認知症のある実母の介護費用で悩んでいます。年金額も少なく、貯蓄もありません。 築50年とはいえ持ち家があるのだけが救いです。
現在は介護サービスをめいっぱい利用しながら自宅でひとり暮らしをしており、週に1日は私が家に行くようにしています。他の6日間は、デイサービスに行く日が4日、2日間は訪問介護で掃除と買い物代行、訪問看護が入っており、介護費用がかかっています。
これから要介護度が上がったらもっと介護費用が掛かるのではないかと不安ですし、削れるサービスがあるのではないかとも感じています。
介護のお金については、どこに相談したらいいのでしょうか。教えてください。
介護費用の相談先についての質問ですね。
介護費用は介護サービスを見直したり、国や自治体の制度を利用したりすることで抑えられるかもしれません。 この記事では、介護費用に関する相談先を原因別に紹介しています。
ぜひ、現在や今後の生活の参考にしてください。
制度を利用して介護費用を抑えたい場合
まずは、利用しているサービス内容の見直しや国・自治体の制度を利用して、介護費用を抑えたい場合の相談先を紹介します。
ケアマネジャー
在宅で生活をされている方が、要介護認定で要介護1~5と認定されると居宅介護支援事業所、要支援1、2と認定されると原則として地域包括支援センターと契約をしてケアマネジャーにケアプラン(要支援の方は介護予防ケアプラン)を作成してもらいます。
家族がどこまで介護を担えるのかをケアマネジャーと話し合い、ケアプランを見直していくというのが、介護費用を削減するひとつの手段です。質問者さんのケースでは、丸1日ひとりで過ごせないような状況の時に、デイサービスか訪問介護が必ず入るように組んだプランなのかもしれません。どういった意図でサービスを組んでいるのか、それは現在も必要なのか、家族やボランティアでカバーできないのかなどを相談してみましょう。
ケアマネジャーは介護保険関連の制度だけではなく、自治体や国の負担軽減制度などについても助言してくれます。介護費用で困っていることを伝え、利用できる制度はないか、利用するためにはどうしたらいいのかについても相談してみてください。
地域包括支援センター
介護が必要になった高齢者やその家族が、最初に介護について相談をする窓口です。その地域の高齢者の暮らしを支えるための相談窓口として、様々な役割を担っています。お住まいの地域を管轄する地域包括支援センターが分からない時には、市区町村の高齢者関連窓口などで教えてもらえます。
ケアマネジャーと同様に、介護保険関連だけでなく、自治体や国の負担軽減制度などについても相談できます。
介護費用を抑えるために利用できる制度
ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する前に、介護費用の負担を軽減する制度には、どのようなものがあるのかを知っておくと良いでしょう。
例えば、同じ月に利用したサービスの自己負担の合計金額が高額になった場合に申請できる「高額介護(介護予防)サービス費」、介護費用と医療費を合算できる「高額医療・高額介護合算療養費」などがあります。また、施設に入所している場合には、所得に応じた介護保険施設の自己負担額の軽減が受けられる「特定入所者介護サービス費(補足給付)」など、金銭的な負担を軽減する制度はいくつかあります。
詳細はこちらの記事をご確認ください。
介護のためのお得な情報【介護とお金の気になること】 - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識
要介護者の生活が困難な場合
続いて、介護費用だけではなく生活にかかわる費用も不足している場合の相談窓口を紹介します。
市区町村の福祉事務所
生活保護などを扱う市区町村の窓口です。国や自治体が行っている社会福祉サービスについても相談でき、利用できる制度があれば紹介してくれます。
社会福祉協議会
地域福祉の推進を目的とした、非営利の民間団体です。生活福祉資金貸付制度という、低所得者や高齢者などの生活を経済的に支える制度の窓口でもあります。福祉サービスや金銭管理のサポートも行っています。
また、地域のボランティアに関する情報が集約されているので、例えば自費でホームヘルパー(訪問介護員)に通院介助をお願いしている場合、代わりに同行してくれるボランティア団体がないかなども相談することができます。
その他の相談先
介護費用で悩む方の相談先には、他にも次のようなものがあります。まずは相談しやすいところに話をして、支援につなげてもらうと良いでしょう。
民生委員
住民の立場から、地域での生活の相談支援を行っています。自分の地域の民生委員が分からないという場合には、市役所福祉政策課福祉政策の担当者に連絡をして、自分の区域の民生委員を確認しましょう。
医療機関の地域連携室
医療機関に入院や通院している場合の相談先です。福祉相談室、患者相談室といった名称がついていることもあります。介護保険や福祉制度など、各種社会福祉制度に関する相談や近隣の介護施設などについての相談にも対応しています。
ファイナンシャルプランナー
家族状況、収入と支出の内容、資産、負債、保険などを基に、現状を分析して資金計画を立ててくれる専門家です。介護や老後の生活設計に詳しい人もいます。リバースモーゲージなどの融資制度も含めて検討することが可能です。ただし、公的な相談機関ではないため、相談には費用が掛かります。
家族間で話し合い、早いうちから情報収集を
介護費用は、介護を受ける本人にとっても家族にとっても重要な問題です。早いうちから家族間で話し合っておき、資産の把握や民間の介護保険の検討、情報収集などをしておきましょう。
要介護認定を受けている人にとっては、ケアマネジャーが最も身近な相談窓口だといえるでしょう。ケアマネジャーがいない人や相談しにくいと感じている方は、地域包括支援センターに相談してみてください。介護関連だけではなく、生活保護や世帯分離、各種扶養控除などについても、相談が可能です。まずは、話しやすいと感じるところでよいので、とにかく相談してみるということが大切です。
※この記事は2022年3月時点の情報で作成しています。

【経歴】
1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。
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