同居している義父ですが、起き上がりが大変ということで介護ベッドを利用しようと考えています。
ケアマネジャーからは、要介護2なので介護保険でレンタルができると説明されたのですが、長く使うものなので購入しようかとも考えています。
介護ベッドはレンタルと購入のどちらがいいのでしょうか? 教えてください。
介護ベッドをこれから利用されるとのことですね。介護ベッドは介護保険を利用してレンタルすることが可能です。
介護費用の自己負担割合が高い方で、長く使うつもりの方であれば、購入したほうが得に思えるかもしれません。
しかし、介護ベッドを利用している方の多くは、介護保険でレンタルをしています。 この記事では、介護ベッドのレンタルと購入のメリットとデメリットを比較し、どちらがお得なのかを説明していきます。ぜひ、今後の生活の参考にしてください。
介護保険を利用した介護ベッドのレンタルとは
まずは、介護保険を利用した介護ベッドのレンタルについての基礎知識をみていきましょう。
介護保険が適用される介護ベッドのレンタル
介護保険サービスの福祉用具貸与では、特定の品目の福祉用具を原則1割(一定以上の収入がある方は2割または3割)で、レンタルすることができます。
転落や寝具のずれ落ちを防ぐサイドレールが取り付けられるタイプで、背部または脚部の傾斜角度を調節できたり、床からの高さを調節できる機能が付いているベッドがレンタルできます。介護ベッドに付属するサイドレールやテーブルなど、介護ベッドと一体的に使用する付属品、床ずれ防止用具、体位変換機もレンタル可能です。
レンタルは1ヵ月単位で、数日間だけのレンタルはできません。貸与事業者が定期的に点検や使用状況の確認をしてくれる点がメリットです。
介護保険が適用される対象者
介護保険で介護ベッドをレンタルできるのは、原則として要介護2~要介護5までの在宅で生活されている方です。介護施設に入居されている方は利用できません。
要支援者および要介護1の方でも、起き上がりが困難などの理由があればレンタルが認められる場合もありますので、お住まいの自治体やケアマネジャーにご相談ください。
介護ベッドの購入について
続いて、介護ベッドの購入についてみていきましょう。
購入できる介護ベッドについて
全ての介護ベッドが購入の対象となります。制限がないので電動リクライニングベッドも購入できますが、転倒防止のためにサイドレールが取り付けられるものを選ぶようにしましょう。
レンタルの対象外だった要支援1・2の方、要介護1の方も購入可能です。
介護ベッドを購入する費用について
新品の介護ベッドを購入して、長く使いたい方もいるかと思いますが、介護ベッドを購入する場合、介護保険は適用されません。また、助成金などもありません。
購入価格はおよそ10万円程度から30万円程度。寝返りや立ち上がり支援のついているものであれば50万円を超えるものもあります。
家庭で使用するもので、背部または脚部の傾斜角度を調節できる機能がある介護ベッドであれば、以下の要件全てに当てはまると消費税が非課税となります。
- 本体の側板の外縁と側板の外縁との幅が100cm 以下であること
- サイドレールが取付けてあるもの又は取り付け可能であること
- キャスターを装着していないこと
また、非課税のベッドと一緒に購入すれば、マットレス1本とサイドレール2組まで、消費税が非課税となります。
レンタルと購入のメリットとデメリット
続いて、介護ベッドのレンタルと購入のメリットとデメリットを確認していきましょう。
介護ベッドを介護保険でレンタルするメリット・デメリット
メリット
- 初期費用や処分費用がかからない(クレーンを使うなど特別な作業が必要な場合、山間部や離島などへの搬出には費用がかかる場合があります)
- 身体の状態に合わせて交換できる
- 福祉用具のレンタル事業所による定期的な点検や使用状況の確認を受けられる
デメリット
- 自己負担割合が高い方が同じベッドを長く使うと、購入よりも高くなることがある
- 要介護2以上の認定を受ける、または介護ベッドが必要だと認められる必要がある
介護ベッドを購入するメリット・デメリット
メリット
デメリット
- 購入時にまとまった費用が必要
- 不要になった際に処分するのに費用が必要
- 身体の状態に合わなくなっても交換ができない
- メンテナンスを自分でやらなくてはいけない
レンタルと購入はどちらがお得?
介護保険でのレンタルと購入するメリットとデメリットを紹介しました。
費用に関しては、どれくらい長く使うとレンタルの方が高くなるのでしょうか。 ある福祉用具をレンタルしている事業所では、定価が35万円程度の介護ベッドを、月850円程(1割負担の場合)でレンタルしており、レンタル費用は毎年1万円程度となります。自己負担割合が3割の方だと、毎年3万円程度です。
つまり、3割負担の方が12年以上使用すれば、レンタルの自己負担額の方が高くなります。ただし、12年間で身体の状態は変化するので、これがお得かどうかは難しい判断です。
要介護度がある程度高くなり、数年で身体の状態が変化する見込みの方はレンタルが良いでしょう。
要介護度の低い方で同じベッドを長く使う見込みのある方であれば、介護ベッドを購入し、要介護度が高くなって身体に合わなくなってからレンタルに切り替えるのでも良いかもしれません。介護ベッドの販売店によっては、引き取りをしてくれるので、購入時に確認しておくのがおすすめです。
まとめ
介護ベッドを介護保険でレンタルするケースと自費で購入するケースを比較しました。原則として要介護2以上の方が対象とはなりますが、費用面が抑えられることに加えて、定期的に点検や使用状況の確認が受けられ、身体の状態に応じて交換ができるレンタルは、メリットが大きいと言えるでしょう。
一方で、要介護度が低いため、介護保険で介護ベッドのレンタルができない方で長く同じ介護ベッドを使う見込みの方は、購入しても良いでしょう。長く使うかはわからないという方は、自費でレンタルをするという方法もあります。要介護2以上の方であれば、介護保険サービスを利用したレンタルがおすすめです。
※この記事は2022年3月時点の情報で作成しています。

【経歴】
1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。
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