高齢者が民間の医療保険に入る必要性は?

高齢者が民間の医療保険に入るメリットとデメリット

高齢になっても入れる民間の医療保険が増えてきました。医療費への不安から、民間の医療保険への加入を検討している高齢者の方も多いのでは。

しかし、高齢者は民間の医療保険に加入すべきなのでしょうか。高齢者が民間の医療保険に入るメリットやデメリット、そして医療保険選びのポイントを説明します。

高齢者が民間の医療保険に入るメリットとデメリット

高齢者は公的医療保険とあわせて民間の医療保険にも入るべきなのでしょうか。

高齢になると若い頃と比べて医療費が増える傾向にあります。「平成28年度 国民医療費の概況」によると、人口一人あたりの国民医療費は、65歳未満が18万3,900円なのに対し、65歳以上は72万7,300円となっています。

現在、健康に問題がなくても、将来の高額な医療費が心配で民間の医療保険に入るべきかどうか考えている高齢者の方は多いのではないでしょうか。これまで加入していた医療保険が満期となり、保障のない状態を不安に感じている方もいるはずです。

しかし民間の医療保険への加入を決断する前に、本当に加入すべきか、よく考えてみる必要があります。ここではまず、高齢者が民間の医療保険に入るメリットとデメリットを紹介します。

メリット

差額ベッド代など自己負担額分の保障が受けられる

高齢になると病院にかかる機会が増えがちです。上でも紹介した通り、65歳以上の医療費の平均額は72万7,300円にも上ります(平成28年度)。

しかし、この金額を全て自分で支払うわけではありません。公的医療保険制度があるため自己負担額は1〜3割とそれほど高くありません。医療費の自己負担額だけを考慮すると、保険料を支払ってまで民間の医療保険に入るべきかどうか、微妙なところです。

ただ、入院時の差額ベッド代などは公的医療保険制度の対象外であるため、全額自己負担になります。また、食費や居住費も一定の自己負担があります。その負担が心配な方にとっては民間の医療保険が一つの対策案となります。

先進医療を受けるときにも保障が受けられる

民間の医療保険には公的医療保険制度ではカバーできない先進医療の技術料までを保障の対象としてくれるものがあります。先進医療は全額自己負担です。もし高額な医療保険を受けたときに医療保険に入っていたら、助かることは間違いありません。

しかし、先進医療の実施回数はそれほど多くないのに加えて、先進医療は高額なものばかりではないことも頭に入れておく必要があります。

デメリット

保険料が高額

高齢者が民間の医療保険に入るデメリットとしては、保険料が高額なことが挙げられます。

体調を崩したときへの備えはもちろん大切ですが、家計を圧迫し日々の生活がままならなくなるほどの保険料の支払いは現実的ではありません。

公的医療保険制度で手厚い保証を受けられることを考えると、高額な保険料はなおさら民間の医療保険に入ることを躊躇させます。

告知義務違反に認定され保障が受けられないケースがある

医療保険に加入する際には、自分の健康状態などを保険会社に隠さず告知する義務があります。高齢者が民間の医療保険に入る場合、加入時期にすでに病気を患っていたことが後から発覚し、告知義務違反で保障を受けられないケースが少なくありません。

こうしたデメリットを考えると、民間の医療保険へは加入せずに、その保険料分を貯金していざという時に備えるのも一つの方法です。

高齢者の公的医療保険制度はどうなっている?

「自分は民間の医療保険へ加入すべきか?」それを決めるためには、公的医療保険制度で自分がどんな保障を受けられるのかを知っておくことが大切です。

高齢者の医療費負担

ひと口で高齢者と言っても年齢によって医療費の負担割合が異なっています。

70歳未満 3割
70~74歳 2割(一定以上の所得の人は3割)
75歳以上 1割(一定以上の所得の人は3割)

70代、80代の高齢者に関しては、一定以上の所得がある方を除いて医療費の自己負担額は1割または2割ですので、医療費の支払いに関しては民間の医療保険に入っていなくてもそれほど大きな心配はないと言えるでしょう。

高齢者の公的医療保険制度

ここでは高齢者の公的医療保険制度についてもう少し詳しく説明したいと思います。

高齢者が加入する公的医療保険制度は75歳を境に変わり、74歳以下の方は前期高齢者医療制度の対象ですが、75歳以上になると後期高齢者医療制度に移行します。

前期高齢者医療制度

前期高齢者医療制度の対象は65歳以上〜74歳以下の高齢者です。

高齢者の加入が多い国民健康保険は、若い人が多い健康保険組合や共済と比べて医療費の負担が重い傾向があります。前期高齢者医療制度はそうした制度間の不均衡を調整するための制度として存在しているものです。

前期高齢者医療制度は後期高齢者医療制度のよう独立した医療保険制度ではなく、前期高齢者それぞれがそれまで加入していた国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合などの医療保険制度をそのまま利用します。

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の後期高齢者と一定の障害がある65歳以上の方が加入する独立した公的医療保険制度です。加入者全員が被保険者となり、それまで扶養家族として自分で保険料を支払っていなかった人も含め、一人ひとりが保険料を支払います。

後期高齢者医療制度の加入者は、窓口で後期高齢者医療被保険者証を提示することで、医療費の自己負担額が1割(一定以上の所得の人は3割)となります。

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高額療養費制度

医療費の自己負担額が1割〜3割であるのに加え、医療費の自己負担額の合計が高額になってしまった場合に助けてくれる高額療養費制度という制度もあります。 高額療養費制度では、1ヶ月(その月の1日から末日まで)に支払った医療費の自己負担額合計が一定以上の金額になると、上限を超えた金額が払い戻されます。

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公的医療保険で保障対象外のものは?

公的医療保険では、大部屋を少人数の部屋や個室に変更する場合の差額ベッド代は全額自己負担です。1ヶ月の自己負担額に上限を定める高額療養費制度も適用されないため、発生した料金は全て自分で支払わなければなりません。

差額ベッド代のほか、先進医療の技術料、入院中の食費や居住費なども公的医療保険制度の保障の対象外です。

高齢者の民間の医療保険の選び方は?

高齢者が民間の医療保険に入るメリットとデメリットを知った上で、民間の医療保険への加入を決めたという方は、次に挙げるポイントを押さえて保険を選んでみてください。

自分に必要な保障内容を見定める

保障内容が手厚い医療保険ほど多くのことをカバーしてくれるのはもちろんですが、手厚くなればなるほど保険料は上がります。

入院給付金が何日目から受け取れるかや、入院給付金の支払い限度日数、手術給付金の金額や対象となる手術、通院給付金などの金額をチェックします。

また、自分にどんな特約が必要かを考えることも大切です。通院特約や退院特約、三大疾病特約、がん入院特約、そして先進医療特約など、項目ごとに内容をチェックして優先順位をつけましょう。

保険料を確認する

自分に必要な保障内容をイメージできたら、その保障内容で保険料の支払いがどれくらいになるかを確認します。めんどうな作業かもしれませんが、1つの医療保険だけでなく複数の医療保険を比較しましょう。

保障内容と保険料をてんびんにかけながら、自分が無理なく支払っていける範囲で医療保険や保障内容を選ぶことが大切です。

民間の医療保険を選ぶ際の参考データ

最後に、高齢者が民間の医療保険を選ぶ際の目安として、平均在院日数と入院時の自己負担額の平均に関する情報を紹介します。

高齢者の平均在院日数

厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査の概況」によれば、年齢階級別退院患者の平均在院日数は65歳以上の方が37.6日、75歳以上の方が43.6日でした。 その他、傷病分類別の平均在院日数についてはこちらから確認ください。

入院時の自己負担額の平均

生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、入院時の自己負担額の平均は23.3万円です。入院日数別の自己負担額の平均額は次のようになっています。

5日未満 10.1万円
5~7日 15.6万円
8~14日 21.0万円
15~30日 28.5万円
31~60日 34.6万円
61日以上 60.9万円

ただし、この調査は18〜69歳の男女を対象に行われたもので、70歳以上の高齢者の情報は入っていいません。

まとめ

高齢者は医療費がかさみがちですが、公的医療保険がしっかり保障してくれるため、医療費の自己負担額についてはそれほど高額にはなりません。

その一方で、高齢になると民間の医療保険の保険料が高くなりますので、民間の医療保険に入らず貯金などで対応することを選ぶ人は多いことでしょう。

もし民間の医療保険へ加入するなら、自分にどんな保障が必要かをしっかり考えた上で、その保障がついた保険の保険料がどのくらいかを確認し、自分の経済状況で余裕を持って支払っていける保険を選ぶことが大切です。

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監修者:天野 洋一
監修者:天野 洋一(あまの よういち)

社会保険労務士。トヨタ自動車(株)勤務を経て、愛知県豊田市で開業。
埼玉県旧浦和市(現さいたま市)出身。2007年千葉大学大学院修了。
クラウドを活用した社会保険、労働保険の電子申請が得意。
ライフワークとして、病気で休職中の方々のリワーク支援や障害年金申請サポートに力を注いでいる。