ベッドや布団から、畳に座布団で座っているときからの立ち上がりに時間がかかる、ふらつくなどの様子が見えたら、手すりを利用することを考えましょう。手すりを使えば、まだまだ自立した生活ができます。ここではは手すりの種類や選び方をご説明します。
手すりの種類
手すりは安定のための形の違いから2種類に分けられます。
据え置き型
安定のために下部にステンレス製や鉄製の金属板があるものが安心です。置き型とはいえ、重さは30kgほどあるものが多いので、簡単に動かしてあちこちで使うものではありません。
逆U字型の上部を握り、身体を押し上げるようにして立ち上がります。何段階かグリップがあるものであれば、握り替えながら立ち上がりまでをサポートします。
片手でつかむものもあれば、玄関などで身体を間に入れ両手でつかんで使うものもあります。介助バーつきで前傾姿勢がとりやすくなったものもあります。
突っ張り型
天井と床の間で突っ張り固定されています。縦に長く手すりがあるので、それを握り身体を引っ張り上げるように立ち上がることができます。
何本かポールを使い、間にバーをわたし、不安定な歩行を助ける長い手すりとして使うこともできます。壁に穴を開けずにどこにでも設置できいろいろなアレンジが可能です。
立ち上がるときや横にわたしたバーを手すりにし移動するのに使えるだけでなく、立つ姿勢の保持のためにも使えます。身体に合った場所をつかめるので、利用者は腰を不自然に曲げずに済みます。
手すりの選び方
据え置き型と突っ張り型のどちらにするかを、起床時や座った状態からの立ち上がりに焦点を当ててポイントをお伝えします。
身体の状況に合わせる
腕が自由に動くか、力がじょうずに入れられるかによって選ぶ形が変わってきます。立ち上がるときだけ必要なのか、身体の向きを変えるところから必要なのかによって必要な形が変わります。
例えばベッドからの起床時は、手すり側に寝返りをし、いったん座り、そこから立ち上がるという複雑な流れがあり、寝返りからサポートが必要な場合はいろいろな角度からつかめる据え置き型が使いやすいでしょう。
座るところまではサポートなしでできる。立ち上がりのときだけで十分ということであれば、突っ張り型でもよいでしょう。
据え置き型は押しながら立ち上がり、突っ張り型は垂直方向の手すりを握って身体を引き上げながら立ち上がります。どちらを使っての動きがしやすいか、利用する人が試しに何日か使って決められるとベストですね。
使う場所によって考える
布団や座布団は低い位置から、ベッドやソファは少し高い位置から使います。低い位置からは身体を押して上げる必要があり、すでに座っている場合は前方に向かって立ち上がる必要があります。
布団や座布団、低い位置からであれば身体を押し上げて垂直に立ち上がる据え置き型がよいでしょう。徐々に立ち上がっていけるよう何段階かのグリップがあるものがおすすめです。
ベッドやソファなどすでに高い位置にいる場合は、突っ張り型でつかみ腕を手前に引きながらの動きで立ち上がります。突っ張り型がその後の歩行の誘導にも役立ちます。
手すりを使うメリット
身体のふらつきからの転倒、そして怪我を防げることが一番のメリットです。転倒のしかたによっては大きな骨折になることもあるので、不安を感じたら早めの対策が有効です。
もうひとつ、同じくらい大きなメリットは、介助者がなくても立ち上がりができるので、自立した生活が長く続けられることです。介護する者にとってもされる者にとっても負担なくいられることは重要ですね。
手すりを使うときの注意点
利用者にとってちょうどよい高さ、形、握る場所の太さなど、ちょっとした違いによって使いやすさは大きく変わります。設置する場所を少しずらすだけでも変わります。レンタルで試しに使ってみることもおすすめです。
また立ち上がりだけに必要なのか、身体の向きを変えるときから必要なのか、介護度の変化によって必要な形が変わります。レンタルで柔軟に対応していくと身体の状態に合った使い方ができます。
手すりは介護保険対象
自立した日常生活を助ける用具については介護保険の対象になります。ここでご紹介した手すりのように、取り付けに際し工事を伴わないものはレンタルが可能で、工事を必要とする手すりの設置の場合は、介護保険が使える住宅改修を利用することができます。どちらの場合も要支援1から使えます。まずはお住まいの市区町村や担当ケアマネージャーに相談してみてください。
介護保険の給付利用者は年々増加しています。手すりの場合、平成27年には120万件超え、月ごとの費用額は2835円と報告されています。多くの方が利用しているので、手すりの導入を検討されている場合は参考にしてみてください。
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【この記事の監修者】
中村 静江(なかむら しずえ) /訪問看護ステーションとんぼ
1998年理学療法士資格取得後、永生病院リハビリテーション科に勤務。病棟勤務を経て、訪問リハビリテーションおよびデイケア業務に携わる。2014年国際医療福祉大学大学院にて福祉援助工学分野修士課程を修了し、現在は福祉用具プランナー管理指導者として、福祉用具プランナー研修などの場で講師活動も行う。