介護老人保健施設(老健)とは?分かりやすく解説します!

介護老人保健施設とは在宅復帰を目指す高齢者のための公的な介護施設です。しかし施設を選ぶ上で老健の費用や特徴、他の介護施設との違いで悩む方が多いのではないでしょうか?

そこで介護老人保健施設の概要や費用、他施設との違いなどを紹介します。

介護老人保健施設(老健)の概要について

介護老人保健施設とは身体機能が低下し、在宅での生活が困難な状態となった方などが在宅復帰や在宅療養支援を目的とした施設です。

介護保険法により『基本型』『強化型』『超強化型』『加算型』『その他型』の5つに分類されます。

どの型においても在宅生活への復帰を目的としているため、他の介護施設に比べ医療ケアやリハビリサービスが充実している点が特徴です。

また老健では人員配置についても入所者100人に対して医師が1人常勤、看護師(准看護師)・介護士は入所者3人に対して1人以上、看護職員は看護・介護職員の総数の7分の2程度を、介護職員は総数の7分の5程度を標準としています。

理学療法士や作業療法士・言語聴覚士などは入所者100人に対して1人以上その他、その他介護支援専門員と支援相談員は1人以上、栄養士も入所者100人以上の場合は1人以上、薬剤師は施設の実績に応じた適当数となっています。

  • 理学療法士:怪我や病気などで身体に障害のある方が「座る・立つ・歩く」などの基本動作の回復・維持及び予防を目的に支援する医学的リハビリテーションの専門職
  • 作業療法士:障害のある方に日常のあらゆる活動を通じて、食事や着替え等の日常生活に必要な応用動作能力や社会適応能力の維持・回復を促す専門職で、身体だけでなく精神的な面に対してもアプローチを行います。
  • 言語聴覚士:言語障害や聴覚障害、声や発音の障害や嚥下障害などの問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査や評価、必要に応じ訓練、指導、助言などを行う専門職

のいずれかの1人が配置されており、専門スタッフによる質の高いリハビリサービスを受けることができます。

介護老人保健施設(老健)の入所条件・入所難易度について



老健の入所基準は要介護1〜5の介護認定を受けている方です。病状が安定し入院治療の必要がなく、リハビリテーションが必要と判断される方のみが対象となります。

また、入居難易度については他の施設(特養や有料老人ホーム)と比べ入りやすいです。その大きな理由として、老健は在宅復帰が前提となっているため、一般的な入所期間は3〜6カ月と定められています。

よって入居者の回転率が高いため、全国で数十万人が入居待ちをしている特養と比較すると老健の入所難易度は低いといえるでしょう。

介護老人保健施設(老健)のサービス内容について

老健で受けることのできるサービス内容は通常の入所と短期入所があります。通常の入所は先程述べた通り3〜6カ月間の入所期間とします。

しかし、利用者本人の体調の悪化、介護する側の人が入院など何らかの事情で介護が出来なくなった場合などに1泊2日から短期入所療養介護(ショートステイ)を利用することも可能です。

また、老健では通所リハビリテーション(デイケア)を併設している場合が多く、通所型サービスでも専門的なリハビリサービスを受けることもできます。

介護老人保健施設(老健)の費用は比較的安い

老健の費用は介護付き有料老人ホーム、サ高住と比べ安い傾向にあります。

老健の費用には「介護サービス費」と「生活費」という2種類の項目があります。

介護サービス費とは各利用者に合わせた介護・リハビリテーション計画に基づいて提供されるサービスにかかる費用です。

介護保険適用であり、要介護度が高くなる程、負担額も高くなり、要介護3の場合は1カ月入居した場合で約25,000〜30,000円程度となります。(個室、多床室などの居室形式で変化します)

生活費とは居住費、食費、日常生活費としてかかる費用です。

居住費については施設の居室タイプによって異なり、多床室、従来型個室、ユニット型の順に費用が高くなります。

食費については3食で1日1,445円と基準額がありますが、施設によってはそれを上回る場合もあります。

日常生活費については施設毎の通信費や理美容代、日用品の項目が設定され、利用した分だけ実費を負担します。 全体の費用の目安として毎月約8〜14万円ほどです。

公的な施設のため他の民間が運営している老人ホームのように入居一時金等の初期費用はかかりません。 また月額料金も

サ高住(介護型):10〜30万円程度

介護付き有料老人ホーム:15〜35万円程度

という相場に比べ、比較的安いことがわかります。

実際に介護老人保健施設(老健)に入居したらどんな費用がかかるのか紹介

実際に老健に入居した際、どのような費用がかかるのでしょうか? 入居者の状況により費用が変わったり、減額される場合もあるため、各ポイント毎に見ていきましょう。

初期費用やその他の費用の内訳

  • 初期費用 

公的施設のため入居金などはありません。

  • 介護サービス費

要介護度や居室のタイプによっても変化しますが、おおよそ21,420円〜30,270円となります。

  • 食費

3食で1,445円、月額43,350円(30日間)が基準額となっていますが、施設によって上回る場合もあります。 居住費:11,310〜60,180円 

費用の違いについて

同じ施設でも要介護度や居室タイプなどによっても費用が変化します。老健の居室タイプ別に見ていきましょう。

従来型個室

従来型個室とは1つの部屋にシングルベットが設置され、1名だけで生活をする個室です。従来型という名前の通り昔からあるタイプの部屋となっています。

料金例(食費は基準額、日数は30日としています)

介護サービス費:22,680〜30,090円

居住費:50,040円

食費:43,350円

合計:116,070〜123,480円

多床室

多床室は1つの部屋に2〜4台のベットが配置され、入居している方々が一緒に生活する大部屋タイプとなります。

料金例(食費は基準額、日数は30日としています)

介護サービス費:25,080〜32,550円

居住費:11,310円

食費:43,350円

合計:79,740〜87,210円

ユニット型個室

ユニット型とは入居者が10人程のユニットを作り一緒に生活をする施設です。従来型に比べ少人数単位で生活するため家庭的な生活を送ることができるという特徴があります。

料金例(食費は基準額、日数は30日としています)

介護サービス費:25,230〜32,700円

居住費:60,180円

食費:43,350円

合計:128,760〜136,230円

ユニット型個室的多床室

ユニット型個室的多床室はユニット型個室とサービス内容や設備は同じですが、居室が大部屋を仕切りで区切ることで個室としている特徴があります。

ユニット型個室よりも料金が安いことがメリットです。

料金例(食費は基準額、日数は30日としています)

介護サービス費:25,230〜32,700円

居住費:50,040円

食費:43,350円

合計:118,620〜126,090円

費用について知っておきたいポイント

施設のタイプ、居室のタイプ以外にも費用に関わるポイントがあります。

介護サービス加算

各施設毎に介護サービス加算というものがあり、それによって料金が変わります。

より手厚いサービスを提供している施設ほど介護サービス加算が増え、料金負担が増えていく仕組みです。 施設を探す際には必ず内容を確認しましょう。

特定入居者介護サービス費

世帯の所得に応じて居住費や食費を減免する「特定入居者介護サービス費」という制度があります。

居住費と食費については介護保険給付の対象外となっていますが、所得の低い方については負担の限度額が定められ、申請により限度額まで軽減されます。

手続きをしないと支給や減免はされないため確認しましょう。

介護老人保健施設(老健)の入所までの流れ

老健に入所するにまでには以下の流れとなります。

  1. 介護認定:要介護1以上の認定が必要。
  2. 入所申込:病院に入院している場合は医療ソーシャルワーカーへ、在宅生活をしている場合は担当のケアマネージャーに相談してください。
  3. 面談:本人や家族と面談を行います。本人の状況や医療的ケアの有無などを確認。
  4. 書類提出:施設利用者申込書、診療情報提供書などが必要。
  5. 入所判定:面談内容と書類をもとに入所判定を施設で行います。
  6. 契約・入所:入所契約を行い入所日を決定。 ※入所までの期間:空き状況次第となりますが、老健は基本的に3〜6カ月しか利用できないため長期間待たされる場合は少ないです。

介護老人保健施設(老健)のメリット・デメリット

メリット1 医療ケアやリハビリが充実している

老健は在宅復帰を目的としているため、専門職から質の高いサービスを受けることができます。人員配置でも医師が常駐しており、医療ケアも充実しています。

メリット2 費用が安い

民間の施設のような入居金がなく、初期費用は不要です。また介護保険の適用や収入の低い方には減免制度等もあり、負担者の財政状況に合わせた費用負担で利用することができます。

メリット3 要介護度が低い方でも入居ができる

特別養護老人ホームなどと比べ、介護度が低い方でも入居ができることも老健のメリットでしょう。特別養護老人ホームの入居条件は要介護3以上となっていますが、老健については要介護1以上の方から入居できます。

デメリット1 入所期間が短い

老健は在宅復帰を目的とした施設のため、入所については3〜6カ月となっており、退所できると判断された場合は継続した入居はできません。

デメリット2 イベントやレクリエーションが充実していない

老健は在宅復帰のための機能訓練を目的としているため、イベントについては他の施設に比べ少ない傾向があります。またレクリエーションはあくまでも機能訓練につながるため、楽しさを感じられない可能性もあります。

デメリット3 内服薬の制限がある

老健では利用者に必要な医療行為は介護保険で給付されます。もし医療費が発生した場合は施設負担となるため内服薬の多い方や、高額な薬を服用している方は利用できない可能性があります。

介護老人保健施設(老健)と特別養護老人ホーム(特養)の違いについて

  介護老人保健施設(老健) 特別養護老人ホーム
施設の目的 在宅生活への復帰 身体介護や生活支援を受けての居住
入所条件 要介護1〜5  病状が安定し入院治療の必要がなく、リハビリテーションが必要と判断される方 要介護3以上
主なサービス内容 在宅復帰を目指したリハビリテーションや必要な医療、介護の提供 身体介護が中心の自立支援
費用(月額) 約80,000〜136,000円 約88,000〜129,000円
入所期間 3〜6カ月 終身利用
入所難易度 公的介護施設の中では低い 入所待機者が多く数カ月程度待つ可能性があり
人員配置 利用者100人に対して 医師         1人 看護職員       9人 介護職員       25人 リハビリ専門スタッフ 1人 利用者100人に対して 医師   1人(非常勤可) 看護職員 3人 介護職員 31人 リハビリ専門スタッフ 0人
平均所在日数 約1年 約4年
居室面積 8平方メートル 10.65平方メートル
利用者数(定員平均) 87.3人(2016年10月時点) 68.8人(2016年10月時点)
施設数 (2019年10月時点) 4,337 8,234

こんな人は老健がオススメ

在宅での生活をするために専門的なリハビリを受けたい人、一時的に在宅生活が難しくなり入所施設を探している人などがオススメです。

また、待機人数が少なく入所難易度が低いため、より早く入所施設を利用したい、また極力費用を抑えた施設を使いたい方にも向いているでしょう。

こんな人は特養がオススメ

費用を安く抑えて、24時間介護を終身に渡り受けることができる施設をお探しの方にはオススメです。しかし入居できるのが要介護3以上であり、待機人数が多く入居までに時間がかかるため注意してください。

特養と老健の違いのまとめ

特養と老健は同じ公的介護施設ですが「居住する施設」か「在宅復帰を目指す施設」かという大きな違いがあります。それに合わせて受けることができるサービスの内容も変化します。

また、老健は3〜6カ月程度で退去することを前提としている施設のため、入居のしやすさにも大きな違いがあります。

介護医療院」の概要と老健との違いについて

介護医療院とは?

介護医療院とは要介護者に対し「長期療養のための医療」と日常生活(介護)を一体的に提供する施設です。

これまで「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3施設だった介護保健施設に2018年4月から「介護医療院」が追加されました。

「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えています。

また入居者に対する違いもあり

  • 類型Ⅰ(介護療養型病床に相当):重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者等
  • 類型Ⅱ(老健施設以上に相当):Ⅰ型と比較し容体が比較的安定した者

となっています。Ⅰ型とⅡ型では人員配置も変わりますので、以下の表をご覧ください。

  介護老人保健施設(老健) 介護医療院(類型Ⅰ) 介護医療院(類型Ⅱ)
施設の目的 在宅生活への復帰を目指す施設 「長期療養のための医療」と日常生活(介護)を一体的に提供する施設
入所条件 要介護1〜5  病状が安定し入院治療の必要がなく、リハビリテーションが必要と判断される方 要介護1〜5の高齢者
主なサービス内容 在宅復帰を目指したリハビリテーションや必要な医療、介護の提供 「医療的サービス」と「介護サービス」の提供
費用(月額) 約80,000〜136,000円 約74,000〜133,000円
入所期間 3〜6カ月 長期療養に対応、看取りも可能
入所難易度 公的介護施設の中では低い 待機することはあるが特養ほどではない
人員配置 利用者100人に対して 医師    1人 看護職員  9人 介護職員  25人 リハビリ専門スタッフ 1人 ※利用者人数:必要数医師 48:1 (施設で3以上) 薬剤師 150:1 看護職員 6:1 介護職員 5:1 リハビリ専門スタッフ 適当数 ※利用者人数:必要数医師 100:1 (施設で1以上) 薬剤師 300:1 看護職員 6:1 介護職員 6:1 リハビリ専門スタッフ 適当数
平均所在日数 約1年 約1年
居室面積 8平方メートル 8平方メートル
利用者数(定員平均) 87.3人 (2016年10月時点) 67.7人 (2020年6月時点)
施設数 4,337(2019年10月時点) 539(2020年9月時点)

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乾 立樹

監修者:乾 立樹

介護福祉士、社会福祉主事任用資格を有している。 現在、地域密着型通所介護施設にて管理者兼相談員で勤務。
過去の経験として、老健・デイケアにて現場を、サ高住にて副施設長(現場兼務)、住宅型有料老人ホームにて施設長を務めているなど、介護領域において現場や管理の豊富な経験を持つ。