遺言書の作成にはいくらかかる?それぞれの相場
遺言書は、以下のような種類に分けることが出来ます。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
上記、どの種類を利用するかによって、遺言書の費用感は変わってきます。また、自分で作成する場合と、専門家に依頼するでも費用が異なります。
今回は、遺言書作成における費用感について考えていきましょう。
自分で作成する場合
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言の内容を直筆で作成する方法を指します。遺言内容とともに、日付、署名、押印を忘れないようにしてください。
基本的に、遺言内容はすべて手書きでおこなわなければなりませんが、財産目録については、パソコン等で作成することが可能です。
自筆証書遺言にかかる費用は、紙とペン、遺言書を入れる封筒代程度で、3つの方法の中で1番コストのかからない方法です。
ただし、自筆証書遺言は簡単に作成できる一方で、遺言の内容に専門家のチェックが入っていないため、法的効力が無効になる可能性がありますので、ご注意ください。また、家庭裁判所で検認が必要です。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人役場というところに赴き、公証人という法知識が豊富なひとと打ち合わせをしながら作成する方法があります。
公正証書遺言は、公証人が遺言内容をチェックしてくれるので、遺言書が法的に無効になるということがありません。また、遺言書を公証役場で保管してくれるため、紛失の恐れが無いこともメリットとして挙げられるでしょう。
メリットがある一方で、おもに以下のようなデメリットも発生します。
- 相続財産の金額によって費用がかかる
- 時間がかかる
- 自分がベストだと思う遺言書を作成できるとは限らない
1.相続財産の金額によって費用がかかる
公正証書を作成するには費用がかかります。契約の内容によって異なりますが、5,000円から十数万円かかることもあります。
※詳細につきましては、公証役場のページをご確認ください。
Q. 公正証書遺言を作成する場合の手数料は、どれくらいかかるのですか? | 日本公証人連合会
2.時間がかかる
公正証書遺言には、公証人との打ち合わせが必要です。また、公正証書を作成するには、2人以上の証人を用意する必要があります。公証役場で証人を用意してもらうことも出来ますが、別途で費用が発生します。
3.自分がベストだと思う遺言書を作成できるとは限らない
公証人は、遺言書の法的効力を約束してくれます。しかし一方で、自分の望んだ内容の遺言書が出来るとは限りません。公証人は、あくまで、記載された内容の法的チェックをしてくれるのであって、必ずしも依頼人が望んだ形であるかどうかは約束できないのです。
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、自分が亡くなるまで公表したくない秘密があるときに利用する遺言書です。秘密証書遺言は、決まりが無いので、署名と押印、日付があれば遺言内容はパソコンで作成することも可能です。
その後、公証役場に赴き、公証人に封印をしてもらいます。なお、費用は、遺言内容にかかわらず、定額で11,000円を支払います。
その際、遺言書の存在を証明する証人を2人連れていく必要があります。封印をしてもらったら、自分で保管します。また、家庭裁判所で検認が必要です。
専門家を頼る場合
自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言は、前述した通り、遺言者自身の直筆で作成する遺言書です。そのため、専門家に頼る場合、以下のようなサポートが考えられます。
サポートの費用は、依頼する専門家によってまちまちです。また、すべての専門家が自筆証書遺言のサポートを行っているわけではないため、サポートを受けたい場合には、事前に確認をしておいた方が良いでしょう。
公正証書遺言
専門家に遺言書作を依頼すると、多くが公正証書遺言の作成になると思います。 公正証書遺言を専門家に依頼する場合、専門家の報酬は、以下のいずれかで決められます。
- 遺産価額関係なく一律の報酬
- 遺産価額に応じた報酬
1. 遺産価額関係なく一律の報酬
単に遺言書の作成依頼をする場合、一律で○○万円といった報酬設定が多いです。報酬価格は、事務所が設定しているサポート内容によって異なります。
2. 遺産価額に応じた報酬
遺産価額が多い場合や、公正証書に残す遺言内容が複雑な場合は遺産の価額に応じて、報酬額が設定されます。
なお、①、②の他、公証役場へ支払う手数料は、別途であることが多いので注意しましょう。また、遺言書の中で、専門家を遺言執行者に指定した場合や、証人を依頼した場合には追加で料金が発生する可能性があります。
信託銀行・信託会社 銀行や信託会社では、遺言信託というサービスを提供することがあります。遺言信託には、主に以下のようなサービスが含まれていることが多いです。
信託銀行や、信託会社は遺言作成のサポートだけではなく、遺言者の死後、遺言内容を執行するまでをトータルサポートするケースがほとんどです。
遺言書を公正証書にするときも、信託会社や銀行と提携している専門家がサポートしてくれるため、自分で専門家を探す手間を省けるのはメリットだと言えるでしょう。
包括的なサポートを受けられる一方で、費用は高額になるので、契約前に費用を担当者としっかり確認し、他の方法と比較することが大切です。
遺言書作成の注意点
自分で作る場合
自分で遺言書を作成する場合、手軽に作成できる自筆証書遺言を選択する方が多いのではないかと思います。
自筆証書遺言を作成するときには、以下に注意して作成、保管するようにしましょう。
- 遺言内容は具体的に記載すること
- 作成した遺言書は法務局で管理してもらう
1. 遺言内容は具体的に記載する
遺言書を自身で作成する場合には、まず遺言書で何を残したいかを考えておくことが大切です。遺言書の内容が抽象的なものだと、遺言書として認められない可能性が出てきます。
そのため、誰に何の財産を相続させたいのかを明確に準備しておくと良いでしょう。
また、遺言書の作成日、署名、押印を忘れずにおこなってください。
2. 作成した遺言書は法務局で管理してもらう
2020年7月10日に自筆証書遺言保管制度が施行され、自筆証書遺言を法務局内の保管所で保管できるようになりました。
従来、自筆証書遺言の問題として、紛失や第三者の改ざん等がありました。せっかく書いた遺言書も見つからなかったり、書き換えられたりしたら意味がありません。
リスクを回避するためにも、法務局で保管してもらいましょう。なお、保管申請の手数料は、1件につき3,900円です。その他の手数料については、法務局のこちらのページでご確認ください。
法務省:09:自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧・遺言書保管所管轄一覧
専門家に依頼する場合
専門家に依頼する場合、おもに下記の士業に作成依頼することが可能です。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
遺言書は、比較的、司法書士や行政書士の方がリーズナブルに作成できると言われています。
しかしながら、どんなに相続対策をおこなったとしても、相続にはトラブルがつきものです。遺言書ですべての紛争を止められるわけではありません。
遺産分割時の相続争いなど紛争の対応は、弁護士でないと対応できません。死後の紛争が不安な方は、あらかじめ弁護士に依頼した方が得策かもしれません。
さいごに
今回は、遺言書にかかる費用感や注意点についてお話をさせていただきました。
遺言書は、いわば家族に贈る最後のメッセージのようなものです。
3つある遺言書のメリットとデメリットを理解しつつ、ご自身にとってより良いものを選択し、活用していただければと幸いです。
※この記事は2021年3月時点の情報で作成しています。
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