福祉サービス利用援助事業は誰でも利用が可能ですか?自分の親にも利用ができるのか、また具体的には何をどこまでしてもらえるのかを教えてください。

福祉サービス利用援助事業は誰でも利用が可能ですか?

質問

質問者実家の親が一人で暮らしています。時々は様子を見に行っているのですが、週1回が限度です。まだ身の回りのことはできていますが、金銭管理や事務手続きなどに不安があります。ニュースを見ると自分の親も騙されてお金を失うのではないかと、心配で仕方がありません。しかしまったくお金を置いておかないというわけにもいかず、どうすれば良いのか悩んでいます。そんなとき、福祉サービス利用援助事業について耳にしました。親が暮らしている地域でも提供しているのでしょうか。親は対象になるのか、また具体的な手続きについても知りたいです。良さそうであれば、すぐにでも申し込みを検討したいと考えていますので、よろしくお願いいたします。 

 

専門家

近年高齢者を狙った詐欺が増加しており、高齢者の一人暮らしは心配なことが多いですね。認知症などで判断能力に不安が出てくると、家族としてはとても心配になるでしょう。福祉サービス利用援助事業とはこのような場合に、福祉サービスの利用の援助や日常生活での困りごとを支援するために役所が実施しているものです。

ここでは、その内容や利用の仕方などについての疑問にお答えしていきます。 

福祉サービス利用援助事業とは

福祉サービス利用援助事業とは

近年高齢者のみの世帯は増加傾向にあり、特に一人暮らしの世帯が多くなってきています。「平成30年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らしが同年代に占める割合は、男性13.3%、女性21.1%。そうした中、福祉サービスの受け方がわからなかったり、お金の管理に不安があったりするという問題が増大しています。その受け皿として実施されている、福祉サービス利用援助事業について見ていきましょう。

日常生活に不安のある人をサポートする

「福祉サービス利用援助事業」は、判断能力に不安がある人でも安心して過ごすために実施されている事業で、「日常生活自立支援事業」とも呼ばれています。

都道府県社会福祉協議会を実施主体とし、全国どこでも同様のサービスが受けられるよう「社会福祉法」によって定められています。

具体的には、福祉サービスを適切に利用するための手続きなどのサポートを行い、日常生活を快適に過ごせる手助けをします。

また日常的な金銭管理を行うことで支払い忘れなどによる不自由さをなくし、近年増加している高齢者の詐欺被害の回避にも役立ちます。

このように福祉サービス利用援助事業は、さまざまな場面での困りごとに対応し、暮らしに安心を提供することを目的する事業です。

福祉サービス利用援助事業の対象者

福祉サービス利用援助事業を利用できる対象者は、「判断能力が不十分な者であり、かつ本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる者。」とされています。

つまり日常生活の中での判断能力には不安を持っているが、このサービスを受けることについては理解できる人です。

具体的には認知症高齢者や知的障がい者、精神障がい者などが対象となりますが、障がい者手帳や認知症の診断の有無は問われません。

また病院に入院していたり、福祉施設に入所していたりする場合でも利用は可能です。

福祉サービス利用援助事業の利用料

福祉サービス利用援助事業についての相談は無料ですが、利用については料金負担があります。

本サービスの契約後、利用に従って支払うことになりますが、料金設定は自治体によって異なります。

利用1回ごとに1,000~1,500円がおよその目安です。

なお、お金の管理を銀行預かりとする場合には「貸金庫費用」が別途かかります。

福祉サービス利用援助事業の実施内容

福祉サービス利用援助事業の実施内容

 

福祉サービス利用援助事業の利用内容について、もう少し詳しく見ていきましょう。

福祉サービスの利用

生活の中で不自由さを感じているけれど、福祉サービスにどのようなものがあり、どうやって受ければ良いのかわからない。そうした高齢者は少なくありません。

福祉サービスは公的なお金で運営されているため、いざ利用しようとなると手続きも煩雑になりがちです。

福祉サービス利用援助事業では、福祉サービスの利用に関する情報提供を行いながら、その人がどのようなサービスを受けられるのか選択のお手伝いをしてくれます。

福祉サービス利用の手続きを代行してくれるので、申請書類などの書き方がわからなくても心配ありません。

また介護保険関連の書類が送付されてきて、手元にたくさん溜まってしまっているなどというときでも、相談すれば適切に処理をしてもらえます。

日常的な金銭管理

認知に不安が出てくると、お金の管理が思うようにできなくなります。

一人暮らしの場合には手元にお金を置かないわけにはいきませんが、訪問販売や詐欺被害などが心配です。

福祉サービス利用援助事業では、日常的な金銭の出入れや各種支払い、口座振替などの手続きなどのサポートが受けられます。

公共料金の払い忘れ、銀行口座からの現金引き出しなどについての不安を解消でき、お金の使い過ぎもなくなります。

貴重品の預かり・管理

大切なものをどこにしまっておいたのかわからなくなるのは、高齢者に良くあることです。

通帳や印鑑など、また土地家屋の権利証などの重要書類は、紛失すれば大ごとになります。

しっかりとした公的機関の元で管理してもらえば、離れて暮らす家族も安心です。

福祉サービス利用援助事業によって保管できるものとしては、預貯金通帳のほか、各種カード類、年金証書や保険証書、不動産権利証書、その他の契約書などがあります。

また、実印や銀行印の預かりも可能です。

ただし銀行の貸金庫ではないため、宝石類や貴金属類、絵画や骨董品などは対象とされていません。

適切な制度運用

福祉サービス利用援助事業では、その家の財産に関わる重要な物品を扱うことになります。 不正が発生しないよう、厳格な監視体制が敷かれています。 福祉サービス利用援助事業の運用にあたっては、「契約締結審査会」「運営監視小委員会」が置かれ、利用者の利益が損なわれない運用となることが遵守されています。

福祉サービス利用援助事業利用の流れ

福祉サービス利用援助事業利用の流れ

 

本人にとっても、その家族にとっても心強い味方となる福祉サービス利用援助事業ですが、実際に利用するときには、どうすれば良いのでしょうか。利用の流れを見ていきましょう。

社会福祉協議会が実施

福祉サービス利用援助事業は、全国の各都道府県に置かれている社会福祉協議会が主体となって実施されています。社会福祉協議会は現在、すべての市町村に設置されています。

自宅への訪問や各種手続きの実施など、実際の活動は、専門員と生活支援員が担当します。

社会福祉協議会に連絡して相談するところからスタートしますが、家族などの身近な存在であれば本人意外でも問題ありません。

また民生委員やケアマネジャーなどを通じても、問い合わせできます。

相談依頼を受けると専門員が訪問をして、本人と面談を行います。困りごとに関しての聞き取り後、どのようなサービス内容とするのかを決めながら支援計画を作成します。

契約内容を確認し、合意が得られれば利用者と社会福祉協議会の間で、利用契約が結ばれます。 生活支援員により、サービスが開始します。

サービス実施以前は無料

相談から計画策定までは、無料となり料金は発生しません。

サービス部分は有料ですが、各自治体によって設定が異なり、また契約内容に従います。

契約後も実際にサービスが実施されなければ、利用負担は発生しません。

福祉サービス利用援助事業を活用する際のポイント

福祉サービス利用援助事業を活用する際のポイント

 

福祉サービス利用援助事業の活用を考えるときに、留意するポイントを見ていきましょう。

利用可能な対象者

福祉サービス利用援助事業の対象者は、「判断能力が不十分」と認められる人です。日常的に暮らす上で、福祉サービスを受ける必要があってもそれを自らでは選んで手続きすることができないといった場合に適用されます。

障がい者手帳取得や介護保険適用でなくても利用は可能ですが、健常者と見なされるときには利用できません。

また利用に際しては、本人の同意が必要となるため、意思表示が明確にできる必要があります。契約について理解ができ、社会福祉協議会と対等な立場で契約ができることが前提です。

日常生活ができる程度の能力はあるけれど、面倒な手続きや細々とした金銭管理への理解が不足しており、不安があると見られる場合に事業の対象となります。

成年後見制度との違いは?

良く似た制度として、成年後見制度があります。

違いとしては、サポートする範囲の広さと判断能力を失った後の利用の可否があります。

福祉サービス利用援助事業は、「福祉サービスの利用援助」や「金銭管理」といった日常範囲に限定されています。例えば不動産の売却などに関わることはできません。

一方、成年後見制度は法律行為などを含め、適用される範囲が広くなります。そのため、日常の範囲を超えたサポートが必要となる場合には併用することが求められます。

いずれの制度も、利用に際しては本人の判断能力が必要ですが、成年後見制度では判断能力の程度に応じた「後見」「保佐」「補助」の3つに対応が分かれます。

また予め「任意後見人」を選定しておき、本人の判断能力が不十分になったときに「任意後見」を有効とすることもできます。

身元保証はできない

福祉サービス利用援助事業では、日常的なサポートを基本としていますが、賃貸契約や施設への入所、病院への入院などの際の身元保証とはなりません。

とても便利なサービスではありますが、あくまで日常生活の支援であることに注意が必要です。

保証人を求められた場合には、地域包括支援センターに問い合わせると相談にのってもらえます。

福祉サービス利用援助事業の活用で日常に安心を

福祉サービス利用援助事業の活用で日常に安心を

遠方に一人暮らしの親がいると、トラブルに巻き込まれないか心配になります。また、たまたま帰省したときに、郵送された書類が手つかずのままで放置されているのを目にし、不安になるということもあるでしょう。

そうした日常的な困りごとに対する支援が、福祉サービス利用援助事業です。サービスごとに有料となりますが、自治体が実施している公的な事業なので、そこまで高額にはなりません。

毎日のお金の管理に遠くで気をもんでいるより、大きな安心感が得られます。

地域にある社会福祉協議会に相談すれば、その人の暮らしに合わせた支援計画を作成してもらえます。

「最近どうも親の判断能力が鈍っているようだ」と感じているのならば、一度相談してみることをおすすめします。

※この記事は2020年1月時点の情報で作成しています。

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。