グループホームの入居条件とは?入居難易度や入居を断られるケースもご紹介します!

グループホームは、認知症高齢者の生活のしやすさを重視した、地域密着型で家庭的な雰囲気がある施設です。この記事では、グループホームの入居条件や入居難易度、入居を断られるケースについてご紹介します。

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グループホームとは?

グループホームとは、認知症の方を対象にした小規模の入居施設です。

グループホームが広く認知されるまでの介護施設は、日常生活に必要な家事や介護をスタッフが行い、入居者はあくまでも「世話をしてもらう人」とみなされることがスタンダードでした。

高齢者に限ったことではありませんが、人は自分で行えることまで世話をされてしまうと、自立はおろか今までできていたことができなくなってしまいます。実際、介護保険制度の設立当初から、厚生労働省は「高齢者の自立支援を目指す手段」として介護保険制度を利用するよう呼びかけてきました。

高齢化が深刻な背景から、大規模な施設で行われるような画一的なケアは「高齢者を自立支援から遠ざけ、より介護が必要な状況にしてしまう」という問題が浮き彫りとなり、利用者にも日常的な家事を担ってもらうグループホームが注目されるようになったのです。

グループホームでは、職員のサポートを受けながら入居者が食事を作ったり、掃除や洗濯をしたり、庭の手入れをしたりといった家事を行います。5〜9人の入居者でユニットと呼ばれるグループを作って共同生活を送る「ユニットケア」という形式をとっており、職員もある程度固定されたメンバーがユニットごとに配置されます。

認知症は、環境の変化がストレスとなり、病気の進行につながりやすい病気です。大人数の入居者やスタッフに囲まれながら広い施設で生活することを不安に感じる認知症の方もいます。不安な気持ちから、徘徊やものとられ妄想などといった症状が現れてしまう方も少なくありません。

グループホームは最大でも3ユニット、27人までしか利用者を受け入れない小規模な施設です。家庭的な雰囲気の中で、家事やガーデニングなどの日常生活に関する活動を行う生活スタイルは認知症ケアによいと考えられており、近年グループホームの施設数は増加しています。

グループホームの入居条件は?

グループホームに入居できるのは、以下の3つの条件のすべてに当てはまる方です。

  • 介護保険制度の要支援2もしくは要介護1以上の認定を受けている方
  • 医師から認知症の診断を受けている方
  • グループホームのある自治体に住民登録がある方

それぞれの条件について詳しく見てみましょう。

要支援2もしくは要介護1以上の認定を受けている

グループホームは介護保険施設です。要介護や要支援の認定を受けていない方が入居するためには、介護保険制度の申請が必要です。

行政の窓口や地域包括支援センターに介護保険制度を申請すると、聞き取り調査や医師の意見書をもとに介護の必要度が審査され、「非該当」「要支援1〜2」もしくは「要介護1〜5」の判定を受けます。もっとも介護度が低い判定は「非該当」です。「非該当」「要支援1」と認定された方は入居できません。グループホームの入居条件は要支援2以上であるため、介護認定が要支援1の方は入居できません。

また、グループホームは高齢者を対象とした施設であるため、原則65歳以上の方が入居対象です。しかし、65歳未満でも若年性認知症や初老期認知症と診断された要支援2以上の介護認定を受けた方は入居申し込みが可能です。

認知症の診断を受けている

前述のように、グループホームは認知症ケアに特化した施設であるため、認知症の診断を受けている方でなければ入居できません。認知症の種類は問われておらず、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症、レビー小体型認知症などさまざまな種類の認知症の方が入居しています。

認知症の診断は、内科、精神科、神経内科、脳神経外科などで受けられます。近ごろは、簡潔な問診や家族からの情報提供だけで安易に認知症と診断するのではなく、より正確に診断し、病態や症状にあった適切な治療につなげていく取り組みが進んでいます。

そのため、かかりつけ医が認知症を疑った場合には、認知症疾患医療センターや専門科のある病院に紹介状を出して、脳のMRI検査などの精密検査を受けてから認知症と診断することが増えてきました。認知症の診断を受ける際に、どのような医療機関を受診するといいか分からない方は、かかりつけ医や地域包括支援センター、認知症疾患医療センターなどに相談してみるとよいでしょう。

施設の設置されている市区町村に住民票がある

グループホームは、介護保険制度の「地域密着型サービス」として位置づけられている施設です。認知症の方が社会性を失わずに生活を送れるよう、定期的に運営会議を行ったり、イベントを開催したりするなど、地域との交流の機会を持ちながら活動しています。

このような地域密着型の施設として定義されているグループホームに入居するためには、施設のある自治体に住民票があることが条件となっています。

グループホームで入居を断られる条件は?

入居基準を満たしていても、入居審査の結果によっては入居を断られるケースもあります。入居を断られる条件について見てみましょう。

医療的ケアが必要

グループホームには、看護師などの医療専門職の配置が義務づけられていないため、医療的な処置が必要な方の入居は難しい場合があります。

介護職員しか配置されていないグループホームでは、医療的ケアは受けられないことがほとんどです。介護職員は、身体に影響を及ぼす医療行為の実施は認められていないため、日常的に痰の吸引や床ずれの処置といった医療処置が必要な方はグループホームへの入居は難しいでしょう。

しかし「毎日血圧を測定し、薬を飲むよう促してほしい」「喘息の吸入を忘れずに行うように声をかけてほしい」「インスリン注射を本人が行うところを見守ってほしい」など、本人が行う医療をサポートする程度であれば、介護職員でも対応可能です。

医療的ケアを自分で行えない方にも対応できるよう、看護師を配置したり、訪問看護ステーションと連携したりと、医療体制が充実しているグループホームも増えています。ただし、夜間は看護師が不在な施設がほとんどであるため、24時間体制の手厚い医療サポートが必要な方は、グループホームの入居に適さないと判断される可能性が高いでしょう。

医療的ケアが必要な方は、看護師が配置されており、医療機関との提携が義務づけられている介護付き有料老人ホームや、要介護度3以上であれば特別養護老人ホームのほうが適しているといえます。

療養上の世話が必要になる

グループホームの人員配置基準は「入居者3名に対し介護スタッフを1名以上配置すること」と定められています。この人員配置基準は、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームと同様の水準です。しかし、夜間はユニットに1名以上配置すればよく、最大で9名の入居者に対してスタッフは1名と、日中と比較するとスタッフの人数が少なくなります。

グループホームは認知症を持つ方の自立をサポートする施設であり、スタッフの主な業務も 介護ではなく、自立支援にあります。

おむつ交換や食事介助などの身体介護が必要な方や寝たきりの方はグループホームの指針に合わないと判断され、入居を断られてしまうケースがあります。

感染症にかかっている

感染症と聞くと近ごろではコロナウィルスをイメージする方が多いかもしれませんが、感染症にはさまざまな種類があります。C型肝炎やHIVウィルス、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの感染症を持つ方は、他の入居者への安全面への配慮から入居できない場合があります。

感染症に対する受け入れ基準は施設によって異なるため、入居施設を検討する段階で必ず確認しましょう。

共同生活を送ることが難しい

グループホームは、入居者同士の交流が盛んな施設です。そのため自傷行為や暴言、暴力などがあり、共同生活が難しいと判断される場合は入居を断られてしまう可能性があります。

認知症の症状として暴言や暴力がある場合は、生活環境を元に戻したり、痛みや不眠の解消をするため、内服薬を調整したりすることで症状が落ち着くこともあります。「認知症になる前は穏やかだったのに、近ごろ暴言が増えた」「認知症と診断されてから、すぐに暴力を振るうようになった」などの症状に悩んでいる際には、かかりつけ医に相談することをおすすめします。

保証人がいない・利用料金の支払いができない

グループホームは民間の施設であるため、利用料金の支払いが滞る可能性のある方は入居できない場合が多いようです。とくに保証人がいない方は入居審査が厳しくなる可能性があります。

また認知症が進行すると、病気になった場合の治療方針や最期の過ごし方などを本人が判断できなくなる場合があります。そのため、入居時に「もしもの時のために、治療の方針や看取りについて本人に代わって決定できる人」の申告を求められる施設も少なくありません。近親者にこのような意思決定の代理人を依頼できない場合には、後見人制度が利用できないか検討してみることをおすすめします。

生活保護受給者がグループホームに入居する条件は?

生活保護受給者でもグループホームへの入居は可能ですが、その場合は以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 入居する方が、グループホームの住所地にある福祉事務所から生活保護を受けていること
  • 施設が「生活保護法等指定介護機関」の認定を受けていること
  • グループホームの利用料金が生活保護の住宅扶助の基準額以下であること

それぞれの条件について詳しく見てみましょう。

グループホームの住所地にある福祉事務所から生活保護を受けている

生活保護は、住民票を登録している市区町村でのみ利用できる制度です。たとえ入居するグループホームの近隣に住んでいたとしても、自治体が異なる場合には生活保護は無効になってしまいます。入居予定の施設の自治体に住民登録がない場合には、施設の所在する地域の福祉事務所に対して、新たに生活保護の申請を行わなければなりません。

施設が生活保護法等指定介護機関の認定を受けている

生活保護制度を利用するためには、入居者だけでなく施設側も「生活保護法等指定介護機関」の認定を受けている必要があります。しかし認定を受けていたとしても、施設全体で生活保護受給者を受け入れているところがあれば、一部の居室のみで受け入れているところもあります。生活保護者の入居範囲は施設によって異なり、たとえ居室が空いていても生活保護受給者は入居できない可能性がある点には注意が必要です。

利用料金が生活保護の住宅扶助の基準額以下である

グループホームの利用料金が生活保護の住宅扶助の基準額以下であることも条件の1つです。生活保護費の支給上限額は、自治体によって金額が異なります。入居希望の施設の利用料金が基準額以下であり入居が可能かについては、行政の生活支援担当者やケースワーカーに確認してみましょう。

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グループホームの入居難易度は?

 

グループホームは「介護保険制度の要支援2以上」が入居基準です。特別養護老人ホームの入居条件である「原則要介護3以上」や介護付き有料老人ホームの「原則要介護1以上」と比較すると、介護認定のハードルは低めであるといえるでしょう。

ただし、グループホームは定員が少人数で、長期間の入居を前提としている施設です。希望する施設が満室の場合は空きが出るまで半年以上も待機することもあります。

グループホームの施設数は年々増加しており、入居難易度自体は下がっているといえます。焦って候補の施設を1つに絞るのではなく、複数の施設を候補に挙げておくと待機期間を短くできるでしょう。

一方、住民票のある地域にあるグループホーム数が少なく常に満室の場合は、認知症の受け入れが可能な介護付き有料老人ホームや、特定施設として指定を受けているサービス付き高齢者向け住宅など他の高齢者施設を検討するのも1つの方法でしょう。

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周田佳介

監修者:周田佳介

正看護師、介護福祉士、介護支援専門員、認知症ケア専門士、介護職員等によるたん吸引等の研修指導看護師の資格を取得している。
介護医療現場で13年従事し、今なお現役の訪問看護師として勤務している。急性期病棟や慢性期病棟といった医療機関のほか、特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問介護事業所などの介護事業所での勤務経験があり、医療・介護の両面から福祉に携わる。