脳梗塞の母が退院。介護保険で自宅をバリアフリー化できる?何が介護保険対象のリフォームかも知りたいです。

バリアフリーリフォームのイメージ

質問

質問者母が脳梗塞で入院しています。退院後は自宅に戻る予定ですが、左半身が今までのように動かないため、杖歩行を目指してリハビリをがんばっています。

2階だった寝室を1階にして…などは考えているのですが、古い日本家屋なので今後の生活が大変なのではないかと考えています。

介護保険を利用して、介護リフォームやバリアフリー化のためのリフォームができると聞いたのですが、対象となるリフォームと対象とはならないリフォームについて教えてください。

専門家介護のための住宅改修についての質問ですね。玄関の段差など、日本家屋は介護が必要になると、なかなか暮らしにくい点があります。

介護のためにしたリフォームについて、かかった費用の20万円までを対象に介護保険が適用されます。ただし、リフォームの内容などについては条件があります。

この記事では、介護保険の対象となるリフォームの内容と対象にならないリフォームの内容を中心に説明しています。ぜひ、現在や今後の生活の参考にしてください。

介護・バリアフリーリフォームとは

介護リフォームの見積もりを取る営業のイメージ

まずは、介護・バリアフリーリフォームとは何かをみていきましょう。

介護・バリアフリーリフォームの目的

介護・バリアフリーリフォームは、次のような目的を持って行うリフォームです。

【目的1】事故の予防

長年暮らし慣れてきた家でも、年齢を重ねるにつれて暮らしにくさを感じるようになります。ちょっとした段差で転倒してしまい、骨折や入院をきっかけに要介護度が高くなってしまうことも。身体が動かしにくくなった方、薬や疾患によるふらつきがある方、視力が低下していたりする方は、さらに注意が必要です。

【目的2】自分でできることを増やす

例えば、トイレから立ち上がるのが難しため、家族やヘルパーの手を借りている高齢者でも、手すりがあれば一人でトイレに行けるようになるかもしれません。自分でできることを継続していくことで、心身機能やQOL(生活の質)の維持が目指せます。

【目的3】家族の負担を軽減

要介護者が一人でできることを継続できれば、家族の肉体的・精神的・時間的な負担を軽減することができます。

例えばどんなリフォームが必要?

転倒を予防するためには、滑りにくい床材に変更したり、玄関の上り口や廊下などの導線、トイレなどに手すりを設置したり、廊下と室内の段差、浴室の段差などを解消したりする必要があります。

また、足腰が弱った方でも使いやすいように、和式トイレから洋式トイレへの変更、またぎやすい高さの浴槽への変更も必要です。 車イスの方であれば、畳は移動しにくいためフローリングに変える必要があります。

また、内開きや外開きの扉は出入りがしにくいため、扉の撤去やレールや溝の上を往復させて開閉する引き戸などに変更したほうが良いでしょう。介護リフォームやバリアフリーリフォームは、その人の身体の状態に合わせて行うことが大切です。

介護保険が適用されるリフォームの内容

介護リフォームの費用について考える夫婦のイメージ

続いて、介護保険が適用されるリフォームの内容を確認しておきましょう。

介護保険が適用される内容

介護保険が適用されるのは、次のようなリフォームです。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りにくい床材や車いすなどでも移動しやすい床材への変更
  • 引き戸などへの扉の取替え、扉の撤去
  • 洋式便器などへの便器の取替え
  • 上記に付随する、壁の補強などの工事

材料を買ってきて自分でリフォーム工事をした場合には、材料費が介護保険の支給対象となります。また、屋内だけではなく、玄関から道路までの屋外に対しても対象となります。

介護保険が適用される対象者

介護保険が適用される対象者は、要支援または要介護と認定されており、自宅で生活されている方です。施設に入居されている方で、一時帰宅のために住宅を改修したいという場合には対象とはなりません。

また、要支援要介護と認定された方の被保険者証に記載されている住所の住宅のみが対象となります。たまに滞在する家族の家などは対象にはなりません。

支給限度基準額

要支援要介護度にかかわらず、20万円までが支給の対象となります。自己負担割合は原則1割ですが、一定以上の所得がある方は2割または3割となります。20万円を超えた分については、全額自己負担となります。

20万円まで支給の対象となるのはひとり1回限りですが、要介護状態区分が3段階以上重くなったときや転居したときには、再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。

介護保険を利用したリフォームの流れ

介護保険を利用した介護リフォームは、次のような流れで行います。

●ケアマネジャーに相談

介護保険の適用を確実に受けるためにも、必ず事前にケアマネジャーに相談しましょう。

●事前申請

支給申請書、住宅改修が必要な理由書、工事費見積書、住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの(日付入り写真又は簡単な図を用いたもの)などの必要書類を、市区町村に提出します。

●リフォームの実施・完了

●工事代金の支払い

工事代金は、いったん全額を支払います。

●住宅改修費の支給申請

領収書や工事完了を証明する資料などを市区町村に提出し、住宅改修費の支給を申請します。

介護保険の対象外となるリフォームの内容

浴室の介護リフォームのイメージ

続いて、介護保険の対象外となるリフォームの内容を確認しましょう。

電力を要するもの

玄関のリフトや階段昇降機、温度差解消のための浴室用ヒーター、エレベーターの設置など、電力を必要とするものは介護保険の給付の対象とはなりません。

介護リフォームとして扉を自動ドアに変更することは可能ですが、動力部分は対象外となります。

家屋に設置する工事を伴わないもの

介護保険が適用される住宅改修は、工事で家屋に設置するものが対象です。玄関の手すりを下駄箱につける、上り口の踏み台を置くだけなどは対象外となります。浴槽に設置する取り外し可能な手すりも対象外です。

洋式便器から洋式便器への取り換え

和式便器から洋式便器に取り換える際には、洗浄機能や暖房機能の付いたものに交換することも可能です。ただし、すでに洋式便器を使用している方が、洗浄機能や暖房機能の付いた洋式便器に交換する際には、介護保険は適用されません。

まとめ

この記事では、介護やバリアフリーリフォームについて説明しました。介護のための住宅改修は、20万円まで介護保険が適用され、1割(一定の所得以上の方は2割または3割)が支給の対象となります。

支給の対象となる工事は限られており、事前申請が必要ですので、必ずケアマネジャーなどに相談をしたうえでリフォームを始めるようにしましょう。ケアマネジャーがいない方は、地域包括支援センターや市区町村の高齢者関連窓口にご相談ください。

介護のためのリフォームについては、独自の補助制度がある自治体もあります。あわせて確認しておきましょう。

※こちらの記事は2022年3月の情報で作成されています。

ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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