パーキンソン病が進んだ親の介護に、車いすを使い始めました。あまり深く考えずに選んだのですが、付属品でより快適に過ごせるということはあるのでしょうか。姿勢が崩れてきたり褥瘡のような状態になったりするのは可哀そうに感じます。またできれば介護保険の範囲で済ませたいと考えているのですが、車いすだけでなく付属品も介護保険対象となるのか知りたいです。親も介護する側も車いすを安心して使えるような用品について教えてください。
車いすの付属品には、いくつか種類があります。具体的には杖入れや転倒防止バー、シートベルト、延長用レバー、ヘッドサポート、コーティングハンドリムなどがあります。姿勢が崩れやすい方や褥瘡の心配な方には、車いす用のクッションが数種類ありますので、適切に選ぶようにするととても便利です。費用の面が、誰でも気になりますよね。車いすや付属品は、介護保険の対象となります。どの付属品を使用するかは、ご利用さんの状態により変わってきます。例えば杖を使用されている方は、杖入れがあるととても重宝します。
車いすの付属品とは
車いすを利用するときに、本体だけでは不便を感じる場合があります。そうした際に、付属品を加えることで問題を解消できます。
車いす付属品について
車いすの付属品とは、車いす利用者とその家族が快適に車いすを利用するために使う器具類を指します。
車いすの付属品にはさまざまな種類や役割があり、どのような問題点があるのかにより選択していきます。例えば長時間車いすに座ると痛みを感じるという人や、褥瘡(じょくそう)が生じる人のためには、ゲル型のクッションシートがあります。姿勢を制御しにくい場合には、シートベルトを付加すると転落やずり落ちを防止できます。
車いすの付属品を追加するときには、利用者の症状や状態に合わせ、必要性を考えながら選ぶことが大切です。
車いす付属品の種類
車いす付属品には、主に以下のような用途別のものがあります。
居住性を高めるもの
クッションなどによって座圧を分散し、また姿勢保持にも役立ちます。車いすの座面は、基本的には枠に布を張って作られているため、長時間の利用には向かない場合があります。クッションシートを付加すると、快適性と安全性が高まります。
クッションの素材にはウレタンフォームやゲル、低反発素材などのほか、エアセルを搭載した座圧の調整ができるタイプもあります。
安全性を確保するもの
利用者の安全性を高める付属品としては、身体を固定するシートベルトや転倒防止バー、ヘッドサポート、しっかりと固定できるブレーキなどがあります。車いすには普通、棒状のブレーキが付いていますが、利用者の手が届かない場合には、延長レバー付きのブレーキを使うと安心です。自走用、介助用それぞれに逆転防止用のブレーキを取り付けることができます。
利便性を高めるもの
立ち上がりや歩行の際に杖を使う利用者の場合では、杖入れがあるととても便利です。杖入れには、通常型のほか、松葉杖用、四点杖用などがあります。
テーブルは読書時など、ちょっとしたものを置くときや、食事の際に便利です。アームレストの上に固定して取り付け、不要なときには取り外しが可能です。
操作性を高めるもの
車いすの操作性を高めるものとしては、コーティングハンドリムなどがあります。
ハンドリムは車いすの駆動輪と連動し、回転させて車いすを操作します。すべり止めのためにソフトビニールでコーティングされたものや、ノブが付いたものなどがあります。
車いす付属品と介護保険
車いすの付属品に適用される、介護保険について見ていきましょう。
どこまでが介護保険の対象?
車いす付属品で介護保険の適用対象とされるのは、車いすと一体的に使用されるものに限られています。また利用することで、車いすの利用効果が向上するものでなければなりません。従って利用効果のない、装飾的なものは介護保険の適用対象外となります。
車いすの付属品のみ単独でレンタルする場合には、介護保険の適用がされません。ただしすでに利用者が車いすを保有し、要介護度に適した利用をしているときには保険を使ったレンタルが可能です。
旅行時などだけレンタルは可能?
介護保険を使って、旅行時や短期的な宿泊などのためだけにレンタルすることはできません。
介護保険では適用される範囲が、「日常生活上の便宜を図るためのもの」と定義されています。
旅行などでは一時的な使用となるため、適用対象から除外されます。
介護保険を使ったときの自己負担額は?
介護保険を使った場合の、レンタル料金例を確認しておきましょう。
ゲルマットの場合は、月額のレンタル料金の目安は2,000円前後です。1割負担の人であれば、自己負担額は月額200円となります。身体をしっかりと支えるタイプで背面と座面のセットでは、月額4,000円程度なので自己負担額は400円です。
杖入れのレンタル料金の目安は月額500円、1割負担の自己負担額50円。頭部を支えるヘッドレストの目安は月額1,500円で自己負担額は150円となります。
ブレーキ延長俸のレンタルの目安は月額500円、自己負担額が50円です。介護保険の適用は、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。 相談しながら、必要に応じて適正に選んでいくようにしてください。
車いす付属品の選び方
車いすの付属品を選ぶ際には、以下のような点に留意していきましょう。
利用者の状態に合わせた選択を
車いすは実際に座っている人でないと、不快感がわかりにくいものです。身体の姿勢が崩れるなど、明らかに不具合がある場合には早めに専門家に相談することが大切です。
身体に変形や床ずれがあるときには、付属品を注文する前に、医療機関でのチェックが必要です。医師の指示を仰ぎながら、症状が改善できるものを選びます。
クッションシートには、多彩な種類の材質があります。すでに皮膚に変質が見られる場合などでは、褥瘡予防機能のレベルと症状を見ながら選択をしていきましょう。
またクッションの厚みによって、アームレストやフットレストの位置関係が変わります。必ず利用の姿勢を確認し、適正な位置に調整していく必要があります。
装着後の車いすの変化を考慮
駆動を補助する電動補助装置は、車いすの操作を楽にしてくれます。一方で電動補助装置の重さに耐えられない車いすもあるため、レンタルする前に適合しているかどうか確認する必要があります。
電動補助装置は重量が大きく増加するため、使う場所によっては不適当なことも考えられます。充電式のバッテリーを使うため、長時間の使用には向きません。坂道やスロープでの補助的なものと考えておくと良いでしょう。
車いすの重さが増すため、介助者・利用者とも身体能力を考慮し、タイプを選ぶようにします。利用の前には必ず前進や後退、向きを変えるなどの動作確認を行い、スムーズに動かせることをチェックしておきます。
安全性の確認
車いす用ブレーキは、車いすの制動と固定をするためのものです。坂道でも逆走しない、運転防止用のブレーキなどのオプションもあります。
取り付けの際には、ブレーキの握りやすさや誤作動の有無をしっかりと確認します。特に固定状態の際に、ブレーキが甘かったり急に外れたりするようでは危険です。万が一の場合には命にも関わるため、念入りにチェックするようにしてください。
車いすの付属品の装着では、それまで乗り慣れていたものに付帯物が付くことになります。乗り降りの際の動作がしづらい、衣服などに引っかかりやすいなど、付属品を付けたことによる利用者への影響に十分な注意を払うようにしましょう。
適切な選択で快適な車いす生活を
身体の不自由な人にとっては、車いすは移動手段として無くてはならないものです。車いすの付属品は、その機能をさらに高めて安全・快適に過ごせるようにしていきます。ひと口に付属品といってもいろいろな種類がありますが、利用者の姿勢保持や各部分の症状に合わせて必要な機能を選んでいくことが大切です。本人が車いすの利用で辛い部分がないか、不便に感じるところがないかをこまめに聞き取り、より座り心地の良い状態に改善していきましょう。
※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。