退院後の父について相談です。3回目の誤嚥性肺炎をきっかけに胃ろうになりました。本人は自宅に帰ることを希望していますが、平日の日中は一人になってしまうので、お昼のことなどいろいろと不安です。訪問看護を使えば、父の状態で自宅に帰ることはできるのでしょうか?

質問

質問者

92歳の義父ですが、2回目の誤嚥性肺炎をきっかけに胃ろうになりました。希望する特別養護老人ホームには空きがないことと、本人も自宅に帰りたがっているので、いったんは自宅に…と思っています。

胃ろうについては家族ができるということですが、私も夫も仕事をしており、同居している息子(義父の孫)も社会人なため、平日の日中は一人になってしまいます。今までのように、お弁当を配達してもらって…とはできないので、お昼の対応が心配です。

いままでデイサービスとショートステイしか利用したことはありませんでしたが、介護保険サービスに訪問看護があると聞きました。訪問看護を利用すれば、義父を自宅に戻すことは可能でしょうか?

 

専門家訪問看護とは、自宅に看護師などが訪問して、医師の指示に基づいて胃ろうや痰吸引などの医療的なケア、入浴や排泄などの身体ケア、リハビリテーションなどをしてくれるサービスです。質問者さんの義父さんのように、医療的ケアが必要になっても、訪問看護を利用して在宅で生活をしている方はたくさんいます。
ここでは、訪問看護のサービス内容、回数や時間、料金などを中心に、医療的なケアが必要で日中に一人になってしまう方が利用できる、その他の介護保険サービスについて紹介します。現在や今後の生活の参考にしてください。

 

訪問看護のサービス内容

訪問看護のイメージ

まずは、訪問看護とはどのようなサービスなのかをみてみましょう。

訪問看護のサービス内容

訪問看護では、看護師などが利用者宅を訪問して、医師の指示に基づいた健康状態の確認や医療的なケア、医療器具の管理、排泄や食事といった身体のケアなどを行います。 具体的には…

  • 病気や障害の状態の観察
  • 服薬状況の確認や飲み方の指導など
  • 血圧、体温などのバイタルチェック
  • 点滴
  • 胃ろうなどのカテーテル管理
  • インシュリン注射など
  • 痰吸引
  • 在宅酸素や人工呼吸器などの管理
  • ガーゼ交換
  • 摘便や浣腸など
  • 在宅でのリハビリテーション
  • 緩和ケア、終末期ケア
  • 介護方法の助言、療養環境の助言、病気の不安などの相談
  • 排泄ケアや入浴介助、食事の介助などの在宅療養のお世話

などがあります。

自宅で医療従事者の専門的なケアが受けられるので、通院の負担を減らすことができます。主治医に直接聞きづらい疑問に答えてくれたり、在宅での療養や看護・介護についての相談にも乗ってくれるので、利用者本人や家族にとってメリットの多いサービスです。

ケアプランに定められた曜日と時間に看護師が訪問します。質問者さんのケースでは、日中にサービスを設定し、胃ろうからの栄養剤注入をお願いするようになるでしょう。

訪問看護が利用できる人

介護保険サービスの訪問看護を利用できるのは、病気や障害をもちながら居宅で療養されている、要介護1~5の認定を受けた方です。要支援1、2の方は、介護予防訪問看護を利用できます。

いずれの場合も、かかりつけ医による「訪問看護指示書」が必要です。

訪問看護で来てくれる人

訪問看護では、病院や診療所、訪問看護ステーションの看護師、准看護師、保健師などの資格を持った、医療従事者がサービスを提供します。医師が必要だと判断すれば、理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士が、訪問看護としてリハビリを行います。

訪問看護の費用について

訪問看護の費用のイメージ画像

続いて、訪問看護にかかる費用をみていきましょう。

1回ごとの基本料金

訪問看護は、サービス提供事業所が訪問看護ステーションか病院または診療所かで料金が変わります。

要支援1、2の方  介護予防訪問看護ステーションの場合 20分未満  302円 
30分未満  450円 
30分以上1時間未満  792円 
1時間以上1時間30分未満  1,087円 
病院または診療所の場合  20分未満  255円 
30分未満  381円 
30分以上1時間未満  552円 
1時間以上1時間30分未満  812円 
要介護1~5の方  訪問看護ステーションの場合 20分未満  313円 
30分未満  470円 
30分以上1時間未満  821円 
1時間以上1時間30分未満  1,125円 
病院または診療所の場合  20分未満  265円 
30分未満  398円 
30分以上1時間未満  573円 
1時間以上1時間30分未満  842円 

 

※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。時間帯(早朝・深夜)やサービス内容、サービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。

※上記は看護師の場合の利用料です。准看護師は上記料金の90%となります。リハビリを行う理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の利用料も異なります。詳しくはケアマネジャーにご確認ください。

訪問看護サービスが受けられる回数について

介護保険には、要介護度ごとに支給限度額があります。その支給限度額内であれば、何回でも訪問看護サービスを受けることは可能です。他の介護保険サービスも利用している場合には、週に1、2回程度になることが多いです。

在宅療養に必要なサービスとは

在宅での療養イメージ

続いて、在宅療養が必要な方をサポートする、訪問看護以外のサービスについて確認していきましょう。

日中独居なら「通い」をうまく取り入れましょう

質問者さんのように、日中に一人になってしまうため心配という方に適しているサービスに、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)があります。「通い(デイサービス)」を中心に、必要な時に「宿泊」できるショートステイと、自宅で受ける「訪問介護」、「訪問看護」を組み合わせて、柔軟に利用できるサービスです。

家族がいない日中は、デイサービスで看護師から医師の指示に基づいた医療処置を受けられます。もちろん胃ろうなどへの経管栄養剤の注入にも対応しています。

サービス内容や頻度によって、ひと月あたりの料金は変わりません。要介護度ごとに定められている支給限度額を気にせずに、利用者の状況に応じたサービスを組み合わせることができるのがメリットのひとつです。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)とは? - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

また、医療的なケアや常に看護師によるケアを要する方を対象とした療養通所介護(医療デイサービス)もあります。質問者さんのケースでは、今までもデイサービスを利用していたようなので、療養通所介護(医療デイサービス)を週に数回利用し、通わない日には訪問看護を利用する…といった使い方が良いかもしれません。

療養通所介護(医療型デイサービス)とは? 医療ニーズが高い方でも利用できるデイサービス - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

通常の通所介護(デイサービス)にも看護師が配置されていますが、胃ろうが必要な方の受け入れができるかは事業所によって異なります。今まで通っていたデイサービスにそのまま通えるかは、ケアマネジャーに確認してもらうと良いでしょう。

居宅療養管理指導や訪問リハビリ、通所リハビリなど、在宅で療養されている方をサポートする介護保険サービスは他にもあります。詳しくはケアマネジャーにお問い合わせください。

注意点としては、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)を利用する際には、今までのケアマネジャーから変更となる点です。今回あげた他の介護保険サービスは、ケアマネジャーを変更することなく併用できます。

医療保険と介護保険の違いについて

医療保険と介護保険の訪問看護を同時に利用することはできません。要介護認定を受けている方は、介護保険が優先されます。ただし、ガン末期の方、厚生労働大臣が定める多発性硬化症や筋萎縮性側索硬化症といった疾病の方などは、医療保険で訪問看護を利用することができます。

医療保険で訪問看護を受ける場合には、各種健康保険や後期高齢者医療制度が適用され、「週3日まで」「週4日以降」「精神科訪問看護」などによって料金が異なります。

介護保険には要介護度ごとに支給限度額がありますが、医療保険では利用金額に上限はなく、1日の回数制限はありません。また、2カ所の訪問看護ステーションの利用が可能です。詳しくはケアマネジャーやかかりつけ医、地域包括支援センターにご相談ください。

まとめ

胃ろうや痰吸引が必要な方でも、介護保険サービスを利用して在宅で療養生活を送ることは可能です。在宅で療養する要介護者の方を支援するサービスは、訪問看護以外にも看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)、療養通所介護(医療型デイサービス)、居宅療養管理指導などがあります。

日中におひとりになってしまう方でも、訪問看護や通いのサービスを組み合わせて、在宅での生活を続けることができます。大切なのは、家族が無理をしたり、介護離職をしたりしないことです。どんなことが心配なのか、どうなって欲しいのかを、まずはケアマネジャーに相談をしましょう。

医療的なケアが必要な方を在宅で介護するとなると、不安に感じることも多いでしょう。この記事が、そんな不安を解消するヒントになれたのならうれしいです。

※この記事は2021年11月時点の情報で作成しています。

関連QA

i.ansinkaigo.jp

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ケアマネジャー:森裕司(株式会社HOPE)
ケアマネジャー  森 裕司(もり ゆうじ)

【経歴】 1982年生まれ。
医療福祉系学校を卒業後、約11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。
その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員(ケアマネジャー)へ転身。
2017年1月 株式会社HOPE 設立
2017年3月 ほーぷ相談支援センター川越 開設
代表取締役と共に、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、埼玉県川越市で高齢者の相談支援を行っている。
他に、医療機関で、退院支援に関するアドバイザーと職員の指導・教育にあたっている。
医療・介護に関する新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとしても活動。大学院卒(経営研究科)MBA取得している。

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