ケアハウス(軽費老人ホーム)の食事について|内容や費用など詳しい情報をお届け!

ケアハウス(軽費老人ホーム)は、入居費が比較的安いことで知られる高齢者施設の1つです。それでは、ケアハウスではいったいどのような食事が提供されるのでしょうか。この記事では、ケアハウス(軽費老人ホーム)で提供される食事の内容や献立、食費などをご紹介します。

ケアハウス(軽費老人ホーム)の食事について

高齢者施設のなかでは、比較的費用負担が少ない「ケアハウス(軽費老人ホーム)」。基本的にはサービスの一環として食事が提供されるため、自炊の必要はありません(1989年以前に創設されたB型をのぞく)。

費用が安いからといって、食事が質素というわけではありません。ケアハウス(軽費老人ホーム)ではしっかりと栄養価を考えたうえで、入居者一人ひとりに合った形態の食事を提供しています。

ケアハウス(軽費老人ホーム)の献立や調理体制は?

ここからは、ケアハウス(軽費老人ホーム)における食事の提供体制について詳しく解説していきます。

献立を作るのは?

ケアハウス(軽費老人ホーム)では、栄養士や調理師の配置は義務づけられていません。しかし、管理栄養士が献立を作成している施設も多く、栄養バランスのとれた食事が提供されます。

とくに施設内に栄養士を配置している場合は、治療食など持病に応じた食事や食形態などにも細やかな対応ができることが多いでしょう。施設を探す際は、食事に関わるスタッフの職種や管理栄養士など献立作成に関わる人数の確認をおすすめします。

調理場所は施設内?

ケアハウス(軽費老人ホーム)では、施設内の調理室で食事を作っている場合と、食事を外部に委託している場合があります。

施設内の調理室で食事を作るメリットとして、急な変更や細かい希望に対応しやすい点が挙げられます。

一方、多くの施設に給食を提供している業者に委託する場合は、コストを抑えながら質の高いメニューを提供できる点がメリットといえます。

また、調理に特化した外部業者だからこそ注目したいのが独自の調理技術です。「骨まで食べられる魚」「やや食感を残したムース食」など、食べやすさと味を両立したメニューを提供している給食事業者も多いようです。

ケアハウス(軽費老人ホーム)の気になる食費

食費の金額設定は各施設に委ねられていますが、多くのケアハウス(軽費老人ホーム)では1カ月4万5000円前後が相場です。施設によっては、生活費の一部として毎月定額の食費を請求しているところもあります。

なお、ケアハウス(軽費老人ホーム)と同様の高齢者施設である介護保険施設(特別養護老人ホームなど)では厚生労働省が定めた「月額4万2317円」の基準費用額にもとづいて施設での食費が決められています。

また、総務省統計局による2020年の「家計調査報告」では、日本の単身世帯は1カ月に平均4万4263円を食費として支出しているという結果が発表されました。

これらを考慮すると、ケアハウスの食費は介護保険施設に入居した場合や自宅で暮らした場合と比べて大きな差はないといえます。

ケアハウス(軽費老人ホーム)の食事形態

ここまでは、ケアハウス(軽費老人ホーム)の食事提供体制や費用などシステム面をご紹介しました。次に、実際に提供される食事の「形態」について解説します。

噛む力に応じた食形態

高齢になると、噛む力や飲み込む力が衰えがちです。そのため高齢者施設の多くは、同じメニューであっても可能な限り一人ひとりの「食べる力」に合わせた形態で食事を提供しています。

たとえば、噛む力が衰えた人に適した食事形態として「刻み食」「ソフト食」「ミキサー食」などがあります。

刻み食は、普通食と同じメニューを食べやすい大きさに刻んだものです。「一口大」「1cm角」「刻み(みじん切り程度)」など、本人の噛む力に合わせて細かさを調整することで咀嚼力の低下を補います。

ソフト食は、ミキサーにかけてペースト状にした食品を再形成した「ムース食」などのことです。加えて、普通食と見た目を変えずに噛み切りにくい食材を軟らかく仕上げた「軟菜食」もソフト食に含まれることがあります。

軟菜食は肉や野菜を軟らかく調理するための技術や機材が必要なため、人気はあるものの対応できる施設は少ない傾向にあります。

ミキサー食は、食品をミキサーにかけたものです。スムージーのような状態なので噛めない人でも食べられますが、食事の際に重要な「見た目を楽しむ」ことができないのが欠点です。

飲み込む力に応じた食形態

次に、飲み込む力が衰えた人に適した食事形態について解説します。一般に、ポロポロとまとまりのない食品や粘度の少ない液体は飲み込みにくいとされています。

口の中でまとまらず、飲み込みにくい場合には前項でも記載したミキサー食も飲み込む力が衰えた方に適しています。

ほか、一般的な手法として、嚥下力が低下した場合はとろみ剤や片栗粉、ゼラチンなどで適度なとろみやまとまりを持たせた「とろみ食(ゼリー食)」が提供されます。また、普通食でもあんをかけるなどの工夫で飲み込みやすくなります。

個人の嚥下力に対応した食事形態は、「なかなか飲み込めない」「むせる」などの食事のストレスを減らすだけでなく、誤嚥による肺炎のリスクを下げることなどにもつながります。

水分補給への対応

高齢になると、喉の渇きや脱水症状への自覚が薄くなるといわれています。また、むせやすく、トイレが近くなることへのおっくうさから意図的に水分補給を控えてしまう人も少なくありません。

もちろん、お茶や水にとろみをつけることは可能ですが、実際に飲んでみると違和感があり、おいしいと感じる人は少ないようです。そのため、高齢者施設や医療機関では水分補給のための「水分補給食」を提供することがあります。

水分補給食は飲むゼリーのようなもので、風味や甘みをつけてゼリー状にすることで飲みやすくなっています。水分だけではなくビタミンや食物繊維などをとることができる商品も発売されています。

なお、施設によって食事形態への対応には差があります。もし入居時点で食事形態に配慮する必要があれば、希望する食事形態に対応できるのか、事前確認をおすすめします。

また、現在は問題なく食べられる場合も、年齢を重ねると嚥下や咀嚼が難しくなるかもしれません。その場合に備えて食事形態のバリエーションも確認しておくと、いざ変更が必要になった際にも安心でしょう。

ケアハウス(軽費老人ホーム)で実際の食事メニュー例をご紹介!

ここからは、実際の献立例をご紹介します。ほんの一例ですが、1日の栄養価なども併記しました。

1例目

  • 朝食:ご飯・みそ汁・肉じゃが・大豆の五目煮・漬物・牛乳
  • 昼食:ご飯・みそ汁・サワラの西京焼き・きゅうりの塩昆布和え・炒り豆腐・漬物
  • 夕食:ご飯・みそ汁・肉団子の甘辛煮・もやしのナムル・冬瓜あんかけ・果物

(1日の主な栄養価:1651kcl、タンパク質64.4g、脂質41.1g、塩分8.9g)

多くのケアハウス(軽費老人ホーム)では、和食メニューがメインです。「普通食は食べられるが魚を食べるのが大変」と感じる入居者には、魚をほぐした状態で提供している施設もあるそうです。

また、「牛乳を飲むとお腹を下してしまう」方は意外と多いものです。そこで希望者には、牛乳をヨーグルトに変更するなどの対応をとる施設もあります。

2例目

  • 朝食:パン・スープ・スクランブルエッグ・トマトサラダ・果物・乳酸菌飲料
  • 昼食:ご飯・みそ汁・鶏肉のカレー風味焼き・春雨の酢の物・ひじきの煮物・漬物
  • 夕食:ご飯・みそ汁・魚のラビゴットソース・青菜のお浸し・肉じゃが・果物

(1日の主な栄養価:1730kcl、タンパク質63.8g、脂質53.4g、塩分9.2g)

2例目は、朝食が洋食メニューの例です。ケアハウス(軽費老人ホーム)のなかには、決まった曜日にパンや洋食メニューを提供している施設や、本人の希望に合わせて洋食と和食のいずれかを選択できる施設があります。

昼食の「鶏肉のカレー風味焼き」や夕食の「魚のラビゴットソース」は、味付けに香辛料や香味野菜を使用しています。このように風味を豊かにすることで、減塩しても物足りなさを感じにくいとされています。

3例目

  • 朝食:ご飯・みそ汁・煮魚・ほうれん草の白和え・漬物・牛乳
  • 昼食:ご飯・すまし汁・チキントマトソース・からし和え・ごぼうの煮物・漬物
  • 夕食:ご飯・みそ汁・魚の幽庵焼き・酢の物・茶碗蒸し・果物

(1日の主な栄養価:1624kcl、タンパク質78.0g、脂質38.2g、塩分8.0g)

トマトや酢などの酸味がある食材や調味料は、唾液の分泌を促す効果があります。高齢になると唾液の分泌量が減る傾向にありますが、唾液が十分に分泌されることで味を感じやすくなり、よりおいしく食べられるでしょう。

また「噛みやすい軟らかさ」という視点から野菜は加熱して提供されることが多いため、どうしてもビタミンが不足しがちです。そのような場合は、生で食べられる「果物」を提供するケースや、必要であればジュースやゼリーなどの果物の加工食品などでビタミンを補います。

4例目

  • 朝食:パン・スープ・ミートオムレツ・マカロニサラダ・ヨーグルト
  • 昼食:ご飯・みそ汁・牛肉の柳川煮・キャベツサラダ・大根田楽・漬物
  • 夕食:発芽玄米ご飯・みそ汁・メンチカツ・炊き合わせ・オカヒジキの和え物・漬物

(1日の主な栄養価:1796kcl、タンパク質60.8g、脂質46.9g、塩分9.5g)

同じタンパク質とはいえ、魚と肉では含まれている栄養素や成分に違いがあります。和食がメインと聞くと主菜は魚を想像しがちですが、こうした視点から肉が提供されることも多いでしょう。

また、この日の夕食は白米でなく発芽玄米ご飯が主食です。おかずが違うとはいえ食事は毎日のことなので、こうした主食の小さな変化も食べる楽しみにつながるかもしれません。

5例目

  • 朝食…ご飯・みそ汁・さつま揚げの煮物・焼きナス・漬物・牛乳
  • 昼食…親子丼・みそ汁・揚げ出し豆腐・青菜の和え物・ゼリー
  • 夕食…ご飯・みそ汁・クロムツの照り焼き・酢の物・サツマイモの煮物・果物

(1日の主な栄養価:1688kcl、タンパク質63.8g、脂質39.7g、塩分8.9g)

肌寒くなっても、室温が一定に保たれた施設内では季節感が薄れがちです。そこで、たとえば冬のはじめにはクロムツやサツマイモなどの旬の食材を使用し、季節感を味わえるメニューを提供する施設もあります。

ケアハウス(軽費老人ホーム)ではイベント時の特別メニューも!

通常の食事例の次は、ケアハウス(軽費老人ホーム)の特別メニューをご紹介します。

特別メニュー(行事食)とは?

行事食とは、年中行事の際に食べる普段とは異なる食事のことです。たとえば、正月のお節料理なども行事食の1つ。これを施設内でも提供し、季節の移ろいを感じてもらう目的があります。

ケアハウス(軽費老人ホーム)だけでなく、多くの高齢者施設では年中行事に合わせたメニューを提供することで、レクリエーションに参加できない人にも行事を楽しんでもらうなどの工夫がなされています。

行事食の内容

1月7日には七草がゆ、節分には恵方巻(太巻き)など、主食にできる行事食は比較的多くの施設で提供されます。また、3月には桜餅、お彼岸にはおはぎなど季節を感じるおやつが提供されることもあるようです。

一方、祝日である敬老の日には炊き込みご飯などが懐石風の盛りつけで提供されたり、クリスマスにはケーキやチキンなどを楽しんでもらったりなど、施設によってさまざまな工夫がなされています。

ケアハウス(軽費老人ホーム)の食事は見学時に必ず確認すること!

ケアハウス(軽費老人ホーム)における食事内容や提供体制は施設ごとに異なります。

そのため、ケアハウス(軽費老人ホーム)を見学する際は、食事内容の確認が必要です。以下のポイントに注意しながらチェックしてください。

献立内容

施設見学の際はスタッフの対応や居室の設備などに目がいきがちですが、献立表があればぜひ見せてもらうことをおすすめします。メニューを見ることで、施設の食に対するこだわりを感じられるでしょう。

また、摂食機能の低下がある場合などの食事形態への対応についても確認しておくと安心です。

食事風景

食事時は人の動きが多く、スタッフも配膳や誘導で忙しい時間帯です。見学は落ち着いた時間帯しか行っていない施設もありますが、もし可能であれば食事の時間帯に見学に行くと食事風景もチェックできます。

食事風景からは、入居者の雰囲気やスタッフの対応などがわかります。実際の入居者とスタッフの関わりを見ることで、入居後のミスマッチを解消できるでしょう。

試食は積極的に

施設によっては、見学時に食事を試食できる場合があります。実際の食事の軟らかさや温度、食器の使いやすさなど、パンフレットや説明だけではわからない点を体感できます。見学の予約をする際に候補先の施設に確認し、もし可能であれば試食をさせてもらいましょう。

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周田佳介

監修者:周田佳介

正看護師、介護福祉士、介護支援専門員、認知症ケア専門士、介護職員等によるたん吸引等の研修指導看護師の資格を取得している。
介護医療現場で13年従事し、今なお現役の訪問看護師として勤務している。急性期病棟や慢性期病棟といった医療機関のほか、特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問介護事業所などの介護事業所での勤務経験があり、医療・介護の両面から福祉に携わる。