マグネシウム|高齢者が摂りたい栄養素

高齢者にとって、マグネシウムは無視できない栄養素の一つです。マグネシウムは体内で300種類以上の酵素反応を助けており、不足するとさまざまな症状を引き起こします。

この記事では、高齢者にマグネシウムが不足した際の症状や摂取量の目安、含有量の多い食品など、高齢者に必要なマグネシウムの情報をまとめました。

マグネシウムが高齢者の健康に大切!摂取目安量やオススメの食品

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マグネシウムは体内に約25g存在しますが、そのうち約60%が骨や歯にあります。血液や筋肉のマグネシウムが不足すると、骨に貯蔵されているマグネシウムが放出されて不足を補います。

丈夫な骨をつくる栄養素といえばカルシウムが有名ですが、カルシウムの摂りすぎはマグネシウムの吸収を阻害するため、マグネシウムとカルシウムは1対2のバランスで摂取するのが理想です。

マグネシウムは骨の重要な構成要素であるだけでなく、体内で300種類以上の酵素反応を助けています。例えばエネルギー産生、筋肉の収縮、血圧調節、体温調節、神経情報の伝達などがマグネシウムに関わっています。さらにマグネシウムには神経の興奮を抑える働きがあり、体内量が適切でないとイライラや抑うつ感が生じることから、「抗ストレスミネラル」とも呼ばれています。

高齢者がマグネシウム不足になるとどうなるか

マグネシウム不足は摂取量が少なかったり、排泄が増えたりした場合に起こります。マグネシウムの不足は高齢者の健康をおびやかすさまざまな症状につながるため、毎日の食事からきちんと摂ることがとても大切です。

マグネシウム不足の診断は基本的に血液検査で行います。具体的には血液中のマグネシウム濃度が1.8mg/dl未満になっている場合低マグネシウム血症と診断します。低マグネシウム血症は、吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、筋肉の痙攣(テタニー)、食欲減退などの症状を伴います。

またマグネシウム不足が長期になると以下のような病気になる可能性が高くなります。

骨粗しょう症

マグネシウムは骨や歯の形成に関わるミネラルであり、長期にわたって不足すると骨粗しょう症のリスクが高まると言われています。

骨粗しょう症とは骨密度が低下して骨がもろくなった状態のことで、発症すると少しつまずいただけで骨折したり、寝たきりになってしまったりと、高齢者の生活を大きくおびやかします。

たとえカルシウムをたくさんとっていても、マグネシウムが不足していると骨がうまく作られないため、骨粗しょう症予防のためにもマグネシウムとカルシウムは1:2のバランスを意識して摂取するようにしましょう。

虚血性心疾患

マグネシウムをたくさん摂取している方は、マグネシウムを少なく摂取している方より、虚血性心疾患の発症リスクが低いという研究結果があります。虚血性心疾患とは、心臓のある部分に血が十分行き届かなくなり、心臓の筋肉が酸欠になった状態のことです。

虚血性心疾患は狭心症と心筋梗塞に分けられます。狭心症は心筋への血管が細くなったりして、血のめぐりが一時的に悪化することで胸痛が起こり、数分から10数分で改善するものです。

一方、心筋梗塞は心臓の血流が完全に途絶えて心筋が壊死にいたるもので、壊死の範囲によっては最悪の場合死に至る病気です。

糖尿病

近年、マグネシウム不足が糖尿病と関わりがあることがわかってきました。マグネシウムの摂取が十分でないと血糖値を下げるインスリンが正常に分泌できず、糖尿病につながるとみられています。

 

 

高齢者が1日にとりたいマグネシウム摂取量

健康維持のためにマグネシウム不足にはぜひ気をつけたいところですが、高齢者のマグネシウム摂取量の目安はどのくらいなのでしょうか?

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」から、高齢者が1日にとりたいマグネシウムの摂取量をご紹介します。

 

 

男性

女性

推定平均必要量

推奨量

推定平均必要量

推奨量

60〜69歳

290mg

350mg

240mg

290mg

70歳以上

270mg

320mg

220mg

270mg

 

※ 推定平均必要量とはその年代の約50%の人の必要量を満たす量のことで、推奨量とはその年代のほとんどの人の必要量を満たす量のことです。

マグネシウムに過剰摂取の心配はある?

通常の食品によるマグネシウムの過剰摂取では健康被害が出たという報告はないため、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、通常の食品からのマグネシウムの耐容上限量は定められていません。

ただし、サプリメントなど通常の食品以外からのマグネシウムの耐容上限量は350mg/日に設定されています。サプリメントなどからこれ以上の量のマグネシウムを摂取すると下痢の症状がでる恐れがあります。

高齢者が食べやすいマグネシウムを多く含む食品

高齢になるとたくさんの量を食べられない方も多いですよね。マグネシウム含有量の多い食材をあらかじめ知っておくと、マグネシウムを効率よく摂取できてオススメです。

マグネシウムを多く含む食品

マグネシウムは藻類や魚介類、野菜、果物、精白されていない穀物、豆類に多く含まれています。マグネシウムの含有量が多い食品Top10がこちらです。(数字は100gあたりに含まれるマグネシウム量/単位mg)

 

順位 食品名 成分量
100gあたりμg

1

藻類/あおさ/素干し

3200

2

藻類/あおのり/素干し

1400

3

藻類/てんぐさ/素干し

1100

3

藻類/わかめ/乾燥わかめ/素干し

1100

5

藻類/ひとえぐさ/素干し

880

6

穀類/こめ/[その他]/米ぬか

850

7

調味料及び香辛料類/バジル/粉

760

8

藻類/ふのり/素干し

730

9

藻類/(こんぶ類)/刻み昆布

720

10

藻類/(こんぶ類)/ながこんぶ/素干し

700

10

藻類/まつも/素干し

700

食品成分データベースより引用

TOP10入りしているのは、7位のバジル以外すべて藻類ですね。藻類ではここで挙げられているもののほか、ひじき(640mg)やのり(340mg)もマグネシウムたっぷりです。

種類別の食品例

次に藻類以外でマグネシウムの豊富な食品もいくつかご紹介します。※食品名に併記した値はその食品100gごとのマグネシウム含有量です。

・魚介類

干しエビ 520mg、さくらえび 310mg、かたくちいわし 230mg、とびうお 200mg、たたみいわし 190mg、するめ 170mg、とびうお 170mg など

・野菜

えだまめ(ゆで)72mg、しそ 70mg、ほうれんそう(葉、生)69mg、バジル(葉、生)69mg、オクラ(ゆで)51mg、ごぼう(根、ゆで)40mg、たくあん 80mg など

・果物

アボカド(生)33mg、バナナ(生)32mg、干しぶどう 31mg、パパイア(生)26mg、パインナップル(生)14mg、メロン(生)13mg、きんかん(全果、生)19mg

 

このほか精白されていない穀物(例:玄米 110mg、オートミール 100mgなど)や豆類(例:納豆 100mg、油揚げ 140mg など)にもマグネシウムが豊富です。

高齢者が食べやすい食品は?

マグネシウムが含まれている食品にはさまざまなものがあるため、今回ご紹介した食品などから、本人の好みにあわせて選ぶといいでしょう。

硬いものが食べれない高齢者の方は、細かく切ったりすりつぶりたりして、調理法を工夫することでずいぶんと食べやすくなります。

ただし、マグネシウムを含む食材をゆでるとマグネシウムが失われてしまうので、電子レンジで温めるなど、ゆでる以外の調理方法を選択しましょう。

マグネシウムがとれる野菜ジュースや、マグネシウム含有量が強化されたふりかけなどが市販されていますので、そうした商品を食卓に取り入れるのも便利ですよ。

またサプリメントの利用を検討するのも一つの手です。カルシウムとマグネシウムが一緒にとれるサプリメントなら、カルシウムとマグネシウムをバランスよく摂取できます。

※ 食品以外からのマグネシウム耐用上限量は350mg/日とされているため、サプリメントのとり過ぎには注意しましょう。

アルコールやストレスがマグネシウム不足の原因に

アルコールを飲むとたくさんのマグネシウムが尿から体外に排出されるため、飲酒量の多い方は、食品から十分にマグネシウムをとっているつもりでも、マグネシウム不足に陥っている可能性があります。

お酒を飲むときは、マグネシウムが豊富な食品(小魚やこんぶ、ドライフルーツなど)をおつまみにすると、マグネシウム不足を予防するのに役立ちます。

さらにマグネシウムはストレスによっても大量に消費されます。日頃からアルコールをよく飲んだり、日常的にストレスを感じている高齢者は、マグネシウム不足になっていないか病院で血液検査を受けてみると安心かもしれません。

まとめ

体のさまざまな働きに関わっているマグネシウムは、健康維持のために高齢者はもちろん、さまざまな年代の方が十分に摂取しておきたい栄養素です。

マグネシウムが不足すると低マグネシウム血症の様々な症状(吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、筋肉の痙攣、食欲減退)のほか、骨粗しょう症や心疾患、糖尿病といった病気にもつながりますので、毎日の食事から積極的にとりたいところですね。

しかし毎日の食生活でマグネシウムの摂取量だけに気をつけていると、ほかの栄養素が不足する可能性がありますので、バランスの良い食生活を何より心がけてください。お酒の飲みすぎにはくれぐれも注意しましょう。

マグネシウム不足が引き起こす病気や、マグネシウムを多く含む食品について、ご存知ない方はまだまだ多いようです。もしこの記事が参考になった場合は、ぜひシェアをして拡散をお願いします!

※この記事は2019年9月時点の情報で作成しています。

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監修者:春田 萌
監修者:春田 萌

日本内科学会 総合内科専門医、日本老年医学会所属
15年目の内科医師です。大学病院、総合病院、クリニックでの勤務歴があります。訪問診療も経験しており、自宅や施設での介護についての様々な問題や解決策の知識もあります。