シルバーピアは東京都内にお住まいで、住宅に困っている高齢者のための住宅です。使用料(家賃)が非常に安いこともあり、人気があります。本記事では、そのサービス内容や対象者、入居までの流れなどについて解説しています。東京都在住の方は、ぜひご確認ください。
- シルバーピア(高齢者集合住宅)とは?知っておきたい基本ポイント
- シルバーピアのメリットとデメリット
- シルバーピア(高齢者集合住宅)の対象者
- シルバーピア(高齢者集合住宅)のサービス内容
- シルバーピア(高齢者集合住宅)でかかる料金
- シルバーピア(高齢者集合住宅)に入所するまでの流れ
- 自立した生活を続けさせたい東京都内の方に
シルバーピア(高齢者集合住宅)とは?知っておきたい基本ポイント
シルバーピア(高齢者集合住宅)の基本ポイントを確認していきましょう。
高齢者のための公営住宅
シルバーピア(高齢者集合住宅)とは、住宅に困っている高齢者が使用できる、東京都または都内の市区町村が運営している住宅です。どこが運営しているかによって、募集の時期や抽選方法が異なります。介護施設ではなく住宅なので、自立して日常生活を送れる方が対象です。一定の所得以下の方が申し込みでき、家賃も前年度の収入によって決まるので、少ない金銭的負担で自立した生活を続けることができます。
シルバーピア(高齢者集合住宅)では、手すりや緊急通報装置の設置や、ワーデンと呼ばれる生活援助員が入居者の安否確認に加えて、相談、緊急時の対応を行うなど、高齢者が暮らしやすいような配慮がされています。ただし、バリアフリーや車いすの方に配慮された設計ではないことが多いので注意が必要です。
自立した生活を続けて欲しい方、金銭的に可能な範囲で暮らせる住宅を探している方、階段や段差があるため住み替えさせたいけど年齢が理由で賃貸物件が決まらない方、身寄りのない高齢者などに選ばれています。
シルバーピア(高齢者集合住宅)の退去について
使用申請の内容の虚偽や賃料の滞納、1ヵ月自宅を空けるのに届け出をしていないなど、各規程への違反などがあると、シルバーピア(高齢者集合住宅)から退去しなくてはいけません。また、収入が増えてシルバーピア(高齢者集合住宅)の入居要件に合わなくなった際にも退去が必要です。
シルバーピア(高齢者集合住宅)は住民がそれぞれの暮らしを営む住宅です。外部の在宅介護サービスを利用することはできますが、介護職員のいる施設ではないため、介護度が高くなると退去を考えなくてはいけません。
シルバーピアのメリットとデメリット
シルバーピア(高齢者集合住宅)のメリットとデメリットを比較してみましょう。
シルバーピア(高齢者集合住宅)のメリット
- 住み慣れた地域で暮らし続けることができる
- 収入が低い方が、比較的安い金額で借りることができる
- 緊急通報システムが設置されているなど、高齢者に配慮された住宅である
- ワーデン(生活援助員)が常駐しているので安心
シルバーピア(高齢者集合住宅)のデメリット
- 自立した生活ができなくなると、退去しなくてはいけない
- 空きのある住宅が割り振られるので、場所は選べない
- 収入が多いと利用できない
- 必ずしもバリアフリーではない
- ワーデン(生活援助員)は必ずしも24時間常駐しているわけではない
シルバーピア(高齢者集合住宅)の対象者
シルバーピア(高齢者集合住宅)に入所できる対象者を確認しましょう。
シルバーピア(高齢者集合住宅)が利用できる方
以下に当てはまる方は、シルバーピア(高齢者集合住宅)に申し込みができます。
【単身用】
- 65歳以上で同居する親族や戸籍上の配偶者がいないひとり暮らしの方
- 所得が2,568,000円以下
【2人世帯用】
・65歳以上と60歳以上のふたり暮らしの方
・所得が2,948,000円以下
【共通】
- 区営は同区内、都営は東京都内に3年以上居住している方
- 住宅に困っている方
- 賃貸住宅にお住まいの方、住宅や土地を所有していない方
- 自立して日常生活が送れる方
- 暴力団員ではないこと
シルバーピア(高齢者集合住宅)のサービス内容
シルバーピア(高齢者集合住宅)のサービス内容を見ていきましょう。
シルバーピア(高齢者集合住宅)のサービス内容
●緊急通報システムの設置
火災やガス報知器の他に、センサーの前を一定時間通らないと通報される生活センサーなどが設置されています。他に据え置き式の専用通報端末が設置されていることもあります。
どんな緊急通報システムが設置されているのかは、お住まいの地域の住宅課、都営の場合は都営住宅募集センターに問合せください。
●ワーデン(生活援助員)の配置
ワーデンと呼ばれる生活援助員が、住民の安否確認や生活相談、緊急時の対応を行っています。住み込みのワーデンがいる物件もありますが、日中だけで夜間は不在など駐在している時間帯は物件によって異なります。 安否確認の頻度も運営している自治体によって異なります。
●住民の交流の支援
住民会やサークル活動の支援などをワーデンが行っている物件もあります。また、多くのシルバーピアには団らん室が設置されていますが、使用頻度や使用方法も物件によって様々です。
シルバーピア(高齢者集合住宅)での介護サービスについて
シルバーピアは自立した生活ができる方向けの住宅です。介護が必要な方は、訪問介護、訪問看護、デイサービスなどの在宅介護サービスを利用して暮らすことが可能です。
シルバーピア(高齢者集合住宅)で入居する部屋のタイプ
シルバーピアで入居する部屋タイプは、物件によって様々です。一般的なタイプでは単身用が1DK、2人世帯用が2DKであり、トイレ、浴室、台所、冷暖房が各戸に設置されています。
シルバーピア(高齢者集合住宅)でかかる料金
シルバーピア(高齢者集合住宅)でかかる費用は以下の通りです。
シルバーピア(高齢者集合住宅)のひと月ごとの基本料金
シルバーピア(高齢者集合住宅)の使用料(家賃)は、利用者の前年度の収入や部屋の広さによって異なります。 目安としては1万円から5万円ほどです。
その他にかかる費用
上記の金額の他に、水道光熱費や共益費がかかります。
入居時にかかる費用
入居時は2~3ヵ月分の保証金・敷金が必要です。
シルバーピア(高齢者集合住宅)に入所するまでの流れ
最後に、シルバーピア(高齢者集合住宅)を利用する基本手順を確認しておきましょう。
シルバーピア(高齢者集合住宅)の利用方法
シルバーピア(高齢者集合住宅)に申し込むには、各自治体が入居者を募集している期間に申し込み用紙を提出する必要があります。
申し込み期間や入居者の決定方法は、自治体によって異なります。
例えば都営のシルバーピアの入居者の募集は、2月と8月の年に2回行われ、抽選により当選した方の中から入居資格のある方が入居予定者として登録されます。募集している住宅が公開され、その住宅に申し込むので、希望する地域の住宅が選べます。
各自治体が運営しているシルバーピアでは、入居者の募集は年に1~2回行われ、決定方法は抽選式やポイント式など様々です。ポイント式では、その人の居住環境や収入などがポイント化されて優先順位が決定します。
いずれの場合でも当選者または優先順位の高い人に訪問調査などといった、入居資格の2次審査が行われます。抽選式の場合は、調査した内容を基に優先順位が決定します。
優先順位が決まると、その時点で空いている部屋が割り振られるか、翌年度に空き室ができ次第、順番にあっせんされます。
いずれも人気が非常に高く、2019(令和元)年8月に行われた都営のシルバーピアの抽選倍率は10~246倍となりました。 詳しくはお住まいの地域の住宅課、都営の場合は都営住宅募集センターに問合せください。
シルバーピア(高齢者集合住宅)の入居手続き
シルバーピア(高齢者集合住宅)に入居が決定した後は、保証金や敷金(使用料の2~3ヵ月分)と連帯保証人または連絡先となる人が必要です。
連帯保証人または連絡先となる人物の基準やいない場合のご相談は、お住まいの地域の住宅課、都営の場合は都営住宅募集センターに問合せください。
自立した生活を続けさせたい東京都内の方に
長年暮らし続けた自宅は愛着があるものですが、次第に段差や階段が辛くなってきます。本人や家族が住み替えを望んでも、入居者が高齢だと賃貸物件はなかなか見つかりません。
自立した生活を本人が望んでいたり、所得が限られていたりすると、施設やサービス付き高齢者住宅などへ入居も難しいものです。そんな方のために東京都や都内の自治体が設置している住宅が、所得や部屋の広さによって家賃が決まるシルバーピア(高齢者集合住宅)です。
できる限り自立した生活を続けて欲しい方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。抽選方法や時期、物件の場所などの詳細は、各自治体の住宅課または都営住宅募集センターにお問い合わせください。
※この記事は2019年11月時点の情報で作成しています。

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。 訪問介護サービスの利用をきっかけに、ご利用者様や ご家族の表情が和らいでいくのを何度も目にしてきました。 2021年の介護福祉士取得を目指しています