ケアハウスの医療行為とは?人員配置から対応できる医療行為をご紹介します!

ケアハウスで行われる医療行為にはどのようなものがあるでしょうか。軽費老人ホームの一種であるケアハウスでは、高度な医療行為に対応していない施設もあるため、入居前の確認が大切です。この記事では、ケアハウスの人員配置や医療行為について解説します。

ケアハウスで受けられる医療行為とは?

自宅で自立した生活を送ることが難しい高齢者を対象とした入居施設であるケアハウスは、軽費老人ホームの一種で「軽費老人ホームC型」とも呼ばれます。ケアハウスにおける医療行為についてご紹介します。

ケアハウスにおける「医療行為」の定義とは?

医療行為とは、医師もしくは医師の指示によって看護師が行う処置や治療のことです。

しかし、すべての医療を医師や看護師のみが行うとすると、病気や障害を持った方の療養の場が限られてしまいます。

深刻な高齢化を迎えている社会的背景から、日常生活で必要な一部の医療行為については介護士の実施が認められるようになり、病院以外の自宅や介護施設などで生活できる人が増えてきました。このような生活援助にもとづく医療行為は「医療的ケア」とも呼ばれています。

施設の方針や体制によって医療的ケアに対応しているところもありますが、看護師の配置人数が少ないケアハウスでは、中心静脈栄養や腹膜透析など専門性の高い医療行為には対応していないことが多い現状にあります。医療行為が必要な方がケアハウスへの入居を検討している場合には、必要となる処置を実施できる職種やケアが必要な時間帯を確認し、対応している施設を探すことが大切です。

ケアハウスの人員配置基準は?

ケアハウスで働くスタッフの人員配置について見てみましょう。

ケアハウスには、管理業務を行う施設長、相談業務を行う生活相談員(ソーシャルワーカー)、リハビリを行う機能訓練指導員、生活支援や健康管理を行う看護・介護職員、介護保険サービスの調整を行う計画作成担当者(ケアマネジャー)などの配置が義務づけられています。

ケアハウスの人員配置基準の特徴は、入居者の介護認定に合わせて必要な人員が異なる点です。看護・介護職員は「要支援に該当する方10人に対して1人以上」さらに「要介護に該当する方3人に対して1人以上」配置されています。看護・介護職員の割合は、施設によってさまざまです。

ケアハウスの看護職員が行える医療行為は?

看護職員には看護師と准看護師の2種類の資格があります。看護師と准看護師の違いについて見てみましょう。

准看護師は、自身で判断して看護業務を行うことは認められていませんが、医師や歯科医、正看護師の指示を受ければ看護師同様の医療行為を実施できます。准看護師がケアや医療行為を施す際には、医師または歯科医師や正看護師の指示を受ける必要があるため、業務のスピードが看護師より劣る可能性があります。

施設によって看護師の人員体制が異なるケアハウスでは、対応できる医療行為に制限があることが一般的です。ここでは、看護師と准看護師が可能な一般的な医療行為についてご紹介します。

インスリン注射

糖尿病の治療法の1つであるインスリン注射は、血糖値をコントロールする薬剤です。インスリンが効きすぎると血糖値が下がりすぎて意識を失い、場合によっては死に至る危険があるため、本人や家族以外の第三者が注射をする場合には看護師が行う必要があります。

在宅酸素療法

在宅酸素療法とは、自宅や施設に専用の置き型機械や酸素ボンベを設置して酸素吸入を行う治療です。慢性呼吸不全や心不全の方が適応とされています。酸素が効果的に投与されないと呼吸が苦しくなり病状悪化の危険がある一方で、酸素が多く投与されすぎると酸素中毒や無気肺、CO2ナルコーシスという状態になり、意識障害を起こすリスクがあり、看護師による症状の観察や医師の指示による酸素量の調整が必要です。

褥瘡(じょくそう)ケア

褥瘡は、寝たきりの方が発症しやすい「床ずれ」とも呼ばれる皮膚トラブルです。褥瘡が生じた際には、看護師が傷の状態に応じて適切な皮膚保護剤を選択し、薬剤が必要であれば医師に指示を仰ぎます。マットレスの調整や介護士へ体位変換の指導を行います。

ストーマケア

人工肛門や人工膀胱を造設している方が装着している、排せつ物を溜める袋(パウチ)を交換をしたり、ストーマや周囲の皮膚にトラブルが起きないようにする処置をストーマケアと呼びます。ストーマケアでは、テープや装具によるかぶれや漏れを防ぐために、看護師が観察を行いケア方法の調整をします。

導尿・尿管カテーテルの管理

排尿障害によって尿が排せつできない方に対して、尿道からカテーテルを挿入して尿を排出するケアが必要な場合があります。出血するリスクを伴う医療行為のため、導尿や尿管カテーテルの挿入は医師もしくは看護師が行います。

ケアハウスの介護職員が行える医療行為は?

ケアハウスに入居している方が健康的な生活を送るためには、介護職員による健康管理が欠かせません。特別な知識や技術がなくても可能な医療行為については、介護職員の実施が認められています。さらに、研修を受けた介護職員ができる医療行為もあります。

対応可能な医療行為は施設によって異なりますが、ケアハウスの介護職員ができるさまざまな医療行為について見てみましょう。

バイタルサインの測定

自動血圧測定器を用いた血圧測定と脈拍回数の測定、体温測定のバイタルサイン測定は介護職員が行います。介護職員は測定のみを担当し、バイタルサインの正常・異常の判断は看護師が行います。

酸素濃度測定器の装着も介護職員ができますが、新生児以外で入院治療が必要な方のみとなっています。

スキンケア

やけどや軽い傷の処置、汚染されたガーゼの交換は介護職員が行うことが認められています。乾燥した皮膚への保湿剤などの軟膏塗布といったスキンケアも行います。しかし、褥瘡の処置など専門的な知識を必要とする医療行為はできません。

薬剤投与

介護職員は、内服薬の服薬介助に限らず、点鼻薬や点眼薬の介助、湿布の貼付、出血リスクのない方への坐薬の挿入などの薬剤投与を行うことが認められています。

研修を受けた介護職員が行える医療行為

研修を受けて「認定特定行為業務従事者」と認められた介護職員は、医療行為の喀痰吸引(かくたんきゅういん)と経管栄養(けいかんえいよう)を研修で修了した項目のみ実施できます。

痰を自力で出すことができない方は、窒息や肺炎を予防するために定期的な吸引が必要です。痰の吸引は呼吸が苦しくなりやすいため、研修を受けた介護職員が注意深く観察しながら処置を行う必要があります。

しかし介護職員は咽頭の手前までしか挿入できないため、気管内の吸引はできません。

経管栄養は、カテーテルで栄養剤を胃や腸に直接注入する医療行為です。体調を確認しながら栄養剤の投与速度の調整をしたり、カテーテルによる皮膚トラブルへの対応をしたりする必要があるため、経管栄養の投与は研修を受けた介護職員でなければ実施できません。

ケアハウスでは夜間帯であっても医療行為を行えるのか?

ケアハウスに限らず、多くの入居施設では夜間帯の職員数が少なくなることが一般的です。とくにケアハウスでは夜間帯は看護師が不在の施設が多く、介護職員の人数も少なくなります。

「日中は痰の吸引をするスタッフがいるが、夜間は難しい」など、24時間体制で対応できる医療行為に制限がある場合も多いと考えておいた方がよいでしょう。施設の方針や人員体制によって医療行為への対応を断られることもあるため、入居の検討段階から確認しておくことが重要です。

ケアハウスで高度な医療行為を必要とする場合は退去が求められるのか?

ある程度自立している方を入居対象としているケアハウスでは、高度な医療行為の実施を想定して人員を配置している施設は多くありません。

胃ろうや尿管カテーテル、痰の吸引などの医療行為には対応していないケアハウスがほとんどで、高度な医療行為が必要になった場合には退去を求められる場合があることを認識しておく必要があるでしょう。

ただし介護型のケアハウスでは、提携している医療機関の協力体制によって手厚い医療的ケアを受けられる場合があります。入居を検討している段階から「どの程度の医療行為に対応しているか」「退去を求められる処置はあるか」「緊急時の医療体制はどうなっているか」について、確認しておくことが重要です。

ケアハウス以外で手厚い医療を受けられる施設は?

ケアハウスは高度な医療行為が必要な方に退去を勧告する場合があります。施設で最期を迎える「看取り」を希望している方や、医療依存度が高くなっても住み慣れた施設での生活を続けたい方は、医療体制が充実している介護施設を選ぶ必要があります。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、高齢者を対象とした安否確認と生活相談サービスがついたバリアフリー住宅です。一般型施設と特定施設に分けられており、特定施設に指定されているサ高住では医療依存度の高い利用者を受け入れて人生の最終段階である看取りまで対応している施設もあります。

ケアハウスと同様、施設によって対応できる医療行為は異なるため、入居を検討する際に対応可能な医療行為について確認しましょう。

介護付き有料老人ホーム

一般的に、介護付き有料老人ホームはケアハウスよりも介護度の高い方が入居することが多く、医療体制が充実している傾向が見られます。

また、有料老人ホームは医療機関との提携が義務づけられている点が特徴です。協力医療機関が病院か診療所かによって医療のバックアップ体制は異なりますが、定期的な診察や往診を受けられる点は入居者の安心につながるといえるでしょう。

緊急時の対応や入院の受け入れが可能な医療機関と提携していたり、施設内に医師を配置したりなど、独自のサービスとして医療体制を充実させている施設もあります。

ケアハウスの医療体制に不安を覚える方は、協力医療機関や対応可能な医療行為が充実している介護付き有料老人ホームを検討してもよいでしょう。

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周田佳介

監修者:周田佳介

正看護師、介護福祉士、介護支援専門員、認知症ケア専門士、介護職員等によるたん吸引等の研修指導看護師の資格を取得している。
介護医療現場で13年従事し、今なお現役の訪問看護師として勤務している。急性期病棟や慢性期病棟といった医療機関のほか、特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問介護事業所などの介護事業所での勤務経験があり、医療・介護の両面から福祉に携わる。