ビタミンB12不足が貧血の原因に⁉︎高齢者がとりたい栄養素

倦怠感やめまいなど、貧血で悩まされる高齢者は多いですが、その症状の原因はビタミンB12不足かもしれません。

この記事では高齢者に必要なビタミンB12摂取量や、貧血を含めビタミンB12不足の高齢者に心配される症状、さらにビタミンB12を多く含む食品などをご紹介します。

ビタミンB12とは

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ビタミンB12とは、ミネラルの一種であるコバルトを含む化合物の総称(※1)で、「コバラミン」や「赤いビタミン」という名前でも知られています。

葉酸とともに赤血球の合成に関わっているほか、神経伝達物質の伝達をスムーズにして神経の健康を保ち、メラトニンというホルモンの分泌を整えて睡眠のリズムを正常に保ちます。

ビタミンB12は主に動物性食品に含まれています。食品中ではたんぱく質と結合していますが、体内に入ると胃酸やペプシンの働きでたんぱく質から分離され、胃壁細胞から分泌される内因子と結びついて腸から吸収されます。

※1 ビタミンB12には、アデノシルコバラミン、シアノコバラミン、スルフィトコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メチルコバラミンがあります。

高齢者が1日にとりたいビタミンB12摂取量

厚生労働省が5年に1度公表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、高齢者が1日にとりたいビタミンB12の摂取量は次の通りです。

 

 

 

男性

女性

推定平均必要量

推奨量

推定平均必要量

推奨量

60〜69歳

2.0μg

2.4μg

2.0μg

2.4μg

70歳以上

2.0μg

2.4μg

2.0μg

2.4μg


※ μg(マイクログラム)は mg(ミリグラム)の1000分の1の量です。

※ 推定平均必要量とは、その年代の50%の人の必要量を満たす量のことです。推奨量とは、その年代のほとんどの人の必要量を満たす量のことです。

※ 高齢者に限らず、18歳以上の男女いずれも、推定平均必要量2.0μg・推奨量2.4μgです。(ただし、妊婦は推定平均必要量+0.3μg・推奨量+0.4μg、授乳婦は平均必要量+0.7μg・推奨量+0.8μgとされています。) 

高齢者がビタミンB12不足になるとどうなるか

過剰摂取の心配はない・不足に注意

ビタミンB12は胃で分泌された内因子と結びついてはじめて吸収されますが、一定量以上は吸収されません。多く摂取しても体外に排出され、過剰症の心配はないと言われています。

日本人が普段口にするような食品に多く含まれており、ビタミンB12の必要量はそれほど多くありません。

そのため通常の食事をしていればビタミンB12不足になる心配はありませんが、ビタミンB12を含むのは主に動物性食品のため、植物性食品しか食べないような食生活を送っている場合には、ビタミンB12不足になる可能性があります。

高齢者のビタミンB12不足が引き起こす症状は?

ビタミンB12が不足すると悪性貧血や末梢神経障害の原因になります。これらの症状は高齢者に限ったことではありませんが、食が細くなってビタミンB12をとる機会が減りやすい高齢者にとって、ビタミンB12不足の問題点をあらかじめ知っておくことは大切です。

悪性貧血

悪性貧血とは、鉄分不足によって起こる鉄欠乏症貧血とは別のもので、ビタミンB12または葉酸不足によって起こる貧血です。全身の倦怠感や息切れ、動悸、立ちくらみなどの症状が伴います。

かつては原因がわからず治りにくかったため「悪性」という名前がついていますが、現在はビタミンB12や葉酸が原因とわかっているため治りにくい病気ではありません。

末梢神経障害

ビタミンB12は、神経機能を正常に保つ働きがあり、不足すると末梢神経障害を引き起こす恐れがあります。 末梢神経とは運動神経や感覚神経、自律神経などを指し、脳や脊髄といった中枢神経から枝分かれし、身体の各部に存在する神経のことです。末梢神経障害になると手足のしびれや肩こり、運動麻痺、異常知覚をはじめとする症状を伴います。

ビタミンB12が男性のうつ病発症のリスクを下げる?

最近行われたある研究(2016年にイギリスの医学誌”European journal of clinical nutrition”に掲載)で、ビタミンB12の摂取量が多い男性はうつ病になるリスクが低いことが指摘されました。

この研究はカナダのサン・フランシスコ・ザビエル大学のL Gougeon教授らが3年間にわたって行ったもので、それによるとビタミンB6の摂取量が多い女性と、ビタミンB12の摂取量が多い男性は、うつ病にかかるリスクが低かったのだそうです。

ビタミンB12がアルツハイマー病予防に関係?

また別の研究では、アルツハイマー病患者の脳脊髄液中のビタミンB12濃度を検査したところ、ほかの種類の認知症の脳脊髄液中のビタミンB12濃度より少なかったといいます。

ビタミンB12がアルツハイマー病予防に関係している可能性が示唆されていますが、両者の因果関係は今のところ認められていません。いずれにせよビタミンB12は過剰症の心配がありませんから、日頃から十分に摂取しておくことをおすすめします。

高齢者が食べやすいビタミンB12を多く含む食品

高齢になって食べる量が減っている方は、ビタミンB12を多く含む食品を知っておくと、効率よく摂取できておすすめです。

では、ビタミンB12は具体的にどんな食品に多く含まれているのでしょうか? ビタミンB12含有量が多い食品Top10がこちらです。

 

順位

食品名

成分量

100gあたりμg

1

きのこ類/(きくらげ類)/あらげきくらげ/乾

128.5

2

魚介類/(かつお類)/加工品/塩辛

120.0

3

魚介類/あんこう/きも、生

110.0

4

きのこ類/(きくらげ類)/きくらげ/乾

85.4

5

魚介類/うまづらはぎ/味付け開き干し

69.0

6

魚介類/(いわし類)/しらす干し/半乾燥品

61.0

7

魚介類/いかなご/煮干し

54.0

8

魚介類/(いわし類)/みりん干し/まいわし

53.0

9

魚介類/(いわし類)/たたみいわし

50.0

9

魚介類/(いわし類)/まいわし/丸干し

50.0

9

魚介類/にしん/身欠きにしん

50.0

引用:「食品成分データベース

Top10はきくらげ以外すべて海産物ですが、このほかレバーや赤身といった肉類にもビタミンB12が豊富です。そのうちのいくつかをご紹介します。※ 食品名に併記した値はその食品100gごとのビタミンB12含有量です。

 

うし(レバー)52.8μg、にわとり(レバー)44.4μg、ぶた(レバー)25.2μg、うま肉(赤身)7.1μg、うし(ヒレ、赤身)4.9μg

 

このほか、プロセスチーズ(3.2μg)、脱脂粉乳(1.8μg)、生乳(0.4μg)といった乳製品や、鶏の全卵(2.7μg)からもビタミンB12を摂取できます。

ビタミンB12を含む植物性食品はわずかですが、Top10にも入っているのりや、ぶなしめじ(ただし、100gあたり0.1μgと微量)などがあります。

【高齢者が食べやすい食品は?】

高齢者の方で硬いものが食べられない場合は、食材を小さく切って調理したり、レバーペーストなどやわらかい食品を利用するのがおすすめです。

(ちなみにレバーはビタミンB12だけでなく、葉酸や鉄分も豊富に含んでおり、貧血予防にもってこいの食品です。)

もし動物性食品をあまり食べられない場合は、ビタミンが強化されたシリアルを利用する手もあります。牛乳をかけてやわらかくすると食べやすいでしょう。

薬剤からの摂取が必要なケースも

ビタミンB12を多く含む食品についてご紹介しましたが、実際にビタミンB12不足になる人のうち、食事からビタミンB12を十分に摂取していないというケースはまれで、ビタミンB12の吸収に関して身体に問題があるケースがほとんどです。

ビタミンB12は胃壁細胞から分泌される内因子と結合して吸収されるため、胃の切除手術をした人は、食品からビタミンB12を摂取できません。

また高齢者に多く見られる症状の一つに萎縮性胃炎がありますが(※)、萎縮性胃炎を患っている人もビタミンB12がうまく吸収できず不足しがちです。

そのため胃の切除手術を受けた人や萎縮性胃炎の人は、食品からではなく注射などでビタミンB12をとらなければなりません。

※ 萎縮性胃炎とは胃の粘膜が萎縮してしまう胃炎のことで、ピロリ菌の慢性感染によって起こります。

まとめ

ビタミンB12不足は悪性貧血や末梢神経障害を引き起こしますので、疲れやすい、手足にしびれがでるといった症状で悩んでいる高齢者は、一度ビタミンB12不足を疑ってみるといいかもしれません。

ビタミンB12は必要な摂取量はそれほど多くありませんので、普通に食事をしていれば不足することはありませんが、高齢になって食べる量が極端に減っていたり植物性食品ばかり食べている場合は気をつけましょう。

またビタミンB12不足の原因として、体内でビタミンB12の吸収が困難になっている可能性も考えられます。その場合には食事からいくらビタミンB12をとっても吸収されず、注射によるビタミンB12摂取が必要ですので、念頭に置いておいてください。

このようにビタミンB12不足はさまざまな症状の原因となりますが、ビタミンB12不足の大切さを知らない高齢者の方は多いようです。もしこの記事が少しでも役に立った場合には、ぜひシェアをして多くの人に拡散してください。

※この記事は2019年8月時点の情報で作成しています。

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監修者:春田 萌
監修者:春田 萌

日本内科学会 総合内科専門医、日本老年医学会所属
15年目の内科医師です。大学病院、総合病院、クリニックでの勤務歴があります。訪問診療も経験しており、自宅や施設での介護についての様々な問題や解決策の知識もあります。