地域包括支援センターとは

介護が必要になった高齢者やその家族が、最初に介護について相談をする窓口に、地域包括支援センターがあります。高齢者の暮らしを支えるために、様々な役割を担っている機関です。この記事では、介護家族が知っておきたい地域包括支援センターの基礎知識についてまとめました。

 

地域包括支援センターとは

地域包括支援センターは、高齢者やその家族、そして周囲の方々が利用できる、地域の身近な相談窓口です。高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい自立した生活を安心して続けられるように支援をしてくれます。

約800万人いるという団塊の世代が全員75歳以上となる2025年までに、地域で包括的に支援やサービスを提供できる仕組み(=地域包括ケアシステム)の構築が進められています。地域包括ケア実現の中核的な機関となるのが、地域包括支援センターです。各市区町村などが設置しており、その数は2018(平成30)年4月末時点で、全国に5079ヵ所です。

地域包括支援センターを利用できる対象者

地域包括支援センターは、要介護認定を受けているかどうかに関わらず、高齢者やそのご家族が相談できます。また、高齢者を見守る地域住民の方も利用が可能です。近隣の高齢者について「もしかしたら、虐待されているのかも」、「最近様子がおかしい」、「よく道に迷っている」などに気づいたら、お住まいの地域にある地域包括支援センターに相談をしてみてください。

地域包括支援センターの業務

地域包括支援センターでは、以下の4つの業務を実施しています。

地域包括支援センターの業務

総合相談支援業務

高齢者本人が抱える生活の困りごとについて、在宅介護での悩み、気がかりな近隣の高齢者についての相談などを幅広く受け付けています。介護保険制度に繋げる役割だけではなく、行政機関や医療機関、地域のボランティアなどの機関や、介護サービスや医療サービス、成年後見制度などのサービスにつなげます。

また、「話し相手がいない」、「家に引きこもりがち」、「介護仲間と話したい」などの相談にも、ボランティアやサークル、家族会の紹介をしてくれます。

高齢者や介護について、「どこに相談したらいいのかわからない」ということがあれば、まずは地域包括支援センターに相談してみるといいでしょう。

窓口を利用できる時間帯は、平日の日中(9時から18時までなど)です。夜間帯や土日については、各自治体によって異なります。また、窓口のほかに電話でも相談を受け付けています。

介護予防ケアマネジメント業務

介護認定で「要支援1、2」と認定された方に対して、必要な介護予防ケアプランの作成や運用、管理などを行います。まだ介護認定を受ける必要がない方や、介護認定で「非該当」となった方に対しても、状態の維持や改善を目指して介護予防教室の提供などをしています。

「介護は必要ないけど健康に自信がない」、「健康を維持したいけれど何をしたらいいのかわからない」という方も、気軽に相談してみるといいでしょう。

高齢者の権利を守る業務

認知機能の低下した高齢者の権利や財産を悪徳商法などから守るために、相談を受け付けたり、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業の活用促進をしたりしています。
>>成年後見制度とは

また、「高齢者虐待防止法」に基づいて高齢者を虐待から守るのも、大切な権利擁護業務です。早期発見や各行政機関と連携した対応を行っています。

具体的には、「家の修理で高額な請求をされてしまった」「大切なものを無くしてしまった」「ご近所の高齢者がお世話を受けていないようだ」などの相談を受け付けています。

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

地域包括支援センターでは、地域のケアマネジャーへの日常的な個別指導、育成、相談などを行っています。

その他の業務

2015(平成27)年からは、次の業務も地域包括支援センターで実施されています。市町村によっては、他の組織や機関に委託していることもあります。

  • 地域の医療や介護の資源を把握し、在宅医療と介護の関係者の情報共有を支援する業務
  • 生活支援コーディネーターの配置や生活支援などのサービスを強化するための生活支援体制整備事業
  • 認知症初期集中支援チームの配置などの認知症総合支援事業
  • 介護職や医療職などの多職種で行う「地域ケア会議」の推進事業

地域包括支援センターで働く専門家とは

地域包括支援センターで支援を提供しているのは、主に下記3職種です。それぞれが専門性を生かし、連携を取りながら業務にあたっています。

主任ケアマネジャー

高齢者本人やその家族などから介護全般の相談、担当のケアマネジャーについてなど、介護に関する総合的な相談を受けて支援を提供。また、地域のケアマネジャーの支援や相談、育成などを実施しています。

主任ケアマネジャーが、実際に介護サービスを提供することはありません。

保健師または経験のある看護師

病院や保健所と連携しながら、医療や介護にかかわる相談に対応したり、介護予防のための指導や情報提供を行ったりしています。

社会福祉士

高齢者に関する相談窓口業務や高齢者の権利を守るための権利擁護業務を行います。悪質商法や虐待などから高齢者から守ったり、成年後見制度の利用援助、地域の高齢者の自宅や施設などに訪問したり、安否確認を行ったりしています。

地域の担当センターの探し方

お住まいの地域を担当している地域包括支援センターは、市町村の高齢化に問合せをすると教えてくれます。また、安心介護の検索システムを利用して探すことも可能です。最寄りの相談窓口を探して、訪問してみましょう。

>>介護の相談先について

介護が必要になったときは、まずはご連絡を

介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。まずは、お住まいのエリアを担当している地域包括支援センター、または市区町村の介護保険窓口などに問い合わせましょう。
>>要介護認定、認定調査の手続きと流れ 

まとめ

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを支援するために市町村などが設置している機関です。介護や医療についての相談だけではなく、虐待の早期発見や悪徳商法などの被害から高齢者を守る役割もあります。

主任ケアマネジャーや社会福祉士、保健師(または経験のある看護師)が、高齢者本人や家族、地域住民から幅広い相談を受け付けています。電話での相談も可能です。

要介護認定を受けると、居宅介護支援事業所と契約してケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、介護保険サービスを利用するようになります。それまでの「要介護認定を受けたい」「ケアマネジャーを探したい」といった内容も、地域包括支援センターで相談できます。介護についての困りごとのある方は、お住まいの地域を担当している地域包括支援センターを探してみるところから始めてはいかがでしょうか。

※この記事は2020年10月時点の情報で作成しています。

監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。