認知症の義父が夜中に徘徊。徘徊感知機器を在宅介護に取り入れるべきですか?

質問

質問者認知症の義父が夜中に徘徊するようになり、困っています。先日は夜中に外に出てしまい、ご近所の方にも迷惑をかけてしまいました。知人に話したところ、徘徊感知機器をすすめられましたが、どのように徘徊を防ぐものなのでしょうか。効果があるのなら、利用を検討したいです。

 

 

専門家それは心配ですね。 徘徊感知機器は、徘徊の兆候を感知してくれる機械のことです。 歩行が不安定な方や認知症の方がベッドから降りた時点で、機械が反応し、家族に知らせてくれます。 大きなケガや事故を未然に防ぐことができますよ。

 

認知症老人徘徊感知機器とは?メリットや仕組みをチェック

認知症老人徘徊感知器について

認知症の方の徘徊によるトラブルを防ぐには、認知症老人徘徊感知機器という福祉用具が有効です。

車椅子や杖と比べると知名度が低いので、どのような機器なのかご存知ない方も多いかもしれませんね。まずは、認知症老人徘徊感知機器の役割や種類についてお伝えします。

徘徊感知機器を使うメリット・役割

認知症老人徘徊感知機器の役割は主に2つあり、介護者の方にとって大きなメリットが得られます。具体的に見ていきましょう。

徘徊にいち早く気づける

最大の役割は、認知症の方の徘徊にいち早く気づけるという点です。ベッドを下りた瞬間や自室を出たときなど、徘徊の開始を知らせてくれるので、介護者の負担を最小限に抑えることができます。

徘徊の発見が遅れると、家の外に出てしまって行方がわからなくなることがあります。自宅から何キロも離れた場所まで行ってしまうケースも少なくないため、少しでも早く気づくことがトラブルを防ぐ近道です。

また、徘徊が頻繁になると交通事故に遭うリスクも高まってしまうため、なるべく早く対策を取ることをおすすめします。

転倒のリスクを軽減できる

徘徊感知機器を使用すれば、転倒によるケガを防ぐこともできます。

認知症の方は「足元がふらつくから気をつけなくては」と意識することはあまりないので、自分の身体状況に関係なく徘徊を始めてしまいます。これは大変危険です。

足腰が弱い方の場合、ひとりで歩きまわると転倒のリスクが高まり、骨折する可能性もあります。ご高齢の方が骨折すると、そのまま寝たきりになる可能性もあるので、徘徊は早期に発見することが重要です。

徘徊感知機器の主な種類・仕組み

では、徘徊感知機器にはどのような種類があるのでしょうか。主なタイプと徘徊を防ぐ仕組みをお伝えします。

ベッド用

ベッド用は、夜間にベッドから降りて徘徊し始めることが多い方に適しています。

マット状のセンサーをベッドの足元に設置するタイプで、重量を感知すると、別室にいる家族にチャイムやメロディーで知らせる仕組みです。ベッドのマットレスの上に敷き、利用者が起き上がったときに知らせるタイプもあります。

夜間の徘徊を未然に防ぐことができれば、介護者の方の心身の負担をかなり軽減できるでしょう。

ドア・玄関用

自室のドアや玄関に設置できるタイプもあります。徘徊感知機器の前を横切ったり、ドアを開閉したりするとセンサーが反応して知らせてくれるので、徘徊が屋外に及ぶ前に防ぐことができます。

携帯用

携帯用は、認知症の方が小型の発信器を持ち運ぶタイプです。発信器の対となる本体(報知器)が利用者との距離や方向を感知し、設定した距離より離れたり、近くを通ったりすると知らせる仕組みです。

利用者自身が携帯するものですが、ご本人は用途を理解しているわけではありません。発信器に気づかれると取り外してしまうことがあるので、お守りの中に入れたり、衣類に縫い付けたりすると良いでしょう。

要介護2〜5の方は介護保険でレンタル可能

認知症老人徘徊感知機器は、介護保険でレンタルできる「福祉用具貸与」の対象品目です。要介護2〜5の方であれば、原則1割(所得によっては2割または3割)の自己負担でレンタルすることができます。レンタル料はタイプにもよりますが、1ヶ月あたり600〜1,000円程度が目安です。

適切な徘徊感知機器を選ぶ基本ポイント

徘徊感知器を選ぶポイント

次に、認知症老人徘徊感知機器を選ぶ際の基本ポイントをご紹介しましょう。

徘徊を止めたい場所に設置する

まず、検討しておきたいのは設置場所です。どの時点で徘徊に気づき、見守りを始めるべきなのかを考えましょう。夜間の徘徊が多ければ、ベッドから離れた段階で知らせるタイプが有効ですし、「特定の部屋から出てしまうと困る」という場合はドア用が適しています。

「家の外に出なければいい」と考えて玄関のみに設置するのも良いですが、利用者の歩行に不安がある場合、玄関にたどり着く前に転倒する可能性があるので要注意。ですから、設置場所は、介護者の利便性と被介護者の身体状況の両方を照らし合わせて検討しましょう。

本人が気づきにくいアラーム・デザインを選ぶ

徘徊感知機器は、利用者ご本人に気づかれにくい音やデザインのものを選ぶのがおすすめです。

認知症の方の中には、自分の身のまわりに見慣れない機器があると、取り外してしまう方もいます。コンセント式だとコードを引き抜かれる可能性があるので、目立ちにくさを重視するなら電池式が良いでしょう。

徘徊を知らせる報知音も要チェック。利用者が驚くような音が鳴るものは不適切です。全員がなじみやすく、かつ介護者が気づけるタイプを選択しましょう。

電波が届くかどうか

徘徊を感知するセンサーや受信器と、介護者に知らせる報知器が無線でつながっている場合は、電波が届くかどうかも確認しておきましょう。せっかく徘徊感知器を設置しても、電波が届かなければ役に立ちません。

一般的なものだと電波の到達距離は100m程度ありますが、住宅環境や設置場所によっては届きにくい場合があるので事前の確認が必要です。

なぜ徘徊するの?原因や接し方も知っておこう

徘徊の原因や接し方について

お伝えしたように、認知症老人徘徊感知機器は徘徊の早期発見につながる有効手段です。

とはいえ徘徊感知機器は、あくまでも徘徊の予兆を知らせる対処方法であり、徘徊の行為自体を防ぐものではありません。そのため、徘徊自体を予防したい場合は、徘徊の原因や適切な接し方について知っておくことをおすすめします。

徘徊は認知症の「周辺症状」のひとつ

認知症の症状には、すべての方に現れる記憶障害などの「中核症状」と、人によって異なる症状が現れる「周辺症状」に大別されます。周辺症状には抑うつや妄想などがあり、徘徊もそのひとつです。

徘徊は、健常者から見ると理解しがたい行為かもしれませんが、ご本人にとっては何かしらの意味や目的のある行動なのです。

記憶障害が原因で自分の所在や「なぜここにいるのか」がわからなくなり、さまよい続ける徘徊もあれば、昔の習慣に従ってどこかに行こうとするケースもあります。徘徊の理由は人によって異なるということを知っておきましょう。

徘徊する高齢者への接し方

徘徊をくり返す認知症の方に対しては、むやみに叱責しないよう心がけましょう。

徘徊が頻繁だと介護者の方のストレスも相当なものなので、怒りたくなる気持ちもわかります。ですが、ご本人にとっては何か意味があることですし、叱り付けて恐怖心を与えると「この人がいない場所に行きたい」という気持ちになり、逆効果になりかねません。

認知症の方の徘徊を見つけたときは、「どうしたの?」「どこに行きたかったの?」と尋ね、気持ちを尊重してあげましょう。

また、外に出たがる様子があったら、「出かける前にお茶を1杯飲みませんか」「先にトイレに行っておきましょう」というように、ほかのことに意識を向けることも有効です。

対策には適度な運動や軽作業も有効

徘徊自体を防ぐには、軽い運動や作業をしてもらうのもおすすめです。日中に体を動かしたり頭を使ったりすると、適度に疲れて眠りの質が高まり、夜間の徘徊を防ぐことにつながります。

運動や作業は、ラジオ体操や草むしり、食後の台拭きや洗濯物たたみなどの簡単なことでOKです。役割が与えられると、ご本人の精神的な充足度も高まるはずです。

在宅介護の負担を減らせる認知症老人徘徊感知機器

認知症の方の徘徊は、大きなトラブルや事故につながる可能性があるので、早期に発見することが重要です。ご紹介した徘徊感知機器は、徘徊の始まりをいち早く感知して知らせてくれるので、ご本人の安全確保やご家族の負担軽減に大いに役立つでしょう。

また、要介護2〜5の方であれば福祉用具貸与として1割負担でレンタル可能です。在宅介護に取り入れたい方は、担当のケアマネージャーに相談し、適切な場所に設置しましょう。

(文・吉村綾子)

※この記事は2019年7月時点の情報で作成しています。

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監修者:山岸駿介
監修者:山岸駿介

理学療法士。臨床経験は7年。
急性期から慢性期、スポーツ分野など幅広い分野を経験。医療・介護・スポーツなど幅広い分野のリハビリに携わり、老若男女に正しい運動で、健康的な生活を送るサポートしている。