葉酸は高齢者がとりたい栄養素!貧血や骨粗しょう症予防に

葉酸は高齢者がとりたい栄養素!貧血や骨粗しょう症予防に

葉酸といえば、妊娠中の女性が積極的に摂取すべき栄養素として知られていますが、高齢者の方にも欠かせません。

今回は、高齢者の葉酸の摂取量の目安や、葉酸が不足したときの身体への影響、さらに高齢者の方が食べやすい、葉酸を多く含んでいる食品をご紹介します。

>>高齢者の栄養摂取について介護の専門家に無料で相談する:安心介護Q&A

葉酸とは

葉酸はビタミンB群の一種です。ビタミンB群は水に溶ける特徴を持った「水溶性ビタミン」で、油脂に溶ける「脂溶性ビタミン」とは異なり、過剰摂取しても尿によって体外に排出されるという特徴があります。

葉酸は同じビタミンB群であるビタミンB12とともに、新しい赤血球を生成するために欠かせないビタミンとして知られています。

また、葉酸はたんぱく質や細胞の生成に必要な核酸の生成に関わっています。妊娠前や妊娠中の女性はサプリメントなどで積極的に葉酸を摂ることを推奨されますが、これは胎児の正常な発育に多くの葉酸が使われるためです。

高齢者にとっては、貧血や骨折、動脈硬化を防ぐための栄養素となるため、積極的に摂るようにしましょう。

高齢者が1日にとりたい葉酸の摂取量(60代以上の摂取量一覧を記載)

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、18歳以上の男女の葉酸の推定平均必要量は200μg/日、推奨量は240μg/日とされています。この値は60代以上の高齢者の方でも同じです。(※ 妊娠前、妊娠中の女性は400μg/日の摂取が推奨されています。)

60歳以上の高齢者が1日にとりたい葉酸の摂取量をまとめると次のようになります。

  男女ともに
推定平均必要量 推奨量 耐用上限量
60~69歳 200μℊ/日 240μℊ/日 1000μℊ/日
70歳以上 200μℊ/日 240μℊ/日 900μℊ/日

 

 ※ μg(マイクログラム)は mg(ミリグラム)の1000分の1の量です。

※ 推定平均必要量とはその年齢に属する50%の人の必要量を満たす量のことです。また、推奨量とはその年齢に属するほとんどの人(97.5%)が必要量を満たす平均値のことです。

葉酸に過剰摂取の心配はある?

通常の食事をしていれば葉酸の過剰摂取の心配はないと言われていますが、サプリメントなどによる葉酸の過剰摂取には注意が必要です。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、過剰摂取によって起こる健康障害を予防するための葉酸の耐容上限量は、60歳〜69歳の方が1000μg/日、70歳以上の方が900μg/日とされていますので、それ以上は摂取しないよう注意しましょう。

高齢者に葉酸が不足するとどうなるか

葉酸不足は高齢者の健康を害するさまざまな症状の原因となります。葉酸摂取量が十分でないと、悪性貧血や動脈硬化、認知症を発症する危険性が増加します。また高齢者に葉酸が不足すると骨折のリスクが上がるという報告があります。

悪性貧血

葉酸は赤血球の生産に欠かせない栄養素であり、不足すると赤血球が正常に作れなくなって、悪性貧血を引き起こします。

悪性貧血は鉄分不足によって起こる貧血(鉄欠乏性貧血)とは別の貧血で、ビタミンB12または葉酸が不足して赤血球が減った状態です。鉄欠乏性貧血の場合は赤血球の形が小さくなりますが、悪性貧血では正常よりも赤血球の大きさが大きくなるという特徴があります。

赤血球は酸素の運搬という役割を担っているため、赤血球の減少によって息切れや疲労感、めまいといった症状が出ます。

動脈硬化

葉酸には動脈硬化の危険因子「ホモシステイン」を無害にする働きがあり、不足すると血液中のホモシステイン量が増加し、動脈硬化のリスクが高まります。

認知症・脳卒中

ホモシステインは動脈硬化だけでなく、脳の萎縮の原因にもなっていると考えられており、葉酸が不足してホモシステイン量が増えると、アルツハイマー型認知症や脳卒中を発症しやすくなると言われています。

骨粗しょう症

さらに高齢者の葉酸不足は骨粗しょう症を引き起こすという報告があります。動脈硬化や認知症を誘因するホモシステインが、骨のしなやかさを担っているコラーゲンの劣化や減少を促進します。すると、カルシウムを十分に摂取していて骨密度が十分な人でも骨折の危険性は高い状態になるのです。

骨粗しょう症を発症すると、ちょっとしたことで骨折してしまいます。骨折は寝たきりになるきっかけにつながり、健康的な生活の維持が難しくなります。丈夫でしなやかな、折れにくい骨を維持するためにカルシウムだけでなく葉酸もしっかりとりましょう。

 

そのほかに葉酸不足が引き起こす病気として胃潰瘍や口内炎などがあります。

高齢者が食べやすい葉酸を多く含む食品

葉酸は1941年にほうれん草の葉から見つかりました(名前に「葉」の文字が入っているのはそのためです)。葉酸を多く含む食品としては、ほうれん草などの緑黄色野菜、果物、レバーがあります。具体的には次のような食品が挙げられます。 ※ 食品名に併記した値はその食品100gごとの葉酸含有量です。

緑黄色野菜

えだまめ(ゆで)260μg、パセリ(葉、生)220μg、アスパラガス(若茎、油いため)210μg、ブロッコリー(ゆで)120μg、ほうれんそう(ゆで)110μg オクラ(ゆで)110μg など

 

果物

ドライマンゴー 260μg、ライチ(生)100μg、いちご(生)90μg、アボカド(生)84μg、アセロラ(生)45μg、パパイア(生)44μg、さくらんぼ(生)42μgなど

 

レバー

にわとりのレバー 1300μg、うしのレバー 1000μg、ぶたのレバー 810μg など これらのほか、焼きのり(1900μg)、せん茶(1300μg)、ケールの青汁(820μg)なども葉酸が豊富です。

 

高齢者が食べやすい食品は?

葉酸の含有量が多い食材は、普段の食卓にのぼるような食材にも多く、高齢者にとっても食べやすいものが多いでしょう。

硬いものが食べづらい高齢者には、具材を細かく切ったり、レバーをペースト状にしたり、緑黄色野菜やフルーツをミキサーにかけるのもオススメです。

また、葉酸を強化した鶏のたまごが市販されているため、よくたまごを食べる高齢者の方はいつものたまごの代わりに利用してみてはいかがですか。たまご以外に葉酸を強化した牛乳やパンなどもあります。

葉酸と一緒にとりたい栄養素

実は葉酸はそれ単体で摂取するだけでは十分ではありません。葉酸に体内で正常に力を発揮させるためには、その他の栄養素もきちんと摂る必要があります。

ビタミンB12

ビタミンB12は葉酸とともに赤血球の形成に関わる栄養素です。

葉酸は単体では働かず、ビタミンB12と一緒に赤血球の形成に働きます。葉酸が野菜など植物性の食材に多く含まれている一方、ビタミンB12を多く含むのは動物性食品。どちらも不足しないように心がけましょう。

ビタミンB12を効率よく摂るためにサプリメントも販売されていますが、ビタミンB12の過剰摂取は男性の肺がん発症リスクを増加させたという報告もあるので、できれば普段の食事で摂取するように心がけましょう。

【ビタミンB12を多く含む食品】

しらす干し、レバー、馬肉、プロセスチーズ、鶏の全卵 など

 

ビタミンC

ビタミンCは葉酸の活性化をサポートして葉酸の効果を高めます。ビタミンCには抗酸化作用や免疫力の維持など、高齢者の健康維持にとって重要な働きをしますので、その点でもビタミンC摂取はオススメです。

【ビタミンを多く含む食品】

キウイフルーツ、レモン、ピーマン、せん茶、ケールの青汁 など

 

水に溶けやすいため調理方法に工夫を

ビタミンには水に溶けるビタミン(水溶性ビタミン)と油に溶けるビタミン(脂溶性ビタミン)があり、葉酸は水溶性ビタミンです。

水溶性ビタミンはその水に溶けるという性質から、過剰摂取しても尿によって体外に排出されやすいというメリットがある一方、調理によって失われやすいという一面もあります。例えば、ほうれんそうは生の状態だと100gあたり210μgの葉酸が含まれていますが、ゆでると約1/3まで減ってしまいます。

包丁で切って水につけたり、茹でるだけでも葉酸は失われてしまいますので、食品が水に触れる時間を少なくしたり、アクが強くない野菜は生で食べるのもいいでしょう。

まとめ

高齢者がいきいきと過ごすためには、必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。葉酸もその1つで、貧血や動脈硬化、認知症、脳卒中、骨粗しょう症の予防のために、欠かさず摂りたい栄養素です。

葉酸は一緒にビタミンB12やビタミンCを摂取することで葉酸の効果が高まりますし、水に溶けやすいため調理方法を工夫することでより効率的に摂取できるので、こうしたことも意識してみてくださいね。

葉酸は妊娠中の女性が積極的に摂るべき栄養素ということは有名ですが、高齢者にとっても大切な栄養素であることをご存知ない人はまだたくさんいらっしゃいます。この記事が少しでも役に立った場合には、ぜひシェアをお願いします。

 ※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。

Q&Aをカテゴリから探す(介護の専門家に無料で相談する)
[質問カテゴリ]
| 介護保険制度  | 要介護認定  | 認知症  | 在宅介護 
| 施設介護  | 介護サービス | 福祉用具 | 高齢者の食事  | 介護疲れ
| 介護費用 | 高齢者の入院 | 介護の終わり | 遺産・相続 | 何でも介護相談

介護者同士で交流する(無料)
https://i.ansinkaigo.jp/posts

会員登録する(無料)
※会員登録で400円相当のポイントプレゼント!
https://i.ansinkaigo.jp/users/sign_up
監修者:春田 萌
監修者:春田 萌

日本内科学会 総合内科専門医、日本老年医学会所属
15年目の内科医師です。大学病院、総合病院、クリニックでの勤務歴があります。訪問診療も経験しており、自宅や施設での介護についての様々な問題や解決策の知識もあります。