寝たきりの父に簡易浴槽を購入予定です。介護用簡易浴槽の特徴や選び方を教えて下さい。

入浴介助のイラスト
質問

質問者現在、日常生活のほとんどをベッドの上で過ごしている、父の自宅での入浴についての質問です。

お風呂好きで、入浴剤にもこだわっていた父なので、好きな時にお風呂に入ってもらいたいと考えています。 そこで、簡易浴槽を購入しようかと思っているのですが、一般用と介護用はどのように違うのでしょうか? また、選ぶポイントを教えてください。

専門家簡易浴槽についての質問ですね。工事不要で設置できるポータブルタイプの簡易浴槽は、介護保険を利用して購入できます。

インターネットで簡易浴槽と検索すると、アウトドアやお風呂のない家で利用できる安価な簡易浴槽がたくさん出てきますが、その全てが介護保険の対象となるわけではありません。 この記事では、簡易浴槽の基礎知識と一般用と介護用の簡易浴槽の違いを含めた簡易浴槽を選ぶポイント、そして簡易浴槽以外の選択肢について解説しています。ぜひ今後の参考にしてみてください。

簡易浴槽とは

浴槽のアイコン

まずは、簡易浴槽の基礎知識について見ていきましょう。

簡易浴槽の役割とメリット

簡易浴槽とは、寝たきりの方や自宅の浴室を安全に使用する環境が整えられない方などが使用する、ポータブルタイプの浴槽のことです。中には、洗髪槽やシャワー機能のついたタイプもあります。

給水や排水などの工事は必要ありません。空気式や折りたたみ式、立てかけ式などがあり、寝室やリビングに持ちこんで使用できます。

購入時には介護保険が利用できます

福祉用具によっては、介護保険の福祉用具貸与が適用されてレンタルできるものがありますが、直接肌が触れる簡易浴槽はレンタルの対象外です。

ただし、簡易浴槽を購入する際には、特定福祉用具として介護保険が適用されます。年間(4月から翌3月まで)で10万円までであれば、申請をすれば原則1割(一定の所得以上の方は2割または3割)で購入可能です。

いったん全額を支払ってから申請をして給付を受ける「償還払い(しょうかんばらい)」となります。対象とはならない製品や店舗で購入すると、介護保険が適用されなくなってしまうので注意しましょう。詳細は、ケアマネジャーや地域包括支援センターにご確認ください。

簡易浴槽の利用方法

簡易浴槽で入浴介助をするイラスト



続いて、簡易浴槽の利用方法を見ていきましょう。給水や排水、組み立て方については製品によって異なるので、説明書をよくご確認ください。

簡易浴槽の設置場所

簡易浴槽は、給水や排水がスムーズに行えて、使用中に換気がしやすい場所に設置しましょう。給水のためのホースが長いと、湯温が下がってしまうので注意が必要です。

簡易浴槽の利用方法

ベッドや車いすから簡易浴槽に移乗して入浴します。空気式の場合は、利用する人を移乗してから空気を入れます。給水する前に空気が漏れていないかをしっかり確認してください。

あらかじめ、体温や血圧などを計測してその日の体調を確認しておきましょう。入浴を中止する目安の体温や血圧などについては、あらかじめかかりつけ医に相談しておくと安心です。入浴中も高齢者の様子を見ながら、何か変化があった場合は直ちに中止するようにします。

簡易浴槽を使っても自宅での入浴が難しい場合

簡易浴槽を使っても安全で快適な入浴が難しい場合や体調が不安定などの理由で介護職に入浴介助をして欲しいといった場合には、デイサービスで入浴してもらったり、訪問入浴サービスを利用したりすると良いでしょう。

訪問入浴サービスは、介護保険が適用されるサービスです。自宅に看護師と介護士2名がやってきて、持ち込んだ簡易浴槽で入浴します。詳しくはケアマネジャーにご相談ください。

簡易浴槽の選び方

簡易浴槽の選び方を解説するスタッフ

続いて、簡易浴槽の選び方について解説していきま。

設置場所に合わせた機能を選びましょう

簡易浴槽を選ぶ際にポイントとなるのが、給水と排水の方法です。あらかじめどこで使用するのかを決めておき、そこで無理なく利用できるか、お湯の温度を下げずに給水できるかなど考慮して選ぶようにしましょう。

また、収納場所についてもあらかじめ考えてから選ぶと良いでしょう。

介助者に合わせて選びましょう

介助者の体力がない場合には、簡易浴槽の設置や片付けが容易にできるかを確認しましょう。

浴槽への移動が容易にできるかについても検討しましょう。浴槽に高さがあるタイプは、介助者に体力がないと負担が大きくなってしまいます。空気式やシート式の浴槽は、ベッド上からシーツ交換の要領で簡単に移乗できます。入浴の際には、ひとりで移動させるのか、ふたり以上で移動させるのかについても、あらかじめ考えておくようにしましょう。

また、簡易浴槽が低いと、介助する人の腰に負担がかかってしまうので注意が必要です。

一般用と介護用の違い

介護保険の対象となる簡易浴槽は、空気式または折りたたみ式、または、使用しない時に立てかけて収納できるもの、簡単に移動できるものです。また、給水や排水のために工事を伴うものは、介護保険の給付対象外となります。

介護用の簡易浴槽のほとんどが、室内での使用を前提にしていること、浅い浴槽なので寝た状態でも使用できること、介助がしやすいことなどに考慮されています。

一般用のポータブル浴槽でも、折りたたんで収納できるものが比較的安い金額で販売されていますが、都道府県によって指定を受けた事業者が取り扱っているもの以外は、介護保険の対象にならないので要注意です。

簡易浴槽は無理なく使用できるものを選びましょう

自宅での入浴が困難な方が使用する簡易浴槽は、空気式、折りたたみ式、立てかけ式などで容易に移動できるものであれば、購入の際に介護保険が適用されます。

簡易浴槽を利用して要介護者を入浴させることは、介助者にとってけして簡単なことではありません。購入の際は、設置場所に適したもの、そして介助者が無理なく使用できるタイプの簡易浴槽を選ぶようにしましょう。

また、デイサービスでの入浴や訪問入浴サービスなどの利用も、併せて検討するのがおすすめです。詳しくはケアマネジャー、福祉用具専門相談員、地域包括支援センターなどにご相談ください。

※こちらの記事は2022年3月時点の情報で作成しています。

ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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