たとえば、詐欺や悪徳商法の消費者被害への対応や防止活動をはじめ、成年後見制度の利用促進活動や申し立て支援などを行っています。
包括的、継続的ケアマネジメント
高齢者の状況や変化に応じたマネジメントが行えるよう、地域のネットワーク作りやケアマネジャーのサポートを行っています。
安心介護紹介センター

「安心介護紹介センター」は、ケアプランセンターや地域包括支援センター以外に活用できる民間の相談窓口です。
介護度に関係なく誰でも相談可能で、介護業界や介護施設に精通しているスタッフが介護に関する相談に応じ、全国の老人ホームや介護施設の情報を提供するサービスを無料で行っています。
施設を探している方には、お住まいの地域にある施設はもちろんのこと、家から離れた場所にある施設も紹介してくれるため、希望に合った施設を見つけられます。
また、一般的なケアプランセンターや地域包括支援センターでは相談時間が決まっていますが、安心介護紹介センターではオンラインでの相談にも対応しているため、パソコンやスマートフォンから時間を気にせず気軽に利用できる点もメリットの1つです。
認知症の方が費用を抑えて入居できる施設とは?

認知症の方が入居できる施設にはさまざまな種類がありますが、その中でも「介護保険施設」といわれる公的介護施設は入居費用を抑えることが可能です。
ただし介護保険施設は目的や入居条件に応じて提供するサービスや費用が異なるため、利用の際は各施設の違いを把握したうえで検討するとよいでしょう。
ここでは、認知症の方が利用できる介護保険施設のうち、「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「ケアハウス」の3つの施設の特徴をご紹介します。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は24時間の介護や見守りを必要とする方を対象とした施設で、重度認知症の方も受け入れています。
入居期間に制限はなく終身で利用できるメリットがありますが、地域によっては入居までの待機期間が長くなる場合があります。
入居条件
入居できるのは、原則要介護3以上で65歳以上の方と、特定疾病が認められた要介護3以上の40〜64歳までの方です。ただし、要介護1・2の人でも特例入居が認められる場合もあります。
また、夜間帯の看護師の配置義務がないため、医療依存度の高い方は入居を断られるケースがある点には注意が必要です。
なかには介護職員でも特定の研修を修了し、医療的なケアができる職員も増えてきていますので一度施設へ確認してみることも検討してみてください。
提供サービス
提供されるサービス内容は、介護保険法で基準が定められています。具体的には、食事の提供(食事介助)、入浴介助、排せつ介助、健康管理、リハビリテーション・機能訓練、生活支援(掃除、洗濯など)、看取りケアなどです。
入居・月額費用
負担する費用は月額費用のみで、入居一時金などの初期費用は必要ありません。一般的な費用相場は10〜14万円ですが、介護度と居室のタイプによって金額が異なり、介護度が上がるほど費用は高くなります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)では、在宅復帰を目指してリハビリや医療ケアを受けられます。たとえば骨折で入院した高齢者が、退院後すぐに自宅で暮らすのは不安があるという場合に入居し、在宅生活に戻るためのリハビリを行います。
在宅復帰が目的の施設のため、入居期間は原則3カ月と定められています。
入居条件
要介護1以上で65歳以上の高齢者、もしくは40〜64歳で特定疾病により介護認定を受けている方が入居対象です。
提供サービス
日常的な動作訓練など、在宅復帰を目指したリハビリサービスが充実していることが特徴です。
また、介護老人保険施設では医師が1名以上常駐し、看護師など医療従事者の配置も多いことから手厚い医療ケアを受けることが可能です。
入居・月額費用
負担する費用は月額のみで、入居一時金などの初期費用は必要ありません。費用相場は8〜15万円が一般的で、介護度が上がるほど費用は高くなります。
ただし、基本的に入居中に処方された薬代や医療ケア費は施設側の負担となるため、別途支払う必要はありません。
ケアハウス

ケアハウスには「自立(一般)型」と「介護型」の2種類があります。身体機能の低下や家族からの援助が受けられないなど、自立した生活を送るにあたって不安のある方が入居できます。
入居条件
自立型ケアハウスの入居対象は基本的に介護の必要がない60歳以上の高齢者です。夫婦の場合はどちらか一方が60歳以上であれば入居可能です。
一方、介護型ケアハウスは原則65歳以上かつ要介護1以上の高齢者が入居対象で、認知症の方も入居可能です。
提供サービス
食事の提供と生活支援は、自立型と介護型共通のサービスです。
介護サービスについては自立型では提供されませんが、施設によっては介護事業者と本人が個別に契約をして利用することも可能です。
一方、介護型では施設常駐の介護スタッフから排せつ介助や入浴介助など必要な介護サービスを受けられます。これを「特定施設入居者生活介護サービス」といい、介護保険が適用されます。そのため施設によっては入居中に介護度が上がっても、長く住み続けられる場合があります。
入居・月額費用
ケアハウスでは基本的に入居一時金と月額費用が必要です。
入居一時金とは保証金などの初期費用のことで、自立型では0〜数十万円、介護型では0〜数百万円かかる場合があります。
月額費用の相場は9〜13万円が一般的ですが、介護型は介護サービス費が含まれるため自立型より高くなる傾向にあります。
費用を抑えて入居できる施設を選ぶ際のポイントとは?

ここでは、費用を抑えて入居できる介護施設を選ぶうえで押さえておきたい条件、施設見学の際に確認すべきポイントを詳しく解説します。
立地面を妥協して施設を選ぶ
立地があまりよくない介護施設は、場合によっては安い費用で入居できる可能性があります。なぜなら、介護施設の月額費用の大半を占める賃料を安く抑えられるからです。
賃貸住宅と同様、介護施設も人口が密集して利便性の高い地域にある場合は賃料が高い傾向にあります。そのため、入居費用の安い介護施設を選ぶ際は都市部よりも地方、駅近くよりも駅から遠く離れた地域で探すとよいでしょう。
ただし、入居後の生活では交通面や買い物に不便を感じるかもしれないことを念頭に置く必要があります。
築年数やサービス内容を妥協して施設を選ぶ
安い費用で入居するには、築年数が古い施設や豪華なサービスなどが付帯していない施設を選ぶことも重要なポイントです。古い介護施設では、新しい入居者を確保するために利用料を引き下げている場合があります。
一方、新築の介護施設は賃料を高く設定し、設備やサービスを充実させている場合があるため、費用が高くなる傾向にあります。複数の施設を見学して比較検討することをおすすめします。
入居一時金が0円の介護施設を選ぶ
入居一時金が0円の介護施設を選ぶと、初期費用を抑えられます。入居一時金とは賃貸住宅の「敷金」にあたる費用のことで、施設によって0〜数百万円と金額に大きな幅があります。
なるべく金銭面での負担を抑えたい場合は、入居一時金の不要な介護施設を選ぶとよいでしょう。
どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ
満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。
安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。
施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。