老健では、医療費は全て施設の負担になると聞きました。入所中に他の病院にかかる場合にはどうなりますか? また、医療費が増えるからと薬が勝手に変更されることがあるのでしょうか?

質問

質問者

75歳でパーキンソン病の母ですが、誤嚥性肺炎により入院しており、退院後は老健に入所して自宅に戻るためのリハビリを受けることになりました。いくつかの老健にあたり、やっと決まったのですが、「パーキンソン病は薬代がかかるから入所できない」と言われたことがあり、老健では薬代などの医療費が全額施設負担になるのだと知りました。

もし、入所中に熱が出たりして検査が必要になったら、それも老健が負担してくれるのでしょうか? 入所中に歯科に通おうかと思っていたのですが、退所後にした方が良いですか? 

 

専門家

介護老人保健施設(老健)の医療費についての質問ですね。老健は薬代などの医療費が、原則として全額施設負担になりますが、一部例外もあります。

ここでは、老健の負担になる医療費と利用者が負担する医療費の違いを中心に紹介します。ぜひ今後の生活の参考にしてください。

介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設(老健)について知る

まずは、介護老人保健施設(老健)とはどのような施設なのかをみていきましょう。

老健の特徴

老健とは、病状が安定していて自宅での生活復帰を目指す方が、日常の介護や医療ケア、専門的なリハビリテーションなどを受ける介護保険施設のひとつです。医療法人や社会福祉法人などが運営しています。

自宅での生活に不安がある方、退院後に自宅に戻る前にリハビリを受けたい方などが利用しています。

介護保健施設なので、入所時に支払う初期費用はありません。また、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)と比べて、医療や看護のサポート体制が充実しているため、医療ニーズの高い方も安心して入所することができます。ただし、 “終の棲家”ではなく、自宅に戻るためのリハビリをするための施設ですので、原則として3ヵ月から6ヵ月ほどで退所となります。入所時の目標を達成していなかったり、家族の受け入れ体制が整っていなかったりすると、延長が認められる場合があります。

また、従来型の他に、在宅復帰率が高くて入所期間の比較的短い「在宅強化型」、医療体制がより整っている「療養型」があります。

老健の対象者

要介護度1~5の方で、リハビリテーションを必要とされる方が利用できます。病状が安定していて入院治療の必要がない方が対象です。

老健でかかる費用

老健では、1日ごとに以下の料金がかかります。

  • 基本料金(部屋のタイプや要介護度によって異なる)
  • 食費
  • 居住費(部屋のタイプによって異なる)

ひと月(30日)あたりにかかる金額の目安は、10万円から15万円程度です。

老健は介護保健施設です。所得に応じて食費や居住費の負担軽減を受けられる「特定入所者介護サービス費」が適用されます。

特定入所者介護サービス費とは?対象者や申請方法を解説します - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

その他にも個別機能訓練加算など介護保険の各種加算、日用品やレクリエーションにかかった費用の実費が掛かります。

介護老人保健施設(老健)入居中の医療費について

老健入居中の医療費はどうなる?

続いて、ご質問の老健での医療費について説明します。

老健が負担する医療費

老健では、医師と看護師が配置されており、入所者が必要な医療については施設の医師やスタッフが担当することとされています。

特別養護老人ホームと比べると手厚い医療ケアが受けられますが、原則として医療保険が使えません。入所中に必要な医療ケアや薬にかかる医療費は、施設側が全額負担します。外出・外泊時も同様です。

老健が負担しない医療費

原則として入所中にかかる医療費は老健が負担しますが、レントゲンやCT、歯科診療などを併設や外部の医療機関で受ける場合には医療保険が適用されます。受診の際に健康保険証の提示が必要です。

自費扱いになるケース

老健は、「不必要に入所者のために往診を求め、または入所者を病院もしくは診療所に通院させてはならない」と法律で定められています。

入所中に併設または外部の医療機関で、医療保険が適用される検査や治療を受ける際には、老健の医師の許可が必要になります。施設に相談せずに受診してしまうと、全額自己負担になってしまうので注意しましょう。

入所中の処方について

入所中の薬処方はどうなる?

老健で処方される

老健に入所中は、施設の医師が診察と判断のもとで内服薬を処方します。 その際に、利用中の薬がジェネリック医薬品(後発医薬品)などに変更される可能性があります。

「ジェネリック医薬品だと、飲み心地が変わってしまうため拒否があった」など、不都合がある場合にはあらかじめ相談しておきましょう。

変更や追加が事後連絡になることも

施設入所している間に、薬の変更や追加がある場合には、基本的には本人か家族に連絡が行きます。ただし、夜間の対応や施設の人手不足などにより、連絡がないまま変更や追加されていたというケースも少なくはありません。安心介護内にも不安や不満の声が投稿されています。

施設の処方に関する方針については、あらかじめよく確認していきましょう。

まとめ

医師や看護師が配置されている老健では、施設の医師が入所中の主治医となります。医療ケアや薬などにかかる費用は、原則として全額施設負担です。ただし、レントゲンやCT、歯科治療など、専門外の検査や処置については医療保険が適用され、利用者の自己負担が発生します。施設の医師の許可を得ずに、外出・外泊して検査や処置を受けると、医療保険が適用されずに全額自己負担になってしまうので注意しましょう。

服用している薬については、施設の医師の診察や判断によってジェネリック医薬品に変更されることがあります。不都合がある場合には、あらかじめ施設に相談をしておきましょう。基本的には事前に家族に連絡が行きますが、連絡なく減薬を含む変更や追加が行われることがあります。可能であれば、事前に口コミなどで施設の対応を調べておくと良いでしょう。

この記事では、老健での医療ケアや薬にかかわる費用についてまとめました。入所が決まっている方や検討中の方の、お役に立てればうれしいです。

※この記事は2021年12月の情報で作成しています。

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ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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