高齢者向け優良賃貸住宅は、家賃補助制度がある高齢者向けの賃貸住宅です。高優賃とも呼ばれています。本記事では地域優良賃貸住宅制度の中の高齢者向け優良賃貸住宅について、そのサービス内容や対象者、入居までの流れなどについて解説しています。ぜひご確認ください。
- 高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)とは?知っておきたい基本ポイント
- 高齢者向け優良賃貸住宅のメリットとデメリット
- 高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)の対象者
- 高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のサービス内容
- 高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)でかかる料金
- 高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)に入所するまでの流れ
- 少しでも家賃の負担を減らしたい高齢者の方に
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)とは?知っておきたい基本ポイント
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)の基本ポイントを確認していきましょう。
家賃の負担が大きい高齢者が申し込める住宅
高齢者向け優良賃貸住宅とは、2001(平成13)年に公布された「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づいた高齢者向け住宅です。2011(平成23)年に法律が改正されてからは、制度はサービス付き高齢者向け住宅に一本化されました。ここでは地域優良賃貸住宅制度に組み込まれた高齢者向けの優良賃貸住宅について解説しています。高優賃とも呼ばれています。
介護施設ではなく住宅なので、自立して日常生活を送れる方が対象ですが介護が必要になった際には外部の在宅介護サービスを利用できます。車いすでも移動しやすいバリアフリー設計で、手すりや緊急通報装置が設置されています。自立した生活を続けて欲しい方、金銭的に可能な範囲で暮らせる住宅を探している方、階段や段差があるため住み替えさせたいけど年齢が理由で賃貸住宅が決まらない方などに選ばれています。
高齢者向け優良賃貸住宅を運営しているのは、都道府県の認定を受けた民間企業やNPO団体、UR都市機構などの住宅供給公社です。原則として礼金や仲介手数料がないため初期費用が抑えられ、家賃補助制度があり、所得に応じた家賃の減額も受けられるので、比較的少ない金銭的負担で利用できるのが特徴です。原則として更新料もありません。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)の退去について
高齢者向け優良賃貸住宅は、終身にわたって利用できる賃貸住宅です。
ただし、住居の老朽化などが理由で大規模な修復が必要になった場合や利用者が長期間に渡って居住していない場合には、事業者から解約の申し入れがされる場合があります。
また、高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)ではスタッフの支援を受けられますが、介護が必要になった際には、外部の在宅介護サービスを利用します。24時間体制の介護や看護が必要になると退去を考えなくてはいけません。
高齢者向け優良賃貸住宅のメリットとデメリット
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のメリットとデメリットを比較してみましょう。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のメリット
- 原則として仲介手数料や礼金、更新料がかからない
- 所得に応じて家賃の減額が受けられる
- 車いすでも移動しやすいバリアフリー設計
- 手すりや緊急通報システムが設置されているなど、高齢者に配慮された住宅である
- 終身利用ができる
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のデメリット
- 基本的に連帯保証人や保証会社の利用が必要
- 24時間体制の介護
- 看護が必要になると退去しなくてはいけない
- 管理費や共益費は減額の対象ではなく、自治体が運営している住宅ほどは安くない
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)の対象者
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)に入所できる対象者を確認しましょう。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)が利用できる方
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)の利用対象者は、原則として60歳以上の自立した日常生活が送れる方です。同居者がいない単身の方、または同居者がいる方が利用できます。同居者が配偶者の場合には年齢は問いませんが、親族の場合には同居者も60歳以上である必要があります。
収入の下限はありませんが、一定収入以上の方は申し込めない住宅もあります。また、収入が一定額を超えると、家賃の補助は受けられません。
また、住宅のある都道府県に住民票があり、連帯保証人を用意できる方または保証会社を利用できる方が対象です。その他、共同生活を円満に営める方などの条件があることがあります。詳細は各住宅にお問い合わせください。
連帯保証人の例
連帯保証人の一例として、大阪府の条件を紹介します。
- 60歳未満の場合:家賃の4倍以上の平均月収がある方(家賃の4倍が30万円を超える場合には、平均月収30万円以上)
- 60歳以上の場合:貯蓄の合計が家賃の100倍以上または、家賃の2倍以上の平均月収があり、貯蓄の合計が家賃の50倍以上ある方
- 国内に居住しているか勤務している日本国籍方。外国籍の場合は、永住者としての在留資格を有する方や特別永住者として許可された方
同居を予定している方や公社賃貸住宅に居住している方、すでに公社賃貸住宅入居者の保証人になっている方は連帯保証人になれません。 また、連帯保証人がいない方は住宅によっては保証会社を利用することも可能です。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のサービス内容
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のサービス内容を見ていきましょう。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のサービス内容
高齢者向け優良賃貸住宅では、床に段差がなく、車いすでの生活を考慮したバリアフリー構造です。トイレや浴室、玄関などの各所に手すりや緊急通報装置が設置されています。また、管理スタッフによる生活相談や声掛け、季節ごとのイベントが実施されています。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)での介護サービスについて
高齢者向け優良賃貸住宅は自立した生活ができる方向けの住宅です。介護が必要になった際には、訪問介護、訪問看護、デイサービスなどの在宅介護サービスを利用して暮らすことが可能です。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)で入居する部屋のタイプ
高齢者向け優良賃貸住宅で入居する部屋タイプは、住宅によって様々です。一般的には1K以上で、トイレ、浴室、台所が各戸に設置されています。 居室の広さは25平方メートル以上と定められていますが、共同のリビングや食堂がある住宅は18平方メートル以上となります。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)でかかる料金
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)でかかる費用は以下の通りです。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)のひと月ごとにかかる料金
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)ではひと月ごとに家賃がかかります。補助制度があるので、前年度の収入によって家賃の減額が受けられますが、管理費や共益費は減額の対象とはなりません。
家賃の減額を受けるには、申請を毎年行う必要があります。申請をしなかった場合や収入が一定の金額を超えると減額を受けることはできません。
また、近隣家賃や物価の上昇に伴って、家賃は見直しされる場合があります。
入居時にかかる費用
入居時に礼金はかかりませんが、敷金(3ヵ月分以下)が必要です。仲介手数料については原則としてかかりません。詳細は各住宅に問合せください。
その他にかかる費用
上記の金額の他に、水道光熱費がかかります。原則として更新料はありません。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)に入所するまでの流れ
最後に、高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)を利用する基本手順を確認しておきましょう。
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)の利用方法
高齢者向け優良賃貸住宅(地域優良賃貸住宅制度)の申込み方法は、市町村によって様々です。
例えば、抽選で入居者が決まり、抽選から漏れた人には優先順位がつけられて待機になるところもあれば、一般的な賃貸住宅のように先着順のところなどがあります。
申込み後に入居資格が審査され、審査が通れば契約です。申し込みから契約までは数週間かかります。
入居方法の他に、倍率や申込み時期も自治体や運営団体によって様々ですので、詳しくは市町村の住宅課や住宅供給公社などにお問い合わせください。
少しでも家賃の負担を減らしたい高齢者の方に
高齢者向け優良賃貸住宅は、手すりや緊急連絡装置が設置されており、バリアフリー設計の高齢者の暮らしやすさを考えた賃貸住宅です。介護施設ではないので、介護が必要になると外部の在宅介護サービスを使用するようになります。所得に応じて申請の上で家賃の減額を受けることができます。家賃にかかる金銭的な負担を少しでも減らしたい方は検討してみてはいかがでしょうか。
空室ができ次第、入居者の募集が開始されますが、待機者登録の受付をしているところもあるので、合わせて確認しておきましょう。

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。