腎臓病がある義母が低栄養と診断され、同居することになりました。食が細く、宅配弁当は食べようとしないため、私が準備しようと思っていますが不安です。義母の食事管理をサポートしてくれるサービスはありますか?

質問

質問者

今までひとり暮らしをしていた義母ですが、あまりにも体重や体力が落ちたので病院を受診しました。食事量が少なくて栄養が足りていないと言われてしまいました。腎臓病があるため、今まで腎臓病に対応した宅配弁当をとっていたのですが、「おいしくない」とほとんど手を付けていなかったそうです。現在は栄養剤で栄養補給をしているのですが、体重と一緒に体力も落ちてフラフラしていて、散歩にも行けない状態です。

心配ですし、家族が作った食事ならなんとか食べてくれるため、近々同居をすることになりました。宅配弁当には拒否があるため、私が食事の準備をします。腎臓病の食事を用意することも大変ですが、そのうち「おいしくない」と食べてくれなくなるのではないかと心配しています。義母の食事管理をサポートしてくれるサービスはありますか?

 

専門家

高齢になると、飲みこめないなどの理由で食事の量が減ってしまい、栄養が摂れずに体力が落ちてしまいがちです。食欲の落ちた高齢者に食事をとってもらうことは、多くの家族が頭を悩ませています。特に腎臓病や糖尿病など、食事の管理が必要な場合には、誰かに相談したいものです。

ここでは、高齢者の食事について管理栄養士さんの指導が受けられる、居宅療養管理指導について内容や費用、注意点などを中心に紹介します。ぜひ今後の生活の参考にしてください。

 

高齢者の食が細くなる理由

職の細りを感じるシニア女性

なぜ高齢になると、食が細くなってしまうのでしょうか。主な理由を見ていきましょう。

噛む・飲みこむなどの機能低下

高齢になると咀嚼(そしゃく:噛むこと)や嚥下(えんげ:飲みこむこと)の機能が低下するため、今まで通りの食事では飲みこめずにむせてしまったり、飲みこむのに時間がかかったりしてしまいます。唾液の量も減るので、食べ物を口の中でうまくまとめることができず、パサパサしたものが食べにくくなります。むせてしまう不安や食事中に疲れてしまうなどの理由で、食欲が低下してしまうのです。

対策として、噛む力や飲みこむ力に合わせた食事を用意しましょう。義歯の手入れや口内炎の治療など、口内環境を整えることも大切です。

味が感じられない

高齢になると、味を感じる機能が低下してしまいます。そのため、食べなれた味を「ものたりない」と感じているのかもしれません。

また、精神的なストレスやうつにより、味が感じられずに食欲が低下していることもあります。

内臓機能の低下

高齢になると、胃腸の働きも低下し、食欲が無くなることがあります。

また、食欲不振が長く続いている場合、病気や薬の副作用が原因のこともあります。かかりつけ医に相談をしてみましょう。

活動量の低下

適度に身体を動かす機会が減っているため、食欲が刺激されていないのかもしれません。 デイサービスやデイケアなどで身体を動かしてもらう、散歩を習慣にする、家の中でできるトレーニングをしてもらうなど、運動量を増やすようにしましょう。

管理栄養士に食事の相談ができる居宅療養管理指導

食材と栄養士のイラスト

高齢者の食事で悩んでいるご家族に紹介したいのが、介護保険サービスの居宅療養管理指導です。

こんなときに

高齢者の噛む力や飲みこむ力に合わせ、食事を提供することが大切です。だからといって、とにかく柔らかくすれば良いというわけではありません。必要以上に柔らかすぎると、噛む力や飲みこむ力がさらに低下してしまうかもしれませんし、食事の楽しみが減ってしまいます。

さらに、質問者さんのように、糖尿病や腎臓病の方向けの治療食を用意しようとすると、塩分や糖質を減らしすぎて味が感じられず、食事が進まないこともあります。

どんなことに気を付け、食べてもらうためにはどのような工夫をしたらいいのか、そんなアドバイスが欲しい時に利用できる介護保険サービスが、居宅療養管理指導です。

具体的には…

  • 治療食が必要だがよくわからない
  • 食事内容や量、調理方法を指導して欲しい
  • 食事が食べやすい姿勢を教えて欲しい
  • 栄養補助食品を教えて欲しい
  • 栄養が足りているのか、偏っていないかが心配
  • 食生活のプランを立てて欲しい

などの困りごとに、管理栄養士が定期的に自宅を訪れ、主治医の指示に基づいて指導してくれます。

また、居宅療養管理指導では、ケアプランの作成に役立てるために、ケアマネジャーに病状や経過、日常生活や介護の留意事項などの情報提供を行います。

対象者

居宅療養管理指導が利用できるのは、要介護1~5の認定を受けている人です。要支援1、2の方は、介護予防居宅療養管理指導が利用できます。

また、利用者や家族の事情で通院ができない方が対象です。介助者がいなくても、ひとりで病院に通える方は対象とはなりません。

管理栄養士に相談できる回数

居宅療養管理指導で、管理栄養士に相談できるのは月に2回以内です。1回当たりの時間は、30分~1時間ほど。サービスを受ける期間には制限がなく、必要に応じて短期間だけの利用も可能です。

居宅療養管理指導にかかる費用

居宅療養管理指導で管理栄養士から指導を受けた場合、要介護度の区別なく、1回当たりに544円ほどかかります。

※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※同じ月に2人以上9人以下もしくは10人以上、同じ建物(有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護/認知症高齢者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、マンションなどの集合住宅など)に居住している複数の利用者に対して行う場合には金額が下がります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

管理栄養士以外にも相談できます

健康を相談するシニア女性

ここで改めて、居宅療養管理指導とはどのような介護保険サービスなのかをみていきましょう。

居宅療養管理指導とは、管理栄養士の他にも、以下の医療専門職から指導を受けることができます。どの職種であっても、ケアマネジャーに病状や経過、日常生活や介護の留意事項などの情報提供を行い、ケアプランの作成に役立てられます。

サービス提供回数や1回ごとの費用はそれぞれの職種で異なります。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

医師や歯科医師

主治医や歯科医師による居宅療養管理指導は、一般的に訪問診療や往診の際に行われます。サービス提供は月2回までです。

通院しなくても利用者の心身の状態や病状の経過を診てもらえること、生活環境を把握した上での管理や指導が受けられます。

1回ごとの費用は、516円(医療保険による訪問診療を受けていない場合)です。

薬剤師

服薬について困り事のある利用者や家族に対し、主治医や歯科医師の指示に基づいて薬剤師が自宅を訪問します。サービス提供回数は、病院または診療所の薬剤師の場合は月に2回以内、 薬局の薬剤師の場合は月に4回以内、がん末期や中心静脈栄養を受けている利用者は月に8回以内です。

いつ、どの薬を飲んだらいいのかわかりやすくまとめてくれたり、飲み忘れないための指導を受けたりできます。

1回ごとの費用は、病院または診療所の薬剤師が行う場合は565円、薬局の薬剤師が行う場合は517円です。

歯科衛生士

歯科医師の指示に基づいて歯科衛生士が利用者の自宅を訪れ、利用者や家族に対して義歯の清掃や口腔ケアに関する指導を行います。サービス提供回数は、月に4回以内です。

どんな姿勢だとご飯が食べやすいのか、利用者に適した食事の形態はどんなものかなどの、摂食や嚥下機能に関する指導も受けられます。

1回ごとの費用は、361円です。

※1回ごとの費用は、自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※同じ月に2人以上9人以下もしくは10人以上、同じ建物(有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護/認知症高齢者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、マンションなどの集合住宅など)に居住している複数の利用者に対して行う場合には金額が下がります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

居宅療養管理指導を利用する方法

居宅療養管理指導の利用方法を解説する

最後に、居宅療養管理指導を利用する基本手順を確認しておきましょう。

居宅療養管理指導の利用方法

要支援1、2または要介護1~5の認定を受けている場合、利用手順は以下のようになります。

  1. 担当のケアマネジャーか訪問診療の医師に、困り事を相談する
  2. ケアマネジャーがケアプランを作成
  3. サービスを提供している病院、診療所、薬局などと契約
  4. サービス開始

※上記は基本的な流れです。居宅療養管理指導は、ケアプランになくても提供できるサービスですので、利用の流れは状況によって異なります。

まとめ

食事管理が必要、食欲が落ちている、飲みこむ機能が低下している…など、食事に気を付けなくてはいけない高齢者は少なくありません。食事の内容や量が正しいのか、不安に思いながら食事の準備をしている方もいるのではないでしょうか。そんな時に、栄養のプロである管理栄養士に、月に2回まで指導を受けられるのが居宅療養管理指導です。

1日3食を家族の食事とは別にお母さんの分の食事を用意するのは大変です。管理栄養士さんの指導を受け、市販の栄養補助食品などを利用して、無理をしない範囲で上手に栄養管理ができるといいですね。

※この記事は2021年11月時点の情報で作成しています。

 

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ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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