移動用リフトのつり具の部分はどう選べば良いですか?入浴の際にも使えるものがあると助かります。

質問

質問者

ほぼ寝たきりの母を在宅介護しています。このたび移動用リフトを利用することにしましたが、つり具には色々な種類があるようなので迷っています。どんなことに気をつけて選べば良いですか?母はお風呂が大好きなので、入浴にも使えるつり具があればうれしいです。

 

 

専門家つり具にはいくつか種類がありますが、用途によって使い分けることやご利用様の身体状態を把握することが大切です。入浴時にお使いになりたい場合は、入浴用つり具がおすすめです。浴槽に浸かってもずれにくいシートを用いているため、使いやすいと思いますよ。

 

 

 

「移動用リフトのつり具の部分」とは

移動用リフトの釣り具部分について考える

介護生活をサポートする福祉用具のひとつに「移動用リフトのつり具の部分」というものがあります。種類や選び方をみていく前に、まずは特徴や用途を確認しましょう。

移動用リフト本体に取り付ける専用器具

移動用リフトのつり具の部分は、移動用リフト本体に設置する専用器具です。体を包むようにして支えるつり具とリフト本体をセットで用いることにより、寝たきりの方や自力での移動が難しい方を安全に移動させられるようになります。

移動用リフトもつり具の部分も介護保険サービスの対象品目です。詳しくは後述しますが、移動用リフトは「福祉用具貸与」の一種なので、介護保険でレンタルできます。

レンタルできるのは要介護2〜5と認定された方です。主に、自力で立ち上がることができない方や、車いすなどへの乗り移りに介助が必要な方が利用するのに適しています。

なお、つり具の部分は福祉用具貸与ではなく福祉用具販売の対象品目なので注意しましょう。

室内での移動や移乗をサポート

移動用リフトとつり具があれば、室内での移動をはじめ、ベッドから車いすへの移乗やトイレ・浴室での移動もスムーズにできるようになります。

寝たきりの方のように、必要な介護の度合いが大きいと介護をする方の負担もかなり大きくなってしまいます。ですが、移動用リフトとつり具を用いれば、少ない負担で安全に移動をサポートすることができます。

どう違うの?つり具の種類・特徴と選び方のポイント

移動用リフトのイラスト

移動用リフトのつり具の部分にはさまざまな種類があるので、用途に合ったものを選ぶことが大切です。主なタイプと特徴、選び方のポイントをチェックしていきましょう。

脚分離型

脚分離型は、両足の腿の部分を別々に包むタイプです。右足と左足を分けて包むことができるので、車いすに座ったままでも着脱が可能です。脚分離型は、さらに「ローバックタイプ」と「ハイバックタイプ」に分けられます。

ローバックタイプは丈が背中まであり、頭を保持する力や座位姿勢を保つ力がある程度ある方に適しています。ハイバックタイプは頭部までカバーされるので、頭や首を自力で支えられない方でも安心です。

シート型

シート型は体全体を1枚のシートで包み込むタイプです。下半身に敷く必要があるため車いすに乗ったままの着脱はできないものの、全身がすっぽりと包まれるので安定感があります。

シート型にも、背中までカバーされるローバックタイプと、頭部まで保持されるハイバックタイプがあります。

セパレート型

体を支えるベルト状のパーツが2つに分かれているのがセパレート型で、ベルト型とも呼ばれています。ベルトを脇の下と腿の下に通して体全体を支える仕様になっていて、着脱が比較的簡単です。

体が覆われる部分が少なく、リフトを利用する際にズボンや下着の着脱もできるのでトイレへの移乗にも利用できます。ただし、座位姿勢を保持する力が弱い方には不向きです。

トイレ用

トイレ用は脚分離型の一種で、お尻の部分が大きく開いているのが特徴です。リフトに吊り下げた状態でズボンや下着を着脱することができます。座位をある程度保持できる方であれば、車いすへの移乗にも利用可能です。

入浴用

つり具には入浴に便利なタイプもあります。基本仕様はシート型と同じですが、メッシュ素材が用いられているので浮力の影響でずれにくく、つり具に乗ったまま浴槽に入ることができます。寝たきりの方の入浴介助は大変ですが、入浴用のつり具があれば介護者の方の負担を大幅に軽減させられます。

つり具を選ぶ基本ポイント

前提として、移動用リフトのつり具の部分は、必ずリフト本体に適合するものを選びましょう。本体機種に合わないつり具を使うと、転倒や落下につながる可能性があり大変危険です。

また、体格や身体状況に合うかどうかも重要なチェックポイントです。小柄な方が大きなつり具を用いると安定感がなくなり、落下するリスクがありますし、体格に対してつり具が小さすぎると体が圧迫されてしまいます。姿勢をどの程度保持できるかによっても適したつり具は変わってくるので、ご本人が無理なく安全に使えるものを選ぶことが大切です。

「主にどこで使うのか」「介助する方の使い勝手はどうか」なども含めて検討し、最適なタイプを選択しましょう。つり具選びはご家族だけで判断せず、ケアマネージャーや福祉用具の専門家に相談してください。

介護保険が適用される「福祉用具販売」の対象

福祉用具の販売の対象についての説明

前半でも少し触れましたが、移動用リフトのつり具の部分は、介護保険サービスのひとつ「福祉用具販売」の対象品目です。福祉用具販売とはどのような制度なのか、基本概要を押さえておきましょう。

福祉用具販売とは?

要介護認定を受けた方が、特定の品目を少ない金銭負担で購入できるのが福祉用具販売という制度です。対象品目は5品目に限られ、移動用リフトのつり具の部分のほか、腰掛便座や自動排泄処理装置の交換可能部品などがあります。

なぜ、レンタルする福祉用具貸与ではなく買い取る形になるかというと、衛生面や経年劣化が懸念され、再利用しにくいものだからです。排泄や入浴のサポートに用いるアイテムは、他人が使ったものを再利用することに心理的な抵抗感がともないやすく、レンタルには適していません。

そのため、身体に密着させて使うものや、排泄物を受け止めるアイテムは購入することになっています。

原則的に9割が払い戻される

福祉用具販売の自己負担額は原則的に1割です(一定以上の所得がある場合は2割または3割負担)。利用者はいったん全額を支払い、その後に介護保険から払い戻されます。この仕組みを「償還払い(しょうかんばらい)」といいます。

支給限度額は、年間10万円までです(毎年4月1日から翌年3月31日まで)。気をつけたいのは、限度額は払い戻される金額ではなく、購入費を指すという点です。例えば、1割負担の方が10万円分の福祉用具を購入した場合、自己負担額は1万円、保険給付額は9万円となります。

なお、同一年度内に同じ福祉用具を購入することはできないので注意しましょう。

移動用リフト本体は介護保険でレンタル

つり具とセットで使う移動用リフト本体は、福祉用具貸与の対象なのでレンタルします。ただし、住宅改修工事をともなわずに設置できるものに限ります。福祉用具貸与も自己負担額は原則1割ですが、償還払いではなく、契約後にレンタル事業者に料金の1割を支払います。

介護保険の対象となる移動用リフトは、床走行式・固定式・据置式のいずれかです。それぞれ用途や使い勝手が異なるので、つり具の部分とあわせて慎重に検討しましょう。

移動用リフトは「つり具の部分」の選択も慎重に

体が思うように動かせず、日常生活におけるささいな移動も困難な方にとって、移動用リフトは心強いアイテムです。用途に応じて適切な「つり具の部分」を選べば、室内での移動やベッド・トイレなどでの移乗がしやすくなり、被介護者の方の生活の質の向上に役立ちます。

また、移動用リフトは介護をする方の肉体的・精神的な負担軽減にもつながるため、寝たきり介護にぜひ取り入れたいところです。


ただし、つり具の部分は全身を預けるものなので、選ぶ際は安全性に十分に配慮する必要があります。ケアマネージャーや福祉用具の専門家に相談しながら、身体状況や体格にフィットするタイプを慎重に選択しましょう。

(文・ 吉村綾子)

※この記事は2019年10月時点の情報で作成しています。

【関連サービス】
安心介護では、介護用品お探しサービスも実施しております。介護商品のレンタルやご購入を検討中の方、介護用品お探しをお手伝いいたします。
福祉用具お探しサービス
監修者:山岸駿介
監修者:山岸駿介

理学療法士。臨床経験は7年。
急性期から慢性期、スポーツ分野など幅広い分野を経験。医療・介護・スポーツなど幅広い分野のリハビリに携わり、老若男女に正しい運動で、健康的な生活を送るサポートしている。