認知症の親が徘徊してしまい介護が大変!徘徊してしまう原因とその対処法をご紹介します!

「認知症の親を自宅で介護するのは大変そう」というイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。なかでも、徘徊してしまう親の在宅介護はリスクと隣り合わせで、苦労が多いと感じる方は少なくありません。この記事では、徘徊の原因と対処法について解説します。

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認知症の方が徘徊してしまう原因とは?

認知症の症状の1つとして知られている徘徊ですが、必ずしも認知症の方全員に見られるわけではありません。

認知症の症状は、記憶障害や見当識障害に代表される「中核症状」という根本的な症状と、中核症状にさまざまな要因が組み合わさって起こる「周辺症状(BPSD)」に大別されます。徘徊は、周辺症状の一種です。それでは、認知症患者のなかになぜ徘徊してしまう方がいるのか、詳しく見てみましょう。

記憶障害

私たちが日常生活で行う「予定に合わせて身支度をする」「元通りの場所に物を片づける」といった何気ない動作は、膨大な記憶によって成り立っています。

認知症の記憶障害は、新しい出来事を覚えられない「短期記憶の低下」からはじまることが一般的です。短期記憶障害は、不安な気持ちを強めてしまいます。

たとえば、「何か予定があった気がするが、その予定を忘れてしまい、そわそわと室内を歩き回っている」「物を置いた場所を忘れてしまい、家のなかを歩き回っているうちに何を探しているのか分からなくなってしまう」といった症状が挙げられます。

さらに認知症が進行すると、記憶障害も強くなり、短期記憶だけではなく自宅に帰る道を忘れてしまう方も珍しくありません。そのため、自宅に帰れず道に迷って徘徊してしまう方もいます。

見当識障害

見当識障害では、場所や時間の認識力が低下します。自分がどこにいるか分からなくなったり、自分はまだ若いと勘違いをしたりする症状が見られます。

子どものころに住んでいた家や、新婚時代の家に帰ろうとする「帰宅願望」が現れるのは、見当識障害が原因です。現在いる空間を自分の居場所と認識できないため、落ち着かずに安心できる場所を探そうと出かけてしまうことから、徘徊につながると考えられています。

不安、ストレス

記憶障害や見当識障害に「不安」や「ストレス」が組み合わさることによって徘徊が起こりやすくなります。

人混みや慣れない場所などの環境によるストレスから不安を募らせている方は、夕方になるとそわそわとする様子が見られることがあります。「自宅に帰りたい」「夕飯の準備をしないといけない」という焦燥感から徘徊につながる方もいるようです。

一方で、記憶障害や見当識障害があっても、不安やストレスがなければ徘徊が落ち着く場合があります。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉が障害されることで発症する認知症です。

この認知症では、繰り返し同じ行動をするという症状が見られます。たとえば、テーブルを指で繰り返しトントンと叩く、家のなかを同じルートでグルグルと歩き回るといった様子が見られ、外出を繰り返して同じ道筋を通って帰宅する方も少なくありません。

前頭側頭型認知症の症状の特徴として、欲求や衝動を抑えることが難しい点が挙げられます。外出衝動が沸き、突然家を飛び出して徘徊につながるリスクがあるのです。

徘徊することのリスクとは?

ここからは、認知症の方が徘徊すると、どのようなリスクにつながるのかをご紹介します。

熱中症や脱水症状、低体温症になってしまう

見当識障害によって季節や時間の認識力が低下している方は、真夏にも冬のコートを着用するなど、季節に合わない服装で外出してしまうことがあります。

気温が高いことを認識できず、水分補給もままならずに徘徊を続けて熱中症や脱水症状となったり、真冬に薄着や裸足で長時間過ごして低体温症になったりしやすくなります。

交通事故に遭ってしまう

見当識障害は、ヒト・時間・場所の認識がわからなくなる障害です。そのため、認知症の方は信号機や横断歩道を認識できずに車道を横断してしまったり、道路を逆走してしまったりする危険があるのです。

また認知症に限らず、高齢者の方は若い世代と比べて視界が狭くなっていることが一般的です。車や自転車が近づいていることに気づかず、交通事故に遭いやすくなります。

行方不明になってしまう

徘徊しているうちに記憶障害によって自宅に戻る道が分からなくなってしまうことがあります。自宅に帰れないまま歩き続けるうちに自宅からどんどん遠ざかってしまうと、行方不明になるリスクが高まります。

実際、認知症の方の行方不明の届出は、年々増加傾向にあります。2020年には全国で年間1万7,000件もの行方不明届が出されています。

徘徊の対処法とは?

徘徊症状のある親への対処は、根気が必要です。周りにいる家族の気力や体力が消耗してしまうことも珍しくありません。

ここでは、徘徊してしまう親への対処法について解説します。

日中に適度な運動を行う

適度な運動は気分転換につながり、不安やストレスの解消に有効です。身体を動かすことで気持ちが落ち着き、外出衝動を減らす効果があります。

日中の適度な運動を習慣にすることで生活にメリハリが生まれます。疲労感から夜はぐっすりと眠れるようになり、夜間の徘徊が起こりにくくなるでしょう。

徘徊するときの癖を把握する

徘徊につながるタイミングや癖を探してみましょう。どの時間帯に外出しようとしているのか、きっかけはあるのか、通る道や利用する交通機関は何か、などを把握することは重要です。普段から、親の様子を観察しておくことをおすすめします。

調子のいいときになぜ外出したくなるのか、どこに行こうとしているのかを聞いてみてもいいでしょう。ストレスや不安が徘徊につながることがあるため、ストレスの原因を探って可能な範囲でストレスの緩和を試みることも有効です。

趣味や仕事に打ち込む時間を与える

趣味として、絵を描いたり植物を育てたりすることは、ストレスを減らすために有効です。

そのほか、ボランティア活動などによって役割や周囲の人との関わりを持つことで、自分の居場所であると感じて気分が落ち着く効果があります。趣味や仕事のような打ち込む作業があると、ストレスや不安による徘徊を防げます。何か本人が打ち込めることを見つけて、作業をする時間を与えてみましょう。

GPSが搭載されている端末を利用する

徘徊は衝動的に起こることもあり、家族が目を離した隙に家を出てしまうことは珍しくありません。外出衝動のある方の徘徊を100%防ぐことは難しいでしょう。しかし、家の外に出てしまうと、行方不明や交通事故につながる危険があるため、注意が必要です。

一人で外に出てしまう方には、GPSの利用が効果的です。近ごろは、アクセサリー型や靴や杖に装着するタイプなど、さまざまなGPS搭載端末が販売されています。徘徊してしまったとしても、GPSで本人の居場所を確認できることは家族の安心感につながるでしょう。

また、服の内側や靴に氏名と連絡先を記入するワッペンのようなものをつけることも有効です。QRコードがプリントされた独自のワッペンを販売し、徘徊している方を保護した人がQRコードを読み取ると、家族に連絡できるシステムを導入している自治体もあります。

GPSやネームワッペンなどの対策を取っていても徘徊した親が見つからない場合は、早めに地域の方や警察に相談するようにしましょう。

デイサービスを利用する

在宅介護のメリットは住み慣れた家で自分のペースで過ごせる点にありますが、家にいてもとくにやることがなく、1日中テレビを見て過ごすだけの刺激のない生活を送っている方は少なくないでしょう。

そのような方にはデイサービスの利用をおすすめします。デイサービスではスタッフとの交流や、レクリエーション、リハビリテーションへの参加を通して、生活にメリハリが生まれやすくなります。

デイサービスを利用すると、家族も介護から離れる時間を確保できます。利用する親も、疲労感から睡眠の質が上がり、夜間の徘徊リスクも減るでしょう。安全に外出して気分転換ができる、デイサービスのような外部サービスを利用することは効果的です。

本人のもともとの性格や認知症になったことで、知らない社会に出ることがストレスになる方もいます。本人の様子を見ながらデイサービスを導入していきましょう。

地域包括支援センターを活用する

地域包括支援センターは、医療・介護・福祉の相談窓口です。

徘徊に困っている方は、地域包括支援センターに相談してみると、認知症の徘徊を見守るネットワークへの登録や、徘徊の対策方法のアドバイスなどを受けられる可能性があります。また、地域で独自に取り組んでいる認知症へのサポートがある場合には、さまざまなサービスを紹介してくれるでしょう。

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徘徊する親を自宅で介護するリスクとは?

徘徊は、認知症の記憶障害や見当識障害などの症状に不安やストレスが重なることで発症します。しかし、徘徊を予防するために日常生活における不安やストレスを完全に取りのぞくことは難しいでしょう。認知症ケアの専門家ではない家族が、在宅介護を行いながら徘徊への対策を万全に行うことは難しい現状があります。

認知症は、発症すると徐々に進行していく疾患です。発症してから統計的には5~20年程度の寿命となっていて、長期間の介護が必要です。症状が改善する可能性は期待できず、少しずつ介護度が上がっていくため、自宅で介護を続けることを負担に感じる方もいるでしょう。

また認知症には、徘徊以外にも幻視や被害妄想などといった対応に困る症状が見られる場合があります。介護の負担が長期間続くことで、家族が睡眠不足やうつに陥る可能性もあり、家族の健康被害のリスクも無視できません。在宅介護が大変と感じる場合には、施設への入居を検討することをおすすめします。

徘徊症状のある方でも入居できる介護施設とは?

徘徊症状のある方が入居する施設としては、設備だけでなく、認知症対応の経験のある専門性の高いスタッフが在籍していると安心です。ただし徘徊症状への対策はハードルが高いと考える施設も多く、徘徊のある方の入居を断っている施設も少なくありません。

しかし、認知症ケアに特化したグループホームでは、多くの場合徘徊症状のある方の入居が可能です。ここでは、グループホームの特徴について詳しくご紹介します。

グループホームの入居条件

グループホームの入居条件は「認知症の診断を受けていること」「65歳以上で要支援2、もしくは要介護1以上の判定を受けていること」「グループホームの所在する自治体に住民登録があること」です。

グループホームは認知症ケアに特化した施設であるため、医師から認知症の診断を受けることが必要です。介護保険認定で「非該当」や「要支援1」の判定を受けている方は、入居できません。また、グループホームは地域密着型サービスという位置づけの施設であるため、対象施設のエリア内に住民票があることも条件の1つです。

一方でグループホームには、看護師などの医療従事者の配置が義務づけられていません。そのため、施設によっては「医療処置が必要な方や感染症を持つ方の入居は断る」など、独自の条件を設けている場合があります。

グループホームの入居・月額費用

グループホームは民間の介護施設であるため、契約時に「入居一時金」の支払いが必要な場合があります。賃貸住宅の敷金にあたる「保証金」、あるいは入居権利を購入する「入居一時金」として数万〜数百万円の支払いが必要な施設が大半です。しかし、なかには契約時に自己負担が必要な料金がかからない施設もあります。

入居費用や月額費用は施設によって契約形態や支払い方式が異なるため金額はさまざまですが、月々の費用は15〜20万円程度かかることが一般的です。

グループホームのサービスの特徴

グループホームは、5〜9人の入居者で「ユニット」というグループをつくり、ユニットごとに共同生活を送ります。

介護施設に入居すると、洗濯や掃除、調理などはすべてスタッフが行うことが一般的です。しかし自分ができることもスタッフが行ってしまう刺激のない生活は、ますます認知症を進行させてしまいます。

認知症を持っていても、魚をさばいたり掃除や洗濯をしたりといった家事能力は衰えない方は多くいます。ユニットケアを通して、入居者が職員のサポートを受けながら食事の支度や買い物などといった家事を行うのがグループホームの特徴です。

家事を分担する生活は自然と入居者同士の交流を生み、人間関係が深まるため、入居者それぞれが役割を感じやすくなります。人は役割を与えられると自分の居場所を認識しやすく、不安な気持ちが落ち着きます。実際、グループホームに入居すると徘徊が落ち着く方は少なくないようです。

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徘徊症状に対応した介護施設を選ぶためのポイントとは?

徘徊症状に対応できる介護施設を選ぶポイントについて確認してみましょう。

早朝や夜間に十分な人数の職員が配置されているか

徘徊への対応には、十分な人員が必要です。入居施設の多くは、入居者3人に対して職員1人以上を配置することが義務づけられています。しかし、日中はこの体制で人員を配置していても、夜間帯にはスタッフの人数が極端に減っている施設もあります。

徘徊が起こりやすいのは、不安を感じやすい早朝や夜間の時間帯です。スタッフが多い施設ほど入居者への目が行き届き、徘徊の予防や早期発見につながることが期待できます。日中だけでなく、夜間帯のスタッフ数を確認しておくと安心です。

徘徊症状を防止するための取り組みがあるか

徘徊症状を防止するためには、入居者の生活暦や徘徊を起こしやすいきっかけを把握して、それぞれに沿った対応を行う必要があります。徘徊をしやすい時間帯にはリビングに誘って不安にならないよう声をかけたり、日中にレクリエーションやリハビリテーションを行ったりすることは有効です。

施設の見学時に、徘徊の対策としてどのような介護が行われているのか質問してみるとよいでしょう。

徘徊の防止設備が整っているか

「入居している階から出られないように階段やエレベーターがロックされている」「施設の外に出るためには認証コードが必要」など、徘徊の防止設備は施設ごとにさまざまです。施設によっては、センサーで徘徊を早期に感知できるシステムを整えているところもあります。

しかし、近年はドアや窓を完璧に施錠していることがかえって入居者の不安を強め、さらに徘徊衝動を強めてしまうリスクがあることも指摘されています。またセンサーを跨ごうとして転倒する危険性もあります。

リビングスペースが居心地のよい施設は、入居者が安心して過ごせるため徘徊を予防しやすいと考えられています。閉じ込める対策ばかりを重視するのではなく、入居者にとって居心地のよいリビングスペースや居室の充実に力を入れている施設も増えてきています。入居を検討する段階から、施設の安全対策の方針をチェックしておくとよいでしょう。

徘徊症状でも介護施設に入居したい!そんな時、相談できる窓口とは?

徘徊症状がある方でも、介護施設に入居したい場合の相談窓口をご紹介します。

ケアマネジャー

ケアマネジャーは、要介護1~5の認定を受けている方に対して、介護保険制度のサービス調整を行います。

利用するサービス事業所を選定し「ケアプラン」という介護の週間予定表を作成することがケアマネジャーの主な業務です。そのほか、介護保険制度の更新や給付管理など、介護に関するあらゆる調整役を担っています。

地域に根づいた介護に関する多くの情報を持っていることがケアマネジャーの強みです。徘徊への対応に困っている場合は、まずケアマネジャーに相談してみましょう。認知症ケアや徘徊症状の対策が充実している施設の情報が得られるかもしれません。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などの医療・介護・福祉の専門家が配置されている地域に開かれた相談窓口です。令和3年4月時点で全国に5,351か所設置されています。

高齢者の権利を守るために虐待の早期発見や防止、一人暮らしの方に成年後見人制度の申請支援を行うことも地域包括支援センターの役割の1つです。地域で働く医療・介護・福祉職のスタッフへの相談支援も行うため、そのネットワークから地域のさまざまな情報が集まります。地域内の認知症に対応している施設の情報が充実しているため、徘徊症状に対応している施設についても確認してみるといいでしょう。

安心介護紹介センターとは?

安心介護紹介センターは、幅広い情報を取り扱う施設探しの相談窓口です。

ケアマネジャーや地域包括支援センターは、担当していない地域の施設については詳しく把握していない場合があります。エリア内で希望の条件や予算に合った施設に空きが見つからない場合には、安心介護紹介センターに相談することをおすすめします。

安心介護紹介センターでは、全国の介護施設の情報を取り扱っています。住んでいる地域内に希望の条件に合う施設が見つからない場合にも、エリアを少し拡大すれば見つかることがあります。エリアにこだわって長期間の入居待ちをするよりも効率よく施設探しができるでしょう。

また、安心介護紹介センターでは、オンラインでの相談にも対応しています。徘徊症状の対応に忙しい方や、仕事や家庭と介護の両立で時間の取れない方でも、気軽に相談できます。 見学日程の調整や契約内容の確認など施設へ入居するまでの流れをサポートする体制が整っている点も特徴の1つです。専任のオペレーターは介護や施設の情報に精通しているため、じっくりと希望の施設探しをサポートしてくれるでしょう。

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周田佳介

監修者:周田佳介

正看護師、介護福祉士、介護支援専門員、認知症ケア専門士、介護職員等によるたん吸引等の研修指導看護師の資格を取得している。
介護医療現場で13年従事し、今なお現役の訪問看護師として勤務している。急性期病棟や慢性期病棟といった医療機関のほか、特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問介護事業所などの介護事業所での勤務経験があり、医療・介護の両面から福祉に携わる。