最近よく耳にするロコモって何ですか?高齢の親にはいつまでも元気でいてほしいと思っています。今からできることを教えてください。

質問

質問者後期高齢者の親と暮らしています。まだ元気ですが、できるだけこのまま介護状態にならずに暮らしてほしいと願っています。ロコモは運動機能に関係することばということは知っているのですが、まだよくわかっていません。自分も足腰に不安が出てきているので、家族みんなに役立つように理解しておきたいと思います。運動をすれば寝たきりになるのを避けられますか?

 

専門家

ロコモとはロコモティブシンドロームの略です。立ったり歩いたりする動作は骨や筋肉、関節などの運動器の働きによって行いますが、加齢や運動不足などの原因によりそれらに衰えが見られる状態のことです。

歩けなくなると、「介護が必要になる」「寝たきりになる」などの危険性があります。そのため、中高年以降はロコモの状態にならないように特に気をつけなくてはいけません。

しかし、運動器はトレーニングがしやすいという良い面もあります。日常生活でしっかりと動くことで、ロコモ予防が可能となります。

ここではロコモ防止のために、日頃から気をつけておくことなどを解説していきます。

ロコモって何?

ロコモって何

高齢化社会が進む中、中高年の健康課題のひとつとしてロコモが注目されています。ロコモとはいったいどのような意味なのでしょうか。

ロコモティブシンドロームの定義

ロコモは「ロコモティブシンドローム」の通称で、日本語では「運動器症候群」と呼ばれる症状です。移動するために必要な運動器に障害が起こり、立つ・歩くなどの動作がしづらくなった状態を指します。

日本が世界に先駆けて高齢化社会を迎える中、2007年日本整形外科学会によって提唱された新しい概念です。

現代生活では昔に比べて足腰を使う頻度が下がり、高齢になるにつれて運動器が弱くなる傾向が見られます。ロコモは誰にでも起こる可能性のある症状として、中高年以降は特に注意が必要となってきます。

ロコモと運動器

ロコモの語源となっている「Locomotive」(ロコモティブ)とは、「運動の」という意味です。ロコモの中で対象とされる運動器は骨、筋肉、関節、神経など身体運動に関わる部位の総称として使われます。

ロコモの考え方では運動器を全体としてとらえており、そのどれかひとつでも不具合があるとロコモの原因となる可能性があります。運動器は単独で作用するものではなく、すべてが連携をしています。一か所の痛みをこらえても、いずれは他の部位に負担がかかってしまいます。

ロコモが進行するとどうなるの?

ロコモが進行すると、具体的にはどのような問題があるのでしょうか。

足や腰など、どこかの部位に痛みがあったり動きづらかったりすると、大きな動作をするのが辛くなりあまり移動したくなくなります。外出をしない、人と会わないなど次第に不活発になっていく可能性があります。

軽度の痛みを年齢のせいにして放置すると、痛みのある部位を庇おうとして無理な姿勢をとるなど、身体全体のバランスをくずしていくことも考えられます。

自由が利かなくなると日常生活に支障が出て、身の回りのことをするのも難しくなっていくでしょう。さらにロコモが進行すると、介護が必要になり寝たきりになる恐れもあります。

要支援要介護になる原因の中でトップは転倒、骨折や関節の病気など、運動器と関連しています。大きな病気をしていなくても、運動器が弱ることで要介護となる人が多数いるのは間違いありません。

なぜロコモが注目されるの?

ロコモって何ですか?

なぜ今ここまでロコモが注目されているのでしょうか。さらに詳しく見ていきましょう。

ひとつの不具合から全身の弱体化に

先にもありましたが、運動器はさまざまな部位が相互に作用しています。ひとつの動きは、複数の運動器が関わって行われます。

太ももには大きな筋肉がありますがこの筋肉が落ちると、歩行時にうまく足を上げられなくなり膝・腰の痛みにつながってきます。また膝に痛みがあると、庇おうとして腰や足首といった他の部位に影響を及ぼします。

こうした一連の不具合により転倒のリスクが高まり、骨折しやすくなります。高齢になるほどに回復は遅く、全身の弱体化に結び付く恐れがあります。

健康長寿はロコモと無縁

平均寿命が延びることは喜ばしいことですが、最近重視されているのが「健康寿命」です。一般的な寿命に対して、「健康寿命」は日常生活を健康に送れる期間を指します。

寿命と「健康寿命」の差がないほど介護や寝たきりの時間が少なく、自立した人生を送ることができます。

しかし実際には平均寿命と「健康寿命」を比べたとき、男性で約9年、女性では約12年という差が見られます。多くの人が亡くなるまでの間に、9~12年もの長い期間介護の必要な状態にあるのが現状です。

一方で亡くなる直前まで元気に過ごしている人もいます。健康長寿を実現している人は、ロコモとは無縁です。運動器が良好な人は、日常生活を快適に過ごせます。

ロコモを防止し、正常な筋力や身体のバランスを保つ力を養うことが、健康長寿に関係していると言っても間違いではありません。

ロコモの原因と症状

ロコモの原因と症状

ロコモはお年寄りがなるもの、というイメージが持たれがちですが、実は危険度が高まるのは高齢者だけではありません。ロコモの原因と具体的な症状を見ていきましょう。

原因は大きく分けて2つ

ロコモの原因と言われるものには、大きく分けて2つあります。

ひとつは運動器自体の疾患によるものです。運動器に関わる3大疾患としては、「骨粗鬆症」・「変形性関節症」・「変形性脊椎症」などがあります。これらの疾患について、適切な治療を早期に行うことでロコモの進行を食い止められます。

もうひとつの原因が、加齢による運動器機能の低下です。骨や筋肉量のピークは20~30歳代ですが、運動や栄養バランスにより長く保持することは可能です。

しかし現代生活では長距離を歩く機会が減り、階段よりもエレベーターを選ぶという人が多くなっています。運動不足や栄養の偏りなどにより、40代以降はロコモのリスクが急激に上がります。

その他、肥満、痩せ過ぎなど生活習慣もロコモ発症に影響すると言われています。

ロコモの主な症状

ロコモの主な症状としては、筋力が低下することにより軽快な動作がしづらくなります。バランスがとりにくくなり、ちょっとした段差でもよろめいたりつまずいたりしやすくなります。

また関節の可動域が狭くなるため、歩幅が狭くなるといった傾向も見られます。歩行が遅くなる、少しの間でも立つのが辛い、姿勢を維持できないといった場合にもロコモが疑われます。

常に足や腰・背中など身体のどこかが痛いという訴えも、要注意です。

ロコモチェックをしよう

ロコモかどうかが気になるときには、簡単なセルフチェックの方法があります。日本整形外科学会の「ロコモチャレンジ!推進協議会」では、以下の7つの項目のうちひとつでも当てはまれば、ロコモの可能性があるとしています。

  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまずいたりすべったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 家のやや重い仕事が困難である (掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である (1リットルの牛乳パック2個程度)
  6. 15分くらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

日常生活でロコモを予防する

ロコモを予防

「ロコモかもしれない」というときにはそれ以上の進行を防ぎ、また改善に向けた生活の見直しが必要となります。

運動で適度な刺激を

年齢を重ねるときつい運動が難しくなります。またいきなり重度の運動をすることにより、かえって運動器を損傷しかねません。

ロコモの防止や改善のためには、軽度の運動でも継続をすることで効果があります。特に大切なのは、足と腰のまわりの筋肉を鍛えることです。

散歩の際に少し歩幅を大きくして歩く、なるべく外出の機会を作り多くの人と接する、公民館などで実施される運動教室に参加する、テレビを見ながらストレッチをするなど、日常の中で無理なく続けられる工夫をしていきましょう。

ただし身体のどこかに痛みを感じる場合には、無理をしてはいけません。必ず医師に相談し、できる範囲内でロコモ対策に取り組んでいくようにしましょう。

運動器の機能を保つ栄養素

ロコモ防止には、身体の筋肉や骨を支えるための栄養摂取も大切です。

炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの「5大栄養素」をバランス良く摂取するように心がけます。

特に高齢者はタンパク質が不足気味と言われます。主食に偏り過ぎないよう、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などを積極的に食事に加えていきましょう。

ロコトレを続けよう

スポーツジムや体操教室に通うことはロコモ予防に効果的ですが、それが難しい場合には自宅でも簡単にできるロコトレ(ロコモーショントレーニング)という方法もあります。 運動器を活性化するロコトレとしては、次のようなものがあります。

・開眼片脚立ち

目を開けたまま壁や机につかまって片脚を上げます。足は地面から離れる程度で構いません。また片手で安定しないときには、両手でつかまるようにします。

1日3回程度、各1分行いましょう。

・スクワット

膝を曲げ伸ばしする運動です。できる範囲でゆっくりと行い、膝を曲げる深さも各人の状態に合わせます。難しいときには、椅子からお尻を浮かすだけでも効果があります。

1日3回程度、各5回行いましょう。

・関節の曲げ伸ばし

椅子に座ったまま、膝を曲げ伸ばしします。無理のない高さまで上げるようにしましょう。テレビを見ながら、本を読みながらといったように習慣にしていきます。

 

この他にもラジオ体操やウォーキングなど生活スタイルに合わせ、可能な運動を日常に取り入れることを心がけていきましょう。

難しくないロコモ防止

ロコモは身体全体の機能を低下させるひきがねとなることもあります。いずれかの運動器の痛みを年齢のせいにしているうちに、他の部位にも影響を及ぼし、動作ができなくなっていく可能性もあります。痛みが疾患によるものであれば、早期に治療を行うことが重要です。

日常生活では栄養バランスを考えた食事と、運動の継続を心がけるようにしていきます。いきなり強い運動をするのではなく、無理のない範囲で続けていきましょう。

ロコモの進行は介護や寝たきりにも及ぶ恐ろしい結果を招きますが、その防止は難しくありません。ロコモを常に意識するだけでも、生活を変えていくことが可能です。

※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。

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監修者:寺岡純子

監修者:寺岡純子(てらおか じゅんこ)

主任介護支援専門員 看護師
合同会社 カサージュ代表
看護師として病院勤務8年、大手介護事業者で約19年勤務し管理職を経験。
2019年8月合同会社カサージュを立ち上げ、「介護特化型研修事業」「介護離職低減事業」など介護に携わる人への支援を行っている。企業理念は「介護に携わるすべての人の幸せな生活をサポートする」。