親の介護費用のために資金を移す場合、贈与税がかかるのか?ポイントをご紹介します!

親から預かったお金で介護費用を捻出したり、子が親の介護費用を負担したりするケースの場合、はたして贈与税がかかるのか、疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事ではどのような場合に贈与税がかかるのかについて解説します。また、介護費用の捻出にあたり、贈与税を納めなくてもよい方法についても合わせてご紹介します。

贈与税とは?

贈与税とは、個人から財産を贈られた際に課される税金です。ただし、すべてのケースで贈与税が課されるわけではありません。たとえば「知人から読み終わった本をもらった」「友人から新品の服をもらった」「子どもから還暦祝いで10万円もらった」などの場合は贈与税はかかりません。

次に、親子の間で贈与税がかかる対象や基準を解説します。まずは、贈与税がかかるものとかからないものを整理しましょう。

以下は贈与税がかかるものです。

  • 生活費・教育費以外の一定以上の預貯金
  • 株式などの証券
  • 土地や家などの不動産

続いて以下が贈与税のかからないものです。

  • 生活費(家賃、食費、光熱費など)
  • 進学費用や塾代などの教育費
  • 結婚資金
  • 出産祝い金
  • 香典

家族はお互いに扶養する義務があります。そのため、生活費や教育費などのやりとりは贈与税の対象にはなりません。

親の介護費用を負担するために親の資金を預かる場合、贈与税がかかるのか?

前述のように、贈与税は財産を贈られた際にかかる税金のため、親の財産を預かっているだけの場合は「贈与」とは見なされず、贈与税はかかりません。

親の資金を預かる方法としては以下の3つがあります。

  • 「預かり金」として資金を預かる
  • 「成年後見制度」を通じて資金を預かる
  • 「名義預金」を通じて資金を預かる

それぞれのポイントをご紹介します。

預かり金として資金を預かる

預かり金として管理する場合は、以下の3つのポイントが重要です。

  • 預かり証を作成する
  • 自分のお金と区別する
  • 領収書やレシートを保管する

預かり証を作成する

お金を預かる場合は「親の承認によって預かっている」ことがわかるように「預かり証」を作成しておきましょう。「預かり証」とは、親が子どもにお金を預けること、それを子どもが了承していることを証明する書面です。

「預かり証」の書き方に法的なルールはありません。とはいえ、書面を作成した日付と預かる金額を記載し、「親がお金を預けることに承諾」している事実がわかる内容にするとよいでしょう。

自分のお金と区別する

自分のお金と区別するために、預かり金専用口座の開設をおすすめします。

親のお金を現金で受け取る場合、自宅に保管するのは心配でしょう。多くの方が銀行口座に入金します。その場合、自分の口座に入金してしまうと、自分のお金と親のお金の境界が曖昧になります。そのため、預かり金専用の口座が必要なのです。

また、親の通帳を託され、必要な分だけ出金する場合もあります。親の口座を使う場合は、預かり金専用の口座を開設する必要はありません。ただし、通帳を預かる場合は入出金をスムーズにするため、代理人カードの作成を推奨します。代理人カードの作成や利用条件は金融機関によって異なるため、事前に問い合わせてください。

領収書やレシートを保管する

預かり金を使う場合は、領収書やレシートを保管しておきましょう。預かり金を親の介護資金として使ったことを明確にするためです。

使い道が明確ではない資金は、納税や相続の際にトラブルにつながることがあります。必ず管理を徹底しましょう。

成年後見制度を通じて資金を預かる

親がすでに認知症と診断されている場合は、成年後見制度を利用します。

成年後見制度とは、認知症などにより意思決定に不安を持つ方を支援する制度です。

後見人を選任することで、認知症を患った親に代わってお金の管理をはじめ、契約や各種手続きを行ってくれます。後見人を選任すると、たとえ子でも親のお金を勝手に管理できません。子どもが親のお金を使えないため、当然贈与にもあたりません。

成年後見制度には、法定後見と任意後見があります。法定後見とは、家庭裁判所によって成年後見人が選ばれ、意思決定力の低下の程度により、以下の3つの類型に分かれます。

  • 補助類型
  • 保佐類型
  • 後見類型

一方、任意後見とはあらかじめ本人が選んだ人を任意後見人とします。認知症がまだ軽度で、親の判断力がある間は任意後見を利用できます。任意後見の場合は、子どもを後見人とすることも可能です。

名義預金を通じて資金を預かる

名義預金とは、口座の名義人とお金を出す人が異なる預金のことです。たとえば「親が子ども名義で通帳を作り、毎月の積み立てやお年玉を貯金する」「専業主婦で収入がない妻名義の通帳に夫が貯金する」などのケースが該当します。

親が子ども名義の通帳で貯金していた口座から自由に資金を使った場合は贈与と見なされ、年間110万円を超えた場合は贈与税がかかります。さらに、贈与税は贈与を受けたときにさかのぼって課されます。贈与税の申告が遅れたり、申告漏れがあったりすると「贈与税額に応じた加算税」と「延滞した期間にかかる延滞税」が課されます。贈与額が110万円未満であっても、申告手続きは必要な場合があるため確認が必要です。

また、贈与契約書を交わしておくことも重要です。贈与は口約束でも成立しますが、書面での契約を交わしていない場合、後でトラブルにつながることがあります。必ず書面で証拠を残しておきましょう。

親の介護費用を負担する場合には贈与税がかかるのか?

民法上、親子や兄弟間には扶養義務があります。その人の生活を維持するために必要なお金は渡してもよいということです。

要介護者の生活を維持するためにかかる費用は贈与にはあたりません。要介護者にとって介護費用は生活費という扱いになるためです。

そのため、子が親の介護費用を負担しても贈与税は課されません。

相続税法第21条の3「扶養義務者相互間において生活費や教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」には贈与税は課されないと明記されています。

ただし、介護付き有料老人ホームなどに入居するときには注意が必要です。

介護付き有料老人ホームなどでは、入居一時金が必要な施設が多い傾向にあります。その際、入居一時金が高額だと贈与税が課せられる場合があります。

過去の事例を2つご紹介します。

  • ケース1:入居一時金945万円
  • ケース2:入居一時金1億3,370万円

1例目は、老人ホームへの入居一時金945万円を支払い、贈与税の不服を申し立てた裁判です。判決は「生活に必要な費用のため贈与にはあたらない」として、贈与税が取り消されました。

しかし2例目、老人ホームの入居一時金が1億3,370万円のケースでは贈与税の取り消しは認められませんでした。

ポイントは老人ホームの入居一時金が「普段の生活に必要な費用」として認められるかどうかです。2つ目の老人ホームには、フィットネスジムやプール、エステなど通常の生活以上の設備が整っていました。豪華な設備のための高い入居一時金は生活費とは認められず、贈与税の対象となったのです。

このように入居一時金が相場よりも高い老人ホームに入居する場合は贈与税が課せられることもあるため注意しましょう。

介護費用は生前贈与と見なされるのか?

介護費用の目的でも、贈与税がかかる場合があります。

たとえば親から「介護が必要になったら使ってくれ」と言われて金銭を渡されたときです。しかしこのケースでは現時点で介護費用に使っておらず、親の財産を生前贈与したことになるため贈与税が発生するのです。

生前贈与とは、相続する前に親が子に贈与することを指します。いまは介護が必要な状態ではなくても、将来のための介護費用として贈与する場合があります。ただし、贈与税には1人110万円までの非課税枠があり、年間110万円を超える贈与を受けた場合に贈与税が課されます。

いますぐに介護が必要な状態ではない親が子に将来の介護費用として財産を贈与する場合は、非課税枠を有効利用し、数年に分けて行うとよいでしょう。

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乾 立樹

監修者:乾 立樹

介護福祉士、社会福祉主事任用資格を有している。 現在、地域密着型通所介護施設にて管理者兼相談員で勤務。
過去の経験として、老健・デイケアにて現場を、サ高住にて副施設長(現場兼務)、住宅型有料老人ホームにて施設長を務めているなど、介護領域において現場や管理の豊富な経験を持つ。