高齢者のひとり暮らしがもたらす問題と対策

高齢者の一人暮らしのがもたらす問題と対策

 

高齢者のひとり暮らしは、少子高齢社会のなか増えていますが、今後もますます増加する見通しです。ライフスタイルの変化により、やむを得ずひとり暮らしをしている方も少なくはありません。親や身内の高齢者がひとり暮らしになった時に、どんな問題が起こりえるのか、どんな対策をしたらいいのかをまとめました。

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増え続ける高齢者のひとり暮らし

増え続ける高齢者の一人暮らし

高齢化が進む中で、ひとり暮らしを続ける高齢者も少なくはありません。 内閣府が公開している「令和元年版高齢社会白書」によると、2015(平成27)年には、65歳以上人口に占めるひとり暮らしの割合は、男性13.3%(約192万人)、女性21.1%(約400万人)となっています。

数字だけ見るとあまりピンとこないかもしれませんが、1980年(昭和55)年には、男性4.3%(約19万人)、女性11.2%(約69万人)だったことを考えると、35年間でライフスタイルが大きく変化したことが分かります。

なぜ65歳以上のひとり暮らしが増えているのでしょうか。

高齢者がひとり暮らしを選ぶ理由

●現状で満足しているから

65歳以上でひとり暮らしの方を対象に行った「平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査 第2章」では、ひとり暮らしの方の76.3%が「今のままひとり暮らしでいい」と回答しています。年齢別に見てみると、65~74歳までが76.9%、75歳以上が75.7%と大きな変化はありませんでした。また、「現状で満足している」と答えた人も78.7%となっています。

家族の形態や価値観が変化していく中で、家族との同居を望まない高齢者が増えてきたことが伺えます。

●頼れる人がいない

内閣府の「平成22年版 高齢社会白書 第1章 第3節」によると、60歳以上の男女に「困ったときに頼れる人がいるか」と質問すると、「いない」と回答した人は3.3%でした。

しかし、ひとり暮らしに限ってみると、男性は24.4%、女性の一人暮らしでは9.3%が「いない」と回答しています。

●住み慣れた地域を離れたくない

矢野経済研究所が2013年に行った「シニアの住まいに関する調査」によると、子供が独立した60歳以上の4割強が、住み替えの意向があると答えています。一方で「現実的に住み替えられない」と答えた人に、その理由を聞くと、「新たに購入資金を工面できない」(52.2%)に続いて、「住み慣れた地域を離れたくない」(48.9%)という声が上がっていました。

これはひとり暮らしを対象とした調査ではありませんが、60歳以上の方の住み慣れた地域への愛着が強いことが伺えます。

高齢者のひとり暮らしで起こる問題

高齢者のひとり暮らしで起こる問題



内閣府の「平成23年版 高齢社会白書 第1章第3節3」では、高齢者の社会的孤立がもたらす問題点として、以下のことがあげられています。

生きがいの低下

ひとり暮らしでさらに家に引きこもりがちになると、他人との接触が少なくなります。60歳以上の男女に聞いた意識調査では、「生きがいを感じていない」人の割合は全体で12.9%となりましたが、一人暮らしの男性に限ると、34.9%と高くなっています。

また、ひとり暮らしで引きこもりがちになると、会話をする頻度も下がります。毎日会話をする機会がある人の「生きがいを感じていない」の割合は、11.7%だったのに対し、会話が「2日~3日に1回以下」の人では26.8%となりました。

消費者被害

高齢者をターゲットとした電話による詐欺や悪質な訪問販売は、少なくはありません。国民生活センターにも、高齢者の消費者被害に関する相談が多く寄せられており、注意を促しています。

ひとり暮らしの高齢者には、周囲に相談できる人がいないことが多いため、特に消費者トラブルに巻き込まれやすくなります。

高齢者による犯罪

高齢者の犯罪者率は、2000(平成12)年と比べて、2009(平成21)年で2倍となっています。前科や前歴・受刑歴があった高齢犯罪者ほど、ひとり暮らしである割合が多く、親族や親族以外の人との接触機会が少ないとしています。

また、認知症により万引きを引き起こすこともあります。

孤立死

誰にも気づかれないまま亡くなってしまう孤立死は、社会問題にもなっています。近所づきあいが少ない、あるいは頼れる知り合いがいないことで、死後長い間にわたり気付かれないこともあります。

それ以外の問題

上記以外でも、高齢者のひとり暮らしがもたらす問題には以下のようなものがあります。

食事の偏り

日清オイリオグループが東京都、神奈川県、埼玉県在住の65歳から79歳の男女40名に行った「シニア食事日記調査」によると、ひとりで食事をする「孤食割合」が高いほど、エネルギー充足率と野菜充足率が低くなる傾向がありました。

認知症の進行

アルツハイマー型認知症など、本人が自覚しないまま進行していく認知症があります。

家族と一緒に暮らしていれば、言動の変化や料理の味付けの変化など、「もしかしたら…」と気づくきっかけはあるかもしれませんが、ひとり暮らしのために気づけずに症状が進んでしまうことがあります。

認知症が進行するとコンロに火をつけたまま忘れてボヤ騒ぎを起こしてしまったり、薬を飲み忘れて治療中の病気が悪化してしまったりすることがあるかもしれません。

熱中症や脱水症

高齢者は暑いと感じるの機能が低下するため、室温の高いところにいて熱中症を起こしてしまうことがあります。これはひとり暮らしにかかわらず、日中にひとりになってしまう場合も同様です。 また、喉の乾きを感じにくなる口渇感もなくなってしまうのが高齢者の特徴であるため、必要な水分量が摂取できず、脱水症を引き起こすこともあります。

ひとり暮らしの高齢者をサポートする方法

ひとり暮らしの高齢者をサポートする方法

 

介護サービスを利用する

訪問介護や訪問リハビリなどを利用して、週に何度か家に専門家が来る状況を作りましょう。通所介護を利用すると、他者との交流がぐっと増えます。

また、ケアマネジャー(介護支援専門員)がつくので、身近に相談ができる介護の専門職がいるのも心強いポイントです。

介護保険のサービスを利用するには、認定調査を受ける必要があります。詳しくはお住まいの地域の地域包括支援センターや市町村の役所にある高齢者担当窓口にご相談ください。

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食事宅配サービスを利用する

利用者に合わせた食事を家まで宅配してくれるサービスを利用しましょう。買い物や調理をしなくても、栄養バランスの良い食事がとれるようになります。 また、配達時に顔を合わせることで安否確認もできます。

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見守りサービスを利用する

民間企業や自治体が見守りサービスを提供しています。訪問してくれるものや、センサーを使ったものなど様々です。 サービス内容や利用料金などを比較して、無理なく利用できるものを選ぶといいでしょう。

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成年後見制度を利用する

成年後見制度とは、認知症などにより判断能力が不十分な方を守るための制度です。家庭裁判所に申立てをして、援助してくれる人を付けてもらいます。不利益な契約や悪徳商法から高齢者を守ることができます。

>>関連サービス:介護家族の法律相談

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住宅改修や介護施設を検討する

住み慣れた自宅での生活が難しくなってきたのなら、住宅改修や介護施設への入居を検討しましょう。

廊下に手すりを設置したり、玄関の段差を解消したりといった住宅改修には、介護保険が適用されます。また、高齢者の状態や希望に応じて介護施設への入居を検討してみてもいいでしょう。「足をケガしていることを忘れ、歩こうとして転倒してしまう」といった事故が続く場合には、介護職員の目が届く介護施設に入居した方が安全です。

>>関連サービス:介護リフォーム「ハピすむ」

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火災対策をする

ひとり暮らしで心配なのが火の不始末です。コンロをガスからIHクッキングに変更したり、本人が調理をしないようにヘルパーさんや宅食サービスを頼むなどの方法もあります。暖房器具を正しく使えているかや、電源コードの上に物が乗っていないかなど、漏電の危険性も考慮しなければなりません。

また、もしもの時のために火災保険に加入しておきましょう。高齢者の方が認知症の場合には、火災保険が適用する条件をよく確認しておくと安心です。

遠距離介護の準備をする

遠距離介護にはお金がかかります。親がひとり暮らしになったなら、早いうちから資金についてや今後について本人や家族で話し合っておくといいでしょう。 

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同居のメリットとデメリット

同居のメリットとデメリット

高齢者のひとり暮らしに不安が出てくると、頭をよぎるのが「同居」です。かわいそうだからという気持ちで同居を始める前に、そのメリットとデメリットをよく考えておく必要があります。同居だけではなく、高齢者向け住宅や介護施設への入居を検討しましょう。

メリット

  • 高齢者の生活を見守ることができる
  • 体調の変化や認知症の初期症状に気づきやすくなる
  • 悪徳商法や電話での詐欺などの被害に会いにくくなる
  • 高齢者は家族が近くにいるので精神的に安定しやすくなる
  • 通うのにかかっていた交通費、家賃や生活費などを安く抑えることができる

デメリット

  • 生活リズムやライフスタイルの違いにより、身体的・精神的な負担を感じることがある
  • 環境の変化に適応できず、認知症が進行してしまうことがある
  • それまでの家族関係によっては、お互いにストレスとなり、関係が悪化することがある

まとめ

ひとり暮らしの高齢者が増加しています。必ずしもそれは不幸なことではありませんが、高齢者のひとり暮らしが引き起こす問題を把握しておき、対策しておいた方がいいでしょう。

同居にもメリットとデメリットがありますし、家族によっては同居することが解決策にならないこともあるでしょう。

自分たちはどうしたいのか、高齢者本人や家族で早いうちから話し合っておくことが大切です。

※この記事は2020年3月時点の情報で作成しています。

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監修者:陽田 裕也
陽田 裕也 (ひだ ゆうや)

2001年、介護福祉士養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得し特別養護老人ホームにて介護職員として勤務する。
その後、介護支援専門員や社会福祉士も取得し、介護以外でも高齢者支援に携わる。現在はソーシャルワーカーとして、 特別養護老人ホームで勤務しており、高齢者虐待や身体拘束、成年後見制度などの権利擁護について力を入れて取り組んでいる。