認知症が進行した母に老健(介護老人保健施設)に看取りまで入所してもらうことはできますか?

介護のイメージ

 

質問

質問者現在、脳梗塞をきっかけに入院した母が、在宅復帰を目指して介護老人保健施設に入所しています。今まで兄夫婦が同居していましたが、海外転勤が決まり、私も義両親と同居しているため在宅復帰が難しくなりました。認知症も進んでいることから、リハビリを受けてもひとりでの生活は難しいと思います。

現在の介護老人保健施設は居心地が良いようで、母も落ち着いて生活しています。このままずっと介護老人保健施設に入所することはできますか? 例えば、介護老人保健施設で看取りまでお願いすることは可能でしょうか? また、看取りまでお願いできる介護施設について教えてください。

 

専門家介護老人保健施設(老健)での長期入所についての質問ですね。介護老人保健施設は自宅への復帰を目指す施設なので、期間を定めずにずっと入所すること、看取りを頼むことは原則としてできません。

この記事では、介護老人施設の入所期間について、そして看取りまでお願いできる介護施設について説明しています。ぜひ、現在や今後の生活の参考にしてください。

 

介護老人保健施設(老健)はどんな施設?

医療・介護が連携して介護者をサポートするイラスト

まずは、介護老人保健施設の基礎知識についてみていきましょう。

在宅復帰を目指す施設です

介護老人保健施設は、介護保険が適用される公的な施設です。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは異なり、生活の場ではなく在宅復帰を目指してリハビリをする施設となります。医師による医学的管理の下で、日常の介護や医療的ケア、専門的なリハビリテーションを受け、リハビリが必要ないなどと判断されると退所となります。

医療法人や社会福祉法人などが運営しており、医療行為は原則として介護老人保健施設で行います。医療や看護のサポート体制が充実しているため、医療ニーズの高い方も安心して入所することができます。

介護老人保健施設の対象者

原則として要介護度1~5の方で、リハビリテーションを必要とされる方が利用できます。病状が安定していて入院治療の必要がない方が対象です。

介護老人保健施設でかかる費用

ひと月毎にかかる費用は、「介護保険の基本料金」+「部屋代」+「食事代」+「日常生活費」+「各種加算」などです。

要介護3の方が多床室を利用した場合」では、部屋代と食事代を基準費で計算すると、30日当たりで81,600円※となります。医療体制が充実しているので、特別養護老人ホームと比べると割高です。居住費と食費については、所得に応じて負担軽減制度を利用することができます。また、入所時に支払う初期費用はありません。

「介護報酬の算定構造」(令和3年4月改定版)を基に計算しています。部屋代、食事代は施設によって異なりますのであくまでも目安としてください。また、日常生活費や各種加算は入っていません。

介護老人保健施設(老健)の入所期間

老健の入所について考える関係者のイラスト

それでは、介護老人保健施設の入所期間はどのように決まるのかをみていきましょう。

介護老人保健施設の入所期間

介護老人保健施設の入所期間の目安は、おおむね3ヵ月から6ヵ月ほどです。3ヵ月ごとに入所継続判定会議が開かれ、入所の継続について話し合われます。その際には、リハビリの効果に加えて、自宅の住宅改修が済んでいるかなどの家庭環境も考慮されます。

施設の相談員に相談を

在宅復帰に力を入れている介護老人保健施設であるほど、短い入所期間で在宅復帰を目指す傾向があります。一方で、施設の考えとして、他の施設への入所が決まるまである程度長期間の入所を認めている施設もあります。

質問者さんのケースのように、在宅復帰について不安がある方は、早いうちから介護老人保健施設の相談員さんに相談をしておくと良いでしょう。

看取りまでお願いできる介護施設とは

施設入居後の日常生活のイメージ

それでは、看取りまでお願いできる介護施設には、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。

特別養護老人ホーム

利用対象者:原則として要介護3以上で、常時介護が必要な方

 

常に介護が必要な方が、日常生活上の支援を受けながら暮らす介護施設です。ターミナルや看取りにも対応しており、終の棲家として利用する方が多いです。公的な介護保健施設の一つで、利用料金が安くてサービスが充実しているため、利用希望者が多く、入所申請をしても入所までに時間がかかることもあります。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは? 終の棲家となる介護保険施設 - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

介護療養型医療施設(介護療養病床)

利用対象者:原則として要介護1以上で、長期療養が必要な方

 

長期療養が必要だけれども病状が安定しており、インスリン注射、たん吸引、カテーテルなどの医療的ケアが必要な方を対象とした施設です。医学的管理の下で、日常生活上の支援、医療的ケア、リハビリテーションなどのサービスを提供しています。公的な介護保健施設の一つで、ターミナルケアや看取りの対応も可能ですが、すでに廃止が決定しています。

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介護医療院

利用対象者:原則として要介護1以上で、長期療養が必要な方

 

上記の介護療養型医療施設(介護療養病床)の受け皿となる施設です。長く暮らす人が多いので、長期療養の場だけではなく生活の場であることを重視しています。公的な介護保健施設の一つで、ターミナルケアや看取りの対応も可能です。

介護医療院とは? - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

介護付き有料老人ホーム

利用対象者:要介護認定を受けていることが条件の施設が多い

 

24時間365日体制で施設の職員から介護サービスを受けられるので、要介護度が高くなっても暮らし続けることができる施設です。看取りの体制や経験については施設によって異なるので、入居前に確認しておきましょう。

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グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

利用対象者:要支援2、要介護1~5の認定を受けていて、認知症と診断されている方

 

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の方が入浴や排泄などの介護を受けながら、家庭に近い環境で共同生活を送る施設です。認知症高齢者グループホームとも呼ばれています。

介護職員が24時間サポートし、利用者が家事を分担したり、スタッフと買い物に行ったりと、持っている能力を生かして日常生活を送ることで、認知症の症状の改善や進行予防、認知機能の維持を目指します。

看取りの体制や経験については、施設によって異なるので、入居前に確認しておきましょう。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは? - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

介護老人保健施設(老健)の方針については事前に確認を

介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目指す施設です。入所期間の目安は、おおむね3ヵ月~6ヵ月ほどで、原則として長期間の入所はできません。ただし、施設によって入所できる期間の判断は異なるので、施設の方針を確認しておくようにしましょう。また、方針については、経営状態などによって変わることがあります。

終の棲家として期限を定めずに入所することはできないため、在宅復帰が難しくなってしまった場合には、移動先の介護施設を探し、入所申請をする必要があります。介護報酬の看取り介護加算が充実してきていることから、看取りまでケアしてくれる介護施設が増えてきました。それぞれの施設の方針や経験をしっかりと確認しながら、看取りまでお願いできる介護施設を探すと良いでしょう。

※この記事は2022年3月時点の情報で作成しています。

ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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