左半身にマヒがある義母の入浴についてです。介護サービスを利用したいと思っており、自宅のお風呂に入るサービスと自宅にお風呂を持ってきてくれるサービスがあると聞きました。内容や料金の違いなど詳しく教えてください。

質問

質問者

要介護1の義母ですが、脳梗塞の影響で左半身に若干のマヒがあるものの、介護サービスを利用しながらひとり暮らしをしています。私たち一家は近隣に住んでいるのですが、共働きのため、買い物に一緒に行ったり、足りない部分の掃除をしたりといった程度に、生活をサポートしていました。お風呂はデイサービスで週に2日入っていたのですが、デイサービスで伝染病の陽性者が出てからは、元々デイサービスを嫌がっていたこともあり、行きたがらなくなってしまいました。

1人でお風呂に入るのは心配なので、身体を拭いたり、シャワーの見守りをしたりしていたのですが、浴槽につかりたいという気持ちがあるようです。しかし、お風呂はバリアフリーではないし狭いので、家族が手伝っても浴槽につかってもらうのは難しい状態です。

 

介護保険サービスで入浴させてあげたいと思っているのですが、自宅のお風呂に入るサービスと、自宅にお風呂を持ってきてくれるサービスの2つがあると聞きました。それぞれのサービス内容の違いや料金の違いを教えてください。居室から浴室、またはお風呂が置ける部屋が離れているのですが、移動の介助はしてくれるのでしょうか?昼間のサービスになると思いますが、家族が立ち会う必要はありますか?

 

専門家自宅で受けられる入浴介助の介護保険サービスには、訪問介護の身体介護サービスと訪問入浴介護サービスの2種類があります。それぞれ、自宅の浴槽に入るのか、事業者が持ち込んだ浴槽に入るのか、誰が来るのかなどの違いがあります。


ここでは、それぞれのサービスの内容や料金の違いなどについてご紹介します。現在や今後の生活の参考にしてください。

 

自宅で受けられる入浴介助サービス

訪問入浴サービスのイメージ

それでは、自宅で受けられる2つの入浴サービスの内容をみてみましょう。

訪問介護の身体介護サービス</h

訪問介護とは、介護の資格を持った訪問介護員(ホームヘルパー)が、利用者の自宅で排泄や入浴、食事などの身体介護や、掃除、調理、買い物などの生活援助を提供する介護保険サービスです。要介護1以上の方が利用できます。

訪問介護では、1時間の身体介護サービスとして、入浴の介助をお願いすることが可能です。お湯張りや入浴前の準備、洗体や洗髪など、自分でできることはやっていただき、できない部分をヘルパーがお手伝いします。

見守りだけで十分な場合には、身体介護サービスと生活援助を組み合わせた1時間のサービスになることもあります。ヘルパーに居室などの掃除をしながら入浴の見守りをしてもらい、手の届かないところを洗う時や浴槽をまたぐ時など、必要なところだけをヘルパーが介助します。

いずれも体調を確認してから入浴し、入浴後には浴室をヘルパーが掃除して終わりです。

バリアフリーのお風呂ではない場合、サービスを開始する前に住宅改修で手すりを設置したり、滑り止めやバスボードなどの福祉用具を購入したりして、安全に入浴できる環境を整えます。介護のための住宅改修や福祉用具の購入にも介護保険が適用されます。

要支援1、2の認定を受けている方は、各市区町村が提供している総合事業の訪問型サービスで、入浴の介助を受けられます。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

訪問介護とは?在宅介護を支える介護保険サービス - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

訪問入浴介護サービス

訪問入浴介護とは、自宅にお風呂がない、寝たきりなので安全に入浴できないなどの理由で、自宅での入浴が困難な方のための介護保険サービスです。

サービス提供事業者が専用の簡易浴槽を持ち込み、介護職員と看護職員が訪問し、看護職員が体調を確認した後で、介護職員が入浴の介助を行います。看護職員が入浴を見守ってくれるので、体調が変わりやすい方も安心です。

要介護1以上の方、または、要支援1、2の方で特定の事情のある方が利用できます。

訪問入浴介護とは? 自宅での入浴を叶える介護保険サービス - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

その他の介護保険サービス

訪問入浴介護と訪問介護以外でも、デイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリ)などで、介護保険を利用して入浴介助を受けることは可能です。車イスや全介助の方でも安全に入浴できる、リフト浴や機械浴のある施設もあります。

また、心臓や呼吸器疾患がある、重いマヒがある方などが自宅のお風呂での入浴を希望される場合、ヘルパーによる入浴介助ではなく、訪問看護にて看護師に入浴介助をお願いすることも可能です。

訪問介護と訪問入浴介護の違い

訪問介護と訪問入浴介護の違いを考える

訪問介護と訪問入浴介護の違いには、次のようなものがあります。

サービスを提供するヘルパーの違い

訪問介護では、「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」「介護福祉士実務者研修(旧ヘルパー1級)」「介護職員基礎研修課程修了者」などや国家資格である「介護福祉士」といった資格を持った介護職員が原則として1人で自宅を訪問し、入浴介助を行います。

訪問入浴介護では、3人のスタッフ(介護職員2人と看護職員1人)が、必要な機材を積み込んだ訪問入浴車に乗ってやってきます。 要支援1、2の方は、2人のスタッフ(介護職員1人、看護職員1人)による入浴となります。訪問入浴介護を行う介護職員は、介護資格の取得が必須ではありません。ただし、自主的に介護資格を取得している方も多いです。

サービスを提供する場所の違い

訪問介護の入浴介助は、自宅の浴室を利用します。

訪問入浴介護では、寝室などに簡易浴槽を設置して入浴をします。通常は2畳ほどのスペースがあれば設置が可能です。

料金の違い

利用料金は大きく異なります。

訪問介護にて、1回(30分以上1時間未満)の身体介護サービスを受けた場合の利用料金は396円です。見守りをしながら掃除などの生活援助をお願いする場合には、317円となります。入浴の内容(全身浴、部分浴、シャワー浴、清拭)で金額は変わりません。要支援1、2の方は、週に1度か2度かで金額が異なります。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

訪問入浴介助も1時間未満のサービスですが、1回当たりの金額は要介護1~5の方で1,260円、要支援1、2の方で852円となります。体調の都合で清拭または部分浴になった場合には金額が変わり、要介護1~5の方で1,134円、要支援1、2の方で766円となります。

※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。時間帯(早朝・深夜)やサービス内容、サービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

準備するもの

訪問介護では、シャンプーや石鹸、バスタオルなど入浴に必要なものは、全て利用者宅にあるものを利用します。入浴剤も同様です。

一方で訪問入浴介護では、洗髪や洗体に必要なシャンプー、石鹸、洗顔フォームは事業所が用意しますが、好みのものがある場合には利用者側が用意したものを使うことも可能です。タオルについては、事業者によって異なるのでご確認ください。入浴剤についても事業者が用意してくれますが、利用者が用意することも可能です。

訪問介護と訪問入浴介助で共通していること

入浴時に使用するタオルのイメージ

続いて、訪問介護の入浴介助と訪問入浴介護の共通点をみていきましょう。

介護保険が適用される

訪問介護と訪問入浴介護は、どちらも介護保険が適用されるサービスです。ケアマネジャーがケアプラン(介護の利用計画書)に盛り込み、サービス提供事業所と契約をしてから利用開始となります。

週に何回サービスが必要なのか、本人やケアマネジャーと相談して決めましょう。

必要に応じて内容が変更になる

訪問介護でも訪問入浴介護でも、基本的に血圧測定や体温測定など、体調の確認をしてから入浴を行います。状態によっては、全身浴を希望していても部分浴や清拭になることもあります。

更衣や移動の介助も

訪問介護でも訪問入浴介護でも、ベッドと浴槽・浴室間の移動や着替えについても介助をお願いできます。

どちらも、持っている能力を維持するために、できるところは自分でやってもらいます。

家族の立ち合いは不要

訪問介護でも訪問入浴介護でも、家族の立ち合いは必要ありません。開錠が必要な場合には、キーボックスを設置して、暗証番号で鍵を取り出してもらうようにします。事業所によっては、鍵の預かりをしているところもあります。

使うならどちらのサービス?

サービスの違いを説明するケアマネジャーのイメージ

それでは、訪問介護と訪問入浴介護は、どちらを使うべきなのでしょうか。

訪問介護の入浴介助がおすすめな方

訪問介護の入浴介助は、次のような方におすすめです。

  • 手すりの設置、滑り止め、浴室用踏み台、バスボードなどの福祉用具を利用すれば自宅で入浴する環境が整えられる方
  • 手すりやバスボードなどを利用して浴槽をまたぐことができる、背中や洗髪などのできないところの介助だけで入浴ができる、基本的に見守りだけで十分など、比較的要介護度の低い方
  • 体調が安定している方

訪問入浴介護サービスがおすすめな方

訪問入浴介護は、次のような方におすすめです。

  • 浴室が狭い、浴室がないなどの理由で環境を整えられない方
  • 自宅に簡易浴槽を設置するスペース(2畳ほど)がある方
  • 寝たきりなどの要介護度が高い方
  • 体調の変化が激しい方

まとめ

介護保険を利用して、自宅での入浴をサポートするサービスには、主に自宅のお風呂を利用する訪問介護と自宅に簡易浴槽を持ち込む訪問入浴介護があります。

訪問介護の入浴介助と訪問入浴介護は、自宅の浴室を利用するか、何人の職員の手を借りるか、事前に準備しておくものには何があるかなど、いくつかの違いはありますが、1時間ほどのサービスの中で、体調チェック、洗髪・洗体、更衣介助、片付けを行う点は同じです。必要に応じて、保湿剤の塗布もお願いできます。どちらのサービスを使うかによって、大きく変わるのが費用です。訪問介護の入浴介助でかかる費用は、訪問入浴介護の半分以下です。

ここまで、訪問介護の入浴介助と、訪問入浴介護の違いを説明してきました。どうしても自宅で入浴したい場合には、この記事を参考にしたうえで、どちらのサービスが適しているのかを本人やケアマネジャーと相談をして決めると良いでしょう。利用者の状態によっては、訪問看護の入浴介助を利用するという選択肢もあります。

※この記事は2021年11月時点の情報で作成しています。

関連Q&A

i.ansinkaigo.jp

i.ansinkaigo.jp

 

ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

ホームページはこちら