特養(特別養護老人ホーム)の選び方大全|チェック項目や注意点などを解説

 

特養(特別養護老人ホーム)は終の棲家ともいわれ、多くの方は終身にわたって入居することとなります。

ここでは生き生きした残りの人生を送れるよう、特養(特別養護老人ホーム)を選ぶ際のチェック項目や注意点を解説します。

特養(特別養護老人ホーム)を選ぶ際の下準備

特養(特別養護老人ホーム)に入居する前には事前に情報を整理しておくことが重要です。

ここでは、入居前に整理しておくべき項目についてご説明します。

毎月捻出出来る費用はいくらか(年金のみなのか、その額はいくらか、家族からの支援があるのか)

月額費用を支払うにあたり、毎月どれくらいの費用を捻出することが出来るのか目途を立てておくことが必要です。

資産や年金、家族からの支援等の収入から、どの程度の費用なら許容できるのかを把握しておきましょう。

また特養(特別養護老人ホーム)は終の棲家ともいわれており、施設の入居基準に当てはまっていれば終身住み続けることが可能です。

その為、入居前は費用を捻出できると思っていても、実際の入居期間が長くなれば、合計で支払う費用も大きくなります。

費用を支払えなくなってしまったということがないように、余裕をもって費用面の計画を立てることが重要です。

立地はどうか(近くに駅や公園などが必要か、通う家族がいる場合は通いやすいかなど)

施設に入居するにあたって、近くに公園やスーパー等があると、散歩に出かけられたり嗜好品を購入したりすることが出来ます。

また家族が面会に行く際には、駅から近いかどうか、駐車場はあるかどうか、バスの本数はどのくらいかなども調べておきましょう。

坂道や階段が多く車いすの家族が面会に行けない、交通量が多く自転車で走れない等といったこともあるため、必ず実際に施設に出向いて立地を確認することが大切です。

医療、看護体制はどの程度施設に求めるか(既往症の有無など)

 

持病がある等、常時医療を受ける必要のある方は、必ず医療従事者の配置数や勤務時間について確認しましょう。

特養(特別養護老人ホーム)は医療よりも生活に特化している施設であり、特養(特別養護老人ホーム)の中でも、どれくらいの医療に対応できるかは、施設によって異なります。

入居前の状態では医療に問題がなくても、持病が悪化することで退去を余儀なくされることがある為、持病とそれによって今後想定される医療について情報を整理し、対応について説明を受けることが大切です。

特養(特別養護老人ホーム)は看護師も医師も配置義務が定められていますが、24時間常時配置されているわけではなく、医師については非常勤でも可とされています。

医師の往診などで医療体制を充実させている施設や、一定の研修を受けた介護スタッフが喀痰吸引や経管栄養の医療行為を行っている施設もあります。

日常生活ではどのような作業が行えないか

私物の持ち込みが出来る、食べ物の差し入れが出来る、長年の趣味を続けることが出来る、定期的に運動の機会が作れる、など普段の生活では出来て当たり前のことでも、施設のルールで禁止されている場合もあります。

長期間生活するかもしれない特養(特別養護老人ホーム)で、行動が制限されることは大きなストレスになり、認知症や身体能力の低下を招く結果にもつながります。

その為、特養(特別養護老人ホーム)での日常生活で重視したい点をまとめ、特養(特別養護老人ホーム)で禁止されている作業について確認することが重要です。

実際に施設を見ながら、その施設が希望に沿っているかを確認することが重要になってくる為、入居前には必ず見学に行くようにしましょう。

実際に適度の飲酒が許可されている施設や一緒に暮らしていたペットとも継続して暮らすことができる施設もあります。

特養(特別養護老人ホーム)を選ぶ際のポイント

 

特養(特別養護老人ホーム)を選ぶ際に、先ほど述べた下準備の情報をまとめるとともに、見学時にチェックすべきポイントがあります。

ここでは、見学時にどのような観点で施設を見ることが望ましいのか、ご説明します。

特養の選び方(1)立地

家族が通う際のアクセスは駅か車かで条件が変わってくる点

まず、家族が面会に行く際の交通手段に応じて立地における条件は異なります。

交通手段が車である場合、駐車場があるかどうか、ない場合は近くにコインパーキングはあるかどうかは重要です。

さらに、時間帯によって渋滞の発生があるかどうかも吟味すべき問題です。

交通手段が電車である場合、駅からの道のりはどのようなものか、乗り換えや所要時間は許容範囲なのか確認をしましょう。

交通手段が徒歩や自転車である場合は、階段や坂道が多くないか、歩道はあるか、交通量は多くないか等確認し、安全に面会することの出来る手段を選んでください。

公的施設(役所や図書館)などは至近か

役所や図書館などの公的施設は近いかどうかも重要です。

施設のまわりの生活環境が充実していれば、安心した暮らしを送ることが出来ます。

入居している本人が外出できない場合でも、近くに公的施設があれば、面会の際に家族が用を済ませてくるといったことも可能です。

病院など万一の際の医療機関は近いか

特養(特別養護老人ホーム)に入居した後も、施設近くの病院に定期受診が必要であったり、時には急な入院が必要になったりすることがあります。

特養(特別養護老人ホーム)は医師や看護師を配置していても、施設内ですべての医療行為を行うことは困難な為、必要に応じて提携先の協力医療機関で医療を受けることが出来ます。

協力医療機関では専門的な医療行為以外にも、緊急対応や健康管理上のアドバイスや定期健診などを行っており、入院が必要になった際に積極的に入院を受け入れてくれます。

どのような医療機関と提携し、そこではどのような医療が受けられるかを確認することも大切です。

家族が付き添いを行う際に、特養(特別養護老人ホーム)と提携している医療機関へのアクセスは良いかどうかも確認しておきましょう。

ハザードマップなどは考慮してあるか

川の氾濫や地盤などハザードマップを確認して、その土地の安全性について調べておくことが必要です。

また実際に過去に重大な災害がなかったかどうか等、周囲の情報を集めましょう。

近年でも、大型の台風で床上浸水が発生し、特養(特別養護老人ホーム)の入居者やスタッフが身動きが取れなくなってしまったという事例があります。

見学した際に裏手に山があったり川があったりする場合には、避難訓練の様子や実施回数を尋ねると災害への対応意識がわかります。

 

特養の選び方(2)設備環境・居室形態

特養(特別養護老人ホーム)の居室には多床室と個室があり、施設によってどちらの居室が用意されているかは異なります。

多床室は4人部屋が多く、カーテン等で仕切られてはいますが、人によっては同室者の音や臭い、気配を気にする方もいます。

一方個室は1人部屋の為、プライバシーが確保できますが、多床室より費用が高くなります。

また入浴設備も様々なものがあり、一般家庭の浴室と同じような個浴槽から、大浴場のような一般浴、椅子に座ったまま入れる中間浴や、寝たままでも入浴できる機械浴などがあります。

身体状況によって、安全に入浴できる設備が整っているかどうかも注目すべきポイントです。

特養の選び方(3)費用

入居者の要介護度や居室の形態、費用負担割合、自己負担額、個別で必要なサービスによって大きく異なりますが、厚生労働省が発表している特養(特別養護老人ホーム)の一般的な費用相場は以下の通りです。

特養(特別養護老人ホーム)の1カ月の自己負担の目安

  • 要介護5で多床室を利用した場合
施設サービス費の1割 約25,000円
居住費 約25,600円(855円/日)
食費 約43,300円(1,445円/日)
日常生活費 約10,000円(施設により設定されます。)
合計 約103,900円
  • 要介護5でユニット型個室を利用した場合
施設サービス費の1割 約27,500円
居住費 約60,000円(2,006円/日)
食費 約43,300円(1,445円/日)
日常生活費 約10,000円(施設により設定されます。)
合計 約140,800円

施設サービス費とは、食事、排泄、入浴、身の回りの世話等、介護サービスを受けるための費用です。

それぞれ介護保険料の自己負担額に応じて支払います。

居住費とは、入居するための家賃です。

居室タイプには多床室と個室があり、多床室は特に費用を抑えることが出来ます。

食費は一日3食とおやつにかかる費用で施設によって異なります。

外出等で施設で食事をとらない場合は事前に連絡することで、食べなかった分の費用がかからない場合があります。

日常生活費は、日常消耗品(歯ブラシ、トイレットペーパー、石鹸、嗜好品等)、レクリエーション用品費、理美容代等様々です。

特養の選び方(4)医療・リハビリ体制

既往症や身体機能の衰えに対してどのような対応を行っているのか確認をしましょう。

医師、看護師などの医療従事者は、特養(特別養護老人ホーム)では24時間配置する義務はないため、施設ごとにどんなスタッフが何人配置されているか異なる点も注意が必要です。

また理学療法士や作業療法士、言語聴覚士等の機能訓練指導員によってリハビリの充実度が変わってきます。

施設によって配置されている職員の人数が異なる為、どれくらいの頻度でリハビリを受けたいのか、またどこまでの機能向上を目指しているのかを考えた上で施設を選ぶことが大切です。

特養の選び方(5)サービス内容

イベントやレクリエーションなど日常生活にメリハリのある催しが行われているかどうか、またどの程度の頻度で行われているのか、といった点をチェックする必要があります。

特養(特別養護老人ホーム)での生活は外に出る機会が減り、また空調の効いた場所では、外の気温や風の匂い等も感じることが出来なくなる為、四季の移ろいを楽しめず同じような日々の繰り返しになりがちです。

イベントやレクリエーションによって春、夏、秋、冬、と季節の移り変わりを実感したり、楽しみを増やして生きがいを作ることで、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を高めることにつながります。

特養の選び方(6)入居者・スタッフの雰囲気

その空間で働いている介護スタッフや入居者の表情などに注目し、生き生きと暮らせているのかどうか、といった点もチェックすることが大切です。

例えば、介護スタッフの入居者への言葉遣いは丁寧かどうか、座っている方に話しかける際は座って視線を合わせているか、入居者へ向ける表情は明るいか、車いすを走りながら押していないか等、確認してみましょう。

普段の対応が無意識のうちに表れる為、スタッフが入居者を大切に想っているかどうかを把握することが出来ます。

また、入居者はつまらなそうにしていないか、疲れてテーブルに伏せていないか、スタッフと円滑なコミュニケーションがとれているか等、実際に目で見ることで入居者がどのように暮らしているのかを想像することが可能です。

特養の選び方(7)食事

特養(特別養護老人ホーム)での生活で食事を楽しみにしている入居者は数多くいます。

その為、献立や、厨房が併設されているのかそれとも外部委託なのか等の調理体制の確認をし、もし可能であれば試食してみて毎日の楽しみである食事についても調べることが重要です。

また嚥下や歯の状態によっては、通常の食事ではなく、刻み食、ミキサー食、ソフト食等食事の形態を変更しなければならない場合もあります。

さらに持病を持っている場合は、塩分制限、カロリー制限等が必要な場合もあるため、個別にどこまで対応してもらえるのかといったことも確認すべきポイントです。

特養(特別養護老人ホーム)の入居に向いている人・向いていない人

 

ここでは、特養(特別養護老人ホーム)の入居に向いている人、向いていない人について詳しく説明していきます。

特養(特別養護老人ホーム)に向いている人

まず、特養(特別養護老人ホーム)の入居に向いている人について説明します。

介護度が重い方

特養(特別養護老人ホーム)への入居条件は、

    となっています。

要介護1、2の方で入居が認められる場合の特例条件は、

  • 認知症で、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁にみられる
  • 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁にみられる
  • 家族等の深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
  • 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等の支援が期待できず、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分である

となっています。

上記のいずれかに当てはまれば、特例の条件として入所できる可能性があります。

自宅での介護が困難で、且つ上記の条件を満たした方であれば、24時間介護スタッフが施設にいる特養(特別養護老人ホーム)の入居に向いています。

所得が低い方

公的な施設のため、有料老人ホームなどと比較して費用負担が軽いため、所得が低い方や預貯金、資産等があまりない方も向いています。

有料老人ホーム等では、入居の際に初期費用として入居一時金を支払わなければいけない施設もありますが、特養(特別養護老人ホーム)は初期費用なく入居することが出来ます。

数年単位での入居待ちが発生しても問題ない方

特養(特別養護老人ホーム)は入居希望者が多く、その上で終身利用が可能なため空床になることが少ないです。

入居基準を満たし、入居を希望したとしても数年単位で入居できないケースも多くあります。

特養(特別養護老人ホーム)へ申し込み後、要介護度や介護が出来る家族の状況、問題行動の有無等、介護の必要性がどれほどあるのかを点数化し、点数の高い順から入居することが可能です。

そのような状況でも待つことができる方であれば、特養(特別養護老人ホーム)への入居に適しています。

特養(特別養護老人ホーム)に向いていない人

一方で、特養(特別養護老人ホーム)の入居に向いていない人はどんな人か説明します。

最新設備やサービスの行き届いた環境で老後の生活を送りたい方

特養(特別養護老人ホーム)は有料老人ホーム等と比較して、最新の設備や豪華なイベント等を実施している施設は少ないとされています。

その為、綺麗な施設に入居したい、手厚いサービスを受けたい等といった場合は新設されるのを待つ必要があります。

よって、すぐに入所を希望される方は不向きでしょう。

比較的要介護度の低い方

前述した通り、特養(特別養護老人ホーム)へ入居するには指定された条件でないと原則入居することができません。

すぐに施設に入居したい方

ほとんどの施設で入居待ちが発生しているため、施設への入居を急いでいる方は適していません。

十分な医療体制を必要とする方

特養(特別養護老人ホーム)は医師や看護師を24時間配置する義務がなく、医療体制が整っているとはいえません。

現在の症状や今後悪化したケースなどを考慮すると、特養(特別養護老人ホーム)では対応が難しいケースもあり、場合によっては入居後に退去を余儀なくされることもあります。

特養(特別養護老人ホーム)を選ぶ際は複数施設の比較検討がおすすめ!

 

これまで解説したように、特養(特別養護老人ホーム)を選ぶ際には数多くのポイントがあります。

その為、より希望に沿った施設を探すためには、複数の施設を比較検討することが大変重要です。

しかし、ご自身で手続きや段取りを行うには、施設探しから見学、入居体験等、多くの手間と時間を費やします。

安心介護紹介センターでは、相談員との調整を行いながら準備を進めることが出来、効率的に無駄のない施設選びが可能です。

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満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。

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周田佳介

監修者:周田佳介

正看護師、介護福祉士、介護支援専門員、認知症ケア専門士、介護職員等によるたん吸引等の研修指導看護師の資格を取得している。
介護医療現場で13年従事し、今なお現役の訪問看護師として勤務している。急性期病棟や慢性期病棟といった医療機関のほか、特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問介護事業所などの介護事業所での勤務経験があり、医療・介護の両面から福祉に携わる。