初めて 車椅子の介助 をする時の注意点

初めて 車椅子の介助 をする時の注意点

現在日本でもバリアフリー化が進み、ひと昔前と比べれば車椅子での移動がかなりしやすい環境にはなっていますが、初めて1人で 車椅子の介助 をするのは不安なものです。
ここでは、車椅子の人と外出する際の介助方法やその注意点をご紹介します。

 

車椅子の介助 をする際の注意点とは?

それでは、まず車椅子を操作する際にはどのようなことに注意すればいいのかご紹介します。

車椅子の構造は下図のようになっています。

初めて 車椅子の介助 をする時の注意点 構造

引用:kurumaisu-miki.co.jp

それぞれの部位に名前がついていていろいろな機能があります。

車椅子を押す際にはAの手押しハンドル(グリップ)を握って車椅子を押します。

車椅子を押している際にブレーキを使いたくなったらBの介助用ブレーキを利用します。

ここまでは自転車と同じような要領で使用します。

車椅子に人を乗せる際にはKの駐車用ブレーキ(タックルブレーキ)をかけてOのフットサポートを跳ね上げた状態で乗せます。乗せたら、Oのフットサポートをおろして両足を載せてもらいます。この時、両足が着かずにだらっとしている、あるいはフットサポート以外のところに足をおろしてしまうと車輪に巻き込まれてけがをする可能性があるため注意しましょう。

車椅子に乗せたらKの駐車用ブレーキを外して操作をします。車椅子は歩行車よりも目線が低いため、体感速度が歩行車よりも早く感じるようになっています。乗っている人に速度を確認しつつ、歩行速度と同様あるいはそれ以下で運転するのが望ましいです。

また、蛇行運転や急停止、急発進は乗車している方の乗り物酔いや転落といった事故等を招く可能性があるので控えましょう。

>>車椅子をレンタルするための準備
>>車椅子とは 選び方と入手・レンタル方法

屋外で車椅子の介助する際の注意点

段差に気をつける

車椅子を屋外で操作する上で最も注意しておきたいのが段差と坂道です。

段差を上がる際には、Fのティッピングレバーを踏んで前輪を上げて段差を超えましょう。

車椅子では一般的に10mm以上の段差があると移動において問題となるとされています。

無理をして押し続けるのではなく必ず一度ティッピングレバーで前輪を段差の上に挙げてから操作しましょう。

特に横断歩道の縁石などは歩行者にとって何のことのない高さであっても車椅子では越えられないことがあるため、必ずティッピングバーを利用しましょう。

段差を降りるときは、前向きのまま下りるとその勢いで車椅子に乗車している方が投げ出される可能性があるので、後ろ向きに降りるようにしましょう。

屋外では多くの場合段差や階段があるところの近くにスロープが用意されていますので、遠回りになってしまってもそれを活用しましょう。

坂道に気をつける

次に坂道です。まず下り坂では、普段押しているように前向きで降りていくと車椅子に乗車している人がそのまま前に転んでしまう可能性があります。そのため、後ろ向きで降りていくのが望ましいです。緩やかな坂であれば、乗車している方に了承を取ったうえでゆっくりと降りるようにしましょう。

上り坂は進行方向に進んで問題ありません。ただし、もし途中で疲れてしまって休憩をとりたいという場合は必ず駐車用ブレーキをしましょう。

振動に気をつける

さらに、道によっても注意しなければなりません。舗装道路と砂利道では舗装道路は振動がほとんどないものの砂利道ではかなりの振動が加わります。

砂利道をすすむ際には前輪を少し上げた状態で進むと振動を抑えることができます。

また、点字ブロックの上など凹凸部分はなるべく通らず平らな道を進むようにしましょう。

初めて 車椅子の介助 をする時の注意点

車椅子を押して出かける場合には?

車椅子に乗せてお出かけをする際には屋内と屋外で注意しておきたいことがいくつかあります。ここでは屋内と屋外に分けてご紹介します。

屋外へ出かける時の介助で注意しておきたいこと

旅行などで屋外に出かける際に注意しておきたいことをいくつかご紹介します。

屋外では気温は一定ではなく時間や場所によって変化をします。特に、旅行などで普段行かない土地に行くとなるとなおのこと気温の変化を予測することは難しくなります。

車椅子に乗車すると動くことがないため秋や冬は歩行している時以上に寒く感じ、春や夏は暑く感じます。

そのため、ひざ掛けや羽織り物、日傘など暑さ、寒さ、日光などから守れるような準備をしておくことが良いでしょう。

また、道もすべてが舗装されているのではないため、いろいろな道を通ると身体に振動がかかり、疲労してしまいます。普段私たちが何気なく通っている道でも車椅子に乗ると段差や凹凸を感じやすくなり、振動は大きく伝わってくるため、中にはずっと道を通っているだけなのに足腰に痛みを感じてしまう方もいます。

ずっと座っているからと思わずに適宜休憩を入れてあげると良いでしょう。また、介助する側も屋内とは違い、舗装されていない道を通ると力もいりますし、屋内よりも気を使う場面も多くなって疲労がでてきますので、介助者のためにも休憩をとると良いでしょう。

さらに階段やエスカレーターなどを利用せずになるべくスロープやエレベーターなどを利用して平らな道を通るようにしましょう。

屋内施設に出かける時の介助で注意しておきたいこと

次に屋内施設等に出かける際に注意しておきたいことをご紹介します。

病院やスーパーマーケットなどは道も綺麗に舗装してあるため、押す方も屋外よりはるかに楽に押すことができます。

そうすると、押すスピードを出しすぎてしまう場合が多くなります。スピードは一定に保ちましょう。

また、ショッピングセンターなどでは歩行者の量も多くなるため人の足をひいてしまうなどの事故もでてきます。周囲をよく確認して安全に操縦しましょう。

さらに、屋外同様、特に夏には冷房などによって温度調節が難しくなります。羽織ものやひざ掛けなどを持参するようにしましょう。

 


【この記事の監修者】

中村 静江(なかむら しずえ) /訪問看護ステーションとんぼ