民間介護保険加入のメリットと注意したいポイント

民間介護保険加入のメリットと注意したいポイント

日本には介護保険制度があり社会全体で高齢者を支えるための仕組みが整っています。しかし、超高齢社会に突入しており介護保険の財源も今後枯渇していくことが予測され、国民一人ひとりの負担は増えていくでしょう。そのため、国の介護保険だけでなく民間の介護保険を検討する方は今後も増加していくと考えられています。今後、自分が介護が必要となった時の財源は自分で確保しておきたい、備えておきたいという方に今回は民間介護保険についてご紹介します。

公的介護保険だけでは不安?

まず、そもそもなぜ公的介護保険だけでは不安なのか、その理由をご紹介していきます。 国が主体となってやっている制度なのに不安視されている理由はなぜなのでしょうか。

日本の高齢化により財源の確保が困難

2017年の時点で日本の高齢化率は27.7%で増加傾向にあります。今後も高齢化率の増加は見込まれており特に団塊の世代」が75歳以上となる2025年に高齢化率は勢いよく増加。そして2042年にピークを迎えると考えられています。

これに加えて生産年齢人口は年々減少しており、介護保険料を納める人口が減少することから、介護保険サービスを受けるための財源の確保が困難になり介護保険サービス今後が不安視されています。

介護保険サービスの利用者の増加

ただ高齢率が増加し、高齢化社会であったとしても元気な高齢者ばかりであれば介護サービスの維持はできるかもしれません。ですが、ここで問題視されているのが介護保険サービスの利用者の増加です。介護保険制度は制度創設から18年ほど経過しています。65歳以上被保険者数が約1.6倍に増加しているのですが、サービス利用者数は約3.2倍に増加。高齢者の増加割合よりもサービス利用者の割合の方が圧倒的に増加していることが分かります。また、要支援要介護3以下の軽度要介護者が大幅に増えていることも特徴です。サービスの利用者が増えてしまい、前述したように財源の確保が困難になれば当然ながら今後サービスの安定性については不安が残るものとなります。

介護保険を利用せざるを得ない社会

前述したように介護保険の利用者が増加している背景には、この介護保険制度を利用せざるを得ない状況となっていることが考えられます。1つは、65歳以上の夫婦のみの世帯、単身独居の世帯の増加です。これにより介護をしてくれる人がいないため在宅で生活をしていくためには介護サービスを頼らざるを得ない状況になっているのです。2つ目は認知症高齢者の増加です。2012年の時点で認知症高齢者は15%でしたが、2025年には20%に上ることが予測されています。介護が必要となった疾患では認知症が18.7%と圧倒的に多くなっています。このことから認知症罹患者が増えることで介護保険の利用者が増加してしまうことが考えられているのです。

民間介護保険とは?

このように、国が主体となっている介護保険だけでは今後不安な点がいろいろとあります。それを踏まえたうえで民間介護保険とはどのような制度なのかを詳しくご紹介します。

民間介護保険とは民間の保険会社が販売する保険商品です。要は、自分で保険商品を購入し、自分に対して介護保険の備えをするというように考えておくとよいでしょう。

民間介護保険と公的保険制度の違い

民間介護保険には公的保険制度と異なるいくつかの特徴があります。1つ目は、公的介護保険が現物でサービスを支給するのに対して民間介護保険は現金での支給になります。また、給付額も自分で契約の際に決めることができます。また加入に際して年齢の制限を設けていないため、40歳からしか加入できない公的保険制度とは異なり、20歳代からでも加入することができます。

民間介護保険の種類

民間介護保険の種類は保険商品を販売する保険会社によっても異なりますが終身介護保障の保険を取り入れているところがほとんどです。

終身介護保障保険とは自身が介護が必要となった際に生涯にわたって介護保険料を支払ってくれる制度になります。多くの会社ではこの介護が必要になった時の状況を要介護2の状態になった時と設定しています。

あとは、保険会社によって例えば、死亡保障を兼ねているものや、死亡保障や解約返戻金を出さない分費用を抑えているもの、ある年齢まで払い続ければそれ以降は保険料を払わなくても介護が必要となったら保険料を支払ってくれるところなど会社によって付加サービスがつけられています。

要介護2とは?

ちなみに、要介護2とは以下のような状態のことを言います。

  1. 見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
  2. 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
  3. 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする。
  4. 排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。
  5. 問題行動や理解低下がみられることがある。

民間介護保険加入の必要性は?

民間介護保険制度についてご紹介しましたが、この保険制度には加入する必要があるのでしょうか。生命保険文化センターの調査によると、民保加入世帯(かんぽ生命を除く)における介護保険・介護特約の世帯加入率は平成30年で14.1%という結果が出ています。

つまり、民間介護保険は様々な保険会社から販売されているもののその加入率は低めという印象です。

この理由としてはいくつかあります。1つ目は、民間介護保険の優先度が低いというところです。保険の加入者の優先度は医療保険、死亡保険、がん保険の順となっておりこれらが充足したあたりから始めて介護保険について考えるようです。また、民間介護保険の商品が具体的に自分自身にどのようなメリットをもたらすのかがいまいち把握できないという方も多く、そのため、介護保険の加入率が低くなっています。2つ目は介護費用を現状から把握するのが困難であるということです。現在体に異常のない方が将来の介護状態を考えること、また介護が必要となった時にいくらかかるのかを考えるのは非常に難しいことです。これが、介護保険の加入率の低さにつながっています。

3つ目は公的介護保険制度に対して過度な期待を持っているというところです。公的介護保険制度に加入していれば生活を賄えると思っている方が非常に多く、結果として民間の介護保険加入へ結びついていないということになっています。

ここまでお読みいただけると民間介護保険が自分自身に必要であるかどうかが見えてくるのではないでしょうか。もちろん、自身でしっかりと蓄えがある、いざ介護状態となった時に介護の担い手があるなど様々な理由で民間介護保険の利用が必要ないという方もいるかもしれません。ですが、公的介護保険と民間介護保険が相互補完関係を築くことができればさらによい生活を送っていくことができるのではないかと考えられます。したがって、民間介護保険に加入をして損はないものと考えられます

民間介護保険のメリットとデメリット

まず民間介護保険に加入することによるメリットは経済的な安心感です。自分が介護を必要とする年齢はいつになるかわかりません。もしかしたらまだまだ働ける年代、子育て中など収入がまだまだ必要な年代でやってくるかもしれません。そういった際に収入減があるということは安心材料につながるものと考えます。また、公的介護保険の場合保険サービスを受けられる疾患で合ったり状態が細かく決まっていますですが、民間介護保険は要介護2の状態に価すれば保険料が支給されます。つまり、要介護認定を受けなくても支給をされることもあります。

デメリットは支払いのための金銭的な負担です。特に40歳を超えて介護保険料を納めている方にとっては介護保険料に加えてさらに介護のための保険料を支払うというのは経済的にも痛手になります。また、これは保険会社にもよりますが例えば世の情勢が変わったり、制度が変わってしまうことで保険商品の内容が契約したときと変わってしまう可能性もゼロではありません。公的な制度ではなく会社が単体で決定できるという先行き湯透明なところもデメリットとなるのではないでしょうか。

まとめ

超高齢社会になり長生きできるようになった分、生活の質を保ちながら健康的に長生きすることが課題となっています。公的介護保険と補完し合いながら民間介護保険を利用することで生活の質を維持しながら要介護状態であってもよりよい生活を送り続けることができるかもしれません。ご家庭の状態に合わせてではありますが、民間介護保険も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

民間介護保険は国民への周知がまだまだできていないという課題があるため中にはどのような制度か知らなかったという方もいるかもしれません。民間介護保険に興味を持っているが必要性が分からないという方にぜひシェアをしていただき情報を広げていただければ幸いです。

※この記事は2020年1月時点の情報で作成しています。

 

監修者:陽田 裕也
陽田 裕也 (ひだ ゆうや)

2001年、介護福祉士養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得し特別養護老人ホームにて介護職員として勤務する。
その後、介護支援専門員や社会福祉士も取得し、介護以外でも高齢者支援に携わる。現在はソーシャルワーカーとして、 特別養護老人ホームで勤務しており、高齢者虐待や身体拘束、成年後見制度などの権利擁護について力を入れて取り組んでいる。