老人ホームの平均費用や料金相場がまる分かり!気になる予算や支払い方法を紹介

老人ホームの種類は多く、助成制度なども複雑なため、自分に合う施設を見極めるのは簡単ではありません。

この記事では、老人ホーム入居にかかる平均費用や料金相場、負担を軽減する補助制度や入居一時金の返還制度などについて解説します。

老人ホームの平均費用・料金相場・予算

高齢者施設には多くの種類があり、どの施設が自分に合っているのかわからないという方も多いのではないでしょうか?

特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなど、公的施設と民間施設の違いや施設種別によっても必要となる費用や予算は大きく異なります。

また、施設によって入居対象となる人の年齢や要介護度などの条件、介護保険制度が適用されるのかなどの違いもあります。

この章では、自分にぴったりの施設を探すために必要な基礎知識となる各施設の特徴や費用・予算などを解説します。  

特別養護老人ホームの費用・料金・予算

特別養護老人ホーム(以下、特養)は、介護保険制度に基づいた施設で、原則「要介護3」以上の人が入居対象です。社会福祉法人や地方公共団体が運営母体となっており「特養」とも略される公的な施設です。

特養は、有料老人ホームなどの民間施設と比較すると、居室のタイプにもよりますが居住費や食費が基本的に一律、民間の施設と比較して低料金で利用できるため人気が高く、待機者が多いことでも知られています。

特養では、住まいとしての機能に加え、食事や入浴、排泄といった日常生活の介護や機能訓練、健康管理、療養上の世話といったサービスが提供されます。 もし、医療的な管理や長期入院が必要となった場合や要介護度が「自立~要支援」へ改善した場合には施設からの退去が求められます。

入居一時金は必要なく、月額料金の相場は6~15万円ほどです。  

介護老人保健施設の費用・料金・予算

介護老人保健施設(以下、老健)は、利用者が在宅生活へ戻るために短期的に入所し、リハビリなどを受ける施設です。

特養や介護医療院と並び、介護保険制度に基づく公的な施設の一つで通称「老健」と呼ばれています。

施設には、医師や看護師、理学療法士、作業療法士などの専門職が働いています。老健では、食事の提供や入浴介助など生活に必要なケアとともに、医療的な管理を受けながら、在宅復帰のためにリハビリに取り組みます。

老健の入居対象となるのは「要介護1」以上の人で、病状は安定していても、すぐに在宅復帰は難しい65歳以上の高齢者です。

老健は、在宅復帰に向けた施設と位置付けられており、原則として入所できる期間は3ヶ月~6ヶ月ほどとされています。 入居一時金は必要なく、月額料金の相場は6~16万円ほどです。    

介護医療院の費用・料金・予算

社会的入院で問題になっている「介護療養型医療施設」に代わる新しい施設として2018年4月施行の介護保険改正に伴い新設されたのが介護医療院です。

「住まい」というよりは「長期で入院できる医療施設」といったイメージです。 介護医療院は、医療法と介護保健法に基づいた施設で、入居対象は原則65歳以上・「要介護1」以上で長期的な医療と介護を必要とする人です。

生活の場としての機能と日常的な医療ケアや看取りなど終末医療の機能を兼ね備えた新しい高齢者施設として、注目を集めています。

経管栄養や吸引など日常的な医療ケアをはじめ、急変時の処置やターミナルケアなどを含めた高度な医療サービスを受けることができ、その他にもリハビリや食事、入浴、排泄といった日常生活を支えるサービスも行われます。

入居一時金は必要なく、月額料金の相場は7~17万円ほどです。    

介護付き有料老人ホームの費用・料金・予算

介護付き有料老人ホームは、都道府県の居宅サービスの「特定施設入居者生活介護」の事業者指定を受けた高齢者施設の一つです。

主に民間企業などが運営する老人ホームで、施設のスタッフが介護に携わる「一般型」と、外部事業所を利用する「外部サービス利用型」の2種類があります。

介護付き有料老人ホームでは、24時間体制の介護や生活支援、日常的な健康管理や医療的ケアなどのサービスが提供されます。一般的に65歳以上で「要支援1」以上の人が入居の対象です。 入居一時金は0~数千万円、月額料金の相場は10~40万円ほどです。  

ケアハウスの費用・料金・予算

ケアハウスは、一人暮らしの高齢者などを対象に、比較的安価な費用で入居できる高齢者施設です。 運営主体は、医療法人・社会福祉法人・地方公共団体などがあります。

ケアハウスは「一般型」と「介護型(特定施設)」の2つに分類され、一般形は60歳以上で要支援以上の認定を受けている方が対象で、介護型は原則65歳以上で「要介護1」以上の認定を受けている方が対象です。

「一般型」は、居室の掃除や洗濯・買い物などの生活支援がサービスの中心で「介護型」は生活支援+食事や排泄、入浴などの介護や機能訓練、医療的ケアなども提供されます。 入居一時金は0~数百万円、月額料金の相場は16~20万円ほどです。  

グループホームの費用・料金・予算

認知症の診断を受けた人を対象に、家庭的な雰囲気の中で生活する地域密着型の高齢者住宅です。日常生活の支援を受けながら共同生活をすることで、認知症の進行を穏やかにし、その人の残存能力を維持することがグループホームの主な役割です。

1つの共同住居であるユニットに5~9人の入居者が共同生活を送っており、1施設2ユニットまでと定められています。

グループホームには医師や看護師の配置が義務付けられていないため、寝たきり状態や医療的ケアが必要になると、対応しきれないこともあります。

また、認知症が進行し、暴言や暴力などの迷惑行為により、共同生活が難しくなった際には、退去を求められる場合があります。

入居できるのは、原則として65歳以上で「要支援2」または「要介護1」以上の要介護認定を受けている人です。

グループホームは地域密着型サービスの一つであり、施設と同じ市区町村に住民票がある人が入居の対象になります。

入居一時金は0~数百万円、月額料金の相場は12~20万円ほどです。    

住宅型有料老人ホームの費用・料金・予算

住宅型有料老人ホームは、介護保険制度の特定施設の指定を受けていない民間の高齢者施設です。

提供されるサービスは、食事提供や生活相談、緊急対応などで、介護サービスが必要な場合は、基本的に外部サービスを利用します。 そのため、介護士や看護師などの人員配置規定は定められておらず、施設によって介護の手厚さ、サービスの質には差が生まれやすい傾向にあります。

住宅型有料老人ホームの入居対象は、主に65歳以上で要支援もしくは要介護、いずれかの要介護認定を受けた人です。認知症の場合、軽度であれば入居は可能ですが、症状が重い場合には入居が難しいケースもあります。

入居一時金は0~3,000万円、月額料金の相場は13~100万円ほどです。  

健康型有料老人ホームの費用・料金・予算

健康型有料老人ホームは、介護の必要がなく、自立した生活が送れる高齢者向けの施設で、主に民間企業が運営しています。 介護の必要はないけれど「毎日の炊事がおっくう」「万が一の時に不安」「一人暮らしはさみしい」といった人が入居することが多く、シニアライフを楽しむための設備が充実した施設が多いといった特徴があります。

しかし、急速に高齢化が進み、要介護者が増えていく日本の状況には合わず、健康型有料老人ホームの施設数は、有料老人ホーム全体のわずか1%しかありません。

入居対象は、年齢60歳以上で自立した生活を送れる人です。 入居中に身体機能が低下し介護が必要になった場合、介護付き有料老人ホームや特養などへの住み替えが必要になることもあります。

入居一時金は0~数億円、月額料金の相場は10~40万円ほどです。  

サービス付き高齢者向け住宅の費用・料金・予算

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者を対象として、安否確認や生活相談サービスなどを提供するバリアフリー仕様の賃貸住宅です。

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は「サ高住」とも言われ「一般型」と「介護型」の2種類があります。

「一般型」は基本的に自立した生活ができる人を対象にしており、自由度が高いという特徴があります。介護が必要になった場合には、一般的に外部の介護サービスを利用します。

「介護型」は、厚生労働省から特定施設の指定を受けており、要介護者に対して食事や入浴、排泄などの介護サービスを提供します。

入居対象は60歳以上の人または要介護要支援認定を受けている人およびその同居者となっており、同居者とは、配偶者、60歳以上の親族、要介護要支援者の親族です。

一般型(自立者向け)は、自立した生活が送れる人、もしくは比較的介護度が軽い人が対象です。

サ高住は、一般の賃貸住宅と同様の「賃貸借制度」をとっているため有料老人ホームのような「入居一時金」ではなく「敷金」という形で初期費用がかかります。 「一般型」は初期費用として約15~50万円ほどの敷金がかかり、月額料金の相場は10~30万円ほどで「介護型」は初期費用が約15~40万円、月額利用料金の相場は15~40万円ほどです。 

老人ホームの費用・料金・予算の一覧表

施設種類 公的/民間 入居一時金の相場 月額料金の相場
特別養護老人ホーム 公的 なし 5~15万円
介護老人保健施設 公的 なし 6~16万円
介護医療院 公的 なし 7~17万円
介護付き有料老人ホーム 民間 0~数千万円 10~40万円
ケアハウス 公的 0~数百万円 16~20万円
グループホーム 民間 0~数百万円 12~20万円
住宅型有料老人ホーム 民間 0~数百千円 13~100万円
健康型有料老人ホーム 民間 0~数億円 10~40万円
サービス付き高齢者向け住宅 民間

(敷金)

一般型:15~50万円

介護型:15~40万円

一般型:10~30万円

介護型:15~40万円

老人ホームにかかる費用・料金の内訳

老人ホームで生活するためには、居住費をはじめ、食費や介護サービス費などさまざまな費用がかかります。 ここからは、月々必要となる費用の内訳をみていきましょう。  

居住費

居住費は、家賃に相当する費用です。 公的な介護保険施設では、月々の居住費が「基準費用額」によって定められていますが、多床室・個室・ユニット型個室といった居室タイプによって費用は異なります。

民間施設の居住費は、法令などで一律に定められているわけではなく、建物の立地や日当たりのよさ、建物の構造、間取りなどの条件によって料金には大きな違いがあります。

この居住費については、介護保険給付の対象外となるため、原則として利用者が支払いをします。    

食費

施設で提供される食事の料金のことで、食材費と調理費などが含まれます。

食費も介護保険給付の対象には含まれないため、原則自費です。 介護保険施設などの公的な施設では、入院や外泊などで長期間、食事が不要であると申し出た際には、食費は請求されません。

しかし、それ以外のケースでは実際に食べていなくとも 食費が請求されます。

公的施設では入居者の経済的負担に配慮し、所得や資産に応じて自己負担限度額が段階的に設定されており、居住費や食費については、国によって基準日額が定められその範囲で料金を負担します。

自己負担限度額は、合計所得によって第1段階(生活保護者等)~第4段階(市区町村税課税世帯)まで、段階的に定められています。

例えば、第4段階に該当する人が特別養護老人ホームに入居した場合のひと月あたりの食費は4万円程です。 有料老人ホームなどの施設では、施設によって食費も異なりますが、多くは5~7万円程となります。    

施設介護サービス費

施設介護サービス費とは、食事や入浴、排泄など身の回りの世話に関する介護や機能訓練リハビリなどを受けるための費用です。

介護サービス費は、介護保険が適用され、要介護度が上がるほど保険が利用できるサービスの上限額も増えていきます。 また、施設介護サービス費には、加算というシステムが設けられており、スタッフの人員配置やサービス内容によって「サービス提供強化加算」などの加算料金が発生します。  

上乗せ介護費

介護付き老人ホームなどで、規定より手厚い人員配置をとっている場合などに請求されるのが「上乗せ介護費」です。 基本的に入居後の介護サービス費は定額となっており、どれだけサービスを使っても費用負担額は変わりません。

介護施設では、通常、入居者3名に対し、スタッフ1名(3:1)を配置が規定されています。 「上乗せ介護費」の請求を行う施設の多くは2.5:1や2:1など、規定よりも入居者に対するスタッフの数を多く配置しており「24時間看護師常駐」など、よりきめ細かなサービスで安心した生活を送れるように配慮されています。

上乗せ介護費は「オプション費用」とも呼ばれ、介護保険給付基準を上回る人員体制分の金額を独自に計算しているため、施設によって金額は変わってきます。  

介護保険対象外のサービス費

介護保険外のサービス費とは、介護保険サービスでまかなえない部分を補う自費のサービスです。 介護保険で利用できるサービスは、介護保険法によって厳格なルールが定められており、生活に欠かせない清潔・排泄ケアといった生活援助・身体介護といったサービスが提供されています。

介護保険適応外のサービスは散歩や趣味のための外出や病院への付き添い、大掃除や家具の修理など多岐にわたり、これらの費用は介護保険対象外のサービス費となり、利用した分は自費で支払います。

サービスの内容や料金設定は施設によって大きく異なりますが、介護保険の対象外サービス費の予算は数万円程度になります。    

管理費

管理費とは、共有スペースの維持管理費や光熱費、消耗品費、レクリエーションで使う物品の購入費用などが該当します。

どのような費用を管理費とするかは、施設によって決められており、それらの違いにより予算にも差が出てきます。 多くの施設では数千円~数万円の予算となっています。   

日常生活費

日常生活費は、介護保険の給付対象外となる日常生活に関わる費用です。 例えば、ヘアカット代、新聞や雑誌、本など、趣味や嗜好品の購入にかかる費用などが含まれます。

日常生活費は、施設によって含まれる内容・金額が異なるため、どのようなものが日常生活費に含まれているのか事前に確認しておくといいでしょう。

公的な介護保険施設では、おむつ代は介護給付の対象となりますが、民間の施設では自己負担となるため注意が必要です。 予算としては、数千円~数万円程度が日常生活費の目安となります。

医療費

病院への受診などで必要になる医療費や薬代、入院費などは、基本的に自己負担です。

どの程度の医療が必要となるかは、その人の体調や病状によって個人差が大きくなります。「厚生労働省の令和元年度の年齢階級別国民医療費調査」によると、人口一人当たりの国民医療費は、65歳以上で年間75万4,200円です。月々の医療費負担額は6万円程度であることがわかります。 

一般的に高齢になればなるほど医療費の負担は増大する傾向があるため、医療費に関わる予算についても備えておく必要があるでしょう。  

老人ホームの利用料の支払い方法4つ

ここでは、初期費用として入居一時金が必要となる場合の4つの支払い方法について説明します。  

一時金方式

一時金方式とは「前払い方式」とも呼ばれ、生涯そのホームに住み続けることを前提に、入居時に家賃を一括で前払いする方法です。

一時金方式のメリットは入居時の支払いは高額になるものの、毎月の家賃は抑えられる点で、長く住めばトータルコストが少なくて済むことなどが挙げられます。

デメリットは初期費用が高額になることで、契約によっては、入居一時金として支払った金額の15~30%が「初期償却分」となり、入居者に返還されない可能性があるという点です。

一時金方式が向いている人は、終の棲家として長期的な入居を考えている人や入居一時金としてまとまった金額を支払える資金に余裕のある人です。  

一部前払い・一部月払い方式

入居一時金を全額ではなく一部を前払いし、残りの金額を月額費用に上乗せして、利用期間中、支払い続ける方法で「併用方法」とも呼ばれます。

この方式のメリットは、入居時に入居一時金の一部を支払うため、毎月の支払いをある程度抑えられる点です。

デメリットは、毎月の支払いは利用期間中ずっと続くことが挙げられます。 入居時に一時金としてある程度まとまった料金を支払っても資金に多少余裕があり、月々の予算も軽減したいバランス重視型の人におすすめの方式です。  

月払い方式

入居一時金がなく、月額利用料のみを支払う方法です。 有料老人ホームには「入居金0円プラン」を設けている施設もありますが、これは月払い方式と同様に月々の支払いのみで入居一時金を用意する必要はありません。

月払い方式のメリットは、入居一時金としてまとまった金額を用意しなくて済むため、初期費用を抑えられることです。

デメリットとしては、居住年数が長くなるほどトータルでのコストが高くなり、月々の支払いが長期に及ぶため、入居はできても月々の支払いが苦しくなる可能性が考えられます。

入居期間が短くなると予想される場合は「月払い方式」が有利になることもあるため、今後転居の可能性があったり、とりあえず入居先が必要という人にはメリットの方が大きくなる可能性の高い支払い方式です。  

選択方式

選択方式とは、これまでに説明した「一時金方式」「一部前払い・一部月払い方式」 「月払い方式」の3つの中から、入居者の資金計画や入居時の年齢などを考慮した上で、自分にあった支払い方法を選択できる方式のことです。  

老人ホームの入居一時金には返還金制度がある



老人ホームには、入居一時金としてまとまった金額を一括で支払う場合があります。この入居一時金の返還に関しては、以前から多くのトラブルが報告されています。

そのため、契約前に入居一時金の返還制度についてしっかりと確認しておきましょう。 ここでは、初期償却がある場合とない場合での償却方法の違いについて試算をもとに比較します。  

初期償却がない場合の償却方法

入居時に入居一時金(前払い金)を必要とする有料老人ホームにおいて、前払い金の一部を施設側の売上計上分として利用者への返還対象としないことを「初期償却」といいます。

多くの有料老人ホームなどでは、平均寿命をもとに算出した「想定入居期間」に応じて、一般的に5~15年程度の償却期間があり、償却期間が終わる前に施設を退去した場合には、未償却分の入居一時金が返還されます。

初期償却しない場合には、利用した日数分の施設利用料を計算し、未償却分が入居者に返還されます。

例えば、入居一時金が500万円、初期償却はなし、償却期間5年とします。 初期償却はありませんから、支払った500万円を償却期間の5年間で消化します。すると、1年間で100万円ずつ償却されることになるので、入居から2年後に退去することになった場合、300万円がまだ使われていない分とされ、原状回復費用、利用料の日割り分などを差し引いた金額が利用者へ返還されます。 

初期償却がある場合の償却方法

次に初期償却がある場合の償却方法について説明します。 例えば、入居金が500万円、初期償却率が20%、償却期間が5年とします。 すると、入居金を支払った時点で初期償却として20%(100万円)が差し引かれ、残りは400万円です。

その400万円を5年かけて消化していくことになり、年間80万円が償却されます。 そのため入居してから2年後に退去した場合、240万円がまだ使われていない金額として原状回復費用、利用料の日割り分などを差し引いた金額が利用者へ返還されます。

有料老人ホームなどの民間施設では、入居金と同様に初期償却率も高く設定されている施設があるため、注意が必要です。  

老人ホームの支払い負担を軽減する5つの補助制度

老人ホーム入居者の費用の負担を軽減するために、さまざまな制度が設けられています。 ここでは、代表的な5つの補助制度についてご説明します。  

医療費控除

医療費控除とは、1年間に10万円以上(総所得金額等が200万円未満の人は、10万円でなく総所得金額等の5%が控除の金額)の医療費を支払った場合に受けられる控除です。

該当する年の1月1日~12月31日までの1年間で自分や家族が支払った医療費が一定額を超えた場合、所得控除により課税額を減らせます。

この制度は、病院での治療代や薬代以外など医療に関する費用だけでなく介護サービスに関連した費用も対象になります。

医療費控除の対象となる介護費用とは、特別養護老人ホーム、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院といった公的な高齢者施設で施設に支払ったサービス料などです。

日常生活費や特別なサービス費などは医療費控除の対象外になります。なお、医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。    

高額介護サービス費支給制度

同じ月に利用したサービスの利用者負担の合計額が高額になり、所定の支払限度額を上回った際に申請により超えた分が「高額介護サービス費」として払い戻される制度です。

月額負担額の上限は、それぞれの収入状況に応じて決められています。

例えば、生活保護受給者等の属する利用者負担段階1段階であれば、個人で15,000円、世帯で24,600円となります。

この負担限度額を超えた分が、高額介護サービス費として払い戻されます。 高額介護サービス費の対象とならないものには、介護保険の給付対象外の利用者負担分や施設サービスの食費、居住費や日常生活費などが当てはまります。  

介護保険負担限度額認定証と特別減額措置

介護保険の負担限度額認定とは、所得や預貯金等の要件を満たせば、介護保険施設利用に関わる住居費や食費を軽減できる制度です。

介護限度額認定証には「利用者負担段階」といって、4つの段階が設けられています。 第1段階がもっとも負担が軽く、段階が上がるごとに負担が重くなっていきます。

第1段階は「世帯の全員が住民税非課税で老齢福祉年金受給者」「生活保護等の受給者」となり、住居費や食費負担額が減額されます。    

利用者負担軽減措置

利用者負担軽減措置とは、社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度です。 低所得で特に生活に困窮している方について、介護保険サービスの利用促進を図るために、介護保険サービスを提供する社会福祉法人等が、その社会的な役割の一つとして、利用者負担額の軽減を目的としています。

軽減対象者は、市町村民税世帯非課税であり、年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であることなどの条件が定められています。    

自治体や市町村の独自サポート

自治体独自のサポート制度として、家族介護慰労金やホームヘルプサービス等の利用者負担の助成などが挙げられます。

介護が必要な状態でも「他人の世話になりたくない」と考えている、介護者である家族が「自分で介護してあげたい、他人を家にあげたくない」などさまざまな理由から、介護保険サービスを利用せずに介護している家庭もあるでしょう。

そのような家庭の負担軽減のために、介護サービスを利用していない家庭に対して年間10万円程度が支給される「家族介護慰労金」という助成を行っている自治体や市町村があります。

しかし、給付金を受け取るには単に家族が介護していれば適用されるわけではなく「要介護4~5の認定を受けている人を介護している同居の家族」「1年間介護サービスを利用していない場合」といった厳しい支給条件があります。

ホームヘルプサービス等の利用者負担の助成とは、介護保険で訪問系サービスを利用した利用者の負担額を10%から3%に軽減するといった助成制度です。

その他にも、おむつの支給や助成金を受けられる「おむつサービス」「訪問理美容サービス」などもあります。 自治体や市町村によって、サポートの内容や条件は異なりますので、利用できるものがないかチェックしてみましょう。  

老人ホームの費用・料金でよくある質問5つ

介護保険施設で医療費控除は受けられる?

介護保険施設の利用においても医療費控除を受けることは可能です。 医療費控除とは、1年間で自分や家族が一定以上の医療費を支払った際に、所得控除が受けられるという制度です。

特別養護老人ホームや介護老人保険施設、指定地域密着介護老人福祉施設、介護医療院、指定介護療養型医療施設といった介護保険施設では、医療費控除が受けられます。

おむつ代は介護保険給付の対象となるため控除の対象ですが、日常生活費や特別サービス費は対象外です。

医療費控除の他にも、介護費用の負担を軽減する制度として高額介護サービス費制度がありますが、この制度を利用した場合には「高額介護サービス費」として支給された分を差し引いた額が医療費控除の対象です。  

年金だけで老人ホームで暮らすことはできる?

年金だけでも老人ホームに入居することは可能です。しかし、入居できる施設の選択肢は狭く、厳しい条件となることは理解しておく必要があります。

厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、老齢厚生年金の支給額は月額14万6,162円、老齢基礎年金の支給額は月額5万6,049円とされています。 (参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000706195.pdf

老人ホームの費用は「初期費用(入居一時金)」と「月額費用」の大きく2つにわけられますが、年金のみで入居できる施設を考えた場合、初期費用のかからない「公的施設」が第一候補となるでしょう。

資産に余裕があれば入居一時金を多めに支払って、月額費用の支払いに年金を利用するといった方法で年金だけで施設で暮らすことは可能です。 ただし、国民年金のみの場合など、安価である公的な施設でも、年金だけでは入居できる施設がないという可能性もあります。

そのようなケースでは、生活保護を受ける、介護保険サービスの軽減・助成制度を利用するといった選択肢があります。 年金受給者であっても、生活に困窮していると承認されれば、生活保護の対象になります。  

生活保護でも老人ホームに入れる?

生活保護を受けていても、老人ホームへの入居は可能です。しかし、どこの施設でも受け入れているわけではなく、費用面で入居が可能な施設は限られます。

費用面を考慮すると、特別養護老人ホームが第一候補となりますが、人気が高く、入居待機者が多いため、有料老人ホームなどの民間施設も選択肢に入れる必要があるでしょう。

生活保護では、日常生活にかかる費用をまかなう「生活扶助」家賃をまかなう「住宅扶助」などの計8種類の支援があり、介護にかかわる費用は「介護扶助」として支援が受けられます。

介護保険サービスを利用した場合、支給限度額の範囲は介護扶助として援助を受けることが可能で、介護サービス以外の家賃や生活費などについては生活扶助として支援が受けられます。

有料老人ホームの場合、食費や管理費、日常生活費が生活扶助や年金収入でカバーできる老人ホームへの入居を考えます。    

老人ホームにクーリングオフと保全措置は適用される?

老人ホームにおける「クーリングオフ」とは、何らかの理由で契約を短期間で解除して、退去することになった場合、契約日(または入居日)から90日以内であれば、入居一時金が返還される制度です。

多くの場合は、前払いした入居一時金について、利用料の日割り分や原状回復費用をのぞき、初期償却をせずに全額返還されます。この制度は、老人福祉法に定められているもので、施設側は必ずその義務を果たさなければなりません。

保全措置とは、老人ホームの倒産など万が一の事態に対して前払い金を保証する制度です。入居者が前払いした入居一時金のうち未償却分が返還されないとき、最大500万円まで保全されます。 倒産した事業者に代わって銀行や損害保険会社、有料老人ホーム協会などが限度額(上限500万円)の範囲で未償却分を支払います。

多くの施設には「入居一時金の保全措置」が定められていますが、中には悪質な施設もあるため、入居の際には「入居一時金の保全措置」がとられているか必ずチェックしましょう。

クーリングオフで返還・返金の対象となるのは、入居一時金で払った額なので、例えば「入居一時金が0円プラン」などの場合は、クーリングオフの対象となる返金はありません。  

夫婦で老人ホームに入居できる?

夫婦2人そろって老人ホームへ入居することは可能です。

しかし、老人ホームの多くは1人部屋がメインで、2人部屋を用意している老人ホームは全体の約半数しかありません。その中でも2人部屋の数は少なく、あったとしてもすぐ埋まってしまうのが現状です。

夫婦での入居を考えた時に、注意したいのがそれぞれの要介護度です。夫婦の身体状況を考えた時「2人とも元気」「どちらか介護が必要」「2人とも介護が必要」の3パターンが考えられます。

老人ホームには、いくつかの種類があり、要介護度によって入居できる施設が異なるため、夫婦それぞれの状況にマッチした施設を探す必要があります。 先に述べたように、夫婦がそろって入居できる施設・部屋数は限られています。

そのため、健康寿命や施設への入居可能な年齢も考慮し、元気で判断力のある65歳くらいから施設入居の検討をはじめるとよいでしょう。

どの老人ホーム・介護施設にしたら良いかお悩みの方へ

満足のいく老人ホームの生活は、どの施設に入居するかで大きく異なることがあります。

安心介護紹介センターの入居相談員は、高齢者の住まいにまつわる資格を有しており、多くの老人ホームの中から、ご本人やご家族のご希望に沿ったぴったりな施設を選定してご紹介させていただきます。

施設のご紹介から、見学、ご入居まで無料でサポートさせていただいておりますので、ぜひご利用ください。

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乾 立樹

監修者:乾 立樹

介護福祉士、社会福祉主事任用資格を有している。 現在、地域密着型通所介護施設にて管理者兼相談員で勤務。
過去の経験として、老健・デイケアにて現場を、サ高住にて副施設長(現場兼務)、住宅型有料老人ホームにて施設長を務めているなど、介護領域において現場や管理の豊富な経験を持つ。